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病気が理由で解雇されたときに知っておくべき10のこと

病気 解雇

病気が理由で解雇され退職させられた際、どのような行動を取れば良いのでしょうか。

病気になって会社を休んだ経験は、多くの方がお持ちだと思います。

病気の程度や原因は様々ですが、病気が理由で会社を解雇されると納得できない場合が多いでしょう。
解雇の無効を訴えたり、金銭的な補償を請求することはできないのかが気になることと思います。

そこで今回は、

  • 病気を理由とする解雇が有効なケースと無効なケース
  • 不当解雇の場合に会社に対して請求できること
  • 解雇の無効や金銭的請求をする方法
  • 不当解雇の際にすべき相談先と対応について

などについて解説していきます。
病気で会社を休んで解雇された方や、退職を迫られてお困りの方は、ぜひ参考にしてみてください。

会社をクビにされそうだけど、それって不当解雇?とお悩みの方は以下の関連記事をご覧ください。

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1、病気を理由に解雇し退職させることは法律的に可能なのか

病気を理由に解雇することは許されるのか

誰しも病気になることはありますし、病気の原因も本人の責任とはいえない場合も多いものです。
それにもかかわらず、病気を理由に解雇することがそもそも許されるのかについて、まず考えてみましょう。

(1)解雇は簡単にできないのが基本

軽い病気でも解雇することが許されたのでは、労働者は安心して働くことができません。
会社の業務も円滑に進まなくなってしまうでしょう。

法律にも次のような規定があり、簡単には従業員を解雇することはできないことになっています。

(解雇)

第十六条 解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。

引用元:労働契約法

ただ、会社としては病気で働けない人をいつまでも雇い続けるわけにはいかないのも事実です。
そのため、場合によっては病気を理由とする解雇が許されることもあります。

では、病気を理由とした解雇が有効かどうかはどのような基準で判断されるのでしょうか。

(2)病気での解雇が有効かどうかの判断基準

労働契約法第16条の規定によれば、解雇することに客観的で合理的な理由があり、社会通念上相当であると認められる場合は、病気を理由とする解雇も許されます。
この判断基準は抽象的なので、実際には個別に様々な事情を考慮して解雇の有効性を判断することになります。

具体的には、主に以下のような事情が考慮されます。

  • 病気によって仕事にどの程度の支障があるのか
  • 病気の原因が業務によるものか、個人的なものか
  • 就業規則に病気を理由として解雇できる旨が定めてあるか
  • 病気が治る見込みがあるか、いつ頃治りそうか
  • 病気以外にも解雇理由があるか
  • 他の業務等への配転による解決の可能性がないか

これらの事情を総合的に考慮した結果、解雇が有効と認められるかどうかはケースバイケースとなります。

そこで、解雇が有効となるケースと無効となるケースを具体的にみていきましょう。

2、病気での解雇が有効となる状態について

病気での解雇が有効となるケース

病気を理由とした解雇が有効となるケースの具体例として、以下のようなものが挙げられます。

(1)病気のため相当期間仕事につけないとき

病気のために全く仕事につけない状態が相当期間継続するような場合、普通解雇として解雇が有効となる可能性があります。

ただし、全く仕事につけないか状態かどうかは主観的な判断になることもあるので、解雇の無効を争える可能性もあります。

また、それまでに行っていた業務が行えないとしても、他の業務であれば行える状態であって、そのような業務を行う部署等に配転することが現実的に可能であるような場合には、解雇までする必要はないものとして、解雇の無効を主張できる可能性があります。

さらに、全く仕事につけない状態であっても、次に記載する(2)の内容にもあるように、病気の原因が業務によるものである場合は、療養のための休業期間とその後30日間は解雇が認められません。

(2)業務上生じた病気の場合で、会社が打切補償を支払ったとき

病気の原因が業務によるものである場合は、療養のための休業期間とその後30日間は解雇が認められません(労働基準法19条1項本文)。

しかし、療養が3年以上に及ぶ場合は、会社が打切補償を行うことで解雇できることが法律で認められています(労働基準法19条1項ただし書き、同81条、同75条1項)。

(解雇制限)

