現在においても、学校におけるいじめはなくなる気配がありません。
毎年のようにいじめによって子供が自殺する痛ましい事件も発生しています。
もしもあなたの子どもがいじめに遭ってしまったら、どのように対応するのが良いのでしょうか?
今回は、
- 自分の子どもがいじめに遭った場合に考えられる原因
- 安心して学校に通えるための対処方法
をご紹介します。ご参考になれば幸いです。
いじめの種類について詳しく知りたい方は以下のページもご覧ください。
目次
1、子どものいじめの件数|学校が認知しているだけで18万件
そもそも、学校におけるいじめはどのくらいの件数が発生しているのでしょうか?
(1)いじめ全体の件数
平成26年度における文科省の調査結果によると、小学校、中学校、高校、特別支援学校におけるいじめの認知件数は18万件あまりとなっています。
現実には学校側に認知されていないものも多いでしょうから、それを入れると優に20万件を超えてくるでしょう。
(2)小学生同士のいじめが増加している
また、いじめの件数としては、小学校におけるものが飛躍的に増加傾向にあります。
平成26年度のいじめの全体件数のうち、122,721 件、つまり3分の2程度が小学校で起こっています。
小学校におけるいじめの件数は、平成23年の33,124件から平成24年の117,384件へと急上昇しています。
引用元 文部科学省
平成 26 年度「児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査」における「いじめ」に関する調査結果について
(3)最もいじめの被害に遭いやすいのは中学一年生
次に、もっともいじめに遭いやすいのは中学校1年生であるというデータもあります。
以下を見ると、小1から高3までの全体のいじめ件数のうち、26,989件が中学校1年生でトップとなっています。
引用元 文部科学省
平成 26 年度「児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査」における「いじめ」に関する調査結果について
2、子どものいじめが起きる原因
それでは、どうして子供達の間でいじめが起こってしまうのでしょうか?
その原因を探ってみましょう。
- 異なるものを受け入れられない
- ストレス解消
- 自分の心の安定を保つ
- おもしろ半分
- 自分がいじめられないため
- 自分の家で虐待を受けている
- 家庭内で、暴力が日常的である
さまざまな要因がありますが、主には上記のようなものが多いでしょう。
3、子どものいじめの内容
次に、いじめの内容としてはどのようなものが多いのか、ご紹介します。
さきほどの文科省のデータによると、以下のような態様のいじめが発生しています。
- 悪口を言われる|64.5%
- 叩かれる、ぶつかられる(程度の酷いものと軽いものを総合)|29.7%
- 仲間はずれにされる、無視される|19.1%
- 金品をたかられる、ものを盗まれる、捨てられる|9.2%
- 恥ずかしいことや危険なことをさせられる|7.8%
- パソコンや携帯電話で誹謗中傷や嫌なことをされる|4.2%
最近では、パソコンやスマホなどを使ったネットいじめも増えており、昔と比べるといじめが多様化していると言えます。
4、子どものいじめに気づくきっかけとは?
