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DV被害の証拠となるもの一覧|証拠がない場合の対処法も解説

DV 証拠

DVで離婚するためには、証拠が重要です。なぜなら、DVは密室(家庭)内で行われるものであり、証拠がなければ第三者には認めてもらえないからです。

話し合いで離婚することも不可能ではありませんが、DVをする配偶者と離婚の話し合いをするのは難しいことですし、逆上して暴力を振るわれ、深刻な被害を受けるおそれもあります。
そのため、離婚調停や離婚裁判を起こす必要性が出てきますが、
裁判では証拠の裏付けがない主張は認められません。

DV被害を立証するためには客観的な証拠が重要であり、特に有効なものは以下の3つです。

  • 動画や音声データ(DV行為の様子をとらえたもの)
  • 写真(産卵した室内の状況や怪我をした部位などを撮影したもの)
  • 診断書(DVによる怪我や精神疾患と診断されたもの)

その他にも、役に立つ証拠はいくつかあります。

今回は、DV被害の証拠となるものを一覧にして詳しくご紹介するとともに、証拠がない場合はどうすれば離婚できるのかといった問題も解説します。

この記事が、配偶者によるDVに苦しみ、離婚や慰謝料請求をお考えの方の手助けとなれば幸いです。

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1、DV被害を立証するために必要な証拠の一覧

DV被害を立証するために必要な証拠の一覧

DV被害を立証するために必要な証拠を一覧にすると、以下のとおりです。

  • DV行為を記録した音声データや動画像
  • 怪我した部位や室内の状況を撮影した写真
  • 医師の診断書や病院の領収書
  • 配偶者から届いたメールやLINE
  • DV被害の事実を記載した日記やメモ
  • 警察など公的な相談機関に相談した記録
  • 保護命令に関する記録
  • 親族や友人などの証言

客観的な証拠が重要ですが、そうでないものも含めて、以下で解説していきます。集め方も一緒にご説明しますので、参考になさってください。

(1)DV行為を記録した動画像や音声データ

配偶者がDV行為をしている様子を映像に収めることができれば、最も強力な証拠となります。

とはいえ、配偶者から暴力や暴言を受けている最中にスマホなどのカメラを操作することは現実的ではありません。
できれば、配偶者にバレないように、小型カメラをリビングに設置しておくとよいでしょう。
ボイスレコーダーを衣服の中に忍ばせておいて、配偶者とのやりとりを音声データとして記録することも有効です。

動画像や音声データがとれたら、いつ・どこで撮影・録音したのかもわかるように記録しておきましょう。

(2)怪我した部位や室内の状況を撮影した写真

配偶者が暴れたことによって、あなたが怪我をしたり、室内が荒れたりした場合には、その状況を撮影した写真も有力な客観証拠となります。

DV行為の最中に撮影・録音ができなかったとしても、その後の状況なら落ち着いて撮影できるでしょう。

ただし、これらの写真だけでは、「相手の行為によって」被害を受けたことまでは立証できません。
そのため、後に(5)でご説明する「DV被害の事実を記載した日記やメモ」などと併せて、DV行為の実態を立証していくことになります。

(3)医師の診断書や病院の領収書

DV行為によって怪我をしたり、うつ病などの精神疾患を発症したり、心身に何らかの不調をきたしたりした場合には、必ず医療機関で受診しましょう。医師の診断書も、ひとつの客観証拠となります。

特に、「配偶者からの暴力により受傷(発症)した」と記載された診断書は強力な証拠となります。医師に配偶者のDV行為の模様を説明し、診断書に受傷(発症)原因も記載してもらうように頼むとよいでしょう。

また、受診した際の領収書もとっておくことが大切です。領収書をためておけば、支払った医療費の金額と通院期間を立証できます。
あなたのお金で医療費を支払った場合には、配偶者に慰謝料と併せて医療費も請求することが可能です。通院期間が長引いた場合には、請求できる慰謝料が高額化することもあります。

(4)配偶者から届いたメールやLINE

夫婦間でもメールやLINEで連絡することがあると思います。
DV夫(妻)からのメールやLINEメッセージには、暴言や侮辱、脅迫などの内容が含まれていることも多いものです。
DVに当たるような内容のメッセージがあれば、動かぬ証拠となります。

証拠を集める際には、あえてあなたの方からメールやLINEで会話を持ちかければ、配偶者が記録に残る形でDV発言をしてくる可能性が高いといえます。DV発言があれば、そのメッセージを保存し、証拠化しておきましょう。

(5)DV被害の事実を記載した日記

客観的な証拠が確保できない場合でも、諦める必要はありません。DV被害を受けたら、その内容を日記に記載していきましょう。

ポイントは、いつ・どこで・どのような状況で・何をされたのかを、ありのままに詳しく書き留めておくことです。継続的に記載している日記の中にこのような記述があれば、信用性の高い証拠となることがあります。

