診断書に嘘を書いてもらうことは違法?どのような罪に問われるのか解説

診断書 嘘書いてもらう

会社を休む時や、交通事故に遭った時など、医師の診断書が必要になる場面があります。

こうした時に、「どうしても会社を休みたい」「補償を受けたい」などといった気持ちから、診断書に嘘を書いてもらうことができないかと考える方もいるかもしれません。

もちろんそのようなことは違法なことですからできません。
以下では、どのようなリスクが生じるのかなどについて、詳細に説明していきます。 

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1、診断書に嘘を書いてもらうことについて

診断書に嘘を書いてもらうことについて

(1)診断書とは

診断書とは、医師が作成して発行する公的な書類です。医師法より、医師だけが作成できることが定められています。

客観的な検査を行い、患者の病名や症状、治療内容、治療期間などを診察した医師が記載します。
診断書は診断された結果を証明する書類のため、実際に病院で診察を受けなければ発行してもらうことができません。

(2)診断書に嘘を書いてもらうことはそもそも可能なのか

結論から言うと、診断書に嘘を書いてもらうことはできません。

患者本人が診断書に書いてもらいたいと考えていることと、医師の判断が異なった場合に、患者の希望に沿った内容を書いてくれる医師は一般的に存在しないでしょう。

診断書は患者の考えではなく、医師の所見が記載されるものです。もし検査がレントゲンなどの外的検査ではなく、問診やペーパーテストによる内的検査の場合ならば、ある程度患者本人が狙った診断内容への誘導ができると考える方もいるでしょうが、内的検査の場合は複合的に行われることが通常なので、患者の狙い通りに誘導することは難しいと言えます。

2、診断書に嘘を書いてもらってしまった場合のリスク

診断書に嘘を書いてもらってしまった場合のリスク

一般的に診断書に嘘を書いてもらうことは困難ですが、もし嘘を書いてもらうことができてしまった場合や、診断書を偽造した場合には、さまざまな責任を問われるリスクがあります。

診断書に嘘を書いてもらった場合や、偽造した場合に問われる責任としては、以下のものが挙げられます。

ただし、医師側は、故意で嘘の診断をした場合を除き、患者の話に基づき作成した診断書が結果的に事実ではなかったとしても罪には問われません。

(1)虚偽診断書等作成罪

医者が公務所に提出する診断書や死亡証明書などに虚偽の記載をした場合、刑法160条に定められている虚偽診断書等作成罪に問われる可能性があります。

「公務所」とは、公務員が職務を行う場所を指し、役所や警察署、保健所などが該当します。

虚偽診断書等作成罪は公務所で提出する場合のみに適用されるため、保険会社や民間の勤務先などの民間企業に提出する診断書の場合には適用されません。

虚偽診断書等作成罪が成立すれば、3年以下の禁錮又は30万円以下の罰金が科されます。

(2)私文書偽造

医者の資格のない一般の人が診断書を偽造して提出した場合には、私文書偽造罪に問われる可能性があります。

私文書偽造罪とは、文書の信頼を傷つける犯罪です。

証明書や契約書などは偽造することで文書の持つ社会的信用性が失われてしまうため、刑法によって罰せられることになります。

私文書偽造では署名や押印がされている文書が「有印」、署名や押印がされていない文書が「無印」と分けられており、有印私文書偽造の方が無印私文書偽造よりも罪が重くなっています。

診断書を偽造するのであれば医師の署名や押印も偽造することになるため、有印私文書井偽造に該当する可能性が高いです。

有印私文書偽造では、刑法159条により、他人が押印又は署名した権利又は事実証明に関する文書の変造や偽造があった場合には3カ月以上5年以下の懲役が科せられます。

(3)公文書偽造

公文書偽造とは、公務所もしくは公務員が作成すべき文書を変造や偽造した場合に該当する犯罪です。
そのため、公立病院で勤務する医師が診断書を偽造すれば公文書偽造になり、私立病院で勤務する医師が診断書を偽造すれば私文書偽造になります。

公文書偽造の場合は刑法155条により、有印公文書偽造罪であれば1年以上10年以下の懲役が科せられることになり、私文書よりも公文書の方が重い刑罰が定められています。

(4)詐欺罪

もし診断書を偽造しただけではなく、診断書を利用して金銭的な利益を得た場合には、詐欺罪に問われる可能性があります。

偽の診断書を保険会社に提出して不正受給を受けた場合や、偽の診断書で会社を休んで賃金を不正に受け取っていた場合などが詐欺罪に該当し得ます。

詐欺罪に関しては、刑法246条において、「人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する」と定められています。

(5)民法上の不法行為

診断書に嘘を書いてもらってしまった場合、上記の刑事責任だけではなく、民事責任も問われる可能性があります。

偽の診断書によって何らかの損害を被った人がいた場合には、不法行為などが成立し、損害賠償請求を行われる可能性があります。

損害賠償請求が認められた場合、損害を金銭で賠償することになります。

(6)懲戒処分

会社に対して嘘の診断書を提出して不正に休暇や休職をした場合には、懲戒処分を受ける可能性があります。

3、診断書に嘘を書いてもらいたいという人の動機とは

診断書に嘘を書いてもらいたいという人の動機とは

診断書に嘘を書いてもらうことは大きなリスクを伴うことになり、刑事責任まで問われてしまう可能性があります。

それでも診断書に嘘を書いてもらいたいと思ってしまう動機とは、どのようなことがあるのでしょうか?

