公職選挙法違反とは?有権者も「やってはいけない行為」に注意を

公職選挙法違反

公職選挙法違反に問われると、一般の支持者・有権者であっても刑事訴追があり得ます。
最近では国会における元法務大臣夫妻の巨額の買収問題が有名ですが、ごく小さな町や村の選挙であっても、捜査されている例が多数あると理解しておくべきです。

万一にも嫌疑がかかれば、「ちょっとしたお祝いの席を設けただけ」、「挨拶のついでに投票を頼んだだけ」といった弁解は通じません。
結果として不起訴になっても、捜査開始の報道によって会社や個人の風評を深く傷つけてしまうでしょう。

本項の解説を読めば、公職選挙法の目的と違反行為について理解が深まります。
本記事がお役に立てば幸いです。

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1、公職選挙法違反の基礎知識

公職選挙法違反の基礎知識

そもそも「公職選挙法違反」とは、議員を公選するための選挙のルールを定める法律に反する行為を指します。

選挙はその規模に関わらず、健全な民主政治を行うための基礎となるものです。「公明且つ適正」であることを担保する(公職選挙法第1条)には、有権者・候補者共に節度ある行動を取らなくてはなりません。

法律では、

  • 議員の定数
  • 候補者の届出
  • 投票や開票の他
  • 候補者等による選挙運動のルール

などについても定められています。

※以下公職選挙法の条文を根拠として示す際には(法第○条)と記載します

(1)公職選挙法の適用範囲

公職選挙法の適用範囲は、

  • 衆議院議員
  • 参議院議員
  • 地方公共団体の議会の議員や長を決めるための選挙

など、すべてに及びます(法第2条)。

言い換えれば、例え人口が数百人程度しかいないような小さい町や村であっても、候補者等が違反すれば所定の刑事罰を招来することになるのです。

(2)違反した場合は当選無効かつ刑事罰

万が一公職選挙法違反との指摘を受ければ、当選自体も無効です(法第205条等)。

前科または前歴は免れられない点を踏まえれば、当選したにも関わらず違反してしまった人にとってまさに「天国から地獄へ」の道になるでしょう。言うまでもなく、家族や従業員にまで迷惑をかけてしまいます。

(3)候補者だけでなく有権者も罪に問われる

公職選挙法の適用範囲について補足すると、単なる支持者つまり「有権者」も処罰の対象です。
万一にも捜査機関が動けば、嫌疑が晴れたとしても、個人名や企業情報が大きく報道されるでしょう。
その実例も枚挙にいとまがありません。
平穏な生活が乱され、反社会的との誹りを受ける結果は、言うまでもなく予測できます。

①【事例1】山形知事選での飲食接待

2021年1月24日投開票の山形知事選において、建設会社社長並びに従業員30人が書類送検されました。
当選者への投票依頼のため、飲食接待したとの嫌疑がかかったのです。接待に用いた金額は、わずか計5万円程でした。

参考:読売新聞オンライン(2021年3月7日)

②【最近の事例2】長野県内の町議選における飲食接待

2021年4月6日告示の佐久穂町(長野県)の町議選において、前町議・運動員4人・有権者17人が書類選挙されました。
違反が疑われたのは、告示日と投開票日の両日、町内の集会所で有権者に対してお酒や弁当が提供された事実です。

参考:中日新聞(2021年5月15日)

紹介した事例はどちらも飲食接待に関わるものですが、法律では他にも様々な禁止行為があります。
次項では、金品等の移動が伴う「買収」や「寄附」について確認してみましょう。

2、公職選挙法違反の罪に問われる「買収及び利害誘導」とは

公職選挙法違反の罪に問われる「買収及び利害誘導」とは

公職選挙法違反の代表格は、選挙の結果を思い通りにするための「買収及び利害誘導罪」です。
法律では、違反行為を詳しく定めた上で、一定のケースや関係者に対しては厳罰を科すとしています。

(1)買収および利害誘導罪

「買収及び利害誘導罪」の定義、つまり具体的に禁止される行為は、公職選挙法の第221条1項で整理されています。行為類型は6つに分かれますが、ここでは分かりやすく「買収型」、「利害誘導型」、「関与型」の3つに整理します。

①買収型(第1号・第3号)