他に客観的な証拠がある場合でも、日記にDV被害の実態を記録しておけば補強証拠として使えますので、ぜひ日記に記録していくことをおすすめします。

(6)警察など公的な相談機関に相談した記録

DV被害を受けて警察や配偶者暴力相談支援センター、婦人相談所などの公的機関に相談していれば、その事実もひとつの客観証拠となります。なぜなら、夫婦関係に何も問題がなければ、このような機関に相談することはないからです。

ですので、DV被害で苦しんでいる場合には、警察などの公的機関に相談しておきましょう。後日、情報開示請求をして相談カードや相談記録などの書面を入手できます。

(7)親族や友人などの証言

親族や友人などの第三者にDV被害を相談していた場合、それらの人たちの証言も証拠のひとつとなり得ます。

ただし、親族や友人は第三者ではあっても、あなた寄りの立場の人ですので、その証言が無条件で信用されるわけではありません。

証拠としての信用性を高めるためには、具体的な事情を伝えることと、できるだけ多くの人に相談していること、何度も相談していることなどがポイントとなります。

(8)保護命令に関する記録

既に裁判所の保護命令が出ている場合は、その書面が強力な証拠となります。なぜなら、「保護が必要なほどのDV被害が発生している」という事実を、既に裁判所が認めているからです。

ただし、保護命令を得るためにも、以上にご説明した証拠が必要となります。これから保護命令の申し立てをお考えの方は、申立書や証拠のコピーを取った上で、裁判所に提出するようにしましょう。

2、DVの証拠がないとどうなる?

DVの証拠がないとどうなる?

前項でご紹介した証拠をすべてそろえることは難しいかもしれませんが、いくつかは確保できるはずです。
もし、DVの証拠が何もなければ以下のようなデメリットが生じますので、できる限り証拠を確保しておきましょう。

(1)相手の同意がなければ離婚できない

配偶者の同意があれば協議離婚ができますが、配偶者が同意しない場合には、裁判で「法定離婚事由」があることを立証しなければなりません。

DVは「その他婚姻を継続し難い重大な事由」(民法第770条1項5号)という法定離婚事由に該当しますので、これを立証できれば裁判離婚が可能です。
しかし、
証拠がなければ、裁判ではDVはなかったものと扱われますので、離婚が認められません。

(2)離婚はできても慰謝料請求ができない

DVを立証できなくても、後でご説明するように、別居を継続するなどして離婚する方法はあります。しかし、慰謝料を獲得するためには、相手の不法行為を立証しなければなりません。

長期間の別居を理由として裁判で離婚が認められる場合には、どちらが悪いともいえないものとして、慰謝料なしと判断されることになりかねません。
つまり、実態はDVによる離婚であったとしても、証拠がなければ慰謝料請求ができないということです。

3、DV被害の立証で客観的な証拠が重要となる理由

DV被害の立証で客観的な証拠が重要となる理由

どのようにひどいDV被害を受けていたとしても、あなた自身がDV被害を主張するだけでは裁判官や調停委員には真実が把握できません。

そのため、DVの証拠が必要となりますが、特に客観的な証拠が重要となる理由は以下のとおりです。

(1)DVは密室(家庭内)で行われる

通常、DV行為は密室(家庭内)、つまり第三者が誰も見ていないところで行われます。
交通事故や路上での喧嘩などのトラブルであれば目撃者がいる可能性が高いですが、DVには目撃者がいないのです。
子どもが目撃していることもありますが、子どもの証言が無条件で信用されるとは限りません。

そのため、あなたがどのように「DV被害を受けた」と訴えたとしても、配偶者が「DV行為はしていない」と主張すれば、裁判官や調停委員には、どちらが言い分が正しいのかを判断することができません。

(2)DV行為そのものは証拠に残らないことが多い

実際にDV行為が行われたとしても、それだけでは証拠に残らないことが多いという問題もあります。

どのような暴力や暴言があったとしても、目撃者はいませんし、カメラやボイスレコーダーを設置していない限り、何ら記録に残りません。
怪我をしても、診断書や写真をとっておかなければ、治れば証拠がなくなってしまいます。室内が荒れ、物が壊れたとしても、片付けをして、壊れた物を修理や廃棄すれば、証拠は残りません。

つまり、DV行為を立証するためには、被害者が意識的に証拠を集めなければならないのです。

(3)DV夫(妻)は外面が良いことが多い

えてして、DV夫(妻)は外面が良いことが多いものです。
家庭内では配偶者に対して日常的に暴力や暴言を行っていても、外で他人と接するときには礼儀正しく、温厚に振る舞うことが多いのです。

そんな状況で、あなたが証拠もなしに「DV被害を受けている」と言っても、聞いた人には「あの人に限って、そんなことをするはずがない」と思われがちです。

第三者にDV被害を信じてもらうためには、動かぬ証拠が不可欠であるといえます。

4、DV被害に遭っているときは証拠集めよりも身の安全の確保が重要!

