任意保険基準の慰謝料について知っておきたいポイント7つ

任意保険基準で慰謝料を計算するとどれくらいの金額を受け取れるのでしょうか。

交通事故に遭ってしまったときに気になることの一つとして、「慰謝料はいくらもらえるのか」という点があるかと思います。

しかし、慰謝料の計算方法は複数存在していてややこしく、正しく理解しておかないと、保険会社の提示する低い金額で和解してしまいかねません。この保険会社が提示する慰謝料の金額の基準を任意保険基準といいます。

今回は、

  • 任意保険基準の慰謝料の計算方法
  • 任意保険基準と裁判所基準の違い

といった点を中心に書いてみました。交通事故に遭われてお困りの方のご参考になれば幸いです。

交通事故に遭った際の慰謝料獲得方法については以下の関連記事もご覧ください。

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1、任意保険基準の慰謝料について知りたい!任意保険基準とは

妻と一緒に住みたくない!その理由は何?

任意保険基準とは、交通事故の損害を算定する際の基準の一つであり、各保険会社が独自に定めたものです。慰謝料は、交通事故に遭ってしまった被害者の方に対して、加害者が加入している保険会社側から支払われるものですが、その算出の際に用いられます。

2、交通事故の慰謝料の基準は3つある?

交通事故の損害を算定する際の基準には、「任意保険基準」の他に、いわゆる「自賠責基準」と「裁判所基準」があります。

(1)任意保険基準

任意保険基準は、その算定基準が公表されていないことがほとんどですが、自賠責基準と似たような額になるのが通常であり、裁判所基準に比べると低額であることが多いです。

(2)自賠責基準

自賠責基準とは、その名の通り、自賠責が定めた基準です。

自賠責基準は明確に定められており、入通院慰謝料は、

  • 4200円×(「実通院日数×2」か「通院期間(事故から症状固定までの総日数)」のどちらか少ない方)

という計算式により算出されます。

※後遺障害慰謝料の基準については、3−(2)−②で述べます。

(3)裁判所基準

裁判所基準とは、判例の積み重ねを元に導き出された裁判所の考え方を参考に作られたもので、裁判による決着を前提とした基準です。

弁護士が介入することによって初めて請求することができるようになる基準であり、基本的には、3つの基準の中で最も高額になります。

3つの基準の関係性を示すとすると、下記のようになります。

  • 裁判所基準>任意保険基準≧自賠責基準

3、任意保険基準の慰謝料の計算方法は?

では次は任意保険基準の慰謝料の計算方法を記載していきます。

⑴入通院慰謝料の計算方法

上にも述べたとおり、任意保険基準は各保険会社によってばらつきがあります。もっとも、以前使われていた基準がありますので、これを参考にしてもよいかもしれません。

以前使われていた基準は下記のとおりです。

入院期間1か月2か月3か月4か月5か月6か月7か月8か月9か月10か月11か月12か月13か月14か月15か月
通院期間24.949.273.893.5110.7125.5137.8148.8158.7166.1173.4179.6184.5188.2191.9
1か月12.336.961.583.6102.2118131.7143.9153.8163.6169.8175.8182.1186.9190.7191.9
2か月24.649.271.392.3109.5124.2137.8148.9158.7167.3172.2178.3184.5189.4193.2194.4
3か月36.9598099.6115.7130.3142.8153.8162.4169.7174.7180.7187191.9195.7196.9
4か月46.767.787.3105.8121.8135.3147.7157.5164.8172.2177.1183.2189.5194.4198.2199.4
5か月55.47593.5111.9126.8140.2151.4159.9167.3174.6179.6185.7192196.9200.7201.9
6か月62.781.299.6116.9131.7143.9153.8162.4169.7177.1182.1188.2194.5199.4203.2204.4
7か月68.987.3104.6121.8135.4146.3156.3164.8172.2179.6184.6190.7197201.9
8か月7592.3109.5125.5137.8148.8158.7167.3174.7182.1187.1193.2199.5
9か月8097.2113.2127.9140.3151.2161.2169.8177.2184.6189.6195.7
10か月84.9100.9115.6130.4142.7153.7163.7172.3179.7187.1192.1
11か月88.6103.3118.1132.8145.2156.2166.2174.8182.2189.6
12か月91105.8120.5135.3147.7158.7168.7177.3184.7
13か月93.5108.2123137.8150.2161.2171.2179.8
14か月95.9110.7125.5140.3152.7163.7173.7
15か月98.4113.2128142.8155.2166.2

(単位:万円)

