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内部告発の3つの方法や事例、保護制度や解雇された場合の対処法

内部告発

内部告発を考えている、どこかにある人を通報したい。でもどこにどうやって通報したらいいのかわからない、自分が通報したことがばれてしまったらクビになってしまうかもしれない、でも会社で違法行為が行われているのを見過ごせない。

こんな風に頭を悩ませている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

会社の違法行為を是正するために行動することは素晴らしいことだと思います。

でも方法がわからないとか、クビになるかもしれないとご心配されている方のために、今回は、会社に知られないように内部告発をする方法や万が一ばれてクビにされてしまった場合の対処法などについてお話ししたいと思います。

労働問題について解決したいと考えている方は以下の関連記事もご覧ください。

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1、内部告発とは

内部告発とは

まず、内部告発とはどのようなものかという点から見ていきましょう。

(1)内部告発ってなに?

内部告発とは、組織内の人間が、その組織で行われている不正・違法な行為を、監督官庁や報道機関などの外部に知らせることをいいます。

(2)どうして内部告発というシステムが認められているの?

内部告発は、ともすれば自分が働いている会社に損害を与えかねない行為です。そのため、会社によっては、会社に都合の悪い事実を隠ぺいしようとして内部告発者を排除したり、不利益に取り扱ったりする可能性があり、内部告発をしようとする者は多大なリスクを負うこととなります。

あとでいくつか事例を紹介しますが、過去に食品の偽装表示やリコール隠しなどの組織的な不正行為・違法行為が公になったことで、企業イメージが損なわれたり、消費者の拒絶反応等が起きたりして、それが企業の業績に大きな影響を与えました。

しかし、これらの不正行為・違法行為が明るみになったことで、不正行為・違法行為が是正され、危険な商品等が市場から排除されることとなり、商品等の安全性が高まる契機となりました。

また、企業としても、法令順守が重要な経営課題であると再認識する契機となりました。

そして、これらの企業の不正行為は、その企業の従業員や関係者の内部告発によって明るみに出たことから、不正行為を正すための内部告発の価値と正当性が社会的に認識されるようになりました。

そこで、内部告発をしようとする者がリスクを恐れて内部告発を躊躇しないように、内部告発者を保護することとなりました。

(3)どういう内容が公益通報になるの?

皆様は公益通報者保護法という法律をご存知でしょうか。
企業の不正行為を、労働者等の内部の人が公益目的で通報した場合に、その労働者を解雇等の不利益な取扱いから保護するための法律です。

公益通報者保護法の2条で公益通報の定義がされています。

それによれば、公益通報とは、「労働者が、不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的その他の不正の目的でなく、その労務提供先又は当該労務提供先の事業に従事する場合におけるその役員、従業員、代理人その他の者について通報対象事実が生じ、又はまさに生じようとしている旨を、当該労務提供先若しくは当該労務提供先があらかじめ定めた者、当該通報対象事実について処分若しくは勧告等をする権限を有する行政機関又はその者に対し当該通報対象事実を通報することがその発生若しくはこれによる被害の拡大を防止するために必要であると認められる者に通報することをいう。」とされています。

なお、通報対象事実とは、個人の生命又は身体の保護、消費者の利益の擁護、環境の保全、公正な競争の確保その他の国民の生命、身体、財産その他の利益の保護にかかわる、刑法、食品衛生法、金融商品取引法、個人情報保護法等に規定する罪の犯罪行為の事実や、上記の法律の規定に基づく処分に違反することが犯罪行為の事実となる場合における当該処分の理由とされている事実などを指します。

少しわかりにくい説明ですが、平たくいえば、労働者が公益目的(不正でない目的)で、会社やその役員、従業員等がしている犯罪行為等について、会社や監督官庁等に通報することを公益通報といいます。

たとえば、上司が女性社員にわいせつ行為をしているとか、会社ぐるみで食品偽装をしているなどの事実を、会社や行政機関に通報することなどです。

このような通報をした結果、合理的理由なく無関係な部署に配置転換されたり、解雇されたりした場合には、公益通報者保護法により当該配置転換や解雇は無効となり、労働者は保護されます。

内部告発をお考えの方は、ご自身がしようとしている行為が公益通報にあたるかどうかをよく確かめておくとよいでしょう。

(4)相談窓口はある?

