メルカリの嫌がらせ行為を受けたことはありませんか?
フリマアプリ「メルカリ」は、スマホさえあれば簡単に出品できる手軽さから、年齢を問わず多くの人に利用されています。
しかし、欲しいものをお得に購入できる便利さの半面、「粗悪品が送られてきた」「購入した商品が送られてこない」といった違反行為から、「しつこい値下げ要求」「不当な評価をつける」といった嫌がらせなどが後を絶ちません。予防方法は、以下の5つです。
- 問題があると思われる商品は買わない
- 商品紹介ページや出品者のページを確認しておく
- トラブルはしっかりと主張する
- 商品について詳細な情報を記載する
- 評価の悪い購入者からの取引は受けない
1、メルカリの嫌がらせ行為とは?
嫌がらせ行為の事例をいくつか紹介します。
(1)嫌がらせ目的の大量購入
前回の取引を逆恨みをした相手方に大量購入され、その取引画面から誹謗中傷メッセージを受けています。
事務局には5日前から何度か問い合わせをし、2回ほど返事が来たのですが、「調査して適宜対応します。個別対応なので内容は教えられない。支払い期限が来たらキャンセルできるのでご検討ください。」いう内容でした。相手は未だに普通にメルカリ出品も続けていますし、嫌がらせメッセージも続いています。
引用:メルカリボックス
嫌がらせを目的とした大量購入の事例です。
ルールやマナーを守って同じ出品者から何度も購入すること自体は問題ありません。
しかし、この事例では、購入者が出品者を妨害したり、不当に悪い評価を付けたりすることが目的であると考えられます。
誹謗中傷のメッセージはスクリーンショットを撮るなどして証拠を残しておき、メルカリ事務所に報告して対処してもらうことが最善の方法です。
(2)脅しを受けたり暴言を吐かれたりする
嫌がらせ、脅されています。
取引終了していて、不快に思った事があり悪い評価にしたら嫌がらせ、脅しを受けています。
他のサイトまで追いかけてきて暴言を言われてます。
商品の文句もいわれ、返品すると騒いでます。
引用:メルカリボックス
直接取引のない方から商品に「指輪をつける向きが逆。恥ずかしくないのか」とコメントをうけ、「個人の自由です」と返答したところ、何度も何度も嫌がらせのコメントや全商品いいねをされるようになりました。
引用:メルカリボックス
基本的にメルカリのコメントには誰でも自由に書き込みができるため、悪い評価を付けたことで出品者から脅しを受けたり、執拗に嫌がらせを受けたりするという事例は少なくありません。
コメントで嫌がらせを受けた場合は、スクリーンショットなどで証拠を残しておき、メルカリ事務局に報告することで対処できます。
ただし、メルカリ事務局では当事者同士に直接取引した履歴がなければ、ほとんど対応してもらえないようです。
(3)出品する度に違反申告を受ける
同じ商品を販売している人がしつこく嫌がらせをして来るので困っています。私が出品する度に違反申告するので出品停止になってしまいました。
引用:メルカリボックス
出品者には何の非も無いのに、出品物に違反申告をして出品停止(利用制限)に追い込む嫌がらせです。
不当な違反申告で出品停止になった場合、メルカリ事務局に報告してペナルティを解除することができます。
(4)不当な悪評価をつける
出品者には何も非がないにもかかわらず、購入者から不当な悪評価を付けられるケースがあります。
多くは嫌がらせや出品の妨害が目的ですが、一度ついた悪い評価はメルカリ事務局に報告してもすぐに削除してもらえるわけではありません。
大前提としてメルカリのルールやマナーを守って正しく出品・取引をしていることが必要で、さらに購入者による嫌がらせ目的の評価付けであることの証明が必要です。
不当な悪評価が付けられた場合、購入者のコメントや評価欄をスクリーンショットで残しておくと良いでしょう。
(5)運営側に通報される
出品物に対して出品を違反しているという旨の通報がされると、一旦は対象の出品物が削除され、連続で通報されると出品停止などの利用制限のペナルティが課されます。
メルカリのルールをきちんと守っているという前提で、出品物に嫌がらせ目的で通報されているのであれば、メルカリ事務局に報告して解除してもらえるでしょう。
(6)住所を悪用される
取引のあった購入者に、郵送物の住所や電話番号を悪用されるケースがあります。
取引の評価等にかかわらず、個人情報の悪用はメルカリのペナルティの対象となります。
