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【離婚後の同居】継続したほうがいい?知っておくべき7つのこと

離婚後も同居は継続すべき?知っておくべき7つのこと

離婚届を出したら、必ず別居しなければならないのでしょうか。

今回は多くの離婚問題に関わってきたベリーベスト法律事務所の弁護士監修の上で、離婚後同居をする前に知っておくべき内容についてお伝えしていきます。

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1、離婚後同居とは?

離婚後も前夫と同居を続けることを、文字通り離婚後同居といいます。
法律上、一切問題ありません。

実際、かなりの数の人がこのような選択肢を取っています。
別居していても結婚が成立するのと同じように、同居を続けていても離婚は成立します。

離婚後は別居しなければならないという決まりは一切ありません。
つまり、同居を続けることも、別居することも、その人の選択次第です。

そんな離婚後同居ですが、大きく分けて二つのパターンがあります。

(1)同居の性質が純然たる同居の場合

実体としては完全に離婚し、財産の分与や慰謝料親権養育費等の取り決めをした後、夫婦が同居を続ける場合です。

仕事や子供の通学家賃等の関係で、離婚後直ぐに別居するのが難しいケースが典型です。

この場合、夫婦の関係で残っているものは、ただ同居しているという点のみです。
お金のことや子供のこと等は、離婚時の取り決めに従って、それぞれが独立して行っていきます。

もはや夫婦ではなく、単なる同居人だと思ってください。

(2)同居の性質が事実婚の場合

先ほどの場合と異なり、離婚届は出したものの、今までどおりの共同生活を続ける場合です。

法律的には、婚姻届を出して、夫婦共同生活を営むことを婚姻といいますが、これに対して、婚姻届を出さずに、夫婦共同生活を営むことを内縁、または事実婚といいます。

離婚後も離婚前と同じ生活を続けた場合、夫婦共同生活は失われていませんから、「夫婦」のままということができるでしょう。

2、離婚後同居のメリット

離婚後同居を選んだ場合、仕事と新しい住居の調整や家賃の負担子供の転校等に煩わされることがありません。
これらから生じる金銭的負担夫婦、子供の負担を軽減できます。

また、夫との間で精神的な溝が深まって耐えられなくなった場合、勢いで離婚をしてしまうケースがありますが、そのような場合でも、同居を継続していれば、復縁の可能性が残されるでしょう。

さらに、計画的に事実婚に切り替える場合、夫婦別姓を実現できるというメリットがあります。
戸籍上の苗字と仕事上の苗字がずれている場合、様々な手続書類でその旨を申告しなければならず、結構なストレスがかかります。

深く考えずに夫の苗字に変更してしまいましょう。
悩んでいる場合には、その悩みを解消できます。

その上、新しく子供が生まれる場合、婚姻関係にあれば、自動的に両親の苗字になってしまいますが、事実婚関係であれば、子を妻の苗字にすることもできます。
また、夫婦関係を維持した場合、相続関係が残ります。

つまり、夫がなくなった場合、妻は夫の財産の半分を相続でき、その逆もあります。
しかし、事実婚には、相続関係がありません。

相続は、戸籍から形式的に決まるからです。

そうすると、お互いが亡くなったときは、財産はお互いに行かず、子に行くことになります。これもメリットといえるでしょう。
以上、計画的に事実婚を選ぶ場合のメリットは多いです。

しかし、それ以外の場合は、経済的なメリットと復縁の可能性が多少ある程度です。
精神的な溝が深い場合は、あまりメリットが大きくないと思います。

3、離婚後同居のデメリット

離婚後も同居している場合、別居していれば貰えたはずの児童手当が貰えない可能性が高いです。
また、父子あるいは母子家庭とみなされず、子供の授業料が安くならない可能性も高いです。

要するに、離婚届を出しただけで金銭的な負担が、がくんと減るということはありません。
もし、世帯分離が認められれば、このデメリットはある程度解消できます。

しかし、後で述べますが、世帯分離は認められないこともあり、嘘をついて申告すると、処罰されるという最悪の展開も考えられるので、要注意です。

以上が経済的な面ですが、精神的な面で言うと、夫婦間に修正できない溝があって離婚した場合、その相手と毎日顔を合わせることとなり、ストレスが溜まっていく可能性があります。

復縁を視野に入れている場合や、計画的に内縁関係にした場合を除けば、精神的にはデメリットが大きいのではないでしょうか。

4、離婚後同居の場合に前夫に生活費を請求できるのか?