いきなり内部告発に踏み切ることはかなり勇気のいることでしょう。
そこで、内部告発をしようとお悩みの方のために、相談窓口をいくつかご紹介します。

東京弁護士会公益通報者相談窓口

東京弁護士会の、通報をしようとしている人や通報をしたことによって不利益な取り扱いを受けている人向けの相談窓口です。

金融サービス利用者相談室

金融庁が設置している、公益通報の仕組みに関する質問等に応じてくれる相談窓口です。

公益通報受付窓口(経済産業省)

経産省が設置している、公益通報をするためや公益通報に関する相談をするための窓口です。

2、内部告発の方法は?

内部告発の方法は?

(1)内部告発先は?

では、内部告発をするとして、どこにしたらよいのでしょうか。
考えられる内部告発先を見ていきましょう。

基本的に、下記①~③の順番に通報するようにしてください。

①企業内

まず考えられるのが、ご自身の企業内で通報するということです。
最近ではホットラインが設置されている企業もあるでしょう。

企業内でのセクハラ・パワハラや、部署内での不正行為であれば企業内で通報するのが効果的でしょう。
しかし、会社ぐるみで不正行為を行っている場合、通報された会社自身、不正行為の事実を知っているでしょうから、効果はない可能性があります。

②行政機関

そこで、企業内での解決が期待できないような場合には、行政機関に通報しましょう。

行政機関に通報するといっても、どこの行政機関に通報していいかわからないという場合は、消費者庁が、公益通報の通報先・相談先を検索するシステムをインターネット上で設けていますので、そちらを使ってみてください。

キーワードを入力して検索すると、関係する法律が出てきますので、対象となる法律を選択すると通報先が出てくる便利なシステムです。

③その他事業者外部(マスコミ、一般市民)

新聞社や雑誌社に情報提供したり、SNSに不正行為の事実を記載するなど、マスコミや一般市民に公表するという方法もあります。

この場合には少し注意が必要です。
企業や行政機関であれば、処分などをする前に独自に調査をするでしょうが、マスコミ等であれば必ずしもそうではないかもしれません。

虚偽の事実が公表され一人歩きしてしまうと、公益通報をしたあなたが名誉棄損等による損害賠償の責任を負う可能性もあります。

また、マスコミや一般市民に対して公表した場合、公益通報者保護法によって保護される要件もかなり厳格に定められており、公表の相手方が、「通報対象事実を通報することがその発生又はこれによる被害の拡大を防止するために必要であると認められる者」でないと、公益通報者保護法による保護を受けられません(公益通報者保護法第3条第3号参照。公表の相手方以外にも様々な限定があります。)。

公表しようとしていることが確かな事実であるのか、公表する相手として適切なのかなど、よく考えてから公表するようにしましょう。

(2)方法は?

内部告発の方法にとくに決められたものはありませんが、通報先により若干異なりますので、それぞれ見ていきましょう。

①企業内

企業内に設置されたコンプライアンス室や所定の部署に通報します。
電話、手紙、メール等の方法が考えられるでしょう。

ただし、将来的にマスコミ等に公表をすることを考えている場合には、書面で通報しておくことをお勧めします。

なぜなら、マスコミ等に通報した方が公益通報者保護法により保護される要件として、書面により企業に通報をした日から20日を経過しても企業から調査を行う旨の通知がない場合又は企業が正当な理由なく調査を行わない場合が挙げられているからです。

②行政機関

行政機関に対しても、電話や書面、メール等の方法がありますし、行政機関によっては先に見たとおりネット上で通報窓口を設けていることもありますので、そこから通報してもよいでしょう。