事前の対策としては住所を公開しないで発送ができるメルカリ便などを利用する方法があります。
また、実際に個人情報の悪用によって被害を受けた場合は、メルカリの事務局に購入者による住所の悪用を報告したうえで、法的措置等について弁護士に相談してみてもよいでしょう。
2、罪に問われる可能性がある嫌がらせの内容
嫌がらせの内容によっては、詐欺や脅迫など法律に違反する可能性があります。
あまりにも悪質な嫌がらせを受けた場合は、次に挙げるケースに該当するか確認のうえ、法的措置を検討されることをおすすめします。
(1)詐欺罪
「購入した商品の代金を支払ったのに商品が届かない」「新品を購入したはずが、粗悪品が送られてきた」など、メルカリでお金を騙し取られたケースでは詐欺罪(刑法第246条第1項)が成立する可能性があります。
詐欺罪成立の構成要件は次のとおりです。
欺罔(ぎもう)行為 | 犯人が相手を騙すつもりで、または重要な真実を偽って財産的処分行為(お金を支払うなど)を行わせること。 |
錯誤 | 実際に被害者が錯誤に陥ること。 |
交付行為 | 欺罔により錯誤を生じさせ、相手方が自らの意思で財物・財産上の利益を交付すること。 |
財産の移転 | 相手方が交付した財物・財産上の利益が移転すること。 |
構成要件だけを見ると難しいイメージがありますが、ネットオークションやフリマアプリの売買取引で故意に粗悪品を売りつけたり、お金だけを騙し取ったりする行為は、詐欺罪が成立する可能性が非常に高いです。
たとえフリマアプリでの行為であっても詐欺罪に問われれば、罰金刑無しの「10年以下の懲役」という重い刑罰が科されます。
(2)個人情報保護法違反
住所や電話番号など個人情報がメルカリの取引を介して相手に不正取得された場合、個人情報保護法違反が想定されます。
ただし、個人情報保護法の規制対象となるのは「個人情報取扱事業者」であって、一般の個人は対象とならないことには注意が必要です。
つまり、個人情報を詐欺行為によって不正取得した相手が法人である場合は、個人情報保護法違反としてその責任を追及できる可能性があります。
(3)脅迫罪
刑法第222条では、脅迫罪について次のように規定されています。
(脅迫)
第二百二十二条 生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者は、二年以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。
2 親族の生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者も、前項と同様とする。
引用:刑法
メルカリで取引にかかわり、コメントやメッセージで「お前の個人情報は知っているんだからただで済むと思うな」「商売できないようにしてやる」というように、相手に害悪を告知する書き込みがあった場合は、たとえネット上のやりとりであっても脅迫罪が成立する可能性があります。
3、安全にメルカリを楽しむために|予防策
トラブルになってからでは、メルカリ事務局への通報、取引制限の解除などに余計な時間や手間、それに精神的ストレスがかかってしまいます。
安全にメルカリを楽しむためにも、購入者側・出品者側のどちらの立場になっても事前の予防策が重要です。
(1)購入者:問題があると思われる商品は買わない
自分で撮影したものではない画像を使用していたり、出品からかなり時間が経過していたりする商品は、予めコメントで問い合わせをして不明点を明確にしておきましょう。
相手から明確な返答がない場合は不正な出品である可能性も高いため、購入しないことをおすすめします。
(2)購入者:商品紹介ページや出品者のページを確認しておく
商品を購入する前は、必ず商品紹介ページや出品者のプロフィールを確認しましょう。
商品についてコンディションについて十分な説明がない、出品者のプロフィールに記載がない、極端に悪い評価が多いなど、不安要素のある出品者と取引を行わないことも大切です。
(3)購入者:トラブルはしっかりと主張する
メルカリのルールやマナーを守っているにもかかわらずトラブルが発生した場合は、メルカリ事務局に報告し、主張すべきことをしっかりと主張しましょう。
不当な理由でされた出品制限や利用停止処分を甘んじて受ける必要はありません。
また、取引のメッセージやコメント、実際に受け取った商品の画像などは、メルカリ事務局に不正を報告する際の証拠となるので残しておきましょう。