子供がいじめられているときには、周囲の大人が早めに気づくことが重要です。
いじめに気づくきっかけとしてどのようなものがあるのか、見てみましょう。
(1)子どもの異変に気づく
まずは、子供の様子を見て異変があったらすぐに気づいてあげることが大切です。
以下のような点に注目しましょう。
- 感情的になりやすい。すぐに泣いたり怒ったりする
- ぼんやりしている
- 寝つきが悪くなり朝も起きにくくなる
- 服が汚れている
- 持ち物がなくなる
- 小さな傷がある
- 所持品やかばんに落書きされている
- 食欲がなくなる
- 笑顔がなくなる
- 髪の毛を自分で抜く
- 爪をかむ
- 口数が減る
(2)学校の先生やスクールカウンセラーが発見
次に、学校やスクールカウンセラーと連携しておくことも大切です。
先生やカウンセラーが異変に気づいたときにすぐに知らせてもらえるよう、日頃からつきあいを深めておきましょう。
(3)子どもの友達から教えてもらう
また、子供の友達(学校の他の子供)や他の子供の保護者、地域のコミュニティなどからいじめの情報が入ることもあります。
そもそもこういった人たちと連携ができていたら、いじめに遭いにくいということもあるので、いじめ対策のためには、周囲の人々との関係も構築しておくことも重要です。
5、子どもがいじめられていると言えない理由
子供達はいじめに遭うと自殺するほど辛いと感じているにもかかわらず、親や先生にはいじめに遭っていることを言えないケースが多いものです。
どうして言い出せないのでしょうか?理由をみてみましょう。
(1)いじめられていると知られたら恥ずかしい
もっとも大きな理由は、「いじめられていることが恥ずかしい」という理由です。
子供は、
「いじめられるのは自分が悪いからだ」
「自分が劣っているからだ」
と考えるので、先生をはじめ、周囲にも親にもいじめられていると言えません。
(2)親に心配をかけたくない
いじめられていることを親に告げると、親に心配をかけてしまうので言い出せないという子供も多いです。
(3)いじめに遭っていることを認めたくない
実際にはいじめを受けていても、そのことを自分でも受け入れられない子供がたくさんいます。
自分でも認めていないので、周囲の人には言い出せません。
自分の中に溜め込みすぎて、最終的に爆発してしまう可能性もあります。
(4)相談するといじめが酷くなるのが不安
いじめている子供を恐れている場合には、誰かに相談をすると、より酷いいじめに遭うのではないかと不安を感じているケースも見られます。
実際、学校の先生に話し、先生が加害者を注意するなどの対応した場合でも、その対応が子供寄りでないケースでは、裏でのいじめが激しくなるということもよくあります。
また、日頃学校と直接の関与がない親に相談して良い解決になるか、子供にその見通しがつかないことも原因となります。
6、加害者からのいじめを止めさせる方法
子供がいじめられていることが発覚したら、まずは加害者にいじめをやめさせなければなりません。
そのためにはどのような方法が効果的なのか、見てみましょう。
(1)学校に相談する
まずは、学校に相談することです。
このとき、電話や手紙などではなく、必ず先生や責任者と直接面談して状況を伝えることが大切です。
電話などでは状況がうまく伝わらず、対応してもらえない可能性も高くなるからです。
(2)加害者の子供や保護者と話をする
次に、加害者である子供や保護者と直接話をすることも考えられます。
ただしこの場合、いじめを証明できる資料があることが望ましいです。
たとえばいじめられて壊された物や落書きされた物を持っていくとか、身体に傷をつけられている場合にはその場所を見せたりしましょう。
何もないのに相手の親に対し「お宅の子供にいじめられている」と言っても、相手が認めずトラブルになってしまう可能性が高いです。
(3)加害者と担任や学年主任などを交えて話す
効果的な方法は、加害者やその保護者、学校の先生を交えて関係者全員で話し合うことです。
先生が間に入ることにより、加害者の保護者も落ち着いて話をしやすくなります。
いじめは学校での問題ですから、学校なしに解決することはできません。
子供の年齢や学業の状況、学校の特徴などに応じて、関係者全員でケースごとに最善の解決方法を検討しましょう。
まずは加害者、被害者双方と第三者から事情聴取をしてもらい、担任だけではなく学年主任や生活指導部なども合同して、全体で対応策をとるよう要望しましょう。
いじめがあるとわかったときには、加害者に謝罪してもらうとともに、その他のペナルティを与えてもらいます。
同時に、被害者であるわが子へのフォロー方法を検討してもらい、再発を防ぐための方策について検討しましょう。
(4)弁護士に相談・依頼する
いじめ問題を弁護士に相談する方法もあります。
弁護士には、学校内のいじめ問題に積極的に取り組んでいる人がいるためです。
中には元教員の弁護士などもいるので、学校トラブルに協力してくれる弁護士を探して相談を受けましょう。
7、自分の子どもとの向き合い方について
いじめが発覚したら、自分の子供とはどのような距離感で接したら良いのでしょうか?
