この記事をご覧の方の中には以下のように会社を解雇されたことでお悩みではありませんか?
- 「会社を解雇されてしまったが納得できない」
- 「解雇されたがどうすればいいか分からない」
会社を解雇されたらパニックになってしまうかもしれません。
しかし、一旦落ち着いて
- 適切な解雇であり
- 適切な手続きが行われているのか
以上について確認を行ってください。
解雇が不当であればその解雇が無効であることを前提として賃金を請求することができますし、解雇を受け入れる場合でも解雇予告手当など会社に対して請求できるものがあります。
ここでは、会社に解雇された場合に確認すべきことや対処法をご紹介します。
不当解雇については以下の関連記事をご覧ください。
目次
1、会社から解雇されたら受け入れないといけないのか?
会社から解雇を通知された場合、必ず解雇を受け入れなければならないというわけではありません。解雇はよほどの事情がなければ行われないものであり、解雇理由に納得できない場合もあるでしょう。
解雇理由に納得できない場合には、会社に「解雇理由が納得できないので退職しない」という旨を伝えるべきです。
また、解雇理由が不当なものであれば、解雇の無効を主張することができます。会社から解雇を言い渡されたらすぐに同意するのではなく、解雇理由を確認して解雇を受け入れるべきかどうか検討することが大切です。
2、解雇されたことは不当?解雇の要件
解雇されたことが不当かどうか確認するには、解雇理由を確認する必要があります。
解雇といっても種類があり、
- 「普通解雇」
- 「懲戒解雇」
- 「整理解雇」
の3つに分類することができます。
それぞれの解雇要件についてみていきましょう。
(1)普通解雇
普通解雇は、労働者の能力不足や適各性欠如などを原因として行われる解雇ですが、簡単に認められるものではありません。
客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない解雇は解雇権の濫用となり、解雇が無効になることが労働契約法第16条に定められています。
そのため、
- 「仕事で数回些細なミスをした」
- 「上司と性格が合わない」
などの理由で解雇することはできません。
就業規則に違反し、何度注意をしても改善されない場合などは普通解雇が有効となる可能性があります。
(2)懲戒解雇
労働者が会社の秩序を著しく乱した場合等にペナルティとして科される懲戒処分の中で、最も重い処分が懲戒解雇です。
懲戒解雇を行う際にも普通解雇と同様に、客観的に合理的な理由がありかつ社会通念上相当であると認められる場合でなければ解雇はできません。
また、懲戒解雇を行うには、あらかじめ就業規則に懲戒処分に関する事項が記載されている必要があります。
懲戒解雇が認められるようなケースは、会社の社会的信用を失わせるような重大な犯罪行為が行われた場合や、重大なハラスメント行為が行われた場合などが挙げられます。
(3)整理解雇
整理解雇は、会社の経営上の理由で行われる解雇です。
会社の経営不振による人員整理などリストラと呼ばれる解雇がこれに該当します。
普通解雇や懲戒解雇は労働者に原因がありますが、整理解雇の場合は会社側に労働契約を終了する原因があります。
整理解雇は会社都合で行われるため簡単に認められるものではありません。
整理解雇を行うには、
- 「人員削減の必要性」
- 「解雇回避努力の履行」
- 「被解雇者の選定の合理性」
- 「手続きの妥当性」
の4つ要件を満たす必要があります。
3、お金を払ったから解雇は正当だと会社から主張された場合はどうなる?
解雇予告手当のお金を支払ったので解雇は正当だと会社から主張されるようなケースもあるでしょう。
解雇予告手当が支払われれば、解雇が不当であっても関係なく解雇されてしまうものなのでしょうか?
(1)解雇予告と解雇予告手当について
会社は労働者を解雇する場合、30日以上前に解雇予告を行わなければなりません。
もし30日前までに解雇予告を行わなかった場合には、予告を短縮した日数分の平均賃金を支払うことが労働基準法第20条に定められています。
ただし、日雇い労働者や2カ月以内の契約社員などの場合には、解雇予告や解雇予告手当は必要ありません。
(2)解雇するには解雇要件を満たさなければならない
解雇予告手当を支払っていれば解雇は正当だと会社が主張する場合があります。
しかし、解雇予告や解雇予告手当はあくまでも解雇するための手続きの1つであり、その解雇が有効であることが前提です。
解雇予告手当の支払を行ったからといって解雇が正当化されるわけではなく、解雇をするには解雇の要件を満たしている必要があります。
そのため、解雇理由が不明確な場合や不当な場合には、解雇を争うことができます。
4、解雇を受け入れた場合に会社に請求できるもの
解雇を受け入れた場合でも、会社に請求できる金銭があります。
解雇理由によって多少の違いはありますが、請求できる可能性のある金銭について知っておきましょう。
(1)解雇予告手当
解雇を受け入れる場合には、解雇予告手当を請求できる場合があります。
労働基準法によって会社には解雇日の30日以上前に解雇予告を通知する義務がありますが、解雇予告がなかった場合には解雇予告手当を請求することができます。
予告期間を短縮した分が支払われるため、予告日から10日後に解雇される場合には平均賃金の20日分が支払われることになります。
(2)退職金