DV被害に遭っているときは証拠集めよりも身の安全の確保が重要!

ここまで、DVの証拠の重要性を前提として解説してきましたが、現にDV被害で苦しんでいる方は、証拠集めよりも身の安全の確保を第一に考えてください。

配偶者の浮気で離婚を考えている場合なら、当面は泳がせておいて証拠を確保するという戦略も考えられます。
しかし、
DV被害に遭っている場合には、いつ怪我をしたり精神疾患を発症したりするかもわかりません。
最悪の場合には、生命の危険すら考慮しておかなければならないのです。

したがって、証拠を確保するために配偶者との同居生活を無理に続けることは危険です。
DV行為の程度にもよりますが、耐えがたいほどに苦しんでいる場合には、なるべく早く別居するか、警察などの公的機関に相談し、身の安全を確保しましょう。

5、DV被害の証拠がない場合の対処法

DV被害の証拠がない場合の対処法

身の安全の確保を優先した場合、DV被害の証拠をほとんど確保できていない場合もあることでしょう。そんな場合は、以下のように対処していきましょう。

(1)別居を継続する

別居を長期間にわたって継続すれば、そのこと自体で夫婦関係の破綻が認められ、離婚できる可能性があります。一般的に、離婚が認められるまでの別居期間は3年~5年程度が目安です。

そして、別居してからでも構いませんので、日々の状況を日記に記録していきましょう。別居したことで、生活状況やご自身の精神的な状況がどのように変化したのかを記録していくのです。

あなたが子どもを連れてDV夫(妻)から離れた場合、別居後に子どもの様子にも変化が現れることが多いものです。その状況も記録していきましょう。

こういった記録がDVの証拠のひとつとなり、より早く離婚できる可能性があります。

(2)婚姻費用分担請求をする

別居後は、離婚が成立するまでの間、配偶者に対して婚姻費用の分担を請求できます。つまり、生活費の一部を支払ってもらえるということです。

ただし、あなたが自身が直接、DV夫(妻)に請求して話し合うことは危険です。弁護士などの第三者を間に入れて話し合うべきです。家庭裁判所に「婚姻費用分担請求調停」を申し立てることもできます。

(3)相手とのやりとりを記録していく

少しでも早く離婚を成立させて、慰謝料も請求するためには、やはりDVの証拠を確保する必要があります。

あなたが家を出ると、DV夫(妻)は黙ってはいないでしょう。おそらく、何らかの働きかけがあるはずです。

電話やメール、LINE、手紙などが頻繁に来ることもあるでしょう。
当初は謝罪や「戻ってきてほしい」という文言が多いかもしれませんが、無視していると、やがて暴言や侮辱、脅迫などの文言に変わってくる可能性が高いといえます。
場合によっては、あなたにつきまとったり、家におしかけてくることもあるかもしれません。

このような相手とのやりとりは、逐一、記録していきましょう。相手の言動次第では、別居後でもDVの客観証拠を十分に確保できることもあります。

6、DV被害の証拠集めは弁護士に相談を

DV被害の証拠集めは弁護士に相談を

DVの証拠としてどのようなものが必要か、どうやって集めればよいのかについては、「1」でご説明しました。しかし、いざ証拠を集めようとしても、うまくいかないことも多いものです。

お困りのときは、一人で抱え込まずに、離婚問題の解決実績が豊富な弁護士に相談することが得策です。
具体的な状況に応じて、有力となる証拠の種類・内容や、安全に証拠を集める方法などについてアドバイスが受けられます。

弁護士に依頼すれば証拠集めもサポートしてもらえますし、相手との交渉は弁護士が代行しますので、あなたが相手と直接やりとりする必要はありません。離婚調停や離婚裁判に進んだ場合も、全面的なサポートが受けられます。

離婚や慰謝料など、あなたが納得のいく結果を得るために、弁護士によるサポートを利用することをおすすめします。

まとめ

DV夫(妻)との離婚や慰謝料請求をお考えなら、証拠を確保することが極めて重要です。ただし、DV行為の程度がひどい場合には、それ以上に身の安全を確保することが重要となります。

一人で対処しようとすると、有力な証拠がつかめないまま、身の危険にさらされるおそれがあります。

DV被害でお困りの方は、弁護士のサポートを受けて解決を図ってみてはいかがでしょうか。

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