民事裁判の流れを弁護士がわかりやすく解説!流れのポイントも簡単にわかる

民事裁判は「申立て」ではじまり、原告と被告がお互いの主張を出し合い、最終的に「判決」や「和解」で決着するのが基本的な流れです。民事裁判の流れにはさまざまな用語が登場し、いくつものステップに分かれています。法律や裁判所にあまり馴染みのない人にとっては複雑に感じられるかもしれません。

民事裁判の登場人物や刑事裁判との違い、流れなど基本的な知識をおさえておくことで民事裁判をスムーズに進めやすくなります。

  • 民事裁判とは何か
  • 民事裁判の種類
  • 民事裁判の流れ

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1、民事裁判とはどのようなものか?

裁判といえば、刑事ドラマの中でよく登場する検察官や弁護人、被告人、裁判官などが登場する法廷の印象があるのではないでしょうか。民事裁判と刑事裁判は同じ「裁判」ですが、内容が異なっているのです。

民事裁判の基礎的な知識として、まずは「民事裁判とはどのようなものか」と「刑事裁判との違い」について簡単に説明します。

(1)民事裁判とは?

民事裁判とは「私人間(個人間)のトラブルを解決するための裁判」です。

相続トラブルや離婚問題、浮気に対する慰謝料請求や養育費請求、借金問題など、個人と個人の間にはさまざまなトラブルが起きる可能性があります。個人と個人の間で起きたトラブルを裁判所に判断してもらうかたちで解決するのが民事裁判です。

たとえばAさんとBさんがお金の貸し借りで揉めていました。Aさんは確かに返済したと言っていますが、Bさんは返済されていないと主張しています。借金問題は個人の話し合いでも解決できますが、当事者の主張が食い違っていたり、双方が意見を譲らなかったりする場合は話し合いによる解決は難しいことでしょう。

そんなとき、民事裁判では裁判官という第三者が主張や証拠から法的かつ公正に判断し、判決を下してくれます。個人間のトラブルの解決策として使われている手続きが民事裁判です。

(2)民事裁判に登場する人

民事裁判の主な登場人物は「原告」「被告」「裁判官」です。

原告とは民事裁判を起した側で、被告は裁判の相手方(裁判を起された側)になります。個人だけでなく会社などの法人も原告や被告になることがあります。裁判官は原告と被告の主張や証拠を確認し判決を下す審判のような立場です。

原告や被告に弁護士がついている場合は弁護士も登場人物です。弁護士がいれば民事裁判の主な手続きを弁護士が代理します。そのため、原告についている弁護士を「原告代理人」と呼び、被告についている弁護士を「被告代理人」と呼びます。

(3)民事裁判と刑事裁判の違い

民事裁判と刑事裁判は同じ裁判でも内容が異なっています。民事裁判は個人間のトラブルを対象にした裁判です。

たとえばドラマなどで夫の浮気相手に妻が「訴えてやる」というセリフを言ったとします。浮気問題や不倫トラブルなどで訴える、つまり慰謝料の請求などをする場合は民事裁判の話です。この他にも、個人間の金銭トラブルやお店との契約トラブル、親族との相続問題、夫との離婚などで裁判する場合は個人と個人(あるいは個人と会社など)ですから、民事裁判になります。

刑事裁判とは刑罰を科すべきか、科すべきであるとしてどのような内容にするかを判断するための裁判です。刑事裁判には裁判官、被疑者の他に、検察官も登場します。検察官とは、被疑者を裁判にかける役割の人です。

たとえば被疑者が被害者に殴る蹴るの暴行で怪我を負わせたとします。当該被疑者を、検察官が起訴し、犯罪の立証を行うのです。簡単に言えば、刑罰を科すべきかを判断するための裁判が刑事裁判になります。

個人間の金銭トラブルなどは基本的に民事裁判の話です。しかし仮に単なる金銭トラブルではなく、詐欺だったり、横領だったり、犯罪が絡んだ場合で、検察官が被疑者を起訴した場合は、刑事裁判が開かれることとなります。

2、民事裁判には通常訴訟や少額訴訟などの種類がある

民事裁判には通常訴訟や少額訴訟などの種類があります。

(1)通常訴訟

民事裁判のなかで最も一般的な裁判が通常訴訟です。損害賠償請求や債権回収など、個人間のトラブル解決のために使われます。当事者の主張と証拠を出し合い、裁判官による判決や和解などにより終結するという流れです。

(2)少額訴訟

60万円以下の金銭の支払いを求める場合にだけ使える民事訴訟です60万円より額が大きくなると通常訴訟になります。

少額訴訟は1回の期日で判決まで終わる迅速な訴訟手続です。そのため、少額訴訟で使えるのは、期日にすぐ調べられる証拠や証人に限られます。また、複雑な内容のトラブルの場合は1回の期日で判決まで終わらせることが難しいため、少額訴訟が使えない可能性があります。

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(3)手形・小切手訴訟

手形や小切手の金銭支払いと支払い遅延による損害賠償請求のみに使える民事裁判です。

手形・小切手訴訟も基本的に1期日で判決まで終了します。基本的に使える証拠は書証のみで、文書成立の真否など一部のことについて例外的に証人が許されるなど、証拠について特徴的な制限が設けられている民事裁判です。