日頃見聞きするニュース等で最もよく聞くのは、選挙人または選挙運動者に対する買収の罪でしょう。
下記のような行為は、投票する(もしくは投票しない)、選挙運動した(もしくは運動をやめた)ことに対する報酬とする「後払い式」であっても法令違反です。

【買収とみなされる行為】
1. 金銭・物品・その他の財産上の利益の供与
2. 公私の職務の供与
3. 1~2の申込みもしくは約束をする
4. 3に代わって供応接待する
5. 4~5の約束をする

②利益誘導型(第2号)

これに対して、利害誘導の罪とは、お金やモノではなく「特殊の直接利害関係」を利用して圧力をかけ、選挙の結果をコントロールしようとする違反行為です。
ここで言う特殊の直接利害関係とは、過去に行った

  • 用水
  • 小作
  • 債権
  • 寄附

等のやりとりを意味します。

候補者が当選するように、あるいは特定の候補者を落選させるように……と上記関係を利用して特定の団体に圧力をかけると、公職選挙法違反に問われます。

③関与型(第4号~第6号)

当然ながら、買収及び利害誘導の相手方も、実際にはインセンティブを受けていなくても罰せられます(第4号)。最も気を付けたいのは、選挙運動者、つまり候補者を応援する人同士で「お金を集めて有力団体に渡そう」等と活動する場合も違反行為になる可能性です。

さらに言えば、第1号~第5号に該当する行為を他人に勧めたり、応じてくれる人を探して紹介したりする「周旋勧誘」も処罰の対象です(第6号)。

【第4号】買収または利害誘導の相手になる行為

  • 買収にあたる供与・供応接待・報酬を受け取った
  • 買収にあたる供与・供応接待・報酬の申込みを承諾した
  • 利害誘導に応じた、もしくは促した

【第5号】選挙運動者が当事者となる行為

  • 選挙運動者に対し、買収や利害誘導を目的に金銭等の交付申込みor約束をした
  • 上記に対し、選挙運動者が承諾したor交付を受けたor要求した

(2)公職の候補者及び当選人に対する買収及び利害誘導罪

買収及び利害誘導罪でより重いのは、他選挙人や選挙運動者ではなく、候補者もしくは立候補者を買収する行為です(法第223条1項)。
厳密には、立候補をやめさせる目的での買収が本規定の処罰の対象です。

(3)多数人買収および多数人利害誘導罪

買収及び利害誘導の相手が多数になるケースは、上記とは別の違反行為として扱われています。最も重い「多数人買収および多数人利益誘導罪」として、罰金で済む可能性がなくなり、刑事裁判で有罪となった場合は必ず禁錮または懲役が科せられるのです(法第222各項)。

なお、買収または利害誘導の相手になった人(法第221条1項4号)は除外されています。

3、公職選挙法違反の罪に問われる「寄附」とは

公職選挙法違反の罪に問われる「寄附」とは

処罰されるのは「買収」だけではありません。
高い志を持つ人にはカンパをすべきと善意から考える人もいますが、こうした金品の「寄附」も公職選挙法違反の罪に問われると心得るべきです。
罰せられる「寄附」行為としては、以降紹介する4類型が挙げられます。

(1)社交上行われる寄附

まず注意したいのが、後援団体や候補者等に対しては、社会生活で普通に行われるような金品のやり取りすら禁止されている点です(法第199条の5各項)。

ただし以下のようなものは、ここで禁止される「寄附」には該当しないと考えられています。

【違反にならない寄附の例】通常用いられる程度の食事の提供:訪問者へのお茶やお冷の提供等

(2)特定の寄附

以上の規定とは別に、カンパする人・団体の立場により「特定の寄附」として違反行為に問われるとも定められています(法第199条各項)。
禁じられているのは、以下のような立場の人からの寄附です。

  • 公共事業の請負、その他特別の利益を伴う契約の当事者
  • 利子補給金の交付決定を受けている法人

(3)公職の候補者等が関係する寄附

立候補者が投票権のある人や団体に寄附する行為は、言うまでもなく禁止です(法第199条の2~法第199条の4)。
有権者側として注意したいのは、支持者の名義を使うことは元より、単に勧誘や要求に留まっている場合でも、公職選挙法違反に問われる点です。

【違反行為の類型1】立候補者やその所属先による寄附

【違反行為の類型2】有権者等による寄附

    4、公職選挙法違反となるその他の行為

    公職選挙法違反となるその他の行為

    公職選挙法では、買収・寄附以外にも様々な行為が禁止されています。
    特に有権者も罰せられる行為の類型として意識したいのは、以降紹介するような計10類型に及ぶ行為です。