第十九条一項 使用者は、労働者が業務上負傷し、又は疾病にかかり療養のために休業する期間(中略)及びその後30日間は、解雇してはならない。ただし、使用者が、第81条の規定によつて打切補償を支払う場合(中略)は、この限りでない。

引用元:労働基準法

(打切補償)

第八十一条 第75条の規定によつて補償を受ける労働者が、療養開始後3年を経過しても負傷又は疾病がなおらない場合においては、使用者は、平均賃金の1200日分の打切補償を行い、その後はこの法律の規定による補償を行わなくてもよい。

引用元:労働基準法

(療養補償)

第七十五条一項 労働者が業務上負傷し、又は疾病にかかった場合においては、使用者は、その費用で必要な療養を行い、又は必要な療養の費用を負担しなければならない。

引用元:労働基準法

(3)ただし、解雇予告は必要

解雇が可能なケースであっても、普通解雇の場合には、解雇する日の30日前までに解雇予告を行う必要があります。
30日前までに解雇予告が行われていない場合は、不足する日数分の平均賃金を解雇予告手当として請求することができます(労働基準法20条1項本文)。

(解雇の予告)

第二十条一項 使用者は、労働者を解雇しようとする場合においては、少くとも三十日前にその予告をしなければならない。三十日前に予告をしない使用者は、三十日分以上の平均賃金を支払わなければならない。但し、天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となつた場合又は労働者の責に帰すべき事由に基いて解雇する場合においては、この限りでない。

引用元:労働基準法

平均賃金とは、直近3ヶ月の賃金の総額をその3ヶ月の暦日数で割った金額のことです。

3、病気での解雇が無効となるケース

病気での解雇が無効となるケース

病気を理由とした解雇は、法律上は無効と判断されることもあります。

しかし、会社の経営者といえども法律に詳しい人ばかりではないので、法に反して解雇されてしまうことがあります。
解雇が無効となりうるケースとして、主に以下のようなものがあります。

(1)業務上生じた病気について、法律上の解雇の要件を満たさない場合

病気の原因が業務によるものであるときは、一定の期間、その病気を理由として解雇することは許されません。
一定の期間とは、上記の労働基準法の規定のとおり療養のための休業期間とその後30日間で、最大3年間です。
3年経っても病気が治らないために解雇する場合は、会社からの打切補償が必要であることは前述の通りです(労働基準法19条1項、81条、75条1項)。

(2)仕事に顕著な支障のない病気のとき

病気になっても、それまで行っていた業務に大きな支障が生じない場合であれば、通常、解雇まで行うことは相当ではないと考えられるため、解雇は無効となる可能性が高いです。
業務に耐えられない状態でない限り、就業規則の解雇理由にも該当しない場合が多いでしょう。

たとえ病気になる前の業務に耐えられない状態になったとしても、別の業務であれば行うことが可能であるにもかかわらず、配置転換等の措置を考慮せず安易に解雇されたような場合にも、そのような解雇は無効である可能性が高いでしょう。

(3)妊娠や産後、生理のとき

女性の妊娠や出産を理由とする解雇は、男女雇用機会均等法によって禁止されています(男女雇用機会均等法9条)。
労働基準法では生理休暇が認められている(労働基準法68条)ため、生理で仕事につけないことを理由に解雇することも許されません。

現実には妊娠や出産を機に自主退職する女性も多いのですが、会社側から自主退職を迫られることもよくあります。
後の項でも説明しますが、退職の強要も違法となる場合があるので、安易に退職の要求に応じないように気をつけましょう。

(婚姻、妊娠、出産等を理由とする不利益取扱いの禁止等)

第九条  事業主は、女性労働者が婚姻し、妊娠し、又は出産したことを退職理由として予定する定めをしてはならない。

2  事業主は、女性労働者が婚姻したことを理由として、解雇してはならない。

3  事業主は、その雇用する女性労働者が妊娠したこと、出産したこと、労働基準法 (昭和二十二年法律第四十九号)第六十五条第一項 の規定による休業を請求し、又は同項 若しくは同条第二項 の規定による休業をしたことその他の妊娠又は出産に関する事由であつて厚生労働省令で定めるものを理由として、当該女性労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならない。

4  妊娠中の女性労働者及び出産後一年を経過しない女性労働者に対してなされた解雇は、無効とする。ただし、事業主が当該解雇が前項に規定する事由を理由とする解雇でないことを証明したときは、この限りでない。

