不登校の原因は!?学年別に原因と解決のポイントを解説

不登校 原因

不登校の原因を見つけるのは大変です。子供の不登校、親としてはとても困惑することでしょう。
なぜ?なにがあったの?要因は何・・・。
子どもに問いただしてみても、あいまいな返事ばかり。

行きたくない理由はさまざまかもしれませんが、統計をとるとそこには一定の法則が見えてきます。

今回は、

  • 小・中・高の各学年別の原因
  • 不登校の子どもへの対応方法

などについて解説していきます。ご参考になれば幸いです。

学校問題について詳しく知りたい方は以下の記事もご覧ください。

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1、不登校の原因を考える前に|不登校とは

不登校の原因を考える前に|不登校とは

不登校は「学校に登校していない状態」を指しますが、明確な定義はありません。
ただし、統計法に基づく学校基本調査における「不登校」、および行政用語としての「不登校児童生徒」は、原則として欠席日数が年間30日以上の長期欠席を指すとしています。

わが国の不登校生徒数は、小・中学生では上昇傾向にあります。
平成28年度の文部科学省の統計では、生徒数1、000人当たりの小中学校の不登校(年間の欠席日数30日以上)児童生徒数が13.5人にのぼり、調査を開始した平成10年度以降で過去最多を更新しています。
そして、その生徒数は中学校が最多となっており、全国の中学校の生徒数の約3%が不登校生徒として数えられています。
不登校の生徒数は小学校から中学校までは学年が進むにつれて増加し、中学3年生で最多です。

なお、高校で不登校になった生徒は中途退学や留年を選択するケースが多いためか、学年が進むにつれて減少するという傾向にあります。

参考:平成28年度「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」結果(速報値)について|文部科学省

2、小学生の不登校の原因と子どもへの対応方法

小学生の不登校の原因と子どもへの対応方法

不登校の原因と解決への取り組みは、不登校が小学生・中学生・高校生のどの段階で起こっているかによって違いがあります。
まずは小学生の不登校について、その原因と子どもへの対応方法を具体的に解説していきます。

(1)小学生の不登校の原因

小学生の不登校の原因は学年による傾向があります。

① 小学校1~2年生の主な原因は「環境の変化」

幼稚園や保育園から小学校に入学したことで、子どもの環境が大きく変化します。
新しい友達や先生との学校生活は、子どもにとって大きなストレスとなる可能性があります。

たとえば、親から離れて一人学校で過ごす時間が多くなることで、子どもの不安は大きくなります。
また、小学校での新しいルールや集団行動、椅子に座って勉強することになじめず、つまずいてしまう子どもも少なからず出てきます。

② 小学校3~4年生の主な原因は「人間関係」

小学校での生活に慣れてくる3~4年生では、子ども同士の人間関係が不登校の原因になりやすい傾向があります。

この頃になるとクラス内にいくつかのグループが形成され、子ども同士の人間関係がより複雑になります。
上下関係やヒエラルキーができることで周囲の目が気になりはじめ、いじめなどが現れはじめるのもこの時期です。
また、周囲と自分を比較することで勉強や運動ができないことに傷つき、自身を失うことが不登校の原因につながります。

③ 小学校5~6年生の主な原因は「思春期」

小学校5~6年生にさしかかると、子どもたちは思春期を迎えます。
自我が芽生え始めることでより人間関係は複雑化し、親や先生といった大人に対しても複雑な心情を抱くようになります。
異性を意識したり、大人に反発したりといった思春期特有の心情が現れ始めるため、大人も子どもの扱いに身長になる時期です。
さらに、授業内容がより難しくなることで、自分や友達の成績で一喜一憂するようになります。

(2)小学生の不登校の対応

小学生の子どもが学校を休みはじめたら、無理に行かせるよりもしばらく休んでいいと言ってあげてください。
子どもにはプレッシャーよりも安心感を与えることが大切です。
親としてできる具体的な行動は、子どもの話をゆっくりと聞いてあげることです。

ただし、不登校への罪悪感で苦しんでいる子どもに対し、追求したり叱責したりすることは逆効果ですので落ち着いて対応しましょう。
学校に行きたくない理由をうまく説明できないときは、聞きすぎないで大体の事情を察してあげるようにします。

不登校からの回復で大事なことは、本人が自ら「もう一回学校へ行こう」という意思をもつことです。
不登校の間は勉強を強要せず、むしろ好きなことや得意なことをさせてあげましょう。
また、先生の家庭訪問では勉強やクラスの話題よりも、子どもと遊んでもらったり好きな行事に一緒に参加してもらったりして、子どもの先生への信頼度を高めることが重要です。

子どもが登校に前向きになったら、学校まで親が送る、保健室登校をするなど特別な対応で段階的に学校に慣れさせましょう。
親と先生が連携して、子どもが学校内で自信を持てるような環境を整えます。

