夫と離婚したいと考えても、専業主婦の離婚後は悲惨な末路になるのではないかと不安に思い、離婚を踏み出せないという方も多いでしょう。
専業主婦のまま離婚をすれば、離婚後の仕事や収入が問題となりがちです。
しかし、我慢をして結婚生活を続けるには限界もあります。
そこで今回は、
- 専業主婦の離婚後の悲惨な末路とは
- 離婚して悲惨な末路を迎えやすい専業主婦の特徴
- 専業主婦が離婚しても悲惨な末路を回避する方法
などについて、弁護士がわかりやすく解説していきます。
本記事が、離婚を考えているものの離婚後の生活に不安がある専業主婦の方の手助けとなれば幸いです。
目次
1、離婚後に専業主婦が知っておくべきこと
専業主婦の場合、家事や子育てをすることで家庭を支えているため、家計の収入は全て夫の働きによるものです。
しかし、離婚して夫の他人になれば、自分の生活費は自分で賄う必要があります。
離婚時には財産分与や養育費、場合によっては慰謝料を得ることができますが、こうしたお金は養育費を除けば継続して得られるものではありません。
離婚後の悲惨な末路を避けるためには、離婚後には生活するためのお金を自分で稼がなければならないということを知っておくべきです。
このことを知っておけば、婚姻中にお金をある程度貯めておいたり仕事を探したり、離婚後に困らないようあらかじめ準備できるはずです。
2、専業主婦の離婚で陥りやすい悲惨な末路とは
専業主婦が離婚をすれば、さまざまな問題によって悲惨な末路に陥ってしまう可能性があります。
離婚後に悲惨な末路にならないようにするために、専業主婦の離婚で起こりやすい問題について知っておきましょう。
(1)経済的に困窮する
専業主婦が離婚する際に起こる最重要な問題は、経済面です。
これまでは夫の収入で生活をしたり、貯金をしたりしていたため、その収入源が無くなることで経済的に困窮するケースは珍しくありません。
婚姻前や婚姻中に多額の貯金ができているというようなケースは少なく、自分の貯金は一切ないというようなケースもあるでしょう。
収入も無く、貯金も少ない状態で生活をすることになり、悲惨な末路に陥ってしまいます。
(2)仕事がなかなか見つからない
離婚すれば自分で生活費を稼がないといけなくなるため、職探しをすることになります。
しかし、専業主婦の職探しは簡単ではありません。
専業主婦をしていた期間が長ければ長いほど、社会経験がないという理由で雇ってもらいにくくなると考えられます。
以前に働いていた経験があったとしても、長期間のブランクは就職活動の足かせになるでしょう。
仕事がなかなか見つからず、経済的な困窮にもつながってしまいます。
(3)住むところに困る
離婚をすれば、夫とは別々の場所で暮らすことになります。
婚姻期間中に住んでいた家を離婚時の財産分与で得られるようなケースもありますが、多くは女性側が家を出て行くことになります。
そうなれば、住む家から探さなくてはなりません。
しかし、新しい家を借りるには敷金・礼金、家賃などまとまったお金も必要になります。
専業主婦をしていれば貯金も少なく、新しい家探しに苦労することになり、悲惨な末路に陥りやすいです。
(4)世間体が気になる
社会に出て独立している兼業主婦の場合、「離婚は恥ずかしいことではない」「周囲に離婚している人がいる」という考えから離婚への抵抗感は少ないと言えます。
しかし、専業主婦をしていれば社会を知らない状態が続いているため、「離婚は恥ずかしいこと」というイメージを持っているかもしれません。
世間体を気にしていれば、離婚は悲惨だという考えに自らが陥ってしまう可能性があります。
また、夫が高収入を得ていて豊かな生活をしていた場合、離婚後に経済的に困窮する姿を周囲に見られたくないと世間体を気にするようなケースもあるでしょう。
(5)孤独感が強い
専業主婦は家族との関りが中心になっていて、社会との関りが少ないことが多いです。
離婚をすれば関りの中心にいた家族がいなくなり、強い孤独感を覚えるケースも少なくありません。
兼業主婦よりも知り合いが少ないことも専業主婦が孤独感を覚えやすい原因です。
3、離婚後に悲惨な末路を迎えやすい専業主婦の特徴
離婚後に悲惨な末路を迎えやすい専業主婦には特徴があります。
ご自身に該当するものがないか確認して、もう一度離婚について検討し直してみましょう。
(1)衝動的に離婚した
喧嘩の勢いや感情的になって衝動的に離婚してしまった場合、離婚を後悔するようなケースも少なくありません。
勢いで離婚してしまえば、離婚後の生活の準備はできていない状態でしょう。
そのため、住む場所や仕事探しに苦戦してしまい、離婚を後悔することになってしまいます。
また、離婚時に請求できる金銭に関しても理解していない状態で離婚をすれば、財産分与や慰謝料、養育費などを十分に請求できていない可能性があります。
「予想よりももらえる金額が少ない」と根拠なく考えてしまうケースもあるでしょう。
(2)資格やスキルが乏しい
専業主婦が離婚をすれば、自立するための第一歩として仕事探しが待っています。
しかし、資格やスキルが乏しい状態では、すぐに仕事を見つけることは難しいでしょう。
仕事が見つかったとしても、自活できるだけの収入をすぐに得ることができない可能性があります。
また、自分の希望とは異なる仕事をしなければならない可能性も高いでしょう。
とくに専業主婦の期間が長ければ長いほど資格やスキルが乏しく、社会経験のブランク期間も長いため、仕事探しで苦労することになってしまいます。
(3)健康に不安がある
専業主婦かつ婚姻期間が長かった場合、離婚時にはそれなりに年齢を重ねていることが予想されます。
若くない年齢で離婚をすれば、健康や体力面での不安が生じます。
生活のために働きたいと考えても、身体がついてこない恐れがあるのです。
健康や体力に不安があれば働ける仕事内容も限られてしまい、生活の困窮につながってしまいます。
4、どのように悲惨?離婚した専業主婦の実体験を紹介
専業主婦の離婚で陥りやすい悲惨な末路などについて紹介してきましたが、実際にはどのように悲惨なことが起こるのでしょうか?