引用元:「雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律」

(生理日の就業が著しく困難な女性に対する措置)

第六八条

使用者は、生理日の就業が著しく困難な女性が休暇を請求したときは、その者を生理日に就業させてはならない。

引用元:労働基準法

(4)病気の回復が見込まれるとき

病気によって全く仕事を行えないような状態になってしまった場合でも、病気が一時的なものであり、一定期間の治療などによって回復することが見込まれる場合には、解雇までする必要はないものとして、解雇が無効となる可能性があります。
このような場合でも解雇が有効となるのは、回復の見込みはあるものの相当先になってしまうなど、病気が特に重大な場合であると考えられます。

4、病気での退職勧奨による実質的解雇が違法な退職強要にあたることも

病気での退職勧奨が違法な退職強要にあたることも

会社から病気を理由にいきなり解雇を言い渡されるのではなく、退職勧奨が行われるケースもよくあります。
しかし、退職勧奨も、場合によっては違法となる可能性があります。

(1)退職勧奨とは

退職勧奨とは、従業員が自主的に退職するように会社から働きかけることをいいます。
従業員をむやみに解雇するとトラブルが起こりがちであることは、会社も分かっています。
そこで、トラブルを避けつつ辞めてもらうために、自主退職を促してくるのです。

(2)退職勧奨が違法な退職強要にあたる場合

退職勧奨そのものは違法ではありません。話し合いによってお互いが納得すれば、円満な退職ということになります。
しかし、会社側がどうしても従業員を辞めさせたいと考えている場合は、悪質な退職勧奨を行うことがあります。

以下のような行為を伴う退職勧奨は、社会的にみて相当性を欠く手段・方法によるものであり、実質的に退職を強要するものとして違法である可能性が高いです。

  • 退職を断っている従業員に対して執拗に退職を勧奨する
  • 怒声や人格攻撃を交えて頻繁に叱責する
  • 達成困難なノルマを与えて、達成できなければ解雇すると脅す
  • ほとんど仕事を与えずに冷遇する
  • 自主退職しなければ懲戒解雇になると伝える

これらの悪質な退職勧奨を受けて退職届を提出しても、自主的に退職したとはいえない場合があります。
その場合は、強迫等を理由として退職の意思表示を取り消すことができる可能性があります。

(3)退職勧奨を受けたときの対処法

退職勧奨は、「自主的に退職してほしい」という会社からの意思表示です。
会社を辞めたくない場合は、退職勧奨に応じる必要はありません。

とはいえ、悪質な退職勧奨を行うような会社にいたくない場合もあるでしょう。
その場合は、退職の条件について会社と交渉しましょう。
従業員側に退職する義務はないので、強気で交渉すべきです。
自分では十分に交渉できない場合は、弁護士に相談すると良いでしょう。

退職勧奨に屈して不本意ながら退職してしまった場合は、退職の意思表示の取消しや会社に対する金銭的請求を考えましょう。
どのようなことを請求できるのか、どうやって訴えれば良いのかは次項以降をご参照ください。

5、病気による解雇が無効な状態で請求できること

病気による解雇が無効な場合に請求できること

では、病気による解雇が無効な場合に、会社に対して何が請求できるのかをみていきましょう。

(1)解雇無効・地位確認請求

まずは、解雇が無効であることと、引き続き従業員としての地位を有していることの確認を請求することができます。

会社に戻りたい場合はもちろん、会社に戻りたくない場合もこの請求をすることは大切です。
なぜなら、引き続き従業員としての地位を有していることを確認することで、正式に退職手続きをとるまでの間に支給されるはずだった未払給与を請求することができるからです。

(2)未払給与

解雇を通知された時点で未精算だった給与はもちろん、その後の給与も請求できます。
解雇されてから解雇無効・地位確認請求をした上で、復職するか正式に退職するまでに支給されるはずだった賃金を請求できるのです。

(3)慰謝料

従業員を不当に解雇することは会社の不法行為に該当するので、不当解雇によって受けた精神的損害に対する賠償として慰謝料を請求することができます。
慰謝料が認められる場合の額は100万円以下のケースが多いですが、事情によってはより高額の慰謝料が認められることもあります。