小学校の場合は、上記のように子どもが純粋に「学校へ行きたい」という気持ちになるのを待つことが一番です。

しかし、高学年の場合は4年生くらいまでとは違い、心も大人へ近づいています。
そのため、もう一度行きたいという気持ちになることは、卒業までおとずれないかもしれません。
ただ、12歳程度までの年齢であれば、たいていの場合、「その学校」「そのクラス」に戻りたくないという気持ちのはず。

そのため、中学への入学が復学の大きなきっかけになるでしょう。
地域の学校へ行きづらいなどがあれば、受験をするなどで気持ちを新たにすることもできます。

3、中学生の不登校の原因と子どもへの対応方法

中学生の不登校の原因と子どもへの対応方法

文科省が公表した平成28年度の「児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査」によると、中学生の不登校は全国で10万3、247人でした。
全在籍生徒数が342万6、962人なので、不登校は実に30人に1人。クラスに1人は不登校の生徒がいるという計算になります。

中学生という年齢を踏まえたうえで不登校の原因を把握し、一人ひとりに合った適切なサポートが求められます。

(1)中学生の不登校の原因

小学校から中学校への進学に伴い、クラスや部活動における友人関係など子どもの環境は大きく変化します。
不登校の原因は、新しい環境がもたらす子どもへのストレスであることが多く、入学後のGW明けや夏休み明けがもっとも不登校になりやすいタイミングです。

① 中学校1年生の主な原因は「ギャップ」

中学校は小学校に比べて校則やルールが厳しくなります。
学校では言葉遣いや振る舞いなど少しずつ大人になっていくことが求められ、子どもは学校生活が窮屈に感じるようになります。

さらに、中学からは部活動や塾など、先輩や同級生、大人と新たな人間関係がはじまります。
複雑化していく人間関係の中で自分の思い通りにならないことが多くなり、子どもにはストレスが蓄積されていきます。

②中学校2年生の主な原因は「学校生活の疲れ」

中学2年生の不登校はいじめなどで突発的に起こるケースよりも、1年の後半から休みがちになり、2年生で不登校になるケースが多くなります。
少しずつ蓄積されてきた学校生活でのストレスが2年生のある時期で飽和状態を迎え、無気力になって不登校を選んでしまうのです。

この時期の子どもは中学入学、部活動、塾、高校受験など目まぐるしい環境の変化にさらされており、大人が思うよりも精神的に疲れています。
部活やテストなど結果が求められる場面で失敗すると、結果が出せない自分への落胆から不登校に陥りやすい子どもも少なくありません。

③中学校3年生の主な原因は「将来への不安」

中学2年生の不登校の特徴と同じく、中学3年生も1年生の段階から積み重ねてきたストレスが原因で不登校になる生徒が多く見られます。
勉強や部活に休む暇なく3年生になった結果、次は受験というより大きなストレスにさらされるからです。

また、この時期に初めて受験を経験する子どもが多いため、自分の頑張り次第で合否が決まる=将来が決まることへの不安を感じます。
2年生まで元気に学校に通っていた子どもが3年生で急に休みがちになった場合、受験へのプレッシャーやストレスが原因のひとつと考えられます。

(2)中学生の不登校の対応

思春期でだんだん大人に近づいている中学生は、自分自身と向き合い、自分で考えることが解決に繋がります。
学校生活に疲れて無気力になった子どもは、夜更かしが多くなったり、ネットやスマホに依存したりします。

親は子どもを叱責して改めさせるよりも、本人が自分で考えて解決するサポートをしてあげることが大切です。

また、小学生の不登校の対応と同じく、無理に学校に行かせようとすると子どもは不登校への罪悪感をおぼえてしまうため逆効果です。
「休んでも良い」「行きたくなったら行けばいい」と子どもの罪悪感を軽くしてあげましょう。

4、高校生の不登校の原因と子どもへの対応方法

高校生の不登校の原因と子どもへの対応方法

高校生は大学受験や就職など、より将来への不安が大きくなる時期です。
不登校の生徒数は最も多い中学生と比べると少ないイメージがありますが、義務教育ではないため不登校から中退へ発展するケースが多くなります。

(1)高校生の不登校の原因

① 高校1年生の主な原因は「義務教育とのギャップ」

中学校までの義務教育が終わり、高校からは自分の意思で学校へ行くことになります。
義務教育ではないため、子どもが「学校に行きたくない」「勉強するより働きたい」といった意思を持ったら、学校を中退して別の道を歩むことも可能です。
こういった環境から、精神的に未熟だった子どもが不登校になりやすかった小・中学校と比べ、高校生では頭の良い子や精神的に成熟した子が不登校になってしまうケースが見られます。

② 高校2年生の主な原因は「理想と現実のギャップ」

「高校に進学すれば楽しい学校生活が待っている」というイメージを抱いている高校進学前の子どもは少なくありません。
しかし、そういう子どもが高校1年間で自分がイメージした学校生活が送れなかった場合、理想と現実とのギャップに苦しみ、学校へ行く意欲が薄れてしまいます。

さらに、日本の高校進学率が97%を超えていることからもわかるように、中学生のときは「中学を卒業したら高校に進学」で良かったものが、高校生になったら自分で進路を決めなければなりません。
人生が理想通りには行かないことがわかっているのに、将来のことを自分で決めなければならない状況は、子どもにとって大きなストレスとなるのです。