    (1)投票日より前の選挙運動

    たとえ選挙期間や出馬が事前に分かっても、選挙運動を始める時期が早すぎると公職選挙法違反に問われます。
    支持を呼び掛ける等の活動をしても良いのは、候補者の届出があった日から選挙期日の前日までの間です(法第129条)。 

    (2)戸別訪問

    選挙運動を行える時期にあっても、1軒ずつ有権者の拠点を回って「投票してください」あるいは「投票しないで下さい」と呼びかける行為は禁止されています(法第138条1項)。

    禁止の規定は厳しく、投票に触れず

    • 候補者
    • 政党
    • 政治団体

    などの名前を言って回ることすら認められません(第2項)。

    (3)飲食物の提供

    同じく、選挙運動に関して飲食物を提供する行為も違反にあたります(法第139条)。

    地方公共団体の選挙等の例外はありますが、選挙運動に従事する人が選挙事務所内で食べる弁当等に限られ、

    • 弁当料
    • 人数
    • 提供できる日数

    などに制限があります。

    なお、

    • お茶
    • お冷
    • その他通常用いられる程度の菓子(簡単な栄養補給に使う飴玉等)

    などに関しては、法律で規定される「飲食物」から除外されます。

    (4)文書図画の頒布等(挨拶状含む)

    公職選挙法では、運動に使用できるポスターやビラにも細かい指定があります。
    その規定は厳格に守られるべきもので、勝手に同様の文書図画を配布してはなりません。
    候補者名や政党について触れたハガキ・チラシ等を配布する行為は、何人であっても違反に問われます(法第146条)。

    なお、社会生活で普通送るような「挨拶状」も処罰の対象です。具体例として、

    • 年賀状
    • 寒中見舞状
    • 暑中見舞状
    • その他これに類似する挨拶状

    などが挙げられています。

    その他、以下のような運動もやってはならないことに注意しなくてはなりません。

    (5)年齢や地位を利用した選挙運動

    年齢や立場を利用した選挙運動も、言うまでもなく禁止されています。
    なかでも公務員は規定が厳しく、選挙運動を援助したり、部下に「指示に従えば昇給や昇格がある」と匂わせたりするだけでも、違反に問われる可能性があります。

    • 未成年者(第137条の2
    • 教育者(第137条
    • 公務員(第136条)
    • 行政執行法人や特定地方独立行政法人の役員または職員(第136条の2第1項)
    • 沖縄振興開発金融公庫の役員または職員(同上)

    (6)虚偽事項の公表

    当選もしくは当選させない目的で、

    • 身分
    • 職業
    • 経歴
    • 所属
    • その他の事実につきウソの情報を広めてしまう行為

    なども、公職選挙法違反にあたります(法第235条1項・同条2項)。

    偽名で郵便物や電子メールを送信して「この人に投票しよう」もしくは「投票しないように」と呼びかけるのも、同じく虚偽表示の罪に該当します(法第235条の5)。

    (7)当選に反対する活動の一部

    政治活動に関心があれば、「この人には絶対に落選してほしい」という考えも生まれるかもしれません。
    しかし運動でやりすぎてはなりません。

    出馬者の当選に反対する活動の一部として、「署名運動」(法第138条の2)や「匿名での電子メール送信」(法第142条の5第2項)をすると、違反行為とみなされます。

    (8)選挙の自由を妨害する行為・選挙犯罪

    社会通念上言うまでもないことですが、

    • 暴行を加える
    • 集会や演説を妨害する
    • ポスターを傷つける

    などの妨害行為は、いずれも公職選挙法違反となるのみならず(法第225条)、刑法の暴行罪や傷害罪、器物損壊罪等を問われることにもなります。

    活動が過激化しそうな有権者等が身の回りにいたら、出来る範囲で説得してあげましょう。

     また、先で紹介した「買収および利害誘導」あるいは「選挙妨害」を周囲の人に勧めたり煽ったりする行為も、その手段に関わらず公職選挙法違反です(法第234条)。

    家族や友達同士で政治について語り合う程度なら問題ありません。

    しかし、カンパを勧めたり、落選させる運動に誘ったりするのは、控えましょう。

    (9)新聞紙、雑誌の不法利用罪

    新聞や雑誌の発行会社にお金を払って印象操作にあたる記事を載せてもらうのも、当然NGです。

    前提として、上記のようなメディアは、選挙につき「報道及び評論を掲載する自由」が保障されています。ただし、事実を歪曲して記載する等、権利を濫用して「選挙の公正を害する」行為は避けなくてはなりません(法第148条1項)。

