侮辱罪とは?被害を受けた時に役立つ6つの知識を弁護士が解説

侮辱罪

侮辱罪で訴えたいけれどどうすればいいのか分からない……。

近年は、ネット上での侮辱的な表現によって被害を受ける方が増えています。
こうした場合、その情報の発信者に対してどんな責任を問うことができるのでしょうか?

そンターネットの世界となると、互いの顔が見えず物が言いやすい環境となるため、表現行為がますますエスカレートし、大きな損害(被害)を受けてしまうことがあります。

最近ではネット上の侮辱的な発言が問題視され、法改正も進みつつあります。

今回は、

  • ネット上の侮辱発言に対して責任追及するための具体的な方法

についてベリーベスト法律事務所の弁護士が解説いたします。

ネットの誹謗中傷に関して詳しく知りたい方は以下の記事もご覧ください。


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1、侮辱罪とは

侮辱罪とは

侮辱罪は刑法231条に規定されています

(1)侮辱罪成立の要件

侮辱罪は、事実を摘示しないで、公然と人を侮辱した場合に成立します。

①公然と

公然とは、不特定又は多数人が認識し得る状態で、という意味です。
誰でも閲覧可能なネット上の世界は公然性が認められることが多いでしょう。

②人を侮辱

対象は人ですから、例えば、動物を侮辱しても侮辱罪は成立しません。

また、「侮辱」とは、具体的事実を摘示することなく、人の社会的評価を低下させるような抽象的判断・批判を表現することをいうと解されています。

(2)侮辱罪の刑罰

拘留又は科料です。

なお、拘留とは、一日以上三十日未満の間、刑事施設(刑務所など)に拘束すること、科料とは、千円以上一万円未満の金を納付させることをいいます。

(3)似て非なる名誉毀損罪(刑法230条1項)との違いとは?

名誉棄損罪と侮辱罪は「事実の適示」の有無によって区別されます。

事実を摘示した場合は名誉棄損罪、単なる意見・感想・憶測の場合は侮辱罪です。
具体例は下記2でご紹介します。

また、名誉棄損罪の罰則は「3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金」と侮辱罪よりも重いです。
これは、事実を摘示された方が、被害のダメージが大きいためと考えられるからです。

2、これは侮辱罪?ネット上の侮辱発言の事例

これは侮辱罪?ネット上の侮辱発言の事例

では、実際、ネット上のどんな行為が侮辱罪に当たり得るのかご紹介します。

(1)侮辱罪に当たり得る例

  1. 自身のSNS上の投稿欄への「●●はどうしようもないバカで話にならない」との書き込み
  2. サッカーチームの掲示板への「●●は年だし、チームにとって使いものにならない。即刻引退させるべきだ。」との書き込み
  3. 飲食店検索サイトの口コミ欄への「この店の●●は食えたもんじゃない。」との書きみ

(2)侮辱罪に当たらない例

  1. 特定の人に対するメール、メッセージ機能を用いてのやり取り
    この場合、公然性が認めれないので、侮辱罪は成立しません。
  2. 正当な表現行為
    掲示板等で特定のアーティストの曲について、「この曲はメロディーがよくない」といった書き込みをした場合、これは「侮辱」には当たらないので、侮辱罪は成立しません。

3、侮辱罪で訴えたい!刑事上の処罰を受けさせるにはどうすればよい?

侮辱罪で訴えたい!刑事上の処罰を受けさせるにはどうすればよい?

刑法上、侮辱罪は被害者の告訴がなければ発信者を処罰することができません(親告罪)。
したがって、発信者に刑事処罰を求めるには捜査機関(警察、検察)に告訴するのが通常かと思います。

(1)告訴の方法 

告訴は口頭でも書面(告訴状)でもすることができます。
しかし、捜査機関に告訴を受理してもらうためには告訴状を提出することの方が一般的です。
提出先は、通常は警察署です。

(2)告訴状を提出する

告訴状に決められた書式はありませんが、被告訴人・告訴人の氏名、住所、処罰を求める意思(告訴趣旨)、告訴事実など必要事項を記載しなければ受理されません。
証拠があればそれも添付します。

書き方などが分からない方は弁護士などに相談しましょう。

4、侮辱罪で告訴したら相手はどうなる?

