放置子とは?放置子の親の実情、適切な対処法について解説

放置子

放置子という言葉をご存知でしょうか?

「子供の友達が勝手に家に上がってくる」
「みんなの分のお菓子まで食べてしまったり、物を壊したりする」
「ほかの友達がみんな帰ってもずっと家に居座り続ける」

今、そんな「放置子」への対応に戸惑う人々の声が、じわじわと大きくなりつつあります。

そこで今回は、

  • よくある放置子の困った行動
  • 放置子の背景にある親の問題
  • どうするのがベスト?放置子への対処法

について、それぞれ詳しくピックアップ。

「子供の友達がどうやら放置子らしく、どのように接すれば良いのか困っている」
というみなさんにとって、この記事が現在のお悩みを解決するためのお役に立てば幸いです。

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1、放置子とは

放置子とは

もしかしたらみなさんの中には、「放置子」という言葉を知ったこと自体がつい最近!という方も多いかもしれません。
最近メディアなどでもクローズアップされることが増えてきた放置子とは、具体的にどのような子供のことなのでしょうか。

詳細をチェックしていきましょう。

(1)親の管理が不十分な子どものこと

まず押さえておきたいのが、「放置子」は特に福祉などの専門用語というわけではなく、現在のところ主にインターネット上で使用されている俗称であるという点です。
我が子がどこで何をしているのか親が関心をもっておらず、単刀直入に言えば親から「ほったらかし」にされている子供のことを指します。

(2)放置子増加の背景

そのような放置子を巡るトラブルが近年目立っている背景には、子供を育てる家庭環境の変化があります。

かつて日本では専業主婦家庭が全体の多くを占め、1980年では共働き家庭の割合が3分の1程度にしかすぎませんでした。
しかし、1997年にはそのバランスが逆転し、それ以降ずっと共働き家庭のほうが多数派となっています。
また、時代の流れとともにひとり親家庭も急増しており、母子家庭だけを見ても1983年の71万8000世帯から、2016年には123万2000世帯と約1.8倍に。

もちろんそれだけが原因ではありませんが、共働き家庭・ひとり親家庭ではどうしても親が仕事に出かけている間、子供が1人・または兄弟のみで過ごさなければならない時間が、ほかの家庭に比べて多くなります。
そのような環境と放置子の増加には、やはり一定の関連性があると考えられるでしょう。 

2、困った放置子の行動

困った放置子の行動

放置子が世間で問題視されているのは、放置子による次のような行動に、近所の人などが戸惑うケースが増えているからです。

具体的にどのようなパターンがあるのか、まとめてチェックしていきましょう。

(1)冷蔵庫を勝手にあけてしまう

放置子によくある傾向として、友達の家の冷蔵庫や棚などを勝手にあけ、中のものを触る・使いたいとねだるというものがあります。

みなさんの中には、子供の頃「他人の家のものを勝手に触ってはいけません」と親から厳しく言いつけられた人も多いかもしれませんが、放置子は基本的にしつけがなされていないため、子ども本人には悪気はありません。

(2)おやつが欲しいと要求する

遊びに来た子供の友達に、「今日のおやつは?」と催促されて驚いたというケースもあります。

放置子は、自分の家と他人の家の区別がつかない特徴があります。
自分との距離感を計る基準は、家族なのかどうかではなく、自分に優しい大人かどうか、許してくれる大人かどうか、などになりやすいのかもしれません。

(3)遊んだ後に家のおもちゃやゲームがなくなっている(盗難被害)

ほしいものを持ち帰ろうとすることは、実は子どもなら誰でもあります。

店に売っているものでも、欲しいと泣き叫んでいる子どもも珍しくありません。

通常は、親がしつけて行きますが、放置子にはそれがありません。
持ち去ることを許してしまうと、子どもによっては特別に悪いと思わずに育ってしまうこともあるでしょう。

(4)夜まで居座る

1度家に上げると、なかなか帰らず夜まで居座る子どももいます。
なぜならば、帰るメリットがないからです。
また、帰って来なさいという親もいないのです。
自宅よりもあなたの家に居心地の良さを感じているのでしょう。

