「刑務所での生活ってどんな生活なんだろう…。」と気になったことはありませんか?
この記事では、刑務所での生活の概要について詳しく解説していきます。
刑事事件と民事事件の違いについて知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
1、刑務所生活の流れ
まず、刑務所での生活はどんな流れで進んでいくのかみていきます。
※以下でご紹介する内容は一例であって、時間などは刑務所ごとに異なります。
(1)刑務所の1日の流れ
6時40分 起床
↓
6時55分 朝食
↓
7時50分 矯正処遇の実施
↓
11時30分 運動
↓
12時00分 昼食・休憩
↓
16時30分 矯正処遇、(入浴)
↓
17時00分 夕食
↓
18時00分 余暇時間
↓
21時00分 就寝
ざっとご覧になって、刑務所生活は「早寝、早起きの生活」「規則正しい生活」という印象を受けられたのではないでしょうか?
食事は、低予算に抑えられていますが、栄養面に配慮されています。
季節のイベントを意識した献立が出たり、おやつが出たりすることもあるようです。
「自弁」といって、一定の条件の下、ご自身の負担で、好きな食糧品、飲料を購入することもできます。
なお、自弁できるものは、他にも、衣類、室内装飾品、嗜好品、日用品、文具などがあります。
入浴は1週間に2回以上(ただし、賞罰を科せられている方は1回以上)で、季節によって回数が異なります。
余暇時間は、読書をしたりテレビを観たりすることができます。
この時間に家族などに手紙を書く方もおられるようです。
(2)刑務所の1年の行事
大晦日は午前0時までテレビ鑑賞が可能で、年越しには年越しそば、正月には雑煮とおせちが配給されることもあるようです。
春になり桜の季節となると観桜会が開かれます。
もっとも、お菓子を配給され、食べるだけで終わりという簡素なもののようです。
春、あるいは秋には野球・サッカー大会、運動会が開催されます。
冬にはクリスマス会が開かれ、ケーキを食べるなどしてクリスマスの雰囲気を味わいます。
また、1年に1回、著名人らの慰問を受けます。
内容は講演、観劇、演奏、コンサートなど多岐にわたります。
2、刑務所は刑罰を受ける施設
刑務所は、刑罰(懲役、禁錮、拘留)を科せられた人(受刑者)を収容する施設です。
(1)「刑罰」とは
刑罰は、死刑であれば人の生命を、懲役、禁錮、拘留であれば人の自由を、罰金、科料であれば人の財産を強制的に奪うものです。
そして、懲役、禁錮、拘留の目的は、罪を犯した人を社会から「隔離」し、二度と犯罪をしないよう「矯正」することによって、社会秩序の維持を図ることにあります。
(2)自由を奪われるってどんなこと?
自由を奪われるということは、自分の好きな環境で、やりたいときに、やりたいことができないということです。
起きたいときに起き、食べたいときいに食べ、寝たいときに寝る、あるいはやりたいことをやりたいときにやる、など、刑務所に収容されるとそうした自由が一挙に奪われてしまうのです。
これは本来、人間にとって苦痛、ストレス以外の何物でもないことです。
刑務所は、刑務所内の秩序を維持しながら、受刑者の「矯正」を図る場所ですから、刑務所内では規則正しい生活を強いられます。
3、刑務所における受刑者の処遇
刑務所に収容されても、いずれは社会復帰します。
そこで、刑務所は罪を犯した人を「矯正」するだけではなく、釈放後、円滑に社会内生活を送るための「改善更生」を図るための施設でもあります。
法律では、「受刑者の処遇は、その者の資質及び環境に応じ、その自覚に訴え、改善更生の意欲の喚起及び社会生活に適応する能力の育成を図ることを旨として行うものとする。」と定められています(刑事収容施設法第30条)。
そのため、刑務所では、釈放後の社会内生活を円滑に送るための指導として、「改善指導」というものがあります。
