待望の子供が生まれ、旦那にも出産に立ち会ってもらったのだけど、それから旦那の様子が少しおかしい…そんな「立ち会い出産後の夫の変化」に戸惑い、「離婚」の2文字が頭をよぎる女性は案外少なくありません。
「もしかして引かれた?」「もう女として見てもらえなくなったのかな…」と、頭を悩ませている方も多いでしょう。
そこで今回は、
- 立ち会い出産に対する夫の本音
- 立ち会い出産がきっかけで起こる可能性のある夫婦トラブル
- 立ち会い出産が原因の離婚を回避するための方法
について、多くの離婚事件を解決してきたベリーベスト法律事務所の弁護士監修の上で具体的にご紹介していきます。
実際に立ち会い出産を経験した夫婦の体験談も色々とピックアップしていきますので、この記事が今のみなさんと同じ状況に立たされた女性たちと、その夫の気持ちを知る手助けになれば幸いです。
目次
1、立会い出産が原因の離婚について知る前に!立会い出産に関する夫の本音
ここ最近は「出産は女性だけではなく夫婦2人で乗り切るもの」という風潮が強まりつつあり、それに伴って立ち会い出産を希望する夫婦も増えてきています。
しかし、立ち会う当の本人である夫の本音はというと必ずしも前向きなものばかりではなく、中には「もう絶対に立ち会いたくない…」と選択を後悔する声も。
まずはそんな夫たちの立ち会い出産に対する本音を、実際の感想も交えながら詳しくチェックしていきましょう。
(1)出産に立ち会いたい派の本音
すでに立ち会い出産を経験済みで、「自分は立ち会ってよかったと思う」という賛成派の意見としては、主に次のようなものがあります。
- 妻がどれほど大変な思いで子供を産んでくれたかが分かったので、産後に妻のことを心から気遣えた
- 赤ちゃんが出てきた瞬間の泣き声をすぐそばで聞くことができて、自分が父親になった自覚が一気に芽生えた
- 子育てに進んで協力できるようになり、夫婦としての一体感がより高まった
男性にとっては未知なる世界である出産に立ち会うことで、文字通り命がけで自分の子供を産んでくれた妻に対する感謝の気持ちや、感動をより深く抱くことができたという声が多数寄せられています。
父親としての自覚も早々に芽生えやすく、出産後の生活で子供と積極的に関わろうとする姿勢が見られるところも見逃せないポイントです。
(2)立ち会いはしたくない派の本音
一方、「正直立ち会ったことを後悔している」という反対派の意見についても、その本音を詳しく探っていきましょう。
- 出産があまりにも壮絶で、単純にショック
- 見てはいけないものを見てしまった感じ
- 産後、妻とまた触れ合おうと思っても出産シーンが頭をよぎってどうしても萎えてしまう
- 見た光景自体は想像していた通りだったので大丈夫だったけど、予想外の臭いがキツかった…
- 妻のことを完全に子供の母親としてしか見れなくなった
反対派の中には「元々自分は立ち会い出産を希望していなかったけど、妻からどうしてもと頼まれて断れなかった」という男性も珍しくはなく、「立ち会い出産を拒否したらその後の夫婦関係がギクシャクしそうだったから」と渋々立ち会ったものの、それがかえって裏目に出てしまった…というパターンも。
女性からすれば「これが現実なんだから、ちゃんと受け止めてもらわないと困る!」「甘ったれすぎ」と思わず憤慨してしまう感想ばかりかもしれませんが、出産に対する心構えには残念ながらどうしても男女差があるようです。
2、立ち会い出産がトラウマになる男性も
元々は立ち会い出産を希望していなかったのに、その場の流れで強制的に立ち会い出産へとなだれ込んでしまい、その経験がトラウマとなってしまった男性もいます。
出産にはハプニングが付き物で、妻も子供がまだ十分に育ちきっていない状態で出産に臨まなければならなくなり、予定していた病院とは別の総合病院に運ばれました。
しかも陣痛が始まったタイミングは運悪く病院もかなり混雑しており、看護師不在で部屋に残される時間が長かったといいます。
男性も妻を1人で残して帰るわけにはいかないので、陣痛に苦しむ妻の手を握りながらずっとそばについていました。
すると、しばらく膠着状態だったお産が急に進み、ナースコールをしたその場で分娩が開始されることに!
