モラハラ夫と離婚したいけれど、離婚して後悔してしまうのが怖いからなかなか行動に踏み出せない……。
毎日毎日続くモラハラ。苦しくて怖くて、今すぐにでもモラハラ夫から逃げたいと思っている方。
逃げたい気持ちは大いにあるけれど、経済面や子供のことを考えると、すぐに逃げられないのがつらいところですよね。
モラハラを受けるのはとてもつらいことではありますが、焦って離婚するとあなたやあなたの子供が後悔する可能性もあります。
今回は、モラハラ夫と離婚して後悔しないために、
- モラハラ夫と離婚して後悔する理由
- モラハラ夫との離婚で後悔しないために準備すべきこと
について、ベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。
あわせて、
- モラハラ夫との後悔しない離婚方法
- モラハラ夫と離婚しても後悔しないためのポイント
についても、紹介しますので、ぜひご参考にしてください。
この記事が、モラハラ夫との離婚で後悔するのではないかと悩んでいる方の手助けとなれば幸いです。
目次
1、モラハラ夫と離婚して後悔する理由
モラハラ夫と離婚すれば、長年の悩みや恐怖から解放されて自由になれると思っていたのに、実は離婚したことを後悔する方もいます。
「離婚」は、人生の中で大きな決断です。
本章では、いくらモラハラ夫とはいえ、あなたが後悔することのないよう、「モラハラ夫と離婚して後悔する理由」について確認しましょう。
(1)モラハラ夫に情が残っているから
あんなに「離婚したい」「離れたい」と思っていたモラハラ夫ですが、一度は結婚して連れ添ったパートナーです。
離婚しても、元夫に情が残ってしまっている方がいます。
モラハラは、結婚生活において恐怖や悩みの種であったものの、人としての情や元夫の好きな部分を思い出し、離婚したことを後悔してしまうでしょう。
(2)経済面で苦労しているから
「離婚後の経済面での苦労」によって、モラハラ夫との離婚を後悔している方もいらっしゃるでしょう。
女性の方が、男性よりも収入が少ないことも多く、中には結婚して専業主婦になった方もいるかと思います。
収入が少ないまたは無いなどの理由から、離婚後お金の面で苦労し、離婚を後悔することが考えられます。
具体的には、以下のような理由があるでしょう。
- 就職先が見つからない
- 住む場所が安定しない
- 取り決めどおりに養育費を払ってもらえない
①就職先が見つからない
いざ離婚して就職先を探そうとしても、なかなか仕事が見つからないこともあります。
専業主婦から仕事を探そうとしても、ブランクがあれば、正社員として採用してもらうことも厳しい状況ではないでしょうか。
仕事が見つからなければ、生活に困ることは目に見えています。
②住む場所が安定しない
住む場所を決めずに急いで離婚してしまうと、離婚後に住む場所に困ることになります。
ウィークリーマンションなどはすぐに借りられないことがありますし、実家や友人の家に泊まらせてもらうことが難しい方もいるでしょう。ずっとホテル暮らしやネットカフェ暮らしというのも、ストレスが溜まってしまう可能性があります。
住む場所が安定しないことは、かなりのストレスになるといえます。
③取り決めどおりに養育費を払ってもらえない
子供を連れて離婚をした場合、元夫から養育費を支払ってもらうことを取り決めている方が多いですよね。養育費を頼りに、シングルマザーとして生計を立てようと考えている方もいらっしゃるでしょう。
ですが、実際養育費を取り決めどおりに払ってもらえず、離婚後に途方にくれるシングルマザーの方は少なくありません。
(3)子供を不安定な気持ちにさせてしまう
モラハラ夫といえども、子供にとっては世界でたった1人の父親です。モラハラ夫のなかには、妻に対するモラハラがひどいものの、子供に対しては「良い父親」のように接する人もいます。母親としては、子供から父親を引き離すことに、罪悪感を覚えてしまうでしょう。
突然、父親と会えなくなることは、子供の気持ちを不安定にさせます。母親であるあなたが、しっかりと子供のケアをすることが大切です。
2、モラハラ夫との離婚で後悔しないために準備すべきこと
荷物も持たずに、離婚の準備もしないまま家を飛び出すと、仮に離婚できたとしても、あとになって後悔してしまいます。
本章では、モラハラ夫との離婚で後悔しないために準備すべきことについて、解説します。
(1)本当に離婚すべきかしっかり考える
モラハラ夫といえども、あなたが結婚相手として選んだ人です。子供がいる場合は、子供にとって世界で一人だけの父親です。
離婚してから後悔するのでは遅いので、大前提として、
「本当に離婚すべきか」
「離婚して後悔は残らないか」
について、しっかり考えましょう。