(1)会社へ病気であると申告したい

嘘の診断書を書いてもらいたいと考える動機の1つ目に、会社への申告が挙げられます。

本当に病気であれば、一定期間の休職によって会社より賃金を得られることや、病気やケガを配慮して業務量を減らしてもらえることを期待できます。
それゆえ、会社に病気であると申告すれば、不正に休みを得ることや休職、業務量の調整ができる可能性があるからです。

なお、労働基準法には診断書の提出に関する明確な規定はありませんが、会社の就業規則に規定されている場合があります。

就業規則に規定されているのであれば、従業員は会社に診断書を提出する必要が生じてきます。

(2)労災保険や自動車保険で補償額を上げたい

仕事中のケガや交通事故のケガは、労災保険や自動車保険で治療費が補償されるだけではなく、休業補償などが補償される場合があります。

ケガや病気の重症度が高い方が補償額は高くなりますが、その重症度は診断書が重要な参考資料となるため、嘘の診断書を書いてもらいたいと考える方もいるのでしょう。

(3)社会福祉の受給を受けたい

国や自治体の福祉制度にはさまざまなものがありますが、社会福祉の受給を受けるには診断書が必要になるケースもあります。

例えば病気やケガで働けずに生活に困っている場合には、生活保護を受けることができます。
医師によって働けないと診断されていることその他複数の条件を満たしていれば、国から経済的支援を受けられるのです。

また、障害や疾患があれば障害年金を受給することができますし、障害者手帳があれば福祉サービスを受けることができます。

このような受給システムから、社会福祉の受給を受けるために診断書に嘘を書いてもらいたいと考える方もいるのだと思います。

4、動機から見る嘘の診断書を作成する以外の解決法

動機から見る嘘の診断書を作成する以外の解決法

診断書に嘘を書いてもらいたいと考える動機は、人それぞれ状況によって異なります。

しかし、どんな状況であったとしても嘘の診断書は違法であり、刑事・民事の責任を問われることになってしまいます。

嘘の診断書を作成することを考えるのではなく、他の方法で解決を目指すようにしましょう。

(1)会社に行きたくない原因を考える

もしあなたが、嘘の診断書を書いてもらいたいと考えるほどに「会社を休みたい」という気持ちが強い場合、その原因は何でしょうか。

上司などからパワハラを受けているのであれば、そのパワハラに対して対処をするべきです。
社内の相談窓口や外部の相談窓口(総合労働相談コーナー、労働相談センター)などに相談してみましょう。

会社を辞めるということも1つの手段になりますが、ハラスメント行為は損害賠償請求を行うことも可能ですので、弁護士に相談することも解決に繋がります。

(2)保険の補償額を上げたいなら弁護士へ相談

交通事故に遭ってしまい、保険会社から補償を受けるという場合、受け取れる保険金の額を増額したいという人がほとんどでしょう。

そのような場合、決して虚偽の診断書を作成してもらおうと考えるのではなく、弁護士に相談しましょう。
一般的に、交通事故の損害賠償の内訳の大部分を占める慰謝料は、弁護士が間に入ることで増額する傾向にあります。
また、ご加入の保険に弁護士費用特約が附帯していれば、弁護士費用がかからない場合もあります。
交通事故に関しては、無料相談を実施している法律事務所もありますので、まずは相談をしてみてください。

(3)社会福祉の受給を受けたいなら融資を検討

経済的に苦しくて社会福祉の受給を受けたいと考えている場合には、融資を検討してみてください。
公的支援である社会福祉の受給を受ける基準にない場合でも、民間の融資や国からの融資を受けることができます。民間の融資よりも国からの融資の方が低金利です。
収入が少ないため融資の審査が通らないのであれば、生活保護を受けるという選択肢もあります。生活保護は病気が原因ではなくても、生活に困っている場合であれば利用することができます。

すでにこうした融資を受けており、返済が困難な場合には債務整理を検討しましょう。
債務整理をすれば借金は減額や免除され、生活を立て直せる可能性があります。
債務整理は「任意整理」「個人再生」「破産手続」の3種類の手続きから選ぶことになります。債務整理は借金状況や仕事状況によって適切な手続き方法が異なるため、まずは弁護士に相談してみてください。

また、もし「働きたくない」ために経済的に苦しいのであれば、その原因を深く考えてみるべきでしょう。
誰だって働かなくてもいいのであれば、働きたくないものです。働きたくない原因として多くの場合は、人間関係が挙げられることが多くなっています。他の人と関わることが辛いという場合や、人間関係で苦労してしまうという場合には、人と関わることを最小限とした仕事などを探すと良いでしょう。
近年では在宅ワークを中心とした会社も増えています。転職会社や職安などを利用で自分の希望をきちんと伝え、自分がやれると思う仕事に転職することも解決策の1つだと言えます。

まとめ

嘘の診断書で「会社を休みたい」「保険の補償を受けたい」など考えることはあっても、実際に実行してしまえば大きなリスクを伴うことになります。

嘘の診断書を準備するのではなく、それ以外の解決策を試しましょう。

まずはなぜ嘘の診断書が必要だと思うのか理由を考え、紹介した解決策を試してみてください。場合によっては弁護士に相談することで、問題の解決に繋がることもあります。

一人で悩みを抱え込まずに、専門家のサポートやアドバイスを受けることも大切です。

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