改善指導には、被害者などの感情を理解させ、罪の意識を培わせること、心身の増進を図ること、社会適応に必要な能力を身に着けることなどを目的とする「一般改善指導」と、薬物依存や暴力団への加入により、改善更生及び円滑な社会復帰に支障があると認められる受刑者に対し、その個別的な事情の改善に資するよう特に配慮して行う「特別改善指導」があります。
一般改善指導の例として、
- 犯罪被害者、遺族による講話
- 教養番組視聴
- 健康運動指導
- 酒害教育
- 窃盗防止教育
- 職業講話
- 対人関係円滑化指導
などがあります。
特別改善指導は、
- 薬物依存離脱指導
- 暴力団離脱指導
- 性犯罪再犯防止指導
- 被害者の視点を取り入れた教育
- 交通安全指導
- 就労支援指導
に分けられます。
4、自ら刑務所生活を望む人も
自由のない刑務所生活にもかかわらず、自らそれを望む方もおられます。
いわゆる刑務所志願者という方々で、若者に比べ高齢者に多いようです。
その理由として多いのは、お金がなくて生活が苦しいことです。
刑務所に入れば衣食住にかかる必要はタダ、税金で賄ってもらえます。
また、仮に、病気に罹ったとしても刑務所できちんと対応してくれ、かかった費用を負担する必要はありません。
食べることにも困窮する状況であれば、最低限の食事が出る刑務所に入りたいと思うのです。
また、一人暮らしの高齢者などの場合、「孤独がつらい。」「話相手が欲しかった。」「今の生活に疲れた。」という理由で刑務所に入りたいと思う人もいるようです。
しかし、たとえそうであったとしても、どのような理由があっても、刑務所にそれを求めることは違います。
なぜなら、刑務所に入るまでには、他人や社会を巻き込んだ犯罪を犯さなければならないからです。
もしも刑務所に居場所を求めてしまう自分を見つけたら、自治体のカウンセリングを受けてみてください。
あなたのこころのケアができるカウンセラーと出会えることを願います。
5、刑務所生活はキツイ!刑務所生活では何がキツイのか
とはいえ、やっぱり刑務所生活はキツイ、厳しいのが現実です。
(1)刑務所では自由がない
前記2(2)でご説明したとおりです。
自分の思い通りにできない(つまり、他人から強制される)。人間にとってはこれが一番ストレスですし、苦痛です。
(2)刑務所では共同生活
ほとんどの受刑者は共同生活を強いられます。
8畳程度の部屋に5、6人で生活します。
共同生活を経験したことがない方にとっては特にストレスとなるでしょう。
(3)刑務所ではプライベートがない
共同生活ということはプライベートが確保されていません。
用便以外は、何をするにしても他人の目に晒されます。
(4)刑務所では人間関係に悩まされることも
刑務所の中には様々な特徴を持った方がおられます。
しかも、すべての人がご自身の性格と合った方とは限りません。
そうした方々とも生活を共にしていく必要があります。
(5)刑務所では訓練、指導が厳しい
刑務所は罪を犯した方を「矯正」するための施設です。
刑務所内の秩序も保たれていなければなりません。
そのため何をやるにしても決まりがあります。
その決まりに従うことができなければ刑務官から厳しく指導されます。
他人から叱られるというのは、精神的に大変辛いことです。
刑務所生活はキツイ、厳しいということは想像いただけましたでしょうか?
刑務所生活をしたことがある大半の人は、「二度と戻りたくない」と思うようです。
確かに、食べるのには困らないかもしれません。
しかし、それがために犯罪をすることを安易に考えるのは、社会にとっても、自分にとっても危険なことです。
まとめ
以上、刑務所生活についてご理解いただけましたでしょうか?
刑務所に入るということは罪を犯すことが前提になっています。
罪を犯すということは、他人を苦しめ、又は、社会に悪影響を与えているということです。
「刑務所生活は楽だ」などというネットなどでの安易な情報に振り回されず、まずはあなたの今の状況を、少しずつ回復していきましょう。
回復したら、あなただけの自由な人生をもう一度謳歌してください。