お金を返してくれない友達にはどう対処すればいい?

お金を返してくれない友達にはどう対処すればいい?

友達にお金を貸したけど返してくれないということはよく起こります。

借りた友達からすると、相手が友達だから少しは待ってくれるだろうという気持ちもあるでしょう。借りた友達が、生活費や他への返済などで手いっぱいで、あなたへの返済がどんどん後回しになってしまうこともあるのかもしれません。

貸した側からすると、友達関係を壊したくないため、返済するように強く言うこともできないという気持ちもあるでしょう。もしくは、どんなに強く言っても聞いてくれず、お金よりも怒りや悲しみで心がいっぱいなのではないでしょうか。

今回は、なかなかお金を返してくれない友達に対してどのようにすればよいのか、弁護士の視点で法律的に解説していきます。

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1、「借りたお金を返さない」は犯罪か

貸したお金を返してくれないと、「借りたお金を返さないなんて犯罪じゃないの?!」と思う方も少なくないでしょう。

もっとも、その友達が、あなたを騙してお金を借りたというのでなく、適式に借りたお金を返さないというだけでは、犯罪には当たりません

犯罪に当たらないのであれば、友達にお金を返すモチベーションが働かないかもしれません。では、任意にお金を返してくれない友人に対して、どのように対応していけばよいでしょうか。

2、お金を返してくれない(払ってくれない)相手に対する一般的な対処法

友達間の貸し借りでも、法律的には金銭消費貸借契約を原因とする借金となります。

まず、金銭消費貸借契約による借金を返さない借主に対して、一般的にはどのような手段が取れるのかを解説します。

(1)内容証明郵便を送る

金銭の返還を求める内容の書面を作成して、内容証明郵便という形式で借主に書面を送る方法です。

法律的な強制力が生じるわけではありませんが、借主に対して、返還を求める強い意思を示し、返還を促すという効果があります。

返還を求めることの法律的な効果としては、

  • 時効を一時的に止める
  • 返還期限の定めがない借金の場合には期限を到来させる
  • 遅延損害金を発生させる

というものがあります。

(2)法的手段に出る

内容証明郵便を送って任意の返還を求めても返さない場合には、法的手段を検討せざるを得ません。法的手段をとれば強制力が生じ、最終的には、借主の財産を差し押さえる等の強制執行の手続きをとることが可能になります。

つまり、法的手段を取れば、強制的に相手の財産から回収することができるようになります。その法的手段としては、以下のようなものがあります。

①支払督促

簡易裁判所に支払督促の申立てをして、簡易裁判所を介して借主に対して支払いを催促するものです。

簡易裁判所から借主に対して、督促の文書が送付されます。この督促文書に対して借主が何も異議を申し立てずに2週間以上放置すると、仮執行宣言を付けることができ、更に借主が2週間放置すると、強制執行をかけることができるようになります。

②民事調停

民事調停は、裁判所での話し合いです。

裁判官、調停員に間に入ってもらい、借主に返済を促すことができます。調停の中で返還の期限や支払い方法などの話し合いがまとまれば、裁判所で調停調書を作成します。この調停調書は判決文と同じ効力をもちます。つまり、借主が調停調書で定められた約束を守らなかった場合には、調停調書に基づいて強制執行の手段を取れるようになります。

③少額訴訟

貸した金額が60万円以下の場合には、簡易裁判所で少額訴訟の手続きをとることができます。

通常の訴訟ですと、裁判所で何回か期日が開かれて、出廷することになりますが、少額訴訟は、基本的には1回の期日で結審します。つまり、比較的短期間で判決を得ることができます。判決が出れば、その判決に基づいて強制執行ができるようになります。

④即決和解

即決和解は、簡易裁判所において、訴訟を起こす前に和解手続を取ることです。

簡易裁判所に借主とともに出廷して、返還の期限や支払方法等を決め、その内容を裁判所に和解調書として作成してもらいます。

和解調書は判決と同じ効力がありますので、借主が和解調書で定められた約束を守らなかった場合には、和解調書に基づいて強制執行の手段を取れるようになります。

ただし、「和解」という言葉から分かりますように、借主が応じる姿勢が必要であり、借主が和解を拒む場合等にはこの方法は取れません。

(3)返還請求の際は時効に注意

友達への貸金について、以前の民法では消滅時効は10年とされていました。

しかし、平成30年に民法が改正されて、「権利行使できることを知ったときから5年」と短縮されました。

時効を止めるためには、訴訟提起等の法的手段を取る必要があります。少なくとも内容証明郵便を送付しておけば、6か月間は時効の完成が猶予されます。

3、友達だからこそできない!友達ならではのお金の返してもらい方とは

消費者金融等のプロの貸主であれば、借主が返さない場合には、躊躇なく上記「1」のような法的手段を取るでしょう。

しかし、友達間の貸し借りですと、友達関係にあるので、上記 「1」のような法的手段をとることが心情的にできないことが多いのです。今後の関係もあるでしょうし、自分の良心も痛むことでしょう。その友達との関係だけでなく、周囲とのしがらみもあり、強制的に回収する人というレッテルを自分に貼ることも苦しいものです。