では、離婚後同居の場合に生活費を請求できるのでしょうか。
場合を分けて考えましょう。

(1)離婚後の同居が、単なる同居に過ぎない場合

離婚によって同居以外の夫婦関係が消滅した場合、生活費は請求できません。
まず、「夫婦」にはお互いを扶養するという義務があります。

これを法律的には、婚姻費用分担義務といいます。

注意してほしいのは、「夫婦」間にしか婚姻費用分担義務がないということです。
したがって、離婚後、同居していること以外の夫婦関係が消滅してしまった場合、もはや「夫婦」ではないので、婚姻費用分担義務はなく、生活費を請求できません。

ただ、離婚時の財産分与の取り決めで、「今後5年間、生活費を支払う」という方法で財産を分配することを決めた場合には、その取り決めに従って生活費を請求できます。

ただ、この場合、あくまでも財産分与の取り決めを根拠に生活費を請求できるのであって、元妻だから生活費を請求できるという訳ではありません。

なので、このような取り決めをせずに、「離婚時に100万円を支払う」とだけ決めた場合、100万円を受け取ったらそれで終わりです。
生活費は請求できません。

注意が必要です。

(2)離婚後も内縁関係であると認められる場合

こちらの場合、生活費は請求できます。

法律上の届出をおこなっている法律婚ではないものの、法律婚同様の実態をもった男女関係については「内縁」として保護される場合があります。

そして、内縁関係が認められる場合には、夫婦に関する扶養義務が認められ生活費を請求できるケースもあるでしょう。

5、離婚しても手続をしなければ、世帯(住民票)は同じまま

(1)世帯とは

世帯とは、居住と生計を共にする社会生活上の単位を言います。
世帯は、生活保護等の給付や健康保険料等の保険料、所得税等の税金を決める際の基準となる単位です。

住民票は世帯ごとに編成されます。
生活保護の要否及び程度の判断は、世帯を単位として定められます。

定額給付金の申請、受給手続きも世帯単位です。

(2)世帯分離とは

世帯分離とは、もともと一つの共同生活を営んでいたメンバーが、別々の世帯を作ることを言います。
そうなると、原則、生活保護等の給付保険料各種税金がそれぞれの世帯毎に計算されることになります。

世帯が小さくなるわけですから、生活保護は認められやすくなり、保険料各種税金は安くなります。

(3)離婚後同居で世帯分離するメリット

世帯分離をすれば、生活保護等の給付基準を満たせるようになったり、保険料のうち収入に応じて増加する部分が割安になったり、税金が割安になったりするメリットがあります。

ただ、あまりに不自然な世帯分離は、役所に認めてもらえないことがあります。
生計を共にしているのに世帯分離をしたとすれば、それは事実に反するので、認められない場合があります。

実際、社会保障費の給付を増やし、また負担を減らすために世帯分離をするために、実体は生計を一緒にしているのに、嘘をついて世帯分離をする人が多く、社会問題となっています。

(4)離婚後同居で世帯分離するデメリット

保険料のうち、世帯毎にかかる部分が、分離後はそれぞれの世帯にかかります。
なので、その分割高になってしまいます。

ひと月にして、およそ1万円程度です。

そもそも事実に反するような世帯分離、つまり生計を共にしているのに、嘘をついて世帯分離をしようとする場合、申請を認めてもらえないことがあります。

6、離婚後に夫の扶養のままにして社会保険料を節約できる?

(1)扶養のままでいるメリット

夫の扶養のままでいれば、保険は夫の社会保険でカバーされます。
扶養でなくなれば、新たに国民健康保険に加入して保険料を別途納めなければなりません。

収入が少なければ、年間10数万円程度ですが、ある程度の収入があれば、年間数十万円程度にまで膨らみます。
なので、扶養でいれば、国民健康保険料を払わなくてよいというメリットがあります。

また、夫側からしても、扶養控除が受けられるので、保険料や所得税等の税金が安くなります。

(2)扶養のままでいられる場合は?

