交通事故の慰謝料を弁護士基準で計算する方法

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Male lawyer talking to injured client

交通事故に遭ってしまい、何カ月も病院に通わなければいけなくなってしまった、あるいは、後遺障害が残ってしまった、という場合、通院にかかった治療費や交通費とは別に、そのような辛い思いをさせられたことについて、「慰謝料」を請求することになります。

しかし、この「慰謝料」というのは、辛い思いをさせられた、という精神的な損害についての賠償金なので、治療費のように、実際にいくらかかったのかが客観的に明らかなものではなく、一体どれくらい請求できるものなのかわからないという方がほとんどだと思います。

そこで今回は、

  • 交通事故の慰謝料を弁護士基準で計算する方法

について書いていきます。

もちろん実際には、被害者の方それぞれのケースで考慮すべき事情は様々ですが、一般的にどのように計算するものなのかを知っておくことで、目に見えない精神的な損害について、どのように解決するのかというイメージをつかむ参考にしていただければ幸いです。

目次

1、交通事故に遭った場合の慰謝料とは?慰謝料には2種類ある

2、交通事故に遭った場合の慰謝料の3つの基準の内容

3、弁護士基準での入院慰謝料の計算方法

4、弁護士基準での後遺障害慰謝料の計算方法

5、弁護士基準での慰謝料の計算シミュレーション

1、交通事故に遭った場合の慰謝料とは?慰謝料には2種類ある

そもそも、「慰謝料」とは、治療費のような財産的な損害ではなく、交通事故に遭ったことにより、辛い思いをさせられたという精神的な損害を、金銭的に償ってもらうものです。

この「慰謝料」には、①交通事故に遭ってしまったことにより、入通院を余儀なくされたことについての「入通院慰謝料」と、②症状固定後、後遺障害が残ってしまった場合に請求できる「後遺障害慰謝料」の2つがあります。

以下、それぞれについて詳しく説明していきます。

(1)入通院慰謝料

まず、入通院慰謝料は、交通事故によって負ってしまった怪我の治療のために、入通院をしなければならなくなってしまった場合に、この入通院によって被害者が被った精神的な損害を賠償するためのものです。

つまり、交通事故の被害者は、長く続く痛みに耐えなければならなかったり、度重なる検査・リハビリを余儀なくされたりしてしまいますので、これらの精神的な損害に対する迷惑料のようなものです。

(2)後遺障害慰謝料

次に、後遺障害慰謝料は、上記のように治療を続けたにも拘わらず、事故から一定期間が経過しても症状が残ってしまい、第三者機関である自賠責調査事務所による審査の結果、後遺障害等級の認定がなされた場合に、その後遺障害が残ってしまったことによる精神的な損害を賠償するためのものです。

つまり、怪我をした部位に痛みやしびれが残ってしまったり、傷跡が残ってしまったりして、生活への悪影響が残ってしまったりした場合に、これらの精神的損害が賠償の対象となるのです。

2、交通事故に遭った場合の慰謝料の3つの基準の内容

入通院慰謝料や後遺障害慰謝料は、精神的な損害を賠償するためのものですから、本来は、交通事故の被害者の方1人1人がどのくらいの精神的な損害を被ったのかを個別に算定しなければなりません。

しかし、もともと目に見えない精神的な損害の大きさを個人ごとに算定するのは極めて難しいことですし、公平の観点からすると、同じような被害を受けた人たちの間で慰謝料額が大きく異なることも望ましいことではありません。

そこで、交通事故の慰謝料額の算定においては、通院日数や後遺障害等級等の客観的な数値を用いて、一定の基準に当てはめて計算するという方法が採られています。

そこで用いられる基準としては、①自賠責保険基準、②任意保険基準、③弁護士基準の3つがあります。

以下、それぞれについて説明していきます。

(1)自賠責保険基準

まず、自賠責保険の基準については、その計算の仕方が法律で定められているのですが、そもそも自賠責保険は、人身事故に対する最低限の保障を目的とする強制保険であるため、その算出基準は低く設定されています。

(2)任意保険基準

次に、任意保険基準については、その内容自体が公開されているわけではありませんが、各保険会社が、自賠責保険基準と弁護士基準の間ぐらいの金額で、社内規定のように独自に定めているものです。

つまり、保険会社から、「当社の基準に照らして計算したところ、この金額となります。」というような形で示談の提示がなされることがありますが、これは、単にその保険会社が自分で作った基準に当てはめて計算しただけということですから、その金額が本当に適切なものなのかどうかは、きちんと確認する必要があります。

(3)弁護士基準

そして、弁護士基準については、公平の観点から、同程度の交通事故については、同程度の賠償額になるように計算するために、実際の訴訟の中で示された裁判所の考え方や、交通事故についての過去の裁判例で認められた金額を基に導き出された基準です。

