うるさい隣人に悩まされながらも、どのような対処をすれば良いのか分からないという方も多いのではないでしょうか。
今回は
- 隣人がうるさいときのスマートな対処法
について、取り得る法的手段なども含めて解説します。
1、うるさい隣人が発しがちな騒音の具体例
隣人が発しがちな騒音にはどのようなものがあるのでしょうか。
まずはうるさい隣人が発しがちな騒音の具体例について紹介していきます。隣人トラブルに繋がってしまう主な騒音の具体例は以下のとおりです。
(1)生活家電から生じる騒音
生活家電から生じる騒音は、隣人トラブルに繋がる騒音の中でも典型的なものになります。
その中でもテレビや洗濯機、掃除機については、使うタイミング・音量などによってトラブルを生じさせる原因になるため注意が必要です。
あまりにも大きすぎるテレビの音はもちろんのこと、朝方・深夜といった時間帯に洗濯機や掃除機を使うことは隣人トラブルの原因になります。
(2)話し声などが原因となっている騒音
住んでいるアパートやマンションによっては、話し声や笑い声が筒抜けになってしまう場合もあります。
あまりにも大きな話し声や笑い声に関しては、隣人トラブルの原因になってしまうので注意が必要です。
(3)日常生活に伴う騒音
人に指摘されるまで気づかないのが、日常生活に伴いどうしても発生してしまう生活音です。
咳やくしゃみといった生理現象から、廊下を歩く時の足音まで、生活上発生する音というのは数多く存在します。
場合によっては、こういった日常生活で必ず発生する生活音に関してトラブルにつながってしまう可能性もあります。
2、隣人がうるさいときの対処方法
隣人がうるさくどうしても耐えることができない場合、効果的な対処法としては以下のようなものが挙げられます。
- 騒音が発せられる時の時間と内容を記録する
- 不動産の管理会社・大家・自治体に相談する
- 警察に相談する
- 弁護士に相談する
それぞれの対処法について、実際にどのようなことを行なえばよいのか、以下で具体的に解説していきます。
(1)騒音が発せられる時の時間と内容を記録する
隣人がうるさいときにできる対処法として、まずするべきなのが、騒音が発せられる時間や内容を記録しておくということです。
騒音が日常的に続いていることによって、夜に眠れなくなってしまい「不眠症」や「精神的苦痛」を負った場合、こういった記録を残しておくと後に紹介する警察や弁護士に相談する際に証拠として提出できるものが増え有利に物事を運べます。
内容の記録に関しては、以下のような様々な方法を併用することで、証拠としての説得力を高めることが可能です。
- 日記
- 録音データ
- 近隣住民の証言・意見書
- 医師の診断書
実際にこのような証拠を残しておくことにより、大家や警察が迅速に対処してくれる可能性が高くなります。
うるさい隣人に悩まされているという方は、まず騒音の時間と内容を記録し証拠を取っておくことからはじめましょう。
(2)不動産の管理会社・大家・自治体に相談する
騒音に関してしっかり記録し証拠を確保したら、次に不動産の管理会社・大家・自治体に相談しましょう。
自分で証拠を持って相手のところに尋ねると、いらぬトラブルを引き起こす可能性があるので、できるだけ不動産管理会社・大家といった第三者を通すのがベターです。
また戸建に住んでいる方は、地域の役所にある「生活課」に相談してみましょう。
どこに相談する場合でも、事前に集めた証拠をしっかり提示すると、迅速な対応を期待できます。
逆に証拠がないと動けないと言われることがほとんどなので、必ず事前に騒音に関する証拠を集めておくことが、スムーズな解決に繋がることになるためおすすめです。
(3)警察に相談する
管理会社や大家に相談しても騒音が収まらない場合、警察に相談してください。
警察は基本的に「民事不介入」なので、騒音による隣人トラブルには関わらないのでは?と思う方もいるかもしれませんが、刑事事件に繋がるおそれ等を踏まえ、対処してくれる場合もあります。
なお、軽犯罪法では、「公務員の制止をきかずに、人声、楽器、ラジオなどの音を異常に大きく出して静穏を害し近隣に迷惑をかけた者」は「これを拘留又は科料に処する」など定められております。
また地域によっては、騒音に関して条例で特別にさだめているところもあります。
警察官が訪れて注意をしてくれれば、不動産会社や大家の注意を聞かない人にも効果を期待することができるでしょう。
過去にも日常的に耐えきれない騒音を出し続けた人が、東京都迷惑防止条例違反に違反したとして逮捕された事例があります。