     万一にも権利濫用があれば、メディアを運営する会社だけでなく、資金提供する等して煽った人物まで処罰される恐れがあります(法第223条の2)。 

    5、分かりやすい公職選挙法違反の例

    分かりやすい公職選挙法違反の例

    公職選挙法違反となる行為の種類は非常に多く、なかなか頭に入りづらいでしょう。
    そこで、自身や身近な人が選挙運動する時に当てはめられるよう、よくある違反の例を5つ紹介します。

    参考:『選挙運動違反の警告&検挙実例集 第二次改訂版』(国政情報センター)
    ※以降の事例は、上記書籍で紹介されている事例や最近の報道を元に編集したものです

    (1)支持者一部負担の食事会

    ある地方都市で、県議員の支持者3人が市の議員35人を招き、会費を1人1,000円として食事会を開きました。
    しかし後に警察が調べてみると、実際には飲食代として1人あたり3千円かかっていることが判明します。
    次の県の選挙で投票をお願いしたいと考えていた支持者らが、招待客1人あたり2千円を負担していたのです。

    動いたお金はせいぜい7万円程度で、県政で動く金額を考えればごく少額です。
    とはいえ、公職選挙法違反にあたる買収(供応・受供応)として、38人全員が嫌疑をかけられることになります。

    (2)自分の畑で採れた作物で挨拶回り

    ある農村で、村長選が開かれることになりました。
    何代にも渡って農家を営むAさんは、地方創生をマニフェストに掲げる立候補者Bさんに魅力を感じています。
    そこで、Bさんを応援しようと、選挙期間中に畑で採れた野菜を持ってご近所を回り、いかにBさんの政策が素晴らしいものか語りました。

    小さい町や村では一見普通に行われることのように思えますが、これも公職選挙法違反(買収・戸別訪問)です。
    動いたお金は一切ないのに、この件ではAさんとその家族が警察対応に煩わされてしまうことになるのです。

    (3)配られた自作の応援ビラ

    参議院議員選挙に出るBさんは、知名度こそないものの地元の事業主から支持を集めている人物です。
    支持者の1人であるAさんは、Bさんの人柄や政策が有権者に上手く伝わっていないことを惜しく思い、街頭演説が終わった直後に自作の応援ビラを配ることにしました。
    余った分は、少し離れた地域で事業を営む経営者仲間に送り、一筆と共に社内で掲示してもらいたいと思っています。

    結論を言えば、こうした自前のビラ等は、証書の貼付等がない「法定外文書」にあたります。
    街頭で配るにせよ、郵送で渡すにせよ、許可されていない文書図画を頒布したとみなされてしまいます。

    (4)投票日に送信された支持のお願いメール

    ある町の町長選挙で開票速報が流れ、人気を二分するAさん・Bさんの2人の候補者が接戦となっていることが分かりました。
    この知らせを聞いたAさんは「何とか当選したい」と焦りを募らせ、選挙事務所のメンバーにも指示し、知り合いの有権者に投票を呼び掛けるメールを一斉送信しました。

    さて、ここで問題になるのは「投票日」の出来事である点です。公職選挙法で運動が許可される期間に「投票当日」は含まれません。
    従って、Aさんは落選したとしても違反に問われます。

    (5)Facebookの修正された学歴欄

    町長選に立候補するAさんは、家庭事情で高校進学を諦めたことにコンプレックスを抱いています。
    一方の対抗馬であるBさんは首都圏の学校を卒業し、学識・教養共に十分な人物であるように思えます。
    そこで、ちょっとくらいなら良いだろう……とFacebookアカウントの情報を修正し、最終学歴を高校としました。

    結論を言えば、これは明らかに公職選挙法違反の「虚偽事項の公表」にあたります。

    (6)候補者演説にやってきたゲスト

    村長選に立候補するAさんは、昔から大家族かつ人脈の広い人物として知られています。
    今回の演説でも、Aさんは精一杯盛り上げようと、2人のゲストを呼びました。
    1人は今年小学生になったばかりの孫娘、もう1人は全国的に有名な知り合いの芸能人です。
    後者に関しては「親しい仲だから無料でトークショーをする」と色よい返事をもらっています。