そこで、法律的な考え方を利用して、他の方法を考えてみてはどうでしょうか。具体的には、以下のような方法です。

(1)相殺(民法505条)の考え方を応用

相殺とは、当事者間でお互いに債権を有している場合に、その債権を対等額で消滅させるというものです。つまり、あなたも友達に何か借りがある場合、借金をチャラにすると同時にその借りもチャラにするということです。

いま借りがなかったとしても、これから作るでも良いでしょう。つまり、借金をチャラにする代わりに何かほかのことをしてもらうという方法です。ただし、合法的な範囲に留めなければいけないのはいうまでもありません。

(2)担保(民法342条等)の考え方を応用

担保とは、お金を返してくれない場合に備えて、債務者が所有する物等をお金を返してくれるまで債権者が管理するというものです。

この担保の考え方を友達への貸金に応用して、返してくれない友達に対して、金額に見合う所有物を要求してみるというのも一つの方法でしょう。例えば、友達が高価な時計を持っていたら、お金を返してくれるまで、その時計をあなたが預かっておくというようにするということです。ただし、この方法は、もちろん友達の同意がなければなりません。

(3)債権譲渡(民法466条)の考え方を応用

債権譲渡とは、債権を他の第三者に譲渡するということです。銀行等の金融機関では、借主が返済しない場合には、債権を債権回収会社に譲渡したりしています。

例えば、あなたがお金を貸した友達が敵わないような相手に、あなたのもっている債権(返してという権利)を売却することも可能です。買った人が今度は友達に催促していく、ということになります。当然ですが、脅すような行為で売却するなど、トラブルを引き起こすような方法を用いることは言語道断です。

4、いずれにせよ借金について友達との認識の一致が必要

(1)貸し借りの事実と金額についての認識の一致が必要

貸したお金を回収するには、友達と「貸した(借りた)」という事実、つまり「返す」という約束をしたことと、そしてその「金額」について、認識が一致していなければいけません。借用証書のように、金額が明記され、返すことも定められている書面があれば問題はないでしょう。

しかし、友達側が「もらったのだ」と思っていたり、あなたが認識している一部の金額しか借金の記憶がないという状況では、そもそも回収劇は始まりません。

(2)認識の一致を確認する方法

借用証書等の明確な書面がない場合には、LINEやメールで、いつ、いくらを、貸した という内容を一度やりとりしておきましょう。

例えば、「〇日に貸した5万円、いつ返してくれるの?」と送り、これに対して、友達が、「〇日までに返すよ」とか、「ごめん、ちょっと待ってくれる」等の返信があれば、金額の一致と返還の約束があることが証明できるでしょう。

5、友達がお金を返してくれない原因とは?

友達がお金を返してくれない原因、それは、友達のお金を使う優先順位として、あなたへの返済が劣後しているケースが多いでしょう。友達からすれば、他に返さないいけないとその友達が認識しているところに優先的に返済してしまっていて、あなたからの借金は後でいいと思っている可能性があります。

もちろん、「お金がない」と言われていることでしょう。しかしあなたは、それを信じてはいないはずです。だからこそ、なんとか返してもらう方法を検索したのではないでしょうか。しかも、本当に困窮している様子であれば、法的手段に出たとしても、結局空振りに終わります。

ここで考えるべきは、「なぜ劣後しているのか」です。

それは、あなたの「返して欲しい」気持ちが伝わっていないからが大きな理由と言えます。あなたは、なぜ返して欲しいのでしょうか。もちろん、貸したものは返すことが当然だから、ですが、少し違った角度であなたの本当の気持ちを伝えましょう。

  • 返してくれないでいると、大切に思われていないようで辛いから
  • 返してくれない状況が続くと、嫌いになってしまいそうだから
  • 自分も生活が苦しいから

など、あなたの友達への気持ちがギリギリに来ていることを伝えるべきです。

もし、それでも返してくれない友達ならば、そこで初めて、証拠を確保した後で、法的手段に出て関係を解消することを考えても良いのではないでしょうか。

また、金額が少ないから返さなくても良い、待ってくれるだろうと思っている可能性もあります。しかし、金額が少なくとも法律的には借金で、返還義務があることは変わりありません。少額であっても、友達関係が保てなくなる等理由をしっかり伝え、きちんと返還してもらうように意思表示をしてみることをお勧めします。

6、お金を返してくれない友達で悩んでいるなら弁護士へ相談を

友人間での貸し借りのトラブルは頻発します。貸したお金を返してもらうことは正当な権利ですが、返さないまま放置されると腹が立ってしまって、脅迫してしまうなどの違法行為に及んでしまう人も少なくありません。

そうなる前に、合法的に回収するにはどうすればよいか、どのような手段があるか、悩んでいたら、専門家である弁護士に相談してみてはいかがでしょうか。きっと、まずは重くなってしまった心が軽くなることを感じていただけるかと思います。

まとめ

お金を返してくれない友達にどう対処すべきか悩んでいる人は多いです。友達だからこそ、法的手段はとりたくないと思っている人もたくさんいます。また、返してくれないことが怒りにつながり、違法行為に及んでしまう人もいます。

訴訟などの法的手段だけが解決法ではありません。法律の考えを応用して適切に解決する手段を模索しましょう。悩まれたら、専門家である弁護士に相談してみてください。

※この記事は公開日時点の法律を元に執筆しています。

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