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ストーカー規制法とは?もしもに備えて知りたい4つの事

ストーカー規制法

ストーカー規制法とはどんな法律か知っていますか?

これをお読みの方には、ストーカー被害に遭った経験がある方もいらっしゃるのではないでしょうか。

ストーカーに対抗するために知っておきたい法律、それが「ストーカー規制法」です。

ストーカー規制法では、どのような行為を「ストーカー行為」とし、ストーカー行為にどのような罰則が規定されているのでしょうか。

そこで今回は、

  • ストーカー規制法

についてまとめました。

ストーカー被害にあった際の対処法については、以下の関連記事をご覧ください。


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1、ストーカー規制法とは

ストーカー規制法とは、悪質なつきまとい等のストーカー行為を規制するとともに、ストーカー行為等の被害者の援助について定めた法律で、正式な名前を「ストーカー行為等の規制等に関する法律」といいます。

2、ストーカー規制法で規制されるのはどのような行為か?

(1)ストーカー規制法が規制する行為は?

ストーカー規制法では、一方的な恋愛感情などから付きまとうことを「つきまとい等行為」、同じ対象人物に対しつきまとい等行為を繰り返すことを「ストーカー行為」と定めています。

ストーカー規制法は、つきまとい等行為とストーカー行為の両方を規制しています。

つきまとい等行為のうち、繰り返し行われる悪質な行為がストーカー行為であると考えていただいて結構です。

(2)つきまとい等行為とは?

では、ストーカー行為の入口であるつきまとい等行為とは、どのような行為なのでしょうか

ストーカー規制法は、

  1. 目的
  2. 対象
  3. 行為

の3点を満たす行為をつきまとい等行為と定めています。

以下では、具体的にどのような行為がつきまとい等行為として規制されるのかを見ていきます。

①目的

特定の人に対する恋愛感情その他の好意の感情や、それが満たされなかったことに対する恨みの感情を充足する目的で

※例えば、お金を返してもらう目的など、規制目的以外の目的である場合、規制の対象になりません。

ただし、真実お金を返してもらう目的でも、元配偶者や元交際相手などに対してお金を返してほしいと要求している状況で、元配偶者や元交際相手が警察にストーカー被害を訴えた場合には、恋愛感情その他の目的があるとして規制されてしまう可能性があります。いわゆる、冤罪ですね。これを防ぐには、弁護士等を代理に立てて、元配偶者や元交際相手に接触するとよいと思われます。

②対象

当該特定の人や、その配偶者、直系若しくは同居の親族その他当該特定の人と社会生活において密接な関係を有する者を対象として

※被害者本人だけではなく、被害者の家族、会社の同僚や上司、恋人なども対象となります。

③行為

以下の8つのいずれかに該当する行為を行うこと。

ⅰ つきまとう。待ち伏せる。進路に立ちふさがる。家、職場や学校などの付近で見張りをし、または押し掛ける。

※ストーカーといえば、まず思い浮かぶ態様です。

被害者の家の前を通り過ぎる時に一瞬見るなどの行為でも、短時間内に反復されれば、見張りに該当します。

※被害者が在宅していない場合であっても、押し掛けに該当します。

ⅱ 監視していると感じさせることを伝える。直接伝えなくとも、本人に伝わるようにする。

※「昨日、●●さんとご飯食べに行ってたよね」「昨日、○○にいたよね」などの発言が相当期間にわたって続く場合には、規制の対象になる可能性があります。

※TwitterなどのSNS上の発言で、発言の公開範囲が限定されている場合であっても、友達知人を通じて本人に発言の内容が伝わるようでしたら、規制の対象になります。

ⅲ 面会や交際など、義務のないことを強要する。

※これもスタンダードな態様ですね。

「会ってくれないと死ぬ」など、被害者が動かざるを得ないと感じる発言もこれに該当します。

「会ってほしい」「会いませんか」というようなソフトな申し出であっても、本人が嫌と言っているにもかかわらず執拗に繰り返されている場合には、これに該当します。

また、プレゼントの受けとりを強要する行為も、規制の対象になります。

※子供とも面会、慰謝料の支払いなど、相手方に義務のあることを要求する場合には、これに該当しません。

ただし、相手方へ義務を果たすように要求する口実で、面会や復縁を強要している場合には、これに該当することがあります。

この判断は、①目的の判断と重なってきます。

ⅳ 著しく粗野または乱暴な言動を行う。

※本人に直接言動を行う場合のほか、第三者を通じて言動を伝える行為も、これに該当します。

暴行、脅迫行為に至らない言動であっても、これに該当することがあります。

ⅴ 無言電話や、拒否しているにもかかわらず、連続して電話をかけたり、FAXや電子メールを大量に送信する。

※平成26年改正によって、メールを大量に送る行為も規制の対象になりました。

1日に1回の電話や電子メールであっても、ある程度の期間にわたっている場合には、大量に送ったといえるので、これに該当する可能性があります。

※SNS上のメッセージは、電子メールとは別のものなので、電子メールの送信行為にはあたりません。

しかし、SNS上のメッセージであっても、メッセージの内容が他の規制の対象となる行為(監視していることを伝える、面会や交際などを強要するなど)に当たる場合、やはり、つきまとい等行為に該当します。

ⅵ 汚物、動物の死体など、著しく気分を害するものを送りつける。

ⅶ 名誉を害することを伝える。直接伝えなくとも、本人に伝わるようにする。

※名誉棄損罪と異なり、具体的な事実を指摘しなくても該当します。

ⅷ 性的羞恥心を害することを言ったり、文書や写真を送るなどする。

(3)ストーカー行為とは?