離婚した専業主婦の悲惨な実体験をご紹介します。
(1)体力的にきついのに給料が安い仕事しかできない
20年近く専業主婦をして離婚しました。
美容師の国家資格は持っているもののヘルニア持ちのため諦めてしまい、それ以外何の取り柄もありません。
離婚後、急いで給料のいい仕事を探した結果見つけたのが某大手企業の工場です。
しかし、働いているのは平均年齢50歳ぐらいの女性が大半で、これが女性の仕事なのかと疑うような重い物を運ばされたりします。
私も生活のために仕方なく働いてますが、手取りが安くて生活がギリギリです。
そうはいっても、今の仕事がきついのでダブルワークできる体力は無く、成人した息子も給料が安く昇給もボーナスもありません。
離婚時に慰謝料少しもらったものの、引っ越しや新生活の準備で全て無くなりました。
借金はしたくないものの、生活が困窮しています。
引用元:Yahoo!知恵袋
このように、離婚後に経済的に困窮してしまう専業主婦の方は少なくありません。婚姻期間が長いケースほど、その傾向が強くなっています。
離婚する前に、離婚後の生活の見通しを立てておくことは極めて重要といえるでしょう。
(2)病気になって今後の人生が不安になった
結婚を機に仕事を辞めて専業主婦をしていたものの、夫の転職癖に嫌気がさして離婚しました。
専業主婦で無職だったので実家へ戻りパートをしましたが、手取りは12万円。
再婚話もあったもののハードな自営業を相手がしていたため自信が持てずに断ってしまい、その後しばらくして癌を患いました。
病気になり、この後の人生について考えるようになりました。
すでに癌の治療は済んで同じパートを続けていますが、自分には何も残っていないと絶望感で毎日心が苦しいです。
治療をして生きていられるのに、生きがいもなく、心の支えもなく、灰色の世界にいるような感じです。
引用元:発言小町
納得して離婚したとしても、病気や怪我をして体調の問題が生じると心細くなるものです。年齢を重ねると病気もしやすくなり、やがて介護が必要となるときもくるでしょうから、そのときに頼れる人がいないと不安になってしまうでしょう。
(3)離婚して初めて夫のありがたみに気付いた
約10年の結婚生活にピリオドを打ち、離婚直後は開放感や自由を楽しむことができました。
しかし、元夫が転勤で物理的な距離ができてから夜中に寂しさや後悔が襲うようになってきて、精神的に辛いです。
離婚後に派遣で働き始めていますが、家に帰るとぐったりと倒れこむ毎日です。
結婚してからは専業主婦だったので、楽をしていたのだと気付かされました。
離婚原因は長年のセックスレスで、子どもが欲しいという自分の希望を叶えてくれない夫への不満でしたが、離婚後は憑き物が落ちたように欲しかった子どもに関して気持ちが動きません。
別れてからもモヤモヤ感が続いてスッキリせず、活力の無い日々が続いています。
引用元:発言小町
結婚中は夫に対する不満が大きくても、生活を支えてもらっていたことに離婚後に気付いて後悔する人も少なくありません。
中にはよりを戻したいと考える人もいますが、相手が応じてくれるとは限りません。
離婚する前に、離婚のメリット・デメリットを十分に比較・検討し、悔いのない選択をすることが大切です。
5、専業主婦が離婚しても悲惨にならないための対処法
専業主婦が離婚しても悲惨にならないようにするためには、離婚する前にきちんと準備をしておくことが大切です。
離婚後に悲惨な末路に陥ってしまわないように、あらかじめ次のような対処をしておきましょう。
(1)離婚後にかかる生活費を試算する
離婚をして自力で生活をしていくには、どれくらいの生活費が必要になるのか計算してみましょう。
居住予定の地域の家賃や物価の相場などを把握し、離婚後の当座の生活にかかる費用と、その後に毎月どれくらいの費用が必要になるのか試算すれば、貯金や収入の確保の目安を立てやすくなります。
また、母子家庭の場合は自治体の支援も受けられるので、あらかじめ調べておくことをおすすめします。
シングルマザーの生活費については、こちらの記事で詳しく解説していますので、合わせてご参照ください。
(2)婚姻中に貯金をしておく