(1)子供が安らげる居場所をつくる
まずは家庭内で、子供が安らげる場所を用意してあげることが大切です。
たとえ学校に居場所がなくても家に帰ってきたら居場所があると感じられると、子供の心の中に逃げ場ができて、追い詰められずに済みます。
家庭でなく、習い事などの場所でもかまいません。
(2)親が先走らない。子供の意思を尊重する
いじめ対策をするとき、親が先走った行動をしないことも重要です。
加害者の子供や保護者と会ったり学校に何らかの申し入れをしたりするとしても、子供に「それでいい?」と確認してからにしましょう。
いじめ問題の解決は子供が主体であるということ。
子供の立場、気持ち、環境が最優先です。
(3)いじめ相談窓口に相談する
いじめ問題は、家庭内だけで抱えていると苦しくなってしまうことが多いです。
そういった息苦しさは子供にも伝わり、余計に子供を追い詰めてしまうおそれがあります。
そこで、第三者機関によるいじめの相談窓口を利用しましょう。
たとえば、子供が相談できる
「チャイルドライン」
「24時間いじめ相談ダイヤル」
などの電話相談窓口がありますし、保護者が
「子供人権110番」
「インターネット人権相談」
などを利用したりすることもできます。
(4)子供を信じ、いつでも味方でいること
もっとも重要なのは、親が最後まで子供の味方でいることです。
いじめられていることは恥ずかしいことではない、悪いことではない、親はいつでも子供を信じていて、心から愛している、一番大事な存在であることを伝え続けましょう。
親が子供に寄り添って、二人三脚で取り組むことにより、子供も徐々に自信を取り戻していけるものです。
8、いじめ被害に遭わないようにするには?
最後に、なるべくいじめに遭わないようにするための対処方法を考えてみましょう。
(1)体と心を鍛える
まずは、子供の身体と心を鍛えましょう。
スポーツや武道を習いに行くのも良いですし、ときどきハイキングに行ったりするのも良いでしょう。
家に閉じこもりがちだとどうしても精神的にもしんどくなってしまうので、身体を動かして気持ちも解放していきましょう。
(2)誰かに助けを求める姿勢を持つ
また、子供に、
「何かあったときには周囲に助けを求める姿勢」を持たせること
も大切です。
「5」で、子供が自分がいじめられていることを言えない理由をお伝えしました。
この理由からもわかるように、言えないのは、子供が
- いじめられる自分が悪い
- 大人に話しても解決が見えない、解決どころか事態が悪化する
という考えを持っている場合が多いのです。
ですので、大人は、
- いじめはいじめられる方に問題があるということではない
- 大人に相談した場合、加害者の心を刺激することなく解決することができる
ということを、子供に話しておくことが大切です。
そして、実際に、いじめを悪化させないための解決策を、大人も用意しておくことが必要です。
先生でもクラスの中心の子供でも、相談相手は誰でも良いのです。
一人で抱え込まないようにすることが、いじめを大事にさせない重要なポイントです。
(3)その場で拒絶する姿勢を持つ
嫌がらせをされたり理不尽なことを言われたりしたときに、その場で「NO」と言えるようにしておきましょう。
その場で毅然とした態度をとれば、いじめる子供もそれ以上強く出にくくなるものです。
いざというときに「嫌」と言うように、日頃から子供と話し合っておくと良いでしょう。
まとめ
今回は、子供がいじめに遭ったときの対応方法やいじめに遭わない対処方法を解説しました。
子供がいじめに遭うと、親としては大変心配なものです。
一緒になってパニックになると子供も余計に辛くなるので、親は子供を無条件に受け入れながら、落ち着いて対応を進めていきましょう。