(4)人事訴訟

人事訴訟とは身分関係にまつわる訴訟のことです。身分とは夫婦や親子などの「関係」を意味します。親子関係の存否などの離婚など、身分にまつわることを判断するのが人事訴訟です。

代表的な人事訴訟として離婚訴訟があります。養育費や財産分与、離婚にまつわる慰謝料請求なども人事訴訟の分野です。

話し合いによる解決を目指すため、基本的に訴訟の前段階として調停をする流れになっています(調停前置主義)。調停でも解決できなかった場合は人事訴訟で決着をつけることになるのです。

(5)行政訴訟

行政訴訟とは行政(国など)の行為に対し変更や取り消しを求めるための民事訴訟です。

たとえば自動車を運転して事故を起こし、免許停止処分を受けたとします。しかし、事故の事情や内容から免許停止処分はおかしいと考えました。このようなケースで免許停止処分の取り消しを求める場合は行政訴訟となります。裁判の相手が免許停止などの権限をもつ行政官庁だからです。

3、民事裁判の流れ|裁判の申立までの準備

民事裁判を起こすと決めた場合、まずは何をすれば良いでしょうか。

民事裁判を起こすには、訴状をはじめとした書類の提出が必要です。また、民事裁判の流れの最後に待ち受ける判決などで裁判官に主張を認めてもらうためにも、主張を裏付ける証拠も準備しなければいけません。

民事裁判の目的はトラブルを解決することであり、主張を認めてもらうことでもあります。民事裁判を提起する前に、弁護士に相談して書類や証拠の準備を入念に行いましょう。

4、民事裁判の流れ|申立後から判決まで

準備ができたら管轄の裁判所に訴状を提出して民事裁判の申立てをします。訴状とは申立て側である原告の主張を記載した書面のことです。

申立てが受理されると民事裁判がスタートし、最初の流れである答弁書の提出に進みます。

(1)答弁書の提出

民事裁判の提起後の最初の流れは「答弁書の提出」です。

民事裁判を起こすときに、原告は訴状を提出して自分の言い分を述べています。今度は訴えられた側である被告が自分の言い分を主張する番です。被告は原告の主張(訴状)を確認し、今度が自分の言い分を答弁書にまとめて裁判所に提出するという流れになります。

なお、答弁書には簡単な内容しか記載せず、その後の準備書面で詳細な反論をすることもあります。

(2)第1回口頭弁論期日

口頭弁論とは「裁判官が原告や被告の言い分を口頭で聞く手続き」のことです。

第1回口頭弁論期日では原告と被告の主張を裁判官に伝えます。とはいえ、原告と被告の言い分はすでに訴状や答弁書というかたちで提出していますので、すべてを当事者が口頭で説明する必要はありません。裁判官に訴状を陳述するか確認され、「陳述します」などと答えれば、訴状等の内容のとおりに陳述したことになります。

訴状などを提出しているのにわざわざ確認する意味はあるのかと思うかもしれません。訴状を見れば言い分がわかるからです。しかし民事裁判では書面でわかるものをわざわざ陳述しなければいけません。これは、民事裁判のルールが関係しています。口頭で陳述された主張が裁判の基礎になるというルールです。そのため、書面に主張をまとめていても、あらためて口頭で陳述しなければいけません。

被告については答弁書だけ準備しておけば第1回口頭弁論期日に限り口頭で陳述したとみなされます。これを擬制陳述と言います。

原告は民事裁判を申し立てた側ですから、スケジュールも第1回口頭弁論期日に合わせられるはずです。しかし被告はいきなり訴えられた側ですから、第1回口頭弁論期日にスケジュールを合わせられないかもしれません。弁護士を立てようとしても、準備すらろくにできない可能性もあります。

被告にとって民事裁判で訴えられることは不意打ちに近いため、第1回口頭弁論期日に限り被告側に陳述擬制が認められているというわけです。

第2回口頭弁論期日からは擬制陳述はありません。また、擬制陳述はあくまで答弁書が準備されていた場合の措置なので、何も準備していない場合は陳述が擬制されることはありません。 

(3)第2回口頭弁論期日以降

民事訴訟の判決を下すためには被告と原告の主張を精査し、争いのある部分や双方が認めている部分はどこか精査しなければいけません。また、原告と被告の主張が食い違っている部分、要するに争いのある部分については証拠により立証しなければいけません。

そのため、主張の精査や確認、立証などをするべく「証拠調べ」「証人尋問」「争点整理」などを行うこととなります。

①争点整理

争点整理とは原告と被告の争点(争いのあるポイント)を明確にするための作業です。原告と被告が主張する内容の中でも双方に争いのない部分は立証の必要がありません。どの部分が原告と被告の争点になっており、証拠による立証を必要とするか整理します。

②証拠調べ・証人尋問・当事者尋問

争点がわかったら、争いのある部分について証拠を使って立証するという流れです。

証拠には書証や証人などがあります。原告が提出した書面の証拠を甲号証、被告が提出したものを乙号証といいます。証人に尋問することが証人尋問、被告や原告などの当事者を尋問することが当事者尋問です。