(4)出品者:商品について詳細な情報を記載する
商品紹介ページにはサイズ、コンディション、発送までの日にち、発送方法などについて詳細な情報を記載しておきましょう。
説明不足のまま商品が購入され、発送した後にサイズが違った、説明になかったキズがあった、到着が遅かったなどのクレームがトラブルに発展する可能性があります。
(5)出品者:評価の悪い購入者からの取引は受けない
メルカリでは相手のプロフィール画面から評価の履歴が確認できます。
取引履歴が1件もない、極端に「悪い」評価が多いユーザーはトラブルの元になるので、なるべく取引を受けないことが予防策となります。
ただし、メルカリでは評価の悪いユーザーを予め遮断することはできません。
どんなに評価の悪いユーザーでも、取引制限のペナルティを受けていない限り商品の購入ができてしまうため、どうしても取引をキャンセルしたい場合はメッセージでキャンセルをお願いするなどの対応も必要となるでしょう。
4、メルカリで嫌がらせなどの被害を受けたときは
メルカリの取引で相手方から嫌がらせや詐欺などの被害を受けたときは、次の窓口に相談、対処するようにしましょう。
(1)メルカリ事務局に報告・相談
メルカリ内での取引は、基本的にメルカリ事務局に報告・相談して解決を図ります。
「誹謗中傷するようなメッセージが送られてきた」「説明とは異なる商品が届いたが返品に応じない」といったケースでは、当該メッセージのスクリーンショットや商品の写真など証拠を残しておきましょう。
証拠によって明らかに相手方に非があると証明できれば、メルカリ事務局がこちらに有利な対処をしてくれるでしょう。
(2)ブロックする
メルカリのユーザーブロック機能を使えば、相手が商品やプロフィールの閲覧、コメントの投稿ができなくなります。
「何度も嫌がらせコメントや購入をしてくる」「取引終了後に不当に悪い評価を付けられた」など、トラブルを起こしそうな相手とは取引をしないことが最善の予防策です。
(3)国民生活センターへの相談
こちらの事例では、偽物のブランド商品を購入してしまったユーザーが国民生活センターに相談してトラブルに対処したモデルケースが確認できます。
メルカリ事務局では解決が図れないようなトラブルは国民生活センターに相談されることをおすすめします。
国民生活センターは、消費者トラブルの情報の収集、消費者と事業者間のトラブル相談、生活に関する情報提供などを行っている独立行政法人です。ネットショッピングでの詐欺行為や個人情報に関する苦情の相談窓口が設置されています。
(4)警察へ相談
警察には事件性のない民事紛争には介入しない「民事不介入の原則」があるため、メルカリでの出品者・購入者間のトラブルで警察が動くことは基本的にありません。
ただし、次のようなケースについては警察が介入する可能性があります。
- 偽ブランド、コピー品の販売
- 著作権侵害や商標権侵害に該当する商品の販売
- 取引相手への執拗なストーカー行為
- 個人情報の悪用
実際に、メルカリで他人のクレジットカードを不正利用した詐欺事件で逮捕されたケースもあるため、上記に該当するトラブルがあった場合は速やかに警察に相談しましょう。
(5)弁護士へ相談
インターネットオークションやフリマアプリなど、ネットショッピングが普及したことにより、ネット上での詐欺被害等について相談窓口を設置している法律事務所も増えています。
対面しての直接取引とは異なり、インターネット上の取引における詐欺被害では加害者との連絡が取れなくなってしまうことも多く、被害者が泣き寝入りするケースも少なくありません。
弁護士に相談すれば、被害者に代わって加害者の割り出しや、被害金額の弁済交渉などトラブルの解決に期待できます。
最近では無料相談を受け付けている法律事務所もありますので、詐欺の被害に遭った場合は警察、国民生活センターに加えて弁護士への相談もおすすめします。
まとめ
手軽に商品の出品・購入ができて非常に便利なメルカリですが、個人の利用者が圧倒的に多いこともあり、取引上のトラブルが跡を絶ちません。
たとえメルカリのルールやマナーを守った取引をしているつもりでも、相手が同じようにクリーンな取引に応じてくれるとは限らないため、予めトラブルに備えておく必要があります。
事前の予防策でも対処しきれないトラブルが発生した場合は、どこへ相談すれば早期の解決が図れるかを判断し、相談窓口のサポートを受けながらトラブルに対処していきましょう。