侮辱罪で告訴したら相手はどうなる?

捜査機関が告訴状を受理すれば、捜査機関は告訴事実につき捜査を始めます。
そして、捜査機関は、捜査の一環として、発信者から事実を聴くために取調べを行うでしょう。
なお、侮辱罪では、発信者が正当な理由なく捜査機関に出頭しない場合又は住居不定の場合でなければ逮捕してもらうことはできません(つまり、逮捕される可能性は低いといえます)。

事件が送検された場合、検察官による取調べの後、起訴か不起訴かの刑事処分が決まりますが、侮辱罪の法定刑は「拘留又は科料」と比較的軽く、不起訴となる可能性も高いのが実情です。
また、仮に、起訴されたとしても略式起訴され「科料」(刑法上は罰金または科料)の命令を言い渡されることが多いでしょう。

5、民事的手段も併せてご検討を

民事的手段も併せてご検討を

発信者が逮捕される可能性は低い上に、刑もそれほど重くないのが侮辱罪の刑事罰です。

被害者が受けたダメージを回復するには、以下のような民事的手段を検討する方がよいでしょう。

(1)削除請求

ネット上に掲載された侮辱表現は、そのまま放置されるべきではありません。
早速削除に動きましょう。

削除の方法についてはこちらの記事をご覧ください。

(2)損害賠償(慰謝料)請求

侮辱表現をされたことで、あなたは精神的な損害を受けています。
そのため、慰謝料請求として損害賠償請求をしていきましょう(民法710条、709条)。

損害賠償請求をするためには弁護士に依頼することをお勧めします。
弁護士費用は相手方に請求できることもありますので、まずは自治体、弁護士会、弁護士事務所等の無料相談などで費用対効果を確認しましょう。

(3)謝罪(広告)請求

侮辱された場合、通常相手に求めるのは「謝罪」ではないでしょうか。

民法では、この謝罪請求についても規定されています。

相手がすぐに謝罪するようであればトラブルにはなりませんし、相手にもきっと言い分があることでしょう。
弁護士は交渉のプロですから、相手に謝罪させることについても依頼してみましょう。
どんなに込み入った事情の中でも、きっとあなたの望む謝罪を引き出してくれるはずです。

6、悪質な侮辱を受けた方や民事的手段をご検討中の方は弁護士へ相談を

悪質な侮辱を受けた方や民事的手段をご検討中の方は弁護士へ相談を

侮辱行為があまりにも悪質な場合は、いくら刑が軽いと言っても、発信者にきちんと刑事責任を負わせなければなりません。
弁護士は、告訴状の作成から捜査機関への提出までお手伝いさせていただきます。

また、前記でご紹介した民事請求は弁護士を味方につければスムースに、かつ効果的に手続きを進められるでしょう。
トラブルというのは基本的に第三者が入ると解決が早いもの。
法律と交渉のプロを味方につけて、あなたに不利益がないように、受けた損害を回復していきましょう。

まとめ

ネット上の過剰な表現は、リアルな生活における不満とストレスのはけ口かもしれません。そのため、身に覚えがないのにひどい言葉を書き込まれたような場合は、無視に値することも少なくないことでしょう。

ただ、表現が一度拡散してしまうと、ネガティブなイメージを払拭するのは至難の技であり、加害者が何ら罰を受けずにい続けることに許せない気持ちになることは当然のことです。

そんな時はぜひ弁護士に相談してください。
本記事でご紹介したさまざまな手法の中から、あなたの気持ちに適した最良の方法を共に探してくれることでしょう。

あなたが早く精神的なダメージを回復し、また前を向いて人生を歩まれますよう願っています。

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