(5)約束していないのに家に突撃してくる

子供同士で特に約束しているわけではなくても、いきなり家にやってくきます。
なぜならば、時間があるからです。
しつけがされていないため、単純に時間があって一人ではつまらないから、遊びにきてしまいます。

(6)一度遊んだりすると何度もやってくる

放置子は、1度自分に優しくしてくれた人に対して徹底的に依存するケースも多いでしょう。
単純に前回楽しかったのでしょう。また遊びたいのです。

一般的には、親に「何度もお邪魔したら申し訳ないから行ったらだめ」と言い聞かせられたり、習い事をさせるなど親が子どものフリータイムをコントロールしていて、行きたくても自由に行くことなどできません。でも、放置子は、しつけも、親のコントロールもないのです。

3、放置子の親側の問題

放置子の親側の問題

放置子は、子供自身の問題行動がどうしても目についてしまいがちですが、ある意味その子供も被害者であり、根本的な原因は親の側にあることがほとんどです。

典型的なパターンをいくつかご紹介していきます。

(1)親自身が養育を放棄

親が自分の忙しさや子育ての煩わしさから、ご飯やおやつをせがむ子供に対して「どこかの親切なおばちゃんにでもお願いして食べさせてもらいなさい」と言いつけている場合があります。

第二子の誕生をきっかけに第一子の養育に関心を払わなくなる親も少なからず存在し、自分に都合よく生きるためなら他人に迷惑をかけても一向に構わないという態度を子供の前でも隠そうとしません。

(2)父親が女の子に対して養育を放棄してしまう場合も

母子家庭・父子家庭では、自分とは性別の異なる子供の成長に対して配慮ができず、無自覚に放置子を生んでしまうケースもあります。

実際にあった例では、娘をひとりで育てている父親が、思春期を迎え胸のふくらみが目立つようになってきた娘に対して、ブラジャーなどの新しい下着が必要になることに思い至らず、お小遣いも食事代程度の少額しか渡していなかったことから、娘はノーブラのまま過ごさざるを得ませんでした。

そういった娘の身体の変化に気付いていても、どのように声をかけたり対応したりすれば良いのかが分からず、仕事に忙殺されるうちに娘の養育を放棄するようになる父親もいます。

(3)放置子には大きく分けて2つのパターンがある

上記の例からも少し伺うことができますが、放置子は「親が働いているため子供だけで過ごす時間が必然的に長くなってしまっている」ケースと、「親がわざと子供を家から追い出している」ケースの2種類が主なパターンです。

前者の場合、親の側には悪気がないことも多く、本当はもっと子供の面倒をしっかり見てあげたいけれど、経済的な事情から働きに出ざるを得ないというジレンマを抱えているケースが多いでしょう。

一方、後者の場合は行き過ぎると児童虐待(ネグレクト)にあたる可能性もあり、子供が親からの愛情不足を感じてSOSを発しているケースも少なくないため、注意が必要です。

これについては続いてご紹介する対処法のところで詳しく解説していきますので、あわせて参考にしてください。

4、放置子へどう対応すればいいのか?

放置子へどう対応すればいいのか?

子供と仲の良い友達であったり、学校のクラスが同じで今後も付き合いが続いていくことが分かっていたりするような場合、どんなに迷惑な行動が続いても邪険に扱うことはできないとお困りの方もいらっしゃるでしょう。

そんな放置子の戸惑う行動に遭遇したときには、一体どのように対応するのがベストなのでしょうか?接し方のポイントをご紹介していきます。

(1)よその家の子供を叱るかどうかは意見が分かれる

親(親権者)は、子どもを教育する権利と義務をもちます。
つまり、親以外にはこの権利も義務もない、ということです。

権利も義務もない者が言い放つ言葉は、とてつもなく強力に心に響く言葉でない限り(知らない人の演説なのに泣いてしまった、というようなパンチのある演説ですね)、その子の心には届きません。
仮に教育の意味でその子に何かを伝えたとしても、ほぼその子どもの心には届かない、むしろ「叱ってくる人」というマイナスイメージだけが残る可能性が高いでしょう。

