熟年離婚を回避するためには、まず「熟年離婚される夫の特徴」を知り、対策を検討していきましょう。
ここでは、熟年離婚される夫の特徴や、離婚後の末路と回避法をご紹介します。
目次
1、熟年離婚される夫の特徴を探る前に~そもそも熟年離婚とは?
「熟年離婚」という言葉はテレビやネットなどで目にすることも多いため、言葉自体は知っているという方は多いでしょう。
しかし、熟年離婚の正確な意味についてはご存じない方も多いかもしれません。
熟年離婚とは、長い婚姻期間の末に離婚することを指します。
熟年離婚の明確な定義はありませんが、一般的には20年以上の婚姻期間を経た夫婦の離婚や、50代や60代で離婚をするケースが熟年離婚と呼ばれます。
熟年離婚では、定年退職や子どもの独立などがきっかけになり、離婚を切り出されることが多いようです。
熟年離婚の意味についてさらに詳しくは、こちらの記事をご参照ください。
2、まずは熟年離婚の主な原因を知ろう!
熟年離婚が増加している原因には、社会の環境の変化が大きく関係しています。
1つの原因だけではなく、複数の原因が関係しているようなケースもあるでしょう。
まずは、熟年離婚の主な原因から知っていきましょう。
(1)女性の社会進出が進んだ
熟年離婚では女性側が離婚を切り出すことが多く、その原因の1つとして女性の社会進出が進んでいることが挙げられます。
昔は男性が社会活動の中心にありましたが、現代では女性が社会で活躍する場面が増えています。
実際に、男女共同参画社会基本法が1999年に施行され、男女が社会で平等に活動できるようになりました。
また、女性活躍推進法の施行によって、より女性が社会で躍進しやすい環境が整ってきていると言えます。
こうした背景の中で社会進出したいと考える中高年の女性も増加し、熟年離婚も併せて増加していると考えられます。
(2)年金分割制度が導入された
熟年離婚の増加の原因には、年金分割制度の導入も関係していると考えられます。
年金分割制度とは、厚生年金を夫婦の共有財産として扱うという制度です。
離婚時には夫婦が婚姻期間に協力して築いた財産を分配されます。
年金分割制度の導入前までは厚生年金が共有財産として扱われていなかったため、老後の生活が不安で離婚できないという女性も少なくありませんでした。
しかし、年金分割制度によって婚姻期間中の保険料納付額に応じた厚生年金を分割し、自身の年金にすることができるようになったため、老後の生活の不安が軽減されて離婚を切り出しやすくなったと言えます。
(3)熟年離婚が珍しいものではなくなった
昔は離婚というと若い夫婦がするというイメージがあったかもしれませんが、現在では熟年離婚は珍しいものではありません。
ドラマや映画などの題材になったりすることもあり、ニュースやインターネットなどのメディアでも熟年離婚に関する話題を目にすることが増えています。
そのため、熟年離婚に対して悪いイメージを持つ人が減っているということも熟年離婚が増加している原因だといえるでしょう。
こちらの記事では、熟年離婚の原因についてさらに詳細に解説しています。気になる方はぜひご参照ください。
3、当てはまる人は要注意!熟年離婚される夫の特徴とは
熟年離婚を妻から切り出される夫には、共通する部分があります。
熟年離婚される夫の特徴をご紹介するので、自分に当てはまる部分がないかどうか確認してみてください。
(1)妻に感謝の気持ちを伝えていない
長年、夫婦として暮らしていれば、感謝を言葉にしなくても分かっているだろうと考える夫は多いのではないでしょうか。
しかし、日常の些細なことでも「ありがとう」「いつも助かるよ」などと感謝されれば、妻も嬉しいものです。
しかし、感謝されることない日々が続けば、妻は「なんで自分ばかり家事や子育てをするんだろう」「感謝されないのに家事をしたくない」と思ってしまうようになります。
感謝されないことへの不満が蓄積されていき、気づけば取り返しのつかない状態になってしまうこともあります。
(2)仕事や趣味に没頭しすぎている
結婚後、家族を養うために仕事を頑張ろうと考えるあまりに、仕事へ没頭しすぎてしまうような夫もいます。
また、休日には家族サービスをすることなく自分の趣味に時間を費やしてしまっている夫もいるでしょう。
家庭を顧みずに仕事や趣味に没頭してしまうと妻は不満を蓄積させて気持ちが離れてしまい、最終的には離婚を突きつけられるようなことになってしまいます。
とくに定年退職後は自由な時間が増えることで趣味に没頭してしまうケースも多く、そこから熟年離婚へ繋がるようなこともあります。
(3)不倫やモラハラなど離婚原因を作っている
不倫やモラハラなどを行い、夫側が離婚原因を自ら作っているようなケースもあります。
子どものことや経済的なことを考えて夫の不倫やモラハラに耐えてきた妻も少なくありませんが、子どもの独立や夫の定年退職後は我慢して婚姻を継続する理由がなくなります。
妻が許してくれたため夫婦関係は修復されていると夫が考えていても、実は妻が我慢しているだけで根本の関係性は改善されていないことも少なくありません。
(4)子育てや介護を妻だけに押しつけている
家事や子育て、介護など何でも妻にやってもらうことが当たり前になっていませんか?