男性は部屋を出て行く機会を完全に逃し、助産師から「ここちょっと押さえてて!」と指示まで出される始末で、むしろ一般的な立ち会い出産よりもさらに強烈な光景を次々に目にしてしまいました。
そのときの光景は出産後数年経っても頭から離れず、テレビのドキュメンタリーで芸能人の出産シーンなどが流れると思わずチャンネルを変えてしまうほど。
いまだに心の傷が癒えていないということで、妻が2人目を出産するときには立ち会い出産はおろか、病院に足を運ぶことすら断固拒否しました。
3、立ち会い出産後がきっかけで起こる可能性のある夫婦関係のこじれ
反対派の意見のところにも気になる感想がいくつかありましたが、立ち会い出産を行った夫婦の中には、その後の生活に次のようなマイナスの影響が出てしまったというケースもあります。
(1)セックスレス
立ち会い出産が原因で起こる夫婦トラブルとして最も多いのが、セックスレスです。
特に女性に対して「こうであってほしい」という自分の理想が強いタイプの男性は、リアルな出産のシーンを目にしてしまうことでその幻想を打ち砕かれ、ショックを受けやすい傾向があります。
子供が生まれる前は妻に対して恋人時代の延長のような恋愛感情を抱いていた男性も、立ち会い出産後は恋愛を卒業して家族としての愛情に気持ちが切り替わるケースが多く、それに伴って妻とのスキンシップが減っていくのもよくあるパターンです。
(2)異性として見られない
セックスレスを招く要因のひとつにもなっていますが、妻のことをどうしても異性としてみることができないということで悩む男性もいます。
「命がけで出産を頑張ってくれたのに、その妻に対してこんな気持ちになってしまうなんて…」と、自分の心境の変化に罪悪感を抱いてしまうケースもあり、悩みはさらに深刻になりがちです。
夫側がそういった悩みを抱くとそれは無意識のうちに妻にも伝わってしまい、「夫が前よりよそよそしい」「子供のことは可愛がってくれるけど、私に対する態度が淡泊」と、夫の変化に危機感を持つようになります。
そういった小さな違和感が、はじめはささやかなすれ違いでも積み重なると大きな溝となってしまう場合もあるのです。
4、立ち会い出産で妻が夫に対する気持ちが冷めてしまうことも
ここまでは主に夫側の視点から立ち会い出産の実態を見てきましたが、立ち会い出産でパートナーに対する気持ちが変化するのは男性だけの話ではありません。
たとえば次のように、妻側が夫に対する信頼を失ってしまうケースもあります。
出産前に、とにかく立会い出産はやめて欲しい、と頼んでありました。
泣き叫ぶ顔や、排泄等をしてみっともない姿を晒したくないので万一手違いで看護婦さん等に誘導されても、中に入ってこないでね、と念を押していたのです。(中略)
ところが、いざ当日。
病院側にも、希望を伝えていたにも関わらず、分娩室に入る前に急いで急いでと旦那を中に引き入れてしまったのです。
(中略)
もう、何か怒りのあまり、一気に愛情がなくなり、ただ一緒にいるだけで苦痛のレベルです。
引用:Yahoo!知恵袋
このエピソードの中の夫は病院側のスタッフから促されたからとはいえ、事前に重々念を押されていた妻からの希望を無視し、結果的に出産に立ち会ってしまいました。
出産のバタバタとした空気間の中では想定外のハプニングが起こることも多いですが、たとえ促されても「妻が立ち会い出産を希望していないので」と断ることはできたはずですし、妻の強い希望を承知した上でそれを裏切る行動を取った夫には、妻が怒りを感じてしまうのも無理はないでしょう。
5、立ち会い出産をきっかけに中には離婚してしまう夫婦も
このような立ち会い出産が招いたトラブルが原因で、離婚に発展してしまう夫婦もいます。
アメリカでは、立ち会い出産を経験した夫婦はそうでない夫婦に比べて離婚率が10%ほど高くなるとも言われており、人生においてなかなかない重大なイベントのひとつであるからこそ、そのときに目にしたもの・耳にしたもの・感じたことは、良くも悪くも平常時より強く印象に残ってしまうのでしょう。