この事例では、隣の家のシャッター音がうるさいと感じた男性が、隣人が外出をするたびにほうきで周囲のものを叩いて騒音を出し続けていたそうです。
このようにうるさい隣人にどうしても我慢できない時は、警察に相談するのも有効な対処法の1つ。
その際にはしっかりと証拠を用意しておくと、警察も信用して迅速に動いてくれる可能性も高まります。
(4)弁護士に相談する
うるさい隣人に悩まされている場合、弁護士に相談するというのも対処法の1つです。
常軌を逸した騒音によって、精神的苦痛や不眠症による被害が出ている場合であれば、損害賠償請求などをすることができる可能性もあります。
被害が出ている具体的な証拠として「医師の診断書」などしっかり用意しておくと、迅速かつスムーズに弁護士が対応してくれる可能性が高まります。
3、警察や弁護士に相談する際のポイント
うるさい隣人に悩まされているとはいえ、警察や弁護士に相談しても解決できないのではと思う方も多いのではないでしょうか。
そこで警察や弁護士に相談する際のポイントについて、以下で詳しく紹介していきます。
このポイントを事前に知っておくことによって、警察や弁護士がしっかりと対応してくれる可能性が高まるので、是非参考にしてください。
(1)被害が出ていることを証明できるよう準備する
上記でも何度か強調してきたように、被害が出ていることを証明できるように「証拠」を用意しておきましょう。証拠がないと、特に警察は積極的には動いてくれません。
どういった騒音に悩まされているのかの音声データや、騒音が発せられる時間を記録した日記などです。場合によっては近隣住民と共同して相談することで、より効果的に証明を行なうことが可能になります。
(2)壁ドンは避ける
うるさい隣人に対して効果的な対処法として「壁ドン(壁を叩いて注意を促す行為)」が推奨されることもありますが、これは絶対にやめましょう。
過去にはうるさい隣人に注意を促す目的で壁ドンを行い、恨みをかって殺人事件に発展した事例もあるなど、場合によっては大きなトラブルに発展する可能性があります。また壁ドンをしてしまうことによって、相手に対し「そっちもうるさかっただろ」という反論の隙を与えてしまいかねません。
うるさい隣人に対してカッとなり壁ドンをしたくなる気持ちも分かりますが、絶対にこういった行為は避けてるようにしましょう。
4、うるさい隣人に対する可能な法的手段と過去の裁判例
うるさい隣人に対する可能な法的手段と過去の裁判例について、以下で詳しく解説していきます。
(1)損害賠償請求
隣人が発する騒音によって、不眠症や精神的苦痛を感じた場合、損害賠償請求ができる可能性があります。
民法の709条では以下のような規定がされています。
故意または過失により他人の権利を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う
そのため隣人の騒音によって権利を侵害された場合、民法に基づいた損害賠償請求ができる可能性があります。
「権利を侵害された」ということを証明するためにも、騒音によるストレスによって生じた不眠症などについての医師の診断書などを用意することが重要です。
騒音によるストレスで身体・精神的に異常が起きている場合、診断書をもらいに行きましょう。
(2)刑事事件になる場合も
騒音トラブルに関しては、刑事事件に発展する場合もあります。
よく知られているのが「騒音おばさん」の事件です。
この事件ではおよそ3年近くの間、近隣住民に対してラジカセなどで大音量の騒音を発し続けた結果、近所の人に睡眠障害を負わせたとして「傷害罪」により女性が逮捕されました。
傷害罪というと刃物や鈍器などで傷つけられることをイメージする方も多いですが、騒音のような目に見えない暴力によるものであっても傷害罪に当たり得ます。
実際に上記で紹介した「騒音おばさん」に関する事例でも、医者の診断書や騒音の具体的な記録などが証拠となり傷害罪として認められました。
まとめ
うるさい隣人に悩まされているにもかかわらず、大家や管理会社が誠実に対応してくれないため、我慢をしているという方も多いのではないでしょうか。
もっとも耐えることができない騒音を繰り返す隣人に対しては、こちらも泣き寝入りをして我慢をする必要はありません。
しかし自分で解決しようと壁ドンなどをしてしまった場合、大きなトラブルに発展する可能性もあります。
危害を受けることなく法的な解決をすることができるように、まずは騒音の内容・時間に関する証拠を集めましょう。
この記事がきっかけで、騒音トラブルに悩んでいる方が前向きに生活できることを祈っております。