離婚を決意する妻の多くは、夫が家事や子育てなど家庭のことを手伝ってくれないことに不満を抱えています。
「男性は外で仕事をして、女性が家の事をする」という考え方は古く、現在では男女が協力して家庭のことを行うものだという意識が、特に女性を中心に広まっています。
家事や子育て、介護を妻だけに押しつけていれば、いずれ離婚を切り出されてしまうかもしれません。
(5)妻が経済的に自立している
妻が仕事をしていてある程度の収入があって経済的に自立しているような場合は、専業主婦の妻より離婚を決断しやすいと言えます。
なぜならば、女性が離婚で不安に考えることは経済面であることが多いからです。
妻に十分な収入や資産があれば、経済面の不安がないため離婚を決意しやすい環境であると言えます。
もし妻が仕事や資格など新しいことを始めようとしている場合、離婚を考えて行動をしている可能性もあるので注意が必要です。
4、熟年離婚された夫は悲惨?その末路とは
熟年離婚された夫は、離婚後どのような生活が待っているのでしょうか?
離婚には解放感などのメリットがあるかもしれませんが、熟年離婚された夫が辛い末路を迎えるようなケースも少なくありません。
熟年離婚された夫の末路には、次のようなことが挙げられます。
(1)孤独感や喪失感に襲われる
今まで長年連れ添った相手を失うことになるため、大きな喪失感や孤独感に襲われることになるでしょう。
当たり前のように側にいた相手がいなくなってしまい、寂しさを覚えることになります。
時間が経過すれば喪失感や孤独感は薄れていきますが、街中で仲の良い老夫婦を見かけたときなどふとした瞬間に寂しさを思い返すかもしれません。
(2)健康を損なうことも多い
熟年離婚は精神的なダメージを受けるだけではなく、健康面にもダメージを受けるようなケースもあります。
精神的なダメージによって身体にも不調が生じることもあるでしょう。
また、これまでは妻が健康面を気にかけて料理をするなど世話をやいてくれていたものの、健康面を気にかけてくれる相手がいなくなります。
食事の栄養バランスが損なわれ、身体面に影響が出てしまうようなことがあります。
(3)経済的なダメージもある
離婚をすれば、夫婦の共有財産は財産分与によって分配されることになります。
年金分割もありますし、離婚原因によっては慰謝料を請求されるようなこともあるでしょう。
夫婦間に成年していない子どもがいれば、養育費の負担も加わります。
こうした離婚による支払い義務が発生するため、経済的に大きなダメージを受けることになります。
年を取るほど就職は難しくなるため、生活に困窮するようなケースもあるでしょう。
(4)介護が必要となったときに頼れる人がいなくなる
熟年離婚をすれば、病気や介護など自分の身に何か起きた際に頼れる人がいなくなります。
年齢的にも自身の親族に頼ることが難しくなっているケースも多く、とくに介護は簡単なことではありません。
いざ介護が必要になり、頼れる人がいなくて困ってしまうケースは多いと言えます。
5、熟年離婚を回避するために夫ができること
熟年離婚を避けたいと考えるのであれば、夫は離婚回避のために何らかの努力をする必要があります。
まだ妻から離婚を突きつけられていなくても、熟年離婚される夫の特徴に該当する場合は将来的に熟年離婚に至る可能性があるかもしれません。
熟年離婚を回避するためにも、次のような努力を行いましょう。
(1)自分が離婚原因を作っている場合は解消する
自分のこれまでの行動や言動を振り返り、離婚原因を作っていないか考えてみてください。
不倫やDV、モラハラなど、明白に離婚原因に該当するようなことを行っている場合は、すぐにやめるべきです。
そこまでの行為はしていなくても、熟年離婚される夫の特徴に当てはまるようなことを長年していれば、それが「婚姻を継続しがたい重大な事由」という離婚原因に該当しているかもしれません。
自身で考えても思い浮かばない場合は、妻に直接聞いてみてもよいかもしれません。
自分が作った離婚原因を改善するように努力し、関係修復を目指しましょう。
(2)家庭にかかわる時間を増やす
夫の家庭にかかわる時間が少ないことを不満に思っている妻は少なくありません。
家事や子育て、介護などを妻に任せきりにしている場合は、何かできることを探して手伝いましょう。
忙しく働いている場合には難しいかもしれませんが、休日には家族と過ごす時間を作れるはずです。
また、妻のことを気遣うことや、感謝を伝えることなど「気持ちの関り」を増やすことも大切です。
(3)夫婦間のコミュニケーションを増やす