①モラハラ夫と離婚すべきでない場合とは
モラハラ夫といえども、生活費をしっかり稼いでくれていて経済的に余裕があるなら、「絶対に離婚すべき」とはいえません。
あなたが専業主婦だったり、パートタイマーで収入が少なかったりする場合は、生活費の大部分をモラハラ夫が支払っているでしょう。
以上のような場合、離婚後の不安の大部分を占めるのは経済面です。
経済面に大きな不安がある場合は、仮面夫婦として結婚生活を続けるという選択をするほうが良い場合もあります。
離婚してから、経済的にやっていけるのかをシュミレーションするなどして、後悔のない選択をしましょう。
②離婚に向けて決意を固める
経済面の不安も乗り越えた場合であっても、すぐに離婚をしたり家を飛び出したりするのは、おすすめしません。
離婚の決意を固めたら、離婚準備期間をしっかり確保し、離婚に向けての準備を進めていきましょう。
離婚準備期間をどのくらい確保できるかによって、離婚後の生活の安定度が変わってきます。
モラハラ夫に怯える毎日はとても辛いものですが、離婚後の安定を目指して、準備期間をしっかり確保しましょう。
(2)貯金を少しでも増やしておく
あなたが仕事をしている場合であっても、貯金は無いよりあった方が何かと安心です。
離婚してからも、すぐに家を借りられない場合や、緊急でお金が必要になるケースもあります。
離婚準備期間中に貯金を少しでも増やしておきましょう。
(3)離婚後に住む場所を考えておく
離婚して真っ先に必要になるのは、離婚後に住む場所です。
専業主婦の方や、会社員の身分にない方は、すぐに家を借りられない場合もあります。
実家にお世話になったり、安価で借りられる部屋を探したりするなどして、離婚後に住む場所を必ず考えておきましょう。
(4)スキルアップや就職活動の準備をする
専業主婦の方や1人で生計を立てられるほどの稼ぎがない方は、スキルアップや就職活動の準備もしていきましょう。
自分1人ならまだしも、子供がいる場合には、しっかりとした収入を確保する必要あります。
離婚後に後悔しないためにも、就職先を見つけてから離婚する方が、あなたの負担も軽減されるでしょう。
(5)母子家庭支援制度について調べる
子供がいるものの、現在仕事をしておらず、就職の目処も立っていない場合は、母子家庭向けの職業訓練等の制度を利用するのもおすすめです。
安価で職業訓練を受けることができるので、就職活動や仕事にも役立つでしょう。
(6)その他
その他にも、離婚前に次のようなことを準備しておきましょう。
- 自分の親に夫のモラハラや自分の苦しみについて話しておく
- 自分個人の荷物やお金は安全な場所に確保しておく
①自分の親に夫のモラハラや自分の苦しみについて話しておく
モラハラというのは、身体的外傷がない分、なかなか人に理解されにくい面があります。
事情をわかってもらえていないと、
「結婚とはそういうものよ」
「あなたの我慢が足りないんじゃないの?」
など、心ない一言を言われてしまうこともあります。
せめて自分の親には、いざというときに味方になってもらえるように、夫のモラハラや自分の精神的苦痛について離婚前に話しておきましょう。
②自分個人の荷物やお金は安全な場所に確保しておく
意外と盲点になるのが、自分個人の荷物やお金の管理です。
いざ離婚の話を切り出して、子供と一緒に自宅以外の場所に避難したものの、モラハラ夫に自宅へ入ることを拒否されるというケースが考えられます。
大切な思い出の品や、結婚前から持っている荷物を持ち帰れないというのは、精神的にもショックが大きいでしょう。
自分個人の荷物やお金・通帳等の貴重品は、あらかじめ実家やレンタルスペースなどの安全な場所に置いておくと安心です。
(7)弁護士に相談するのも1つの選択肢
離婚が難航しそうな場合や、ローン返済・財産分与等のお金の話でもめそうな場合は、弁護士に相談するのも一つの選択肢です。
モラハラ夫との結婚生活で、日々疲れ切っている場合は、弁護士の頼れるアドバイスがあると精神的にも支えになります。
3、モラハラ夫との離婚方法:後悔しないためには調停がおすすめ
いざモラハラ夫との離婚を決意したとしても、離婚には複数の方法があります。
モラハラ夫との離婚で後悔しないためには、どのような方法が望ましいのかみていきましょう。
(1)離婚の方法
離婚といっても複数の方法があり、大きく分けると
- 協議
- 調停
- 訴訟
の3種類があります。
協議離婚とは、当事者同士だけで離婚の同意をしてから離婚する手続です。
調停は、調停委員という第三者をまじえて離婚の手続を進めていきます。調停で話し合いがまとまらなかった場合は、裁判官をまじえて裁判手続に移行することになります。
(2)モラハラ夫との離婚は「調停」がおすすめ!