このつきまとい等行為が繰り返して行われた場合、ストーカー行為として、より強力に規制されることになります。

※つきまとい等行為が繰り返されているかは、一つの類型ごとに判断されるものではなく、全体として判断されます。

例えば、監視行為、無言電話と著しく気分を害するものを送りつける行為を組み合わせて行うことで、繰り返しつきまとい等行為があったといえる場合には、ストーカー行為として規制されます。

※上記ⅰからⅳについては、別途、生活の平穏が著しく害される、行動の自由が著しく害されるような不安を覚える方法という要件が付加されています。

3、ストーカー規制法に違反した者はどのような処罰を受けるか?

(1)ストーカー行為をした場合

ストーカー行為をした者については、被害者の告訴がある場合には、6月以下の懲役または50万円以下の罰金に処せられる可能性があります。

ストーカー被害を警察に相談した際に、警察が、つきまとい等行為ではなくストーカー行為だと判断した場合、刑事手続きに進みます。

ストーカー行為をした者に対しては、つきまとい等行為の場合と違い、事前の警告などはありません。

(2)つきまとい等行為をした場合

つきまとい等行為をした者については、警告、禁止命令と言った段階を踏んで刑事手続きに進みます。

①警告

まず、警察は、被害者の申出を受けると、ストーカーに対してつきまとい等行為を行わないよう警告を行います。

警告の方法としては、ストーカーを警察署に呼び出して書面を交付したり、携帯電話を通じて口頭で警告したりと様々な方法がとられるようです。

②禁止命令

次に、警告があったにもかかわらずつきまとい等行為を続ける者に対しては、各都道府県の公安委員会から書面でつきまとい等行為を行わないよう禁止命令が発せられます。

禁止命令が発せられる際には、各都道府県の公安委員会はストーカーに対して、事情を説明して弁解する機会を与えます。

※ストーカー行為と異なり、つきまとい等行為では、警告、禁止命令が出される時点では、刑事処分が下されることはありません。

※禁止命令は行政処分です。ストーカーは、禁止命令が不当であると考える場合には、裁判で争うことができます。

※ストーカーの中には、自分はストーカーではないと主張して、警告書や禁止命令書の受領を拒むこともあります。この場合、警告書、禁止命令書をストーカーの住居などに郵便で送ることになります。警告や禁止命令は、発せられ、相手方がその内容を知りうる状態になることで効果が生じます。そのため、書面の受領を拒んだとしても、その効力は有効です。

③禁止命令の罰則

禁止命令が出たにもかかわらず、ストーカー行為をする者に対しては、1年以下の懲役または100万円以下の罰金が科せられる可能性があります。

※つきまとい等行為を続けた結果、繰り返しの要件も充足してストーカー行為になってしまっているケースが想定されます。

禁止命令が出たにもかかわらず、つきまとい等行為をする者に対しては、50万円以下の罰金が科せられる可能性があります。

(3)法改正でより迅速な対応が期待できるように

平成26年改正によって、加害者の居住する地域の警察も警告等を出せるようになりました。

この改正によって、現在ではより迅速に対処してもらうことができるようになっています。

4、ストーカー被害に遭っている方が警察に対処してもらうための方法は?

(1)警察がしてくれること

警察は、被害者からの申し出を受けて、ストーカーに対して、前記の警告を出してくれます。

また、ストーカーに直接働きかける方法以外にも、援助という形で力を貸してくれます。

被害者が援助を申し出れば、警察はストーカー被害を防ぐアドバイスをくれたり、防犯ブザーを貸してくれたり、相談できる民間団体の紹介をしてくれるようです。

(2)警察に動いてもらうためには

警察に警告などを出し対処してもらうためには、被害者が警察に被害を申し出ることが必要です。

そのため、まずは警察に相談に行くことが必要です。

ストーカー被害の相談は生活安全課にありますので、所轄の警察署の生活安全課(ほとんどの警察署で、入ってすぐのところに窓口があります。)に行って相談してください。

相談する際には、メールや着信履歴などが残っている携帯電話、FAXなど、つきまとい等行為が行われていることがわかる証拠をもっていくと、被害状況を説明しやすいのでとても良いです。

ストーカーからの電話の着信履歴や送りつけられてくるFAXなどは証拠として取っておくとよいでしょう。

まとめ

つきまとい等行為について警察に相談するにあたって、

  • 「あなたにも問題があったのではないか」
  • 「男女間の問題は当人同士で解決しなさい」
  • 「ストーカー被害なんて勘違いではないか」

などと言われて相手にしてもらえないかもしれないと不安もあるかもしれません。

確かに、一昔前の警察であれば、ストーカーの相談をしに来た人に、そういう対応を取っていたこともあったと聞きます。

しかし、現在の警察は、凶悪ストーカー事件の経験から、ストーカー行為の放置や軽視が不幸な結果を招くことをよくわかっています。

警察に対して被害状況をしっかり説明すれば、警察は対応をしてくれます。

一人で警察に相談することがどうしても難しいという場合には、弁護士に依頼をして、一緒に相談に行くことも考えられます。

ストーカーの被害者に対する執着は時間が経つほどに強く重くなる場合もあります。

深刻なストーカー被害が発生する前に、早めの対処を心がけるとよいでしょう。

※この記事は公開日時点の法律を元に執筆しています。

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