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モラハラ後遺症とは?具体例や心の傷から立ち直る方法を弁護士が解説

モラハラを理由に離婚しても、それでモラハラ問題がすべて解決するとは限りません。離婚後にモラハラの後遺症に悩ませられることがあるからです。

離婚後のモラハラ後遺症から立ち直り、心身ともに元気な生活を送れるようになってはじめてモラハラを受けた日々と決別できたと言えるのではないでしょうか。

そこで今回は離婚後のモラハラ後遺症の具体例から対処法まで、弁護士がわかりやすく解説します。

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1、モラハラ後遺症とは?10の具体例

モラハラ離婚後に「後遺症?」と思うことがあっても、自分ではなかなか判断がつきません。

自分がモラハラ後遺症なのか判断したいときは後遺症の具体例が参考になります。よくあるモラハラ後遺症の事例を11個紹介しますので、まずはモラハラ後遺症の可能性があるかどうかセルフチェックしてみましょう。

(1)心の傷により男性不信や恋愛恐怖に悩まされる

モラハラ後遺症でよくある例として「異性不信」や「恋愛恐怖」があります。

Aさんは夫のモラハラで離婚しました。離婚後に付き合いたい男性と出会い、相手もAさんに対して好意を持ってくれています。しかしAさんはお付き合いに一歩踏み出せません。離婚した夫のモラハラを思い出してしまい「彼も離婚した夫のようになるかもしれない」「同じ男性だから、彼もモラハラをするのかもしれない」と不信と恐怖がわき上がってしまうからです。

好きな人に対しても恋愛恐怖や男性不信によって恋愛や結婚を「かつてのモラハラ」が原因でためらってしまったり、好きな人にモラハラについての不安や疑念を抱いたりすることは、モラハラ後遺症の一種だと言われています。

(2)モラハラにより食欲不振や不眠など生活に影響が出る

モラハラ後遺症には食や睡眠など日常生活に影響が出てしまうものもあります。

Aさんはモラハラ夫と離婚してひとりで生活しています。Aさんは夫と離婚してモラハラの辛い日々から解放されたはずですが、あまり物を食べる気になりません。食事の量も減ってしまいました。夜眠っていても、モラハラのときのことを夢に見て泣きながら目を覚ますことがあります。気持ちが落ち込んだままなのです。

日常生活を送る気力が戻らない、そのため、食や睡眠に影響が出てしまう、モラハラ後遺症によくあるケースだと言われています。

(3)無気力や倦怠感など精神的な不調が続く

モラハラ夫と離婚してもAさんは生活に前向きになれません。

家事をしようとしても倦怠感が続き、なかなか動けません。仕事をしようにもやる気がわきません。離婚してモラハラとは無縁に明るく楽しい生活を送れるはずなのに、無気力や倦怠感に悩まされて思うように生活できないのです。

無気力や倦怠感など精神的な不調は、モラハラ後遺症としてよく見られる事例だと言われています。

(4)ストレス状態によりイライラが続いてしまう

モラハラ後遺症としては無気力などの精神的な不調が出るケースもありますが、逆パターンとも言える精神的な不調が出るケースもあります。怒りっぽくなったり、すぐにイライラしてしまったりするのです。

モラハラの状態は妻にとってストレス状態だったはずです。離婚してもモラハラのときの辛さや怒り、悲しみといったストレスが解消されず心の中に残ってしまいます。冷静になってあらためて「あのときに言い返してやればよかった」などの後悔を覚えてしまい、後悔がストレスになってしまうケースも考えられます。

Aさんはモラハラ離婚の後にちょっとしたことで怒ってしまったり、イライラしたりする自分に気づきました。日によっては怒りや苛立ちで周囲にあたってしまうことが悩みでした。モラハラのストレスを抱えたままだからこそ、僅かなストレスで爆発する状態になっていると考えられます。

(5)うつ病などの不調により日常生活に影響が出る

心や体の不調がうつ病などと診断されることもあります。うつ病など心の不調の病気になると日常生活にも影響が出てしまうことでしょう。

モラハラが原因のうつ病であれば、モラハラのせいでしなくてよかった療養生活や通院などを余儀なくされるわけです。

(6)モラハラにより人間不信から抜け出せない

人間不信もモラハラの後遺症のひとつです。

信じていた夫から言葉と態度によるモラハラにあい、最終的にAさんは離婚しました。信頼していた夫が自分に冷たいまなざしを向けたことや、冷たい言葉を投げかけたこと、机を叩いたり舌打ちしたりする音を思い出し、未だに苦しくなることもあります。そのせいで、Aさんはモラハラの経験から人を信用できなくなってしまいました。