もっとも、解雇無効や解雇後の賃金相当額の支払いが認められた場合には、その支払いで精神的損害の賠償も含む等の判断がされ、慰謝料は認められないこともあります。
そのため、慰謝料が認められるのは、不当解雇の中でも悪質なケースと考えられます。

6、病気による解雇|違法な退職勧奨に対して請求できること

違法な退職勧奨に対して請求できること

(1)退職の意思表示の取消し・地位確認

退職勧奨が違法と考えられる場合、強迫(民法96条1項)等に該当するとして退職の意思表示を取り消し、従業員としての地位を有していることを確認することが考えられます。
会社に戻ることを望んでいない場合であっても、正式に退職手続きをとるまでの間に支給されるはずだった未払給与を請求するため、地位確認請求も行うべきであることは、解雇無効の場合と同様です。

(詐欺又は強迫)

第九六条一項

詐欺又は強迫による意思表示は、取り消すことができる。

引用元:民法

(2)未払給与・慰謝料

これらに関しては、解雇が無効の場合と同様に請求することが考えられます。

7、病気による不当解雇・違法な退職勧奨を訴えるためにやっておくべきこと

病気による不当解雇・違法な退職勧奨を訴えるためにやっておくべきこと

病気による解雇が無効な場合や、退職勧奨が違法である場合でも、やみくもに「不当解雇だ」「違法だ」と訴えると会社から「病気を理由とした解雇ではない」などと反論されて、話が進まなくなるおそれがあります。
そのため、不当解雇や違法な退職勧奨を訴える前に以下のような準備をしっかりとしておくことが大切です。

(1)不当解雇・違法な退職勧奨にあたるかどうかを確認する

病気による解雇や退職勧奨が有効なケースもある以上、ご自分のケースが不当解雇や違法な退職勧奨に当たるかどうかを確認することがまず必要です。
解雇や退職勧奨が有効なケースと無効なケースは先ほどご説明しましたが、以下のポイントを中心に改めて確認してみましょう

【解雇の場合】

  • 病気の原因が業務によるものかどうか
  • 病気で仕事につくことができない状態かどうか
  • 解雇された理由と解雇に至る経緯
  • 就業規則に記載されている解雇理由の内容

【退職勧奨の場合】

  • 退職勧奨の方法・手段
  • 退職勧奨に対し、退職の意思がないことを明確に伝えているか否か

(2)証拠を確保する

不当解雇や違法な退職勧奨にあたる場合は、次に証拠を確保することが重要です。
会社が不当解雇や退職勧奨の違法性を認めない場合は、証拠がなければ話し合いも進みませんし、裁判をしても勝訴することはできません。

不当解雇や退職勧奨の違法を証明するために必要な証拠としては、以下のようなものがあげられます。
未払給与や未払残業代を証明するための証拠も併せてご紹介します。

  • 就業規則
  • 雇用契約書や賃金規程
  • 解雇理由証明書や解雇通知書
  • 診断書
  • タイムカード
  • 解雇に至る経緯、退職勧奨の方法・手段・内容等を証明できるもの(通知書面やメール、会話の録音など)
  • 病気の原因を証明できるもの(メールや会話の録音、勤務時間や作業内容の記録など)

以上の証拠の中には会社に保管されているものも多くあります。
そのため、事前に証拠を確保しておくことが重要です。

もし、解雇されてしまった後または退職してしまった後に証拠を集めなければならない場合は、弁護士に相談した方が良いでしょう。

(3)弁護士に相談する

まずは自分で会社と話し合ってみるのも良いですが、会社が不当解雇を撤回することや退職勧奨の違法を認めることは多くありません。
そのため会社が不当性・違法性を認めない場合に、会社の不当解雇や退職勧奨の違法性を訴えたいとお考えの場合には、弁護士に相談することをおすすめします。

労働問題に詳しい弁護士に相談すれば、不当解雇や違法な退職勧奨にあたるかどうかを適切に判断した上で、ケースに応じた争い方をアドバイスしてもらえます。
未払給与や慰謝料などをどの程度請求できるかの見通しも教えてもらえるので、請求漏れを防ぐこともできます。