夫婦生活が長くなると、言わなくても分かると考えてコミュニケーションが減ってしまいます。
「妻の態度が冷たい」「素っ気なくされる」など妻のことを責めるのではなく、自分からコミュニケーションを取るように努力しましょう。
まずは日頃の感謝の気持ちを伝えるなど愛情表現をすることから始めてみてください。
(4)夫婦で共通の趣味や目標を持つ
夫婦で共通の趣味や目標を持てば、自然と会話が増えていき、一緒に過ごす時間も増えるようになるでしょう。
ただし、いきなり共通の趣味を見つけようとしたり、同じ目標を持とうとしたりしても、相手が拒否してしまう恐れがあります。
まずは家庭にかかわる時間や夫婦のコミュニケーションを増やすなどして、土台を築くようにしてください。
6、妻から熟年離婚を切り出されたときの対処法
妻から熟年離婚を切り出されたら、どのように対処すればよいのかが分からず、混乱してしまう方も多いでしょう。
焦って感情的になってしまうのではなく、落ち着いて対処することが大切です。
離婚を避けるためにできる対処法をご紹介するので、順を追って試してみてください。
(1)妻の気持ちをじっくりと聞き出す
熟年離婚を避けるには、まず離婚理由を把握する必要があります。
妻の気持ちをじっくりと聞き出して、離婚理由を探りましょう。
離婚理由が分かれば改善するための努力をすることができ、妻に離婚を考え直すように提案しやすくなります。
(2)納得できなければ離婚に応じない
妻に離婚理由や気持ちを聞き出しても、納得できないようなケースもあるでしょう。
納得できないような場合には、離婚に応じないという選択肢があります。
当事者同士で話し合う離婚協議では、互いに離婚へ合意しなければ離婚は成立しません。
また、法律に定められた離婚理由である「法定離婚事由」がない場合、裁判でも離婚は認められないと考えられます。
つまり、不倫やモラハラ、DVなどの法定離婚事由がない限りは夫が離婚に合意しなければ、離婚は成立しないということになります。
(3)夫婦関係の修復に努める
妻が離婚を決意しているということは、夫婦関係が破綻している状態です。
自分が変わることを覚悟した上で、時間をかけて夫婦関係の修復を務めましょう。
すぐに関係性を修復することは難しいですが、変わっていく姿を見せれば妻の信頼や愛情を取り戻せる可能性があります。
(4)家庭内別居を提案する
夫婦関係の修復が難しいと思えるような場合でも、ただちに離婚するのではなく家庭内別居で夫婦関係を維持することも検討してみましょう。
離婚よりは家庭内別居の方がダメージは少ないと考えられ、さまざまな働きかけによって夫婦関係の修復を目指せる可能性も残ります。
しかし、実際に家を別々にする別居にしてしまうと夫婦関係が破綻していると判断され、離婚の可能性が高まってしまいます。
そのため、できる限り同居を続けたままの状態で、妻の負担を軽減する方法を探るべきだと言えます。
(5)法定離婚事由がある場合は弁護士に相談する
法定離婚事由がある場合、裁判へ進めば離婚を避けられなくなってしまいます。
早期に弁護士に相談・依頼して法的な観点から対処するようにしましょう。
妻が話を聞いてくれないような場合には、弁護士を通じて話し合いを行うことも可能です。
また、離婚を避けるために弁護士に依頼して夫婦円満調停を申し立てるという方法もあります。
熟年離婚される夫の特徴に関するQ&A
Q1.熟年離婚の主な原因とは?
- 女性の社会進出が進んだ
- 年金分割制度が導入された
- 熟年離婚が珍しいものではなくなった
Q2.熟年離婚される夫の特徴とは?
- 妻に感謝の気持ちを伝えていない
- 仕事や趣味に没頭しすぎている
- 不倫やモラハラなど離婚原因を作っている
- 子育てや介護を妻だけに押しつけている
- 妻が経済的に自立している
Q3.熟年離婚された夫は悲惨?その末路とは?
- 孤独感や喪失感に襲われる
- 健康を損なうことも多い
- 経済的なダメージもある
- 介護が必要となったときに頼れる人がいなくなる
まとめ
熟年離婚される夫の特徴には、妻への感謝を忘れて仕事や趣味に没頭するなど自分勝手な夫の行動や言動が共通しています。
また、法定離婚事由が時間を経て問題になり、妻が離婚を切り出すようなケースもあるでしょう。
熟年離婚を避けるには、夫がこれまでの自分から変わるように努力をすることが大切です。
ご自身で対処が難しいという場合には、一人で悩まずに弁護士へ相談してみてください。
熟年離婚を避けるためのアドバイスや、離婚を避けられない場合の対処などのサポートを受けることができます。