この弁護士基準は、訴訟を提起するほどに争いになった事例の集積ということもあり、3つの算定基準の中で一番高い賠償額が算定される計算基準です。

弁護士が介入して相手方に請求していく際には、最終的には訴訟を提起することもあり得るということを念頭に置いて、この弁護士基準を用いて損害額を計算することになります。

3、弁護士基準での入院慰謝料の計算方法

まず、入通院慰謝料については、弁護士基準の中にもいくつか種類はあるのですが、多くの場合、以下のような表を用います。

参考1)弁護士基準における入通院慰謝料(以下は、『民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準』いわゆる「赤い本」による基準。)

入院慰謝料

 

入院慰謝料2

ご覧のとおり、表が2つありますが、別表Ⅱは、「他覚的所見(主にMRIやレントゲン・CT等における画像所見)がないむち打ち症」の場合に利用され、それ以外の場合には原則として別表Ⅰが利用される、という運用がなされています。

この表の見方ですが、まず、入院していた期間がある場合には、その入院期間に応じて縦の列を決めます。

例えば、入院期間が全くなければいちばん左の列ですし、入院期間が3か月あれば左から4番目の列となります。

そして、通院していた期間に応じて、その縦の列の中で下の方にマス目をたどっていき、入通院慰謝料額を計算します。

つまり、入院なし・通院3か月ならば、一番左の列の3月の行のマス=73万円となります。

もちろん、入院、通院が「●か月ちょうど」とならない場合の方が多いですし、骨折してギプス固定していた場合など、通院はしたけれど1か月に1度のペースで、半年間で10回にも満たないような場合もあります。

そのため、実際には、上記の表を用いて日割りで計算をしたり、実際の通院日数に3.5をかけた日数と通院期間を比較して短い方を通院日数と考える、といったように、と様々な修正をして計算することになります。

4、弁護士基準での後遺障害慰謝料の計算方法

次に、後遺障害慰謝料については、後遺障害等級の認定という第三者機関による客観的な審査結果をもとにして計算することになり、弁護士基準で後遺障害慰謝料を計算する際には、やはりいくつかの種類はありますが、多くの場合、以下の基準となります。

参考2)後遺障害等級による後遺障害慰謝料額(上記「赤い本」による基準。)

第1級 第2級 第3級 第4級 第5級 第6級 第7級
2800万円 2370万円 1990万円 1670万円 1400万円 1180万円 1000万円
第8級 第9級 第10級 第11級 第12級 第13級 第14級
830万円 690万円 550万円 420万円 290万円 180万円 110万円

5、弁護士基準での慰謝料の計算シミュレーション

それでは、このような弁護士基準での入通院慰謝料、後遺障害慰謝料の計算方法を用いると、実際にどのような計算をすることになるのか、仮の事案でシミュレーションしてみましょう。

<事案>

バイクでの交通事故により、左膝内側半月板損傷の傷害を負ってしまった。

入院1か月、通院期間420日(実通院日数100日)。

治療の結果、可動域制限が残ってしまい、後遺障害等級12級の認定を受けた。

<計算>

(1)入通院慰謝料

①通院日数

まず、通院日数は、通院期間と、実通院日数に3.5をかけた日数を比較して、少ない方を採用するものとされているので、

420日(通院期間)>100日×3.5=350日(実通院日数×3.5)

となり、350日(11か月と20日)を採用することになります。

②入通院慰謝料

次に、この事例の怪我はむち打ち症ではないので、入通院慰謝料の基準の別表Ⅰを用いることになります。

そうすると、入院1か月なので、左から2番目の列を見ることになり、通院が11か月と20日なので、通院12か月目の部分は日割り計算となります。

つまり、

(入院1か月通院11か月)

+{(入院1か月通院12か月-入院1か月通院11か月)÷30日×20日}

=179万円+{(183万円-179万円)÷30日×20日}

=179万円+2万6666.666・・・円

≒181万6667円

となります。

(2)後遺障害慰謝料

この事例では後遺障害等級12級の認定を受けているので290万円となります。

(3)合計

そうすると、この事例の被害者の方の弁護士基準での慰謝料額は、

入通院慰謝料181万6667円+後遺障害慰謝料290万円

=471万6667円

となります。

まとめ

このように、弁護士基準での慰謝料額の計算方法は、細かいルールなどもあり、私たち弁護士が実際に相手方に請求する際には、被害者の方それぞれの状況に合わせていろいろな修正を加えて慰謝料等を算出することになります。

そして、弁護士基準で慰謝料を計算すると、多くのケースで任意保険基準での計算額よりも高くなりますので、相手方の保険会社から慰謝料の金額について提案があった場合等には、その金額が本当に妥当な金額なのか、弁護士に相談して聞いてみることをお勧めします。

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