扶養義務があるのは、「夫婦」間です。
離婚後、同居していても、夫婦生活が消滅している場合には、もはや「夫婦」ではないので、夫の扶養義務はなくなります。

したがって、扶養のままではいられません。
他方、内縁関係を継続している場合、内縁も「夫婦」なので、夫には扶養義務があります。

したがって、扶養のままでいられます。
この場合、扶養の資格が「妻」から「内縁の妻」に変更されます。

結局、扶養のままでいられるかどうかは、夫婦共同生活が維持されているか、消滅しているかで決まります。
では、どうやって区別するのでしょうか。

夫婦共同生活は、同居や財産の共有、家事の分担、生活費の分担、子育ての分担、お互いの家族、親族との交流等、多種多様な要素から成り立ちます。

したがって、典型的な内縁関係は、相当の期間一緒に暮らし、お互いの収入を分配して生活費にあて、子育ても互いに協力して行っているほか、お互いの家族にも年末年始や時節に応じて挨拶に行き、法事等の行事も協力して行っているような場合があたります。

他方、同居していても、その期間が浅く、お金と家事はきっぱり分け、お互いの親族との交流もなく、お互いの親族から夫婦同然だと扱われていないような場合は、内縁に当たりません。

ちなみに、子供に対しては、離婚により親子関係が消滅することはないので、扶養義務は存続します。

7、公的扶助の不正受給は絶対ダメ

(1)離婚後同居で公的扶助が受けられる場合

離婚後同居で、児童扶養手当が受けられるのは、現実に手当が必要な状況に置かれている場合です。

つまり、前夫とは財産を分けており前夫からの扶養は受けられず子供を自分のお金で養っていかなければならない場合です。

生活保護についても同様です。

(2)離婚後同居で公的扶助が受けられない場合

現実に手当や保護が必要ではない場合、公的扶助は受けられません。
つまり、夫から生活費をもらい、子供の養育費も分担してもらっている場合です。

(3)不正受給するとどういう罪になる?

受けられない場合なのに、受けられる場合であるかのように嘘をついて受給した場合、詐欺罪に当たります。
前科がない場合、いきなり処罰されることは通常ありません。

しかし、前科があったり、受給した額が多額であったりすると、処罰されることになります。
その場合、詐欺罪には罰金刑がないので、いきなり執行猶予付きの懲役刑を受けることになってしまいます。

離婚後の同居に関するQ&A

Q1.離婚後同居とは?

離婚後も前夫と同居を続けることを、文字通り離婚後同居といいます。
法律上、一切問題ありません。

実際、かなりの数の人がこのような選択肢を取っています。
別居していても結婚が成立するのと同じように、同居を続けていても離婚は成立します。

Q2.離婚後同居のメリットは?

離婚後同居を選んだ場合、仕事と新しい住居の調整や家賃の負担子供の転校等に煩わされることがありません。
これらから生じる金銭的負担夫婦、子供の負担を軽減できます。

また、夫との間で精神的な溝が深まって耐えられなくなった場合、勢いで離婚をしてしまうケースがありますが、そのような場合でも、同居を継続していれば、復縁の可能性が残されるでしょう。

Q3.離婚後同居のデメリットは?

離婚後も同居している場合、別居していれば貰えたはずの児童手当が貰えない可能性が高いです。
また、父子あるいは母子家庭とみなされず、子供の授業料が安くならない可能性も高いです。

まとめ

離婚後も同居を続ける離婚後同居を検討する前に知っておくべき内容について説明しました。
ポイントをまとめると次のようになります。

  1. 離婚後の同居は、単なる同居と内縁関係に大きく分けられる。
  2. 離婚後同居は、世帯分離と合わせれば、税金等が安くなる可能性がある一方、保険料は高くなる可能性がある。
  3. 単なる同居の場合、前夫から生活費を貰えない。内縁の場合は貰える。 
  4. 離婚後の生活状況について嘘を申告して利益を得れば犯罪になる。

離婚後同居の検討にあたり是非参考にしてください。

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