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【労基に相談バレる?】労基へ匿名で相談したいときに知りたい6つのこと

労基への匿名での相談はばれるのでしょうか。

今回は、労基署へ匿名で相談した場合、会社にばれるリスクについて、ベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。

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1、労基署(労働基準監督署)とは

労基署への相談が会社にばれるかどうかを知る前に、そもそも労基署とはどのような機関なのかについて確認しておきましょう。

(1)労基署とは

労基署(労働基準監督署)とは、

  • 労働条件の確保・改善指導
  • 労災保険の給付安全衛生の指導

などを行っている機関です。

(2)労基署へ相談できること

労基署は、労働者が労働するにあたって、様々なことを相談することができます。

よくある相談としては、

  • 残業代を支払ってもらえないこと
  • 残業時間が多いこと

などが挙げられます。

たとえば、以下のような相談も受け付けてもらうことができます。

  • 労働条件が労働契約の内容と違うこと
  • 残業代を支払ってもらえないこと
  • 月100時間を超える残業又は月45時間を超える恒常的な残業があること
  • 所定の休日が存在しないこと
  • 休憩時間がないこと
  • 解雇予告手当の支払いがされていないこと
  • 会社が労災の存在を隠していること
  • 最低賃金を下回っていること など

2、労基署への匿名での相談は可能?

まずここでは、労基署への匿名での相談が可能かどうかについて見ていきましょう。

(1)匿名での相談自体は可能

労基署への相談ですが、匿名で相談すること自体は可能です。

名前を名乗らないからといって、労基署が話を聞いてくれないわけではありません。

匿名希望の旨を伝えれば、匿名で話を進めることができます。

匿名での相談については、以下のようなメリット・デメリットがありますので、それぞれ確認してから相談方法を検討しましょう。

(2)匿名での相談のメリット

まずは、匿名での相談のメリットについて確認していきます。

①自分の名前を名乗らないので相談へのハードルが低い

労基署に氏名や会社名を伝えた上で相談するのは、労働者にとって精神的ストレスが大きいものです。

匿名での相談は、自分の名前や会社名を伝えずに済むので、労基署への相談のハードルが低くなります。

不当な扱いを会社に是正してほしいという思い以外に、自分の辛さを誰かに相談して理解してもらいたいという場合もあるでしょう。

そのような場合、まずは匿名で相談して、精神的負担を減らすことが大切です。

②会社にばれる心配がない

匿名で労基署に相談するのは、会社にばれることを心配しているから、というケースが多いでしょう。

氏名や会社名などの個人情報を伝えない限り、労基署への相談が会社にばれることはありません。

しかし、個人情報を伝えていなくても、実質的に相談者が特定されてしまうケースもあります(後述)。

(3)匿名での相談のデメリット

ここからは、匿名での相談のデメリットについて確認していきます。

①一般論になってしまう

匿名での労基署への相談は、会社にばれる心配がないという点はメリットになりますが、個別の事情を伝えずに相談すると、相談内容が一般論になりがちです。

確かに、会社の扱いが一般的にどう判断されるのかを知るという点も大切です。

しかし、労働者が知りたいのは、自分のケースではどのような判断になるのかという点でしょう。

具体的な判断や解決方法が聞けないという点では、匿名での相談はデメリットになるとも考えられます。

②労基署に実際に動いてもらうことは難しい

匿名での労基署への相談は、相談内容が一般論になりがちなことに加え、会社の不当な扱いを相談しても労基署に実際に動いてもらうことは難しいです。

会社名も分からなければ、個別の事情もわからないとなると、労基署としても動くに動けないのが実情です。

あなたが労基署に実際に動いてもらうことを希望しているのであれば、匿名で相談するかどうかはよく考えてみてください。

3、労基署へ匿名で相談した場合、会社にばれる?