③ 高校3年生の主な原因は「将来への不安」

高校3年生では大学受験、高校卒業と言った大人への第一歩を歩み出すイベントが待ち構えています。
特にに受験を選択する子どもは「受験の失敗は自分自身が否定されたことと同じ」と受け取ってしまいます。
受験勉強についていけなくなったり、志望校への合格が難しくなったりすると、受験から逃げるように不登校になるケースも少なくありません。

(2)高校生の不登校の対応

子どもが学校を休みたいという気持ちを認めること、不登校の原因を理解することは小・中学生の不登校の対応と同じです。
無理に学校に行かせようとせず、子どもが自分自身の興味があること、やってみたいことで自信を持つ支援をしてあげましょう。

高校生は学校生活の中で勉強の占めるウエイトが小・中学生よりも大きく、「勉強ができない=落ちこぼれ」という気持ちを抱きがちです。
しかし、実際の社会には勉強以外にも多様な選択肢があります。
受験だけに固執せず、アルバイトや通信高校、就職などさまざまな選択肢があることを提示してあげることが大切です。

5、学校へ行かないとなぜダメなのかー不登校は「義務教育違反」にあたるか

学校へ行かないとなぜダメなのかー不登校は「義務教育違反」にあたるか

(1)親は学校へ行かせたい

子どもが不登校になったとき、「どうしたら元のように行ってくれるのか」、これが大半の親の思うことではないでしょうか。
しかし、上記の各「対応」で示したように、不登校である我が子にどう対応するかは大切ですが、どうしたら行くようになるのか、それは、子ども次第なのです。
不登校の原因はまちまちですので、どうしたら子どもが行きたいと思うのか、それは、原因にもよりますし、また、子どもたちの性格にもよるでしょう。

親にとって大切なのは、「どう受け止めてあげるか」です。
「こう受け止めれば不登校は治る」というものはありませんが、受け止め方を間違えてしまうと行きたいと思う気持ちを削いでしまうこともある、このことに注意が必要でしょう。

(2)親はなぜ学校へ行かせたいのか

日本国憲法第26条では「すべて国民は、法律の定めるところにより、その保護する子女に普通教育を受けさせる義務を負ふ。」と明記されています。
不登校のお子さんを抱える親御さんのなかには、不登校で学校に行かなくなると納税・勤労と並ぶ国民の三大義務である「教育させる義務」を放棄したことになり、義務教育違反に当たるのではないかと心配される方もいらっしゃいます。

しかし、義務教育違反にあたる行為とは、児童生徒に学校へ行きたい意思があるにも関わらず親や大人がそれを阻止することです。
本人に病気やケガがある、あるいは学校に行く意思がないなど、学校へ行くことが困難な「正当な事由」があれば、不登校は義務教育違反にはあたらないと言えます。
そのため、子どもを学校へ行かせなくちゃ、と強く思いすぎる必要はありません。

長期の間不登校が継続してしまった場合は、勉強の遅れは気になるところです。
これだけはホームスクール、フリースクールなどを利用し、遅れないよう管理をして行きましょう。

なお、ホームスクールは、義務教育を家庭で行うことは認めないとする学校教育法に基本的に違反しますが、子どもが自らそれを望むケースでは、違反にならないと考えられています。

(3)個性を大切に

みんな学校へ行っているのになぜうちの子だけ・・・。
きっと、多くの親がそう思うことでしょう。

しかし、「みんなと違う=劣っている」ではありません。
むしろ、今の時代ではみんなと違うことは優位性であるともいえるでしょう。

子どもが一人で社会を生き抜けるように育てること。
それが親の役割です。

現代はさまざまな分野の仕事があります。
大きな会社へ入り、団体で仕事をこなさなければならないなどという方程式はないのです。

その子どもにはどんな生き方が合っているのか。
子どもの人生を共に見つめる時期が少し早くやってきたのです。
今こそ子どもの個性を見つめてみませんか。

6、子どもの不登校を相談するなら

子どもの不登校を相談するなら

(1)学校

子どもが学校を休みがちになったときや不登校になったときは、まずは在籍している学校と連携を取ることが重要です。
先生や学校側と状況を共有し、学校に行かない間の対応について話し合いましょう。

(2)教育センターや教育相談所

また、各自治体には「教育センター」や「教育相談所」などの児童生徒等に関する教育相談を行うための相談窓口が設けられています。
カウンセリングや教育指導、体験活動などを行っているため、子どもへの支援に関して相談されることをおすすめします。

まとめ

年々増加していく不登校生徒の数は、見方を変えれば多様性が認められつつある社会の過渡期とも言えるでしょう。
「学校には通うもの」「不登校は問題行動」という認識が改められなければならないタイミングに来ているのかもしれません。

子どもの不登校への対応では、子ども一人ひとりに原因や解決方法があることを把握し、親や学校は子どもを支援する側として多様な選択肢を提示、子ども自身の考えや決断を尊重することが望まれます。

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