8、病気による不当解雇を訴える方法

病気による不当解雇を訴える方法

それでは、実際に病気による不当解雇を訴えるにはどうすればいいのかをみていきましょう。

(1)都道府県労働局のあっせん

まず、労働に関するトラブルは各都道府県の労働局に無料で相談することができます。
労働局では、「あっせん」という、トラブルの当事者双方を呼び出して和解協議を仲介する手続きを行っています。
この手続きは、無料で手軽に相談できるというメリットがある一方、当事者があっせんの案に応じなければ手続が終了となるため、あっせん手続のみで解決が図れない可能性があるというデメリットがあります。
しかし、費用をかけたくない場合で、一人で会社と話し合うのが不安な場合には利用してみるのも良いでしょう。

(2)労働審判

労働審判とは、通常の訴訟とは異なり、労働トラブルについて原則として3回以内の期日で調停または審判による解決を図る裁判手続きです。
あっせんと異なり、話し合いで合意に至らない場合でも、裁判所から審判という形で判断がされる点で、手続内での解決の可能性が高まります。

もっとも、審判内容に不服のある当事者は、異議申立てをすることによって、手続を訴訟に移行させることができます。
通常の訴訟と労働審判を比較すると、労働審判の方が通常訴訟よりも早期の解決が期待できるメリットがありますが、当事者が審判の結果に納得できなかった場合、さらに通常訴訟に移ることになるため、結果的により時間がかかってしまう可能性もあります。

(3)通常訴訟

通常訴訟では、訴える側が原告となって裁判を起こし、被告である相手方と主張を出し合い、両当事者から出された主張と証拠をもとに、裁判官が判断を下すこととなります。
もっとも、通常訴訟になっても、判決まで至らずに和解で終了するケースも多くあります。

法的に有効な主張を出し、その主張を証拠で証明するためには専門的な知識が必要になります。
そのため、訴訟をするなら弁護士に依頼した方が良いでしょう。

9、病気で解雇された後に収入を確保する方法や給付金の請求方法

病気で解雇された後に収入を確保する方法

ここまで、不当解雇を以下に訴えるかという観点を中心にご説明してきました。
しかし、解雇されてしまうと給与がストップしてしまうため、何らかの方法で収入を確保することも大切です。

病気を抱えているのであれば、すぐには次の仕事につけない場合も多いでしょう。
そんなときは、国の制度も利用して収入を確保するようにしましょう。

利用できる制度としては、以下のようなものがあります。

なお、以下の制度のうち、失業保険や傷病手当については、主に仕事を辞める場合の制度になります。
そのため、解雇の無効を主張し、復職することを考えている場合にこれらの制度を利用したいという方は、仮給付の申請を検討することになります。

※仮給付とは
解雇の効力を争っている間、仮として雇用保険の給付を受けられる制度。
一定の要件を満たせば解雇の効力を争いながら給付金を得られるという点でメリットがありますが、解雇の無効が認められて復職することとなった場合には、給付金を返還する必要があります。

(1)失業保険(雇用保険中の基本手当)

失業保険の給付を受けるためには、原則として過去2年間に12ヶ月以上、雇用保険に加入していることが必要です(雇用保険法13条1項)。

(基本手当の受給資格)

第十三条一項 

基本手当は、被保険者が失業した場合において、離職の日以前二年間(当該期間に疾病、負傷その他厚生労働省令で定める理由により引き続き三十日以上賃金の支払を受けることができなかつた被保険者については、当該理由により賃金の支払を受けることができなかつた日数を二年に加算した期間(その期間が四年を超えるときは、四年間)。第十七条第一項において「算定対象期間」という。)に、次条の規定による被保険者期間が通算して十二箇月以上であつたときに、この款の定めるところにより、支給する。

引用元:雇用保険法

しかし、病気を理由に解雇された場合は「特定受給資格者」、病気を理由に自己都合退職した場合には「特定理由離職者」として、過去1年間に6ヶ月以上、雇用保険に加入していれば給付を受けることができます(雇用保険法13条2項)。
退職後の待機期間(受給資格の決定後、失業保険の給付の対象とカウントされない期間)もなく、給付日数も優遇されます。