ここからは、労基署へ匿名で相談した場合、会社にばれるのかどうかについて確認していきましょう。

(1)労基署には守秘義務がある

労働者が労基署に安心して相談ができるよう、労働基準監督官は守秘義務を負っています(労基法105条)。

労働者からの相談内容は、労働基準監督官が職務上知り得た秘密に該当しますので、労基署は秘密を守ってくれることとなります。

労働基準監督官に守秘義務がある以上、通常、労基署への相談が会社にばれる心配はありません。

(2)匿名で相談したにもかかわらず、会社にばれる可能性があるケース

以上のように、労働基準監督官には守秘義務がありますから、匿名で相談した場合に基本的に会社にばれる心配はありません。

しかしながら、以下のような場合は会社にばれるリスクがありますので確認しておきましょう。

①会社が小規模の場合、実質的な特定が可能な場合

会社が小規模の場合、従業員の数も少ないでしょう。

その場合、匿名で相談したとしても、実質的に相談者を特定できてしまう可能性があります。

相談内容や従業員の態度、上司との関係性などから、誰が相談したか実質的に特定されることがあります。

会社が小規模の場合は、十分注意しましょう。

②労基署が把握している証拠から、相談者を特定できる場合

匿名で相談したものの労基署に何らかの証拠を見せた場合、その証拠から相談者が特定できる場合もあります。

氏名を伝えていなくても、証拠から会社名や所属部署が、労基署に伝わってしまう可能性もあるでしょう。

絶対に会社にばれることは避けたいという方は、労基署に見せる証拠にも注意してください。

(3)内部通報者に対する不利益取り扱いの禁止がある

労働基準法では、労基署に通報・相談した人に対して、通報したことに基づき解雇その他の不利益取り扱いをすることを禁止しています(労基法104条)。

労基署に通報したことで、解雇や不利益取り扱いを受けた労働者は、解雇の無効を主張したり、労基法違反に基づき慰謝料等の請求をすることができる可能性があります。

4、会社にばれずに匿名で労基署に相談する方法

ここからは、会社にばれることなく匿名で労基署に相談する際の相談方法をご紹介します。

匿名での相談は、以上のようにメリット・デメリット双方がありますので、ご自身の状況を考えながら匿名で相談すべきかどうかを考えてみてください。

(1)労基署にメールする

労基署にはメールで相談することが可能です。
一般的な方法は、労働基準監督署の上部組織である厚生労働省のホームページに設けられた労働基準関係情報メール窓口に投稿するものです。

顔を見られずに済みますし、メールであれば自宅からでも相談可能ですので、ハードルが最も低い相談方法でしょう。

ただし、メールで相談する場合、状況や相談内容を文字でわかりやすく表現する必要があります。

文章での表現が苦手な人は、メールでの相談となると状況把握や労基署とのコミュニケーションに時間がかかる可能性もありますので、注意しましょう。

また、優先度はどうしても電話や直接訪問よりは低くなってしまいます。

(2)労基署に電話する

メールや文章にまとめるとうまく自分の気持ちを伝えられない人は、電話で相談することも可能です。

口頭で説明した方が状況を伝えやすい人は、電話での相談も良いでしょう。

(3)労基署に直接訪問する

最後は労基署に直接訪問するという方法です。

労基署に訪問するのはハードルが高いと感じるかもしれませんが、実際に労基署の人と会話しながら相談する方が状況を説明しやすい人もいます。

特に、多くの労基署に置かれている総合労働相談コーナーであれば、あらゆる分野の労働問題を相談でき、場合によっては適切な部署に取り次いでくれることもあります。

労基署の監督官としっかりコミュニケーションをとりたい人は、直接訪問するのも良いでしょう。

5、労基署へ相談したことが会社にばれないようにするための注意点

労基署への相談について会社にばれることを避けたい場合は、次の点に注意しましょう。

(1)自身が特定される証拠を提出しない

氏名を労基署に伝えないとしても、提出した証拠から誰が相談したのか特定できる場合があります。

匿名での相談を希望する場合、自身が特定される証拠を労基署に提出しないようにしましょう。

(2)労基署へ相談したことを会社の人に言わない

労基署へ相談したことは、会社の人に言わないようにしましょう。

例えば、仲の良い同僚に労基署への相談について話したことが発端で、会社にばれてしまう可能性もあります。

たとえ信頼できると思っている社員であっても、会社にばれることを避けたい場合は、社内の人に労基署の件について話さないようにしましょう。

(3)労基署へ提出する証拠を準備していることを会社の人に悟られないようにする

労基署に相談するために、労基署へ提出する証拠を準備したいという人も多いでしょう。

しかし、証拠を準備しているときに会社の人に何らかの異変が伝わる場合があります。

労基署へ提出する証拠を準備するときは、会社の人にばれることがないよう、内々に準備することが必要です。

(4)労基署へ相談するタイミングにも気をつける

労基署へ相談するタイミングにも、気をつけましょう。

従業員が会社に対して何らかの不満を言った前後に労基へ相談した場合、時間を空けずに労基署からの調査が入る可能性もあります。

不満を言った従業員が、労基署に通報したと会社に勘ぐられてしまうでしょう。

会社に対して不満を言うなど、何らかのアクションをすでに起こしている人は、労基署に相談するタイミングも意識する必要があります。

6、労基署へ相談する前に準備すること

労基署へ相談する際、事前に準備をしておいたほうが相談の時間を有効的に使うことができます。

労基署への相談を検討している人は以下の点を確認しましょう。

(1)  事実関係を整理

まずは、事実関係を整理する必要があります。

労基署の監督官は、あなたやあなたの会社について何も知りません。

どのような不利益を被っているのか、それに対するあなたの考え・主張を整理しておく必要があります。

事実関係を整理しないことには、

  • 会社のあなたに対する対応が労基法違反なのか
  • 不利益取り扱いにあたるのか

などが明確になりません。

ご自身の中でも、何を主張したいのか整理することが大切です。

一度事実関係を整理して、メモ等にまとめてから労基署へ相談するようにしましょう。

(2)入手できる証拠を準備

労基署へ相談する際、口頭のみで説明することも不可能ではありません。

ただし、より具体的な相談を希望する場合は、証拠を準備しておくことをおすすめします。

まとめ

労基署へ匿名で相談することは、メリットもデメリットもあります。

労基署に何らかの行動をとってもらいたい場合、匿名では難しいケースもあるでしょう。

労基署への相談方法に悩んでいる場合、まずは一度弁護士に相談をしてみてください。

労基署への相談方法や会社の扱いの違法性について弁護士からアドバイスをもらうことができます。

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