はじめてこの表を見た方はどう使えばいいのか全く分からないと思いますので、上の表の見方を説明します。

入院のみの場合は、入院期間に応じて、赤色の行に書かれている数が入院の慰謝料を示します。例えば、入院期間が2か月間の場合は、慰謝料は49.2万円です。通院期間については、同様に青色の列が通院の慰謝料を表します。入院と通院がそれぞれ生じた場合は、それぞれの期間に応じた行と列が交差するマスの数字を見ます。なお、1か月は30日として、端数は日割りで計算します。

(2)後遺障害慰謝料の計算方法

①後遺傷害慰謝料においては、「任意保険基準=自賠責基準」であることがほとんど

後遺障害が認定されると、自賠責から等級に応じた支給金が支払われます。14級であれば75万円ですし、12級であれば224万円、一番高い等級である1級だと3000万円です。

では、これとは別に、任意保険基準による後遺傷害慰謝料の支給はあるのでしょうか。答えは、「いいえ」です。任意保険会社は、後遺障害が認定されても、自賠責からの支給額を超える部分について、自腹で支払うということはほとんどありません。

②自賠責基準と裁判所基準の比較

上記のとおり、後遺傷害慰謝料の算定においては、「自賠責基準=任意保険基準」ですが、自賠責基準と裁判所基準にはどのくらいの差があるのでしょうか。

下の図を見て下さい。

自賠責基準裁判所基準
第1級1100万円2800万円
第2級958万円2370万円
第3級829万円1990万円
第4級712万円1670万円
第5級599万円1400万円
第6級498万円1180万円
第7級409万円1000万円
第8級324万円830万円
第9級245万円690万円
第10級187万円550万円
第11級135万円420万円
第12級93万円290万円
第13級57万円180万円
第14級32万円110万円

この表をみると、どの等級においても、2倍以上の差があり、等級によっては3倍以上の差がついていることがわかるでしょう。

つまり、後遺障害等級が認定された場合には、弁護士を入れて裁判所基準によって後遺障害慰謝料を請求しなければ、適切な賠償は受けられないということがわかっていただけると思います。

4、任意保険基準で慰謝料が計算される場合とは?

任意保険会社基準で慰謝料が計算されるのは、「加害者が任意保険に加入している場合で、かつ、被害者に弁護士がついていない場合」です。

加害者が任意保険に加入していなければ、被害者としては加害者が加入している自賠責から支払いを受けるのみですし、被害者に弁護士がついている場合には裁判所基準が交渉の基準となりますので、それ以外の場合において、任意保険基準が使われることになります。

もっとも、「加害者が任意保険に加入しており、かつ、被害者に弁護士がついていない」というケースは、交通事故における一番多いケースであるといえますので、結局のところ、任意保険基準で慰謝料が計算されている、つまり、裁判所基準額よりも低い金額で示談させられているケースが一番多いといえます。

5、事例!むち打ちの場合に任意保険基準で計算した場合の慰謝料の金額

ここで、むち打ちの場合に任意保険基準で計算した場合の慰謝料の金額を見てみましょう。

任意保険基準によって慰謝料を計算する方法は、3で述べたとおりです。

例①

事例

自動車を運転中に信号待ちをしていたところ、自動車に追突され、むち打ちを負った。通院は6か月間に及び、通院した日数は100日に及んだものの完治せず、14級9号という等級が認定された。

○入通院慰謝料

任意保険基準:62万7000円

(※裁判所基準:89万円)

○後遺傷害慰謝料

任意保険基準:32万円

(※裁判所基準:110万円)

また、参考までに、より重大なケケガを負ってしまったケースについても紹介しておきます。

例②

事例

バイクを運転し交差点に差し掛かったところ、赤信号を無視した車が交差する車線から突っ込んできて全身を強打。脊髄損傷を負い、入院は6か月、その後の通院は1年に及んだものの完治せず、半身不随として、5級2号という等級が認定された。

○入通院慰謝料

任意保険基準:168万7000円

(※裁判所基準:298万円)

○後遺傷害慰謝料

任意保険基準:599万円

(※裁判所基準:1400万円)

6、交通事故の慰謝料の獲得方法

次は入通院慰謝料と後遺障害慰謝料それぞれについて慰謝料の獲得方法を説明していきます。

(1)入通院慰謝料の獲得方法

入通院慰謝料というのは、事故に遭ってから症状固定を迎えるまでに入院や通院を強いられ、痛みに耐えながらリハビリ等をこなさなければならなかったために生じた精神的な損害を慰謝するものです。