    さて、未成年者である孫を呼ぶ行為に関しては、公職選挙法上禁止されている者に選挙運動をさせたことになります。
    より問題なのは、著名な芸能人に無償で来てもらう行為です。
    本来なら、演説を見に来た人から料金を集め、一定のギャラを払わなくてはなりません。
    料金を集めないと「買収」にあたり、公職選挙法違反に問われてしまいます。

    6、公職選挙法に違反するとどうなる?

    公職選挙法に違反するとどうなる?

    傷害や詐欺等と同じように、公職選挙法違反は捜査機関による厳正な対処が行われます。
    万一違反があると「候補者の当選を喜んでいたら、突然自宅に警察がやってきた」といった事態になりかねません。

    (1)逮捕・拘留

    公職選挙法違反の嫌疑がかかると、逃亡や証拠隠滅を防ぐため、予告なしで関係する人物が一斉に逮捕されます。
    その後は48時間以内に検察から検察に「送致」するか判断され、送致される場合、「拘留」が最大20日間に及びます。
    この間、特に有効な釈放の働きかけがない限り、身柄を拘束されたまま自宅に帰れない状態が続きます。

    (2)起訴or不起訴の決定

    拘留中、検察官によって起訴するか否かの判断が行われます。
    不起訴処分なら、有罪が確定することはありません。
    しかし、少なくとも「前歴」扱いになり、警察のデータベースに載る等して社会生活上の不利益が生じる可能性があります。
    もしも起訴されれば「前科」扱いは免れられません。もちろん、就職や事業運営に強い悪影響を及ぼします。

    (3)刑事裁判

    検察官が起訴すると、原則として傍聴可能な公判に付されます。
    傍聴の機会は基本的に誰にでも与えられるため、公職選挙法違反の罪に問われていることが知人・友人・従業員等に知れ渡ってしまう可能性があります。
    加えて言うなら、現状の刑事事件に関する運用下では、ほとんど100%に近い確率で有罪が確定します。

    7、公職選挙法違反に問われないための心得

    公職選挙法違反に問われないための心得

    公職選挙法違反はあまりにルールが細かく、ここまで一読しただけでは到底理解できないでしょう。
    とはいえ、知識不足で万一のことがあれば、自分だけでなく大切な友人や家族まで巻き込んでしまいます。

    実のところ、違反に問われないための心得は「お金・モノ・人の移動を一切行わない」ことの1点に留まります。
    参考までに、公益財団法人明るい選挙推進協会が令和2年に行った「3ない運動」に補足する形で、法令遵守の心がけを紹介します。

    3ない運動の項目

    補足

    贈らない

    自作のビラやハガキ、個人宛のメール、報酬としての役職等の無形のものも含む

    求めない

    印象操作する等の「投票もしくは投票しない行為」に直接繋がる働きかけを含む

    受け取らない

    相手が公職選挙法違反にあたる行為をしている(しようとする)と感じたなら、すぐに拒絶する

    参考:公益財団法人明るい選挙推進協会

    まとめ

    公職選挙法では、ちょっとした食事、ハガキやメールを送る行為、そしてご挨拶のつもりで送ったお花代までもが買収等の違反行為に問われます。
    自身や周囲の人が選挙に関わろうとする時は、一挙手一投足に注意を払うつもりでいるのが無難です。

    有権者が心得たい公職選挙法違反のポイントは以下の通りです。

    • 受け取ったor承諾しただけでも罪になる
    • 社交上の挨拶や会社組織としてのカンパも危険
    • 規定外の文書図画の配布も違反の罪に問われる

    一番安全なのは、あくまでも「政治思想や候補者に関する意見交換」に留めておくことです。
    有権者として熱意を持つのは当然のことですが、入れ込みすぎないよう十分注意しなくてはなりません。

    本記事で紹介したものの他にも、選挙運動・選挙活動には様々な規則があります。
    出馬するともなれば、一層規制が厳しくなるのは言うまでもないことです。

    選挙に深く関わることになると分かったら、これから始めようとする行為につき、念のため弁護士に確認することをおすすめします。

    ※この記事は公開日時点の法律を元に執筆しています。

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