退職金に関する法律の決まりはありませんが、就業規則に退職金を支払う規定があれば、解雇であったとしても基本的には退職金を支払ってもらうことができます。
普通解雇や整理解雇の場合は、原則的に退職金は支払われます。
ただし、懲戒解雇に関しては、退職金が不支給もしくは減額になってしまうケースがあります。
それは、就業規則等に懲戒解雇の際には退職金を不支給・減額とする旨が規定されており、不支給や減額になってもやむを得ないといえるほどの重大な背信的行為があった場合です。
これらのケースへ該当しないにも関わらず退職金が支給されない場合には、退職金を請求しましょう。
(3)未払いの賃金や残業代
解雇通知を受けて退職をする際に、未払いの賃金や残業代が残っている場合には会社へ支払いの請求を行いましょう。
請求を行う際には金額だけではなく、金額を示す証拠も一緒に提出します。
未払いの賃金や残業代の請求は、内容証明で行われることが一般的です。
5、会社から解雇されたときにすべきこと
会社から解雇予告を受けた場合、パニックで頭が真っ白になってしまうでしょう。
しかし、落ち着いて解雇の妥当性や手続きの適切性について確認を行うようにしてください。
会社から解雇された場合には、まずは次の2点を確認しましょう。
(1)解雇の妥当性を確認する
解雇通知書に解雇理由が書かれていることもありますが、通知書に理由が書かれていない場合には解雇理由証明書を請求します。
解雇理由証明書とは、解雇理由について具体的に記された書面です。
労働者から解雇理由証明書の交付を請求された場合、使用者には交付する義務があることが労働基準法第22条によって定められています。
まずは、解雇理由を踏まえて、解雇の要件を満たしているか確認します。
例えば、能力不足や成績不良を理由とする普通解雇の場合、能力不足や成績不良の程度、改善指導がなされたかどうか、改善の見込みがあるかどうか等を考慮することになります。
注意や指導を一切行わずに解雇した場合は、解雇が無効となる可能性が高くなります。
(2)解雇予告手当を確認する
解雇理由の確認と同時に、書面で解雇日と解雇予告手当について確認しましょう。
ただし、解雇予告手当は解雇が有効である場合に支払われる金銭ですので、不当解雇で解雇の無効を主張する場合、会社に解雇予告手当を請求することは控えた方がよいでしょう。
6、解雇されたことに異議がある場合の対処法
解雇に異議があるという場合には、解雇を受け入れる必要はありません。不当解雇であれば、解雇の無効を主張することができます。解雇に異議がある場合、次の方法で対処しましょう。
(1)解雇の撤回を求める
不当解雇で解雇を受け入れられない場合は、解雇の撤回を求めることができます。
会社で今後も働きたいと考えている場合には、解雇の無効を主張して解雇を撤回してもらうように会社と話し合いを行います。
解雇の撤回を求める方法は、内容証明郵便による書面の送付で行われることが多いです。
(2)不当解雇がなされている間の賃金を請求する
不当解雇であれば、解雇は無効になります。
不当解雇が言い渡されたせいで就労できなかったとしても、言い渡された日以降も雇用関係は継続していますので、賃金が発生することになります。そのため、不当解雇がなされている間は賃金を請求することができます。
内容証明郵便を送付して解雇の無効を主張し賃金を請求していくことになります。
(3)慰謝料を請求する
会社から受けた解雇が不当であり特に違法性が強い場合には、不法行為(民法第709条)として会社に対して慰謝料を請求することができる場合があります。
慰謝料請求についても、内容証明郵便を送付して請求していくことになります。
(4)裁判や労働審判を行う
会社との話し合いで解決ができない場合、労働に関するトラブルは、労働審判や裁判で争うことができます。
労働審判は民事裁判よりも迅速に解決できる可能性が高いため、労働審判が利用されることが多いです。
ただし、労働審判で解決しなかった場合には民事裁判へ移行します。
7、不当解雇の相談先
(1)労働組合や労働基準監督署
不当解雇された場合には、労働組合や労働基準監督署に相談することができます。
労働基準監督署に相談すれば、労働基準法違反があるかどうか確認することができます。
しかし、会社との交渉については対応してもらえません。
そのため、不当解雇に関する交渉まで行う場合には、労働組合に相談するという方法もあります。労働組合ならば会社へ団体交渉を申し入れ、解雇の撤回の交渉を行ってもらえる可能性があります。
(2)弁護士
解雇の有効性の判断は専門的な知識が必要になるため、見極めが困難なものです。
弁護士に相談すれば不当解雇の判断に関するアドバイスを受けることができ、会社との交渉も任せることができます。
また、会社に未払いの賃金や残業代などを請求したり、弁護士が労働審判や裁判の代理人となるなど幅広いサポートが受けられます。
会社を相手にする労働問題は複雑化しやすいため、弁護士に相談することをおすすめします。
まとめ
労働者を守るための法律が存在するため、解雇は簡単に認められるものではありません。そのため、解雇予告を受けた場合には、解雇の妥当性を確認してください。
もし不当解雇が疑われる場合には一人で悩みまずに、専門家である弁護士に相談してみましょう。解雇の有効性の判断だけではなく、今後すべき対処法や請求に関するアドバイスも受けることができます。会社と争うような事態になったとしても、弁護士が代理人になることで心強いサポートを受けられます。