(4)和解期日

民事裁判は必ず判決で決着するわけではありません。当事者が和解すれば、判決を経ずに裁判が終了します。当事者は民事裁判の流れの中で何時でも和解でき、裁判所も和解を勧めることが可能です。和解が成立した場合は民事裁判の判決と同じ効力をもちます。

和解が成立しなかった場合は、基本的には裁判官による判決が下されます。

(5)民事裁判の判決

証拠調べが終了し和解も行われなかった場合は裁判官が訴えの内容についての判決を下します。判決により民事裁判の第1審は終了します。

判決前に原告と被告は最終準備書面を裁判所に提出することもあります。なお、当事者は判決の日に、必ずしも裁判所に足を運ぶ必要はありません。判決は当事者に送付されることになっているため、判決内容を確認して今後どうするか決めるという流れです。 

民事裁判の判決に不服があった場合については後の見出し(Q&A)で詳しく説明しています。

5、民事裁判の流れにかかる期間は?

通常訴訟は短くても3カ月ほどの期間がかかり、長ければ判決まで年単位の期間を要します。民事裁判のひととおりの流れが終わりまでの平均的な期間は1年から1年半くらいです。

6、民事裁判の流れや手続きに疑問点|Q&A

民事裁判を検討しているときは流れ以外にも疑問に思うポイントがあるのではないでしょうか。民事裁判でよくある4つの疑問について補足します。

(1)民事裁判はどの裁判所に提起すべきなの?

トラブルの内容によって民事裁判を提起すべき裁判所が違ってきます。

裁判所には「事物」と「土地」の管轄があり、トラブルの内容から管轄を判断して適切な裁判所に民事訴訟を提起しなければなりません。

事物管轄とは訴える内容についての管轄になります。140万円以下の場合だと基本的に管轄は簡易裁判所です。140万円を超えると事物管轄は地方裁判所になります。

地方裁判所や簡易裁判所は全国にあります。事物管轄だけでなく土地の管轄もチェックすることも必要です。

トラブルの内容によって管轄が変わってきますので、分からない場合は弁護士に確認しましょう。裁判所のホームページでも裁判所の管轄区域を確認できます。

(2)民事裁判にかかる費用は?

民事訴訟の手続きをするには、印紙代などの訴訟費用が必要になります。また、弁護士に委任した場合は、弁護士費用も発生します。

民事裁判の手続きにかかる印紙代は訴訟において請求する金額によって変わります。100万円までは10万円ごとに1,000円500万円までは20万円ごとに1,000円です。たとえば民事訴訟の目的額が60万円の場合は6,000円ほどの印紙代がかかります。

弁護士費用は民事裁判の手続き費用とは別です。弁護士費用は着手金、報酬、実費などがあり、トラブルの内容によって金額が変わってきます。弁護士に相談したときに、弁護士費用の見積もりを教えてもらうといいでしょう。

(3)民事裁判の判決に不服がある場合は?

第一審が地方裁判所の場合は、判決に不服があれば高等裁判所に控訴できます。控訴した高等裁判所の判決に不服があれば最高裁判所に上告することも可能です。

第一審が簡易裁判所の場合は、控訴先は地方裁判所になります。地方裁判所の判決に不服があれば、今度は高等裁判所に上告が可能です。簡易裁判所が第一審のときは、最高裁判所には憲法問題があるときだけ上訴(特別上告)できます。

控訴や上告には「判決の正本が送達された翌日から2週間」という期間が定められているため注意してください。

(4)民事裁判の準備や種類の選択がわからない

民事裁判を申立てるためには提出のための書類を準備しなければいけません。また、最終的に裁判官に主張を認めてもらわなければいけませんから、第三者である裁判官でも納得する証拠が必要です。

民事裁判の前の書類や証拠の準備について分からないことがあれば、弁護士に相談することをおすすめします。弁護士に相談すると、民事裁判の内容に合わせて必要な証拠や手続きの流れについてのアドバイスなども受けることも可能です。

すでにお話ししたとおり、民事裁判にも種類があります。トラブルの内容によって、民事裁判の種類の中でも使えるものと使えないものがあるのです。また、手形・小切手訴訟のように使える証拠などに制限がある民事裁判もあります。

民事裁判の種類を選ぶ際は法的な知識を要します。民事裁判の種類の選択が分からない場合も弁護士に相談し、適切な種類を選ぶようにするとスムーズです。

まとめ

民事裁判の流れは申し立てによってはじまり、判決や和解によって終わるというわかりやすいものです。ただ、申し立ての前段階として準備が必要になります。また、状況によって流れが変わることや、流れの前段階で必要になることもあります。

民事裁判の流れを知っておくことで裁判をスムーズに進めることが可能です。ただし、流れだけ知っておけば民事裁判で満足できる結果を得られるわけではありません。書面の書き方や証拠の探し方など、民事裁判では知っておくべきことがたくさんあります。法律や判例の専門知識も必要です。

民事裁判をスムーズに進めるだけでなく、納得できる結果を得るためにも、弁護士に相談することをおすすめします。

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