できる限り、婚姻中に節約をしたりパートを始めたりするなどして、貯金をしておくようにしましょう。
離婚をすれば、まず引っ越しや家財道具を揃えたりするなど資金が必要になります。
また、今後自力で生活をするために新しい仕事探しを行わなければなりません。
数カ月は収入がなくても暮らせるほどのお金を貯金しておけば、離婚後すぐに生活が困窮するようなことを避けられるはずです。
(3)離婚する前に仕事に就き収入を確保する
専業主婦が離婚をして悲惨な末路に陥る原因の多くは、生活の困窮です。
生活が困窮するのは、専業主婦を長くしていると仕事になかなか就くことできないため、収入が確保できないことが関係しています。
また、就職できてもブランクがあるため収入の高い仕事に就くことが難しいケースが多いです。
離婚後に仕事のステップアップができるように、離婚前から仕事に就いてブランクを埋めるようにしましょう。
まずはできる仕事から探し、収入を確保することが大切です。
(4)離婚条件に納得できるまで離婚に応じない
離婚時には、婚姻期間中に夫婦で築いた財産を分配する「財産分与」や、子どもがいる場合には養育費について取り決めを行います。相手に離婚原因がある場合は、慰謝料についても決めることになります。
こうした離婚条件について夫婦で話し合うことになりますが、納得できない場合は離婚に応じないことも後悔しないための手段のひとつです。
協議離婚の場合、双方が合意しなければ離婚することはできません。
そのため、離婚条件に納得できないという理由で離婚に応じないでいれば、相手が折れてくれる可能性があります。
別居で離婚協議をしているという場合には、別居期間中の生活費である婚姻費用の請求も忘れずに行いましょう。
(5)離婚後に利用できる公的支援について調べておく
離婚をしてシングルマザーになれば、経済面や子育てにおいて苦労することも多いでしょう。
しかし、各自治体でシングルマザーを支援する制度が多数あります。
自治体ごとに受けられる公的支援の内容や条件は異なるため、あらかじめ利用できる支援内容や条件について調べておきましょう。
そうすれば、公的支援の手続きをスムーズに行いやすくなります。
シングルマザーが受けられる公的支援については、こちらの記事をご参照ください。
6、専業主婦の離婚は弁護士に相談を
専業主婦で離婚を考えているという場合は、まず弁護士に相談してみることをおすすめします。
弁護士に相談すれば、離婚で請求できる金銭や離婚条件についての詳細を知ることができます。
どれくらいの金額が受け取れるのか目安を立てることができれば、離婚後の新生活の準備も行いやすくなるでしょう。
また、慰謝料請求できるようなケースでは、慰謝料請求するための証拠集めや金額について相談することも可能です。
そして、弁護士に依頼すれば、あなたの代理人として夫と離婚条件の交渉を行い、有利な条件になるように話し合いを進めてくれます。
そのため、あなたは離婚後の新生活の準備だけに集中しやすくなります。
専業主婦が離婚で悲惨な末路に関するQ&A
Q1.専業主婦の離婚で陥りやすい悲惨な末路とは?
- 経済的に困窮する
- 仕事がなかなか見つからない
- 住むところに困る
- 世間体が気になる
- 孤独感が強い
Q2.離婚後に悲惨な末路を迎えやすい専業主婦の特徴とは?
- 衝動的に離婚した
- 資格やスキルが乏しい
- 健康に不安がある
Q3.専業主婦が離婚しても悲惨にならないための対処法とは?
- 離婚後にかかる生活費を試算する
- 婚姻中に貯金をしておく
- 離婚する前に仕事に就き収入を確保する
- 離婚条件に納得できるまで離婚に応じない
- 離婚後に利用できる公的支援について調べておく
まとめ
専業主婦の方が衝動的に離婚してしまうと、生活苦や仕事が見つからない、孤独を感じるなどの理由から悲惨な末路に陥る可能性を否定できません。
しかし、離婚前からしっかりと準備をしておけば、悲惨な末路を避けることができます。
離婚後に後悔しないためにも、まずは弁護士に相談して離婚に向けた準備を着実に進めていきましょう。
離婚を迷っているという場合でも一人で抱え込まずに弁護士に相談すれば、自身が今後どのようにしたいのか明確になるかもしれません。