匿名で通報を行うことも可能ですが、名乗った方が調査を行ってくれる可能性は高まるでしょう。

③その他事業者外部(マスコミ、一般市民)

新聞社やテレビ局に情報を提供する、ブログやSNS等で会社の不正行為を公表する等、方法は色々あるでしょう。

最近では、匿名性を保ったまま内部告発をすることができる「Whistleblowing(内部告発).jp」という内部告発サイトもあるようです。

ただし、この方法は会社に与えるダメージが非常に大きくなるため慎重に行う必要がありますし、場合によっては公益通報者保護法による保護の対象になりませんので、注意してください。

3、内部告発は人にバレる?

内部告発はばれる?

内部告発をしたらばれてしまうのでしょうか。
いくら法律で保護される可能性があるといっても、ばれないように行いたいものですよね。

ばれないための方法と、万が一ばれそうになってしまったとき、ばれてしまったときの対処法を見ていきましょう。

(1)ばれないためにはどういうことに気をつければいいの?

ばれないためにどういうことに気をつければいいかは、内部告発の方法によって異なります。

方法ごとに見ていきましょう。

①メール

メールは、メールアドレスのほか、送信日時も形として残ります。
その気になれば、どのネットワークを通じて送信されたものかもわかってしまうようです。

そこで、匿名にすることはもちろんですが、メールアドレスも新しいものを作成し、内部告発以外には一切使わないようにしましょう。
ご自身でメールを送信するのであれば、業務時間中のほうがばれにくいかもしれません。

会社の内部の人であることが前提になっていますので、むしろ会社の近くにあるネットカフェなどが一番特定されにくいかもしれませんね。

②郵便

郵便も、筆跡や用紙の種類、発送された郵便局など、様々な手掛かりを与えてしまいます。

自筆での記載は避け、用紙は会社のものは使わないようにしましょう。
会社のパソコンで文章を作成することや、会社のプリンターでプリントアウトすることも避けてください。

郵便局も、自宅の近くは避けるようにしましょう。

③電話

ばれたくないという方は、電話での通報はあまりしないとは思いますが、するとしても、プリペイド式の携帯電話を使う、公衆電話を使うなどして、できる限りばれないようにしましょう。

④信頼できる人物に依頼

いずれの方法をとるにせよ、自分で直接行わなければ、アリバイのある状況で内部告発をすることができます。
ただし、まかせた他人からばれてしまっては元も子もないので、信頼できる人に頼むようにしましょう。

(2)それでもばれてしまったら...

いくら気をつけていても、そもそも内部告発した情報を知っている人がごく少数の場合などには、疑われてしまったりばれてしまうこともあるかもしれません。
そのような場合にどう対処すべきでしょうか。

①疑われたら...

疑われてしまったときは、その状況次第ではありますが、基本的には黙っていたほうがよいでしょう。
明確な証拠でもない限り、会社は疑うことはできてもあなたが告発者であると断定することはできません。

面と向かって戦う覚悟をするのでもない限り、黙っていることをお勧めします。

②退職に追い込まれたら...

もし内部告発を理由に退職に追い込まれてしまったら、それは不当な解雇である可能性が高いので、争うべきでしょう。

ここまで、折に触れて公益通報者保護法について触れてきましたが、改めて公益通報者保護法によって保護されるための要件をおさらいしましょう。

公益通報とは、「労働者(公務員を含みます)が、不正の目的でなく、労務提供先について「通報対象事実(具体的な内容については1(3)をご覧ください)」が生じ又は生じようとする旨を、通報先に通報すること」をいいます。

通報先に応じて、保護を受けられる要件が異なります。
通報先ごとに要件をまとめましたので、以下の表をご覧ください。

通報先保護要件
事業者内部通報対象事実が生じ、又は生じようとしていると思料する場合
行政機関通報対象事実が生じ、又は生じようとしていると信ずるに足りる相当の理由がある場合
事業者外部※通報対象事実が生じ、又は生じようとしていると信ずるに足りる相当の理由がある場合及び一定の要件(内部通報では証拠隠滅のおそれがあること、内部通報後20日以内に調査を行う旨の通知がないこと、人の生命・身体への危害が発生する急迫した危険があること等