したがって、入通院慰謝料は、入通院が長期間・多数回に及ぶと、その分金額が大きくなる傾向にあります。すなわち、「痛みが続いている以上、しっかりと通院をする」ということが極めて重要です。「痛いけど、仕事が忙しいから通院をしなかった」「通っても痛みはよくならないと思い、通院することを諦めてしまった」というのでは、適切な入通院慰謝料を獲得することはできませんので、注意が必要です。

(2)後遺障害慰謝料の獲得方法

次は後遺障害慰謝料の獲得方法について記載していきます。

①適切な後遺障害等級の認定を受けること

3−(2)ー②で述べたとおり、後遺傷害慰謝料は、入通院慰謝料と比べて高額であり、これが獲得できるか否かで適切な賠償額となるか否かが決定されるといっても過言ではありません。

そして、後遺傷害慰謝料は後遺障害が認定されなければ支払われませんので、「適切な後遺障害認定を受ける」ことが最も大きなポイントであるといえます。

②適切な後遺障害等級認定を受けるには

  • 事故に遭った直後から適切に対応しよう

後遺障害の認定は、原則的には書面による審査のみによって行われます。

したがって、この書面がしっかりとしたものであることが重要です。

書面には、診断書、レセプト、カルテといったものがありますが、これらは全て、事故直後から継続的に作成されていくものです。

事故直後にはこれらの記録に記載されていなかった症状が3か月経過後の診断書に突然出てきたら、認定する側としてはどう思うでしょうか。「もしかすると、後遺障害の認定を受けようとして、嘘を言っているのではないか」と思われてしまうかもしれません。

このようなことを避けるためにも、治療開始当初から、症状や治療内容が一貫しており、残存した症状と整合していることが重要なのです。

そこで、事故直後から、医師に対して自らの症状を適切に申告し、医療記録にしっかりと残してもらうようにしましょう。

また、事故直後の身体の状態について客観的な証拠を残しておくことも大事ですので、なるべく早い時期に、MRI画像の撮影を受けておくことなども重要です。

  • 後遺障害診断書の内容が大事

後遺障害認定申請をする際には、必ず自賠責の書式による「後遺障害診断書」を作成する必要がありますが、この後遺障害診断書は、認定の際に最も重要な書類といえます。

診断書・レセプトのような書面は、過去の治療内容等を示すものに過ぎませんが、後遺障害診断書は、被害者に残存した後遺障害について主治医がその所見を記載するものであり、まさに後遺障害そのものについて作成されたものだからです。

しかし、医師はあくまでも「治療の専門家」であって、「後遺障害診断の専門家」ではありませんので、仕上がってきた後遺障害診断書が過不足のないものである保証はどこにもないというのが実態です。

そこで、適切な後遺障害認定のためには、記載してもらいたい内容を事前に想定し、検査手法等も含めてしっかりと準備をしておく必要があり、そのためには、経験豊富な弁護士に依頼するのが一番の近道でしょう。

7、交通事故の慰謝料の金額を上げる方法

最後に、交通事故の慰謝料の金額をアップする方法をまとめていきます。

(1)弁護士に依頼するのが一番

今まで見てきたとおり、慰謝料の算定には複数の基準が存在し、任意保険会社が採用する任意保険基準は、弁護士に依頼することにより請求することが可能となる裁判所基準よりも低いことがほとんどです。

ケースによっては、裁判所基準により算出した慰謝料の方が、任意保険基準による算出したものよりも4~5倍以上高くなることもあります。

したがって、交通事故の慰謝料を上げる方法としては、「弁護士に依頼する」というのが一番効果的であるといえます。

最近では、相談者の置かれた状況を電話で聴き取り、無料で、裁判所基準による慰謝料や逸失利益等の算出をしてくれる法律事務所もありますので、まずはそのようなところに相談をしてみるのもいいかもしれません。

(2)弁護士費用特約があれば、弁護士費用が無料になるかもしれません

「弁護士に依頼するのが一番効果的」と述べましたが、弁護士に依頼すれば、当然、弁護士費用がかかります。

しかし、ご自身が加入している保険に弁護士費用特約が付帯していれば、一般的には、保険会社が300万円までは弁護士費用を支払ってくれますので、ご自身の自己負担としての弁護士費用はかからない可能性が高いです。

まずは、ご自身が加入している保険に弁護士費用特約が付帯されていないか確認してみましょう。

任意保険基準の慰謝料に関するまとめ

今回は、任意保険基準を用いて慰謝料を計算する方法に加えて、裁判所基準での慰謝料を獲得する方法も含めて書きましたが、いかがでしたでしょうか。

みなさまが適切な慰謝料を獲得するための一助となれば幸いです。

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