モラハラ夫との離婚は、調停の手続を利用することがおすすめです。
モラハラ夫は、妻である女性側に依存しているケースが多く、離婚についてまともに受け入れてもらえません。子供の養育費や、財産分与について話し合いたくても、話が進まないことが多いでしょう。
だからこそ、調停委員をまじえた調停手続を利用しましょう。
調停手続では、調停委員が妻であるあなたとモラハラ夫の両者の話を聞いてくれるため、あなたはモラハラ夫と直接話をする必要がありません。「調停までしなくても…」と思っている方もいますが、子供の養育費やお金については、しっかり話し合ってから離婚をすることが大切です。
4、モラハラ夫と離婚しても後悔しないためのポイント
最後に、モラハラ夫と離婚しても後悔しないためのポイントについてお話しします。
事前にできることをしっかりと準備して、いざ離婚が成立したとしても、離婚を後悔する可能性がゼロとはいえません。
新しい生活で少しでも前を向いて歩いていくためにも、本章で紹介する後悔しないためのポイントをチェックしましょう。
(1)モラハラ夫と過ごした期間で良かったことを思い出さない
婚姻期間中に自分にひどいことをしてきたモラハラ夫であっても、離婚後に元夫のことを思い出してしまうかもしれません。
モラハラ夫が優しくしてくれたときや、誕生日のお祝いをしてくれたときなど、嬉しかった思い出が蘇ってくることもあるでしょう。
大切なのは、過去の良かった思い出だけでなく、辛かったことや大変だったことも含めて全てを思い出すということです。
良かった思い出があったとしても、その何倍もの辛い思い出があったという方も多いかと思います。
思い出に浸ってしまいそうなときは、すべての出来事を客観的にみてみましょう。
(2)モラハラ夫に依存していたことを自覚して依存から抜け出す
多くのモラハラ夫は、妻に依存し、妻を自分の支配下に置きたがります。
一方で、モラハラ夫と結婚生活を続けていたということは、あなたも少なからずモラハラ夫に依存していた面があったということです。共依存の関係であった、ということになります。
依存していたことを自覚して、あなた自身もモラハラ夫への依存から抜け出しましょう。
(3)必要以上に子供に対して罪悪感を持たない
いくら相手がモラハラ夫だったとはいえ、離婚して子供と父親を引き離すことに罪悪感を覚える女性は多いでしょう。
しかしながら、必要以上に子供に対して罪悪感を持たないのが大切です。子供は、母親であるあなたが笑顔で幸せになってくれることを望んでいます。
(4)独身ライフを思いっきり楽しむ
晴れて離婚が成立し、独身の身分になったのですから、誰かに気を遣う必要もありません。仕事や恋愛、趣味など、思いっきり独身ライフを楽しみましょう。
まとめ
モラハラ夫との結婚生活は、体験したことがない人には想像できないほど大変なものです。苦しい結婚生活から解放されて、あなたが本当の自由を手に入れるためにも、後悔のない選択をしていきましょう。
離婚の話がスムーズに進まなかったり、お金の問題が解決しなかったりする場合は、弁護士に相談をしてみてください。