※事業者外部とは、誰でもよいわけではなく、通報対象事実の発生又はこれによる被害の拡大を防止するために必要であると認められる者でなければなりません。

以上の要件を満たした場合には、公益通報をしたことを理由とする解雇が無効となったり、その他の不利益な取扱いが禁止されるなどの保護を受けることができます。

もっとも、仮に上記の要件を満たさなかったとしても、内部告発を理由に解雇や不利益な取扱いをすることは不当であることに変わりがないので、(ⅰ)告発内容が真実でありまたは真実と信ずべき相当な理由があるか、(ⅱ)告発の目的が公益性を有するか、(ⅲ)告発の手段・態様が相当なものであったかなどを総合的に考慮して、内部告発が正当と認められる場合には、裁判例上、内部告発を理由とした懲戒処分を行うことはできないと解釈されています。

違法な行為を行っており、しかもそれを告発したら解雇するなどした会社には戻りたくないという方もたくさんいらっしゃるでしょう。
しかし、不当解雇の事案では金銭的な解決がなされることも多々ありますので、泣き寝入りせずに戦うことをお勧めします。

4、内部告発の事例

内部告発の事例

実際に新聞報道された内部告発の事例をいくつか紹介しましょう。

(1)ミートホープの食肉偽装事件

ご存知の方も多いでしょう。
ミートホープの食肉偽装事件です。

ミートホープでは、100%牛肉と表示して販売していたひき肉の中に豚肉、等の異物を混入させて水増しをはかるなど、偽装を行っていました。

見かねた同社の常務であった赤羽喜六氏は、保健所や役所に告発しましたが、なかなか受け入れてもらえませんでした。
ところが、この告発を知った朝日新聞が調査を開始し、偽装であることが判明しました。

その後、ミートホープの社長は不正競争防止法違反と詐欺の罪で懲役4年の実刑判決を受け、会社も破産してしまい現在は存在しません。
内部告発の重要性に対する考え方に一石を投じる事件といえるでしょう。

(2)東芝不正会計

東芝の不正会計問題も内部告発を端緒として発覚したようです。

社員などが実名で通報する「公益通報制度」を使用して、証券取引等監視委員会に一通のメールが届きました。
監視委員会は検査開始を決定したうえで情報収集を進め、平成27年2月に検査に着手しました。

当初は原発事業で数十億円規模の利益水増しが疑われていただけですが、東芝が問題を公表すると、監視委員会には多数の内部情報が寄せられるようになり、様々な事業で利益を水増ししていたことが明らかになりました。

また、経営トップの圧力が問題の背景にあったことも社内のメールなどで裏付けられました。
もしかしたら最初に告発を行った人もここまでの大事になるとは思っていなかったかもしれませんね。

(3)豊洲市場問題

築地市場の移転先となる豊洲市場の建物下に、土壌汚染対策の盛り土がなく、空洞が生じていた問題です。
耳に新しい問題ではないでしょうか。

この件では、小池百合子知事の指揮のもと調査が行われましたが、結局地下空間の設置を決定した時期や責任者を特定することができませんでした。

これを受けて、小池知事は職員からの内部通報制度を拡充して再発防止と全容解明に努める方針であると発表しました。
これからはますます内部告発のシステムは強化され、社会の内部告発に対する意識も高まっていくでしょう。

まとめ

内部告発の方法や内部告発を行った場合の未来をイメージしていただくことはできたでしょうか。
内部告発は社会のため、会社のためになる立派な行為であって、決して会社に対する裏切りなどではありません。

本稿をご覧になった皆様が自信を持って一歩踏み出すことができれば幸いです。

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