「誰かが言ってあげないと、いつまで経っても物の良し悪しが分からないまま大きくなってしまう」と使命感に駆られ叱ったのに、叱られた子どもが家に帰って「○○ちゃんのママに怒られた」と話すことで、親から「人の子育てに余計な口出しをしないでほしい」と抗議されてしまう。このケースになってしまうのです。

では親ではない大人のあなたは、子どもに何ができるのでしょうか。
それは、「これをされたらいやだよ」という、迷惑だというあなたの気持ちを伝えることのみです。
子どもが育つ成長過程で、どんなことが迷惑に思われるのか、地道にその子の環境の一部として伝えられるだけです。

(2)次に家に来た際には断る勇気も大切

放置子の訪問を本当に迷惑に感じているなら、次回はきっぱり断る勇気を持つことも大切です。
迷惑だと伝えることは、上にも書きましたが、あなたの苦痛を取り除くためだけではなく、その子に迷惑というものを教える意味もあります。

また、親から頼まれたわけでもないのに子どもを預かると、その時間内にその子に起きた事故についてはあなたに責任が生じます。
特に自宅で遊ぶことを容認しているような場合、法律で言うところの「事務管理」にあたる可能性があり、その状況で子供がケガをしてしまうと、治療費の支払いなど民法上の責任を負わなければならないケースもあるのです。

「追い返すのもかわいそうだし…」と情に流されてしまいそうになる気持ちも分かりますが、何かが起こってからでは取り返しのつかないことになる場合もあり、必要に応じて毅然とした態度を取ることが重要でしょう。

(3)児童虐待である可能性も

子ども自身の行動より、背後の親に怒りを感じるようなケースでは、親が子供の身の回りの世話や教育を放棄している可能性もあります。
このような場合、直接親に話をすることは、子育てへの干渉や非難と受け取られてしまうことにより大きなトラブルへ発展してしまうリスクもあります。

ネグレクトという児童虐待にあたる可能性もあるため、まずは通っている学校の担任の先生に相談してみるなど、第三者の協力を仰ぐところから始めてみましょう。
もちろん、放置子=児童虐待とすぐに結び付けられるものではありませんが、その疑いがある場合には児童相談所へ連絡することで、詳しい調査を行ってもらうことができます。
誰が通報を行ったかということは表に出ない仕組みになっているので、子供の安全を守るためにも「どう考えても様子がおかしい」というときには速やかに相談しましょう。

(4)放置子にはどうするのが一番よいのか

子供のしつけにはこれといった正解があるわけではなく、各家庭で方針も異なるため、放置子に関するトラブルはなかなかスマートに解決するのが難しい問題です。

しかし、何も対処を行わないままズルズルと相手のペースに合わせていると、子供からの依存に対して遅かれ早かれ疲れ切ってしまいます。

放置子は個人で解決できる問題ではなく、社会全体で見守り手を差し伸べ合っていくべきテーマです。
困ったときにはまず児童相談所や子供が通っている学校にその状況を伝え、トラブルの内容を共有してください。

そうすることで、より多くの人が子供を見守ることにつながり、その都度必要に応じた対策を取ることができるようになるでしょう。

まとめ

親の管理が行き届いていない放置子は、現代社会特有の問題というわけではなく、実はずっと昔から一定の割合で存在していたものでした。

ただ、現在では昔ほど活発に近所付き合いが行われていない地域が増えていること、「うちはうち、よそはよそ」という考え方が定着し、他人の家のことには口出ししないほうが良いという風潮が世間で一般的になっていることから、放置子への対処の難しさが大きくなっていると考えることもできます。

近所の子供がしょっちゅう家に来て困る、非常識な行動を繰り返すということに頭を悩ませている場合、1番に取り組むべきは児童相談所・学校など第三者へ相談を行うことです。
今回ご紹介したポイントを参考に、みなさんも一人で問題を抱え込まず、周りと協力し合いながら子供をサポートしていきましょう。

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