※特定受給資格者、特定理由離職者の定義については、厚生労働省「特定受給資格者及び特定理由離職者の範囲と判断基準」をご参照ください。

第十三条二項 特定理由離職者及び第二十三条第二項各号のいずれかに該当する者(前項の規定により基本手当の支給を受けることができる資格を有することとなる者を除く。)に対する前項の規定の適用については、同項中「二年間」とあるのは「一年間」と、「二年に」とあるのは「一年に」と、「十二箇月」とあるのは「六箇月」とする。

引用元:雇用保険法

(2)雇用保険中の傷病手当

退職後、ハローワークで求職を申し込んだ後に病気で求職活動ができない状態が15日以上続いた場合は、雇用保険の「傷病手当」を受給することができます。(雇用保険法37条1項)

(傷病手当)

第三十七条 傷病手当は、受給資格者が、離職後公共職業安定所に出頭し、求職の申込みをした後において、疾病又は負傷のために職業に就くことができない場合に、第二十条第一項及び第二項の規定による期間(第三十三条第三項の規定に該当する者については同項の規定による期間とし、第五十七条第一項の規定に該当する者については同項の規定による期間とする。)内の当該疾病又は負傷のために基本手当の支給を受けることができない日(疾病又は負傷のために基本手当の支給を受けることができないことについての認定を受けた日に限る。)について、第四項の規定による日数に相当する日数分を限度として支給する。

引用元:雇用保険法

上記の失業保険給付と傷病手当を同時に受給することはできません。
ただし、失業保険の給付期間を延長する手続をとっておけば、傷病手当の受給が終わった(働ける状態になった)後に失業保険給付を受けることが可能な場合もあります。

詳細はハローワークでご確認の上、最大限に給付を受けるようにしましょう。

(3)労災保険(労働者災害補償保険)

労災保険とは、業務に起因する病気や怪我のために療養や休業を要する場合に国から一定の補償金が支払われる保険制度のことです。
在職中の労働災害によって療養している限り、退職後でも労災の申請は可能です。病気の原因が業務によるものであるときは、労災を申請しましょう。

ただし、労災補償は失業保険給付や傷病手当と同時に受給することはできないので、失業保険の給付期間は延長しておいた方が良いでしょう。

(4)生活保護

万が一、傷病手当や労災の認定を受けることができず、失業保険の給付も終了して収入が途絶えてしまった場合でも、生活保護を受けることが可能な場合もあります。

借金などに手を出さず、使える制度は使って収入を確保するようにしましょう。

10、病気で解雇されたときに弁護士に相談・依頼するメリット

病気で解雇されたときに弁護士に依頼するメリット

一人で会社と争うことはただでさえ大変です。
病気を抱えている方ならなおさらでしょう。
病気で解雇されて困っているなら、弁護士に対処を依頼するのがおすすめです。

弁護士に依頼することによって、以下のメリットが得られます。

(1)精神的負担が軽くなる

不当解雇の訴えを弁護士に依頼すれば、会社との話し合いも裁判手続きも全て弁護士が代理人として代行してくれます。
会社との協議や裁判手続きを自ら行う必要がなくなるため、精神的負担が軽くなります。

(2)手元にない証拠を会社から取得できる可能性がある

突然解雇されて不当解雇を証明する証拠を確保することが難しい場合でも、弁護士は弁護士会の制度や裁判上の制度を活用して証拠を収集することができます。

(3)納得できる結果を得やすい

一人では会社と対等に争うことはなかなか難しいでしょう。
退職金を少し上積みされる程度の結果しか得られないケースも多々あります。
弁護士の力を借りれば、解雇の違法性を適切に立証して、慰謝料や未払給与、未払残業代なども漏れなく請求し、相場に基づいて適切な金額を獲得できる可能性が高まります。

もちろん、会社に戻りたい場合も円滑な交渉や裁判手続きによって実現することが期待できます。

まとめ

病気を抱えながら解雇による精神的ストレスも加わると、不当解雇を争うために自分で動くのは辛いこともあるでしょう。
そんなときは、一人で悩まずに弁護士に相談してみましょう。

病気の療養が第一ではありますが、慰謝料請求や未払給与・未払残業代の請求には時効の問題もあります。
無理のない範囲で、できる限りお早めに弁護士に相談することをおすすめします。

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