すでにご紹介したセックスレスや夫への信頼の喪失に加え、立ち会い出産後に妻から「あなたは何の役にも立たなかったわね」「正直邪魔だった」などのネガティブな言葉をかけられ、夫のプライドが傷付いてしまったケースや、生まれてすぐでまだ血などが付いたままの我が子の姿をグロテスクに感じてしまい、そのショックでどうしても子供を可愛いと思えず苦しんでしまうケースなど、離婚につながる事例は実に様々です。
6、立ち会い出産を理由とした離婚の回避に向けてできること
良かれと思って選んだ立ち会い出産が、思わぬ離婚の引き金となる――そんな悲劇を防ぐためにも、これから立ち会い出産を予定しているみなさんは、今一度以下の項目を確認しておきましょう。
(1)立ち会い出産をするかどうかしっかり話し合っておく
妻から立ち会い出産をするかどうか尋ねられた夫は、「断ったら妻が失望するのではないか」という心理から、本音ではあまり気が進まなくても「立ち会う」と答えてしまいがちです。
反対派の意見も参照した上で、「後悔している人もいるみたいだけど、本当に大丈夫かな?」と夫婦でしっかり話し合ってみましょう。
(2)セックスレスに陥った場合は問題を放置しない
心の準備をしっかりしていたつもりでも、やはりセックスレスなどの問題が発生した場合には、なるべく速やかに対処を行うことが大切です。
特にセックスレスは、放置すればするほど夫婦仲が冷え切ってしまい、勇気を出して触れ合うきっかけを掴むこともどんどん難しくなっていきます。
早めにカウンセリングに通う、信頼できる人に相談してみるなど、問題解決に向けて行動を起こしましょう。
7、どうしても離婚が頭をよぎってしまったら
立ち会い出産のショックから立ち直ることができず、どうしてもこのまま夫婦として関係を続けていくのが難しい…と感じるときには、ひとまず弁護士に相談をするのもおすすめです。
まだ離婚の意思を固めているわけではなくても、弁護士は離婚に向かう場合・夫婦関係の修復を目指す場合の両方に対して法的な観点からアドバイスを行ってくれます。
みなさんの現状や今後の希望と照らし合わせて、どうするのがベストなのかもあわせて相談することができますので、弁護士の話も聞いた上で本当に離婚するのが妥当な選択肢なのかどうか冷静に考えてみましょう。
8、最後に…立ち会い出産はいいこともあることを知っておこう
今回は立ち会い出産で起こる可能性がある夫婦間のトラブルを中心にご紹介してきましたが、冒頭でピックアップした賛成派の感想を見ても分かるように、立ち会い出産にはもちろんメリットもあります。
- 夫がそばにいることで「1人ではない」という安心感を持って出産に臨める
- 妻がどのように子供を出産したのかが夫にもリアルに理解できる
- 赤ちゃんが誕生した瞬間を夫婦で共に分かち合うことができる
- 産後の子育てに対する夫婦の団結力が高まる
- 夫から妻への感謝の気持ちや労わりの言葉が増える
- 父親としての自覚が早く芽生える
これらはその一例で、出産という一大イベントを共に乗り切ることによって、夫婦の絆がより深まるというのが賛成派の意見の大半です。
立ち会い出産が夫婦にとってどのような影響をもたらすかは、本人たちのタイプや心構えによっても異なり、たとえば血を見るのが苦手な男性の場合は立ち会い出産をしない方がいいなど、向き不向きもあります。
夫婦のうちどちらか一方でも立ち会い出産に対して迷いがある状況では、無理に立ち会い出産をしないというのもひとつの選択です。
いずれにせよ夫婦でしっかり話し合いを行い、お互いが納得した上で結論を出しましょう。
まとめ
今まさに立ち会い出産後の夫婦トラブルに悩んでいるみなさんの中には、「立ち会い出産で離婚の危機を迎えてしまうことがあるなんて…」と信じられない思いを抱いている方もいらっしゃるかもしれませんが、実際に立ち会い出産が原因となって離婚を選ぶことになる夫婦は決して珍しくありません。
悩んだときには弁護士に相談を行い、現実的な離婚の手続きやメリット・デメリットをふまえた上で、状況を整理してみるのもおすすめです。
今回ご紹介した内容を参考に、ぜひみなさんも今一度夫と向き合い、目の前の問題を解消するための一歩を踏み出してみてください。