Aさんは人に親切にされても「でも、この人も自分につらく当たるかもしれない」と想像してしまい、自己嫌悪に陥ることもあります。モラハラが終わっても人間不信により苦しみ続けるという後遺症です。

(7)モラハラ加害者とよりを戻したくなる

モラハラの意外な後遺症に「加害者に会いたくなる」「よりを戻したくなる」というものがあります。

モラハラ被害にあったはずなのに、夫と離れてよかったのか分からず、不安になってしまうのです。そのせいで元夫に連絡を取ったり、会いたくなったりしてしまうケースがあるのです。

Aさんはモラハラ夫と離婚して心底ほっとしていましたが、日常の中でふっと「夫と離婚してよかったのかな?」「夫のところに戻らないと」と思ってしまうことがあります。

モラハラ夫と離婚により縁切りしても、夫とのつながりや依存を求めてしまうこともモラハラ後遺症だと言われています。

(8)自分の感情をコントロールできない

感情表現が不安定になってしまい、急に泣き出したり、怒りの感情を自分でコントロールできなかったりすることもモラハラ後遺症のひとつになります。

Aさんはモラハラ夫と離婚して新生活を送っていました。新しい生活をはじめてAさんは「モラハラから離れられてほっとした」と思っていましたが、ある日自分の感情面での不調に気づきます。生活の中で特に悲しいことや辛いことはないのに、急に涙が流れることがあるのです。

モラハラ状態から脱却し、抑圧されていた感情が不安定なかたちで表にあふれてしまったなどの原因が考えられます。

(9)モラハラ後遺症で摂食障害が出る

体型に関するモラハラを受けていた人の場合は後遺症で摂食障害が出ることがあると言われています。

Aさんは夫から「太っていてだらしない」など、体型についての暴言を浴びせられ続けていました。夫のためにと思って食事を我慢しダイエットにはげみましたが、夫のモラハラはやみません。

Aさんは夫の言動が辛くて最終的に離婚してしまいましたが、離婚後も食事を我慢するところが治りません。無理に食べようとすると戻してしまうことがある他、罪悪感に苛まれることもあります。離婚してなおAさんには食事に関する後遺症が残ってしまいました。

モラハラの内容によっては、このような食事の関する異常が表れることがあります。

(10)心のすき間を埋めようと依存症に陥る

モラハラ脱却後にはアルコールや食事など、何かへの依存が後遺症として表れることがあります。

モラハラ夫と離婚したAさんは、心の軸を失ってしまったように感じました。夫のモラハラが続くうちに、夫に逆らわないよう、夫に従うようにして生きてきました。生きる上での軸が夫にあったのです。しかし、夫と離婚してしまったため、心の軸を抜かれてしまったようになってしまいました。Aさんは不安定さを埋めるために飲酒を重ねるようになりました。

生きる上での軸が欠けてしまったわけですから、別の軸を求めることは必然かもしれません。

  • アルコール
  • タバコ
  • ギャンブル
  • 異性
  • 過食

など、いろいろな依存ケースが考えられます。

2、モラハラ後遺症を克服するため

モラハラ後遺症の自覚がある場合、放置しておくと状況の改善は望めません。苦しい現状を克服するためにも、次のような対処法を検討してみてください。

(1)生活の軸になる仕事や趣味を見つける

心身が少しずつ回復してくると「何かやってみよう」と思うのではないでしょうか。このときにモラハラ夫のところに戻ることや、モラハラ夫への気持ちで心を埋めようとすると、後遺症に逆戻りする可能性があります。自分の生活の軸になる別のことを見つけることが重要です。

心身が回復したら「新しい生活・人生の軸」を探してみましょう。

(2)ひとりで悩まずカウンセラーや医師に相談する

新しい生活・人生の軸を見つけろと言われても、自分ひとりでは難しいと思うかもしれません。自分で軸を見つけることが難しいなら医師やカウンセラーに相談してみてはいかがでしょう。専門家に相談することで後遺症を克服するヒントや今後の人生・生活の軸になるものが見つかるかもしれません。

3、過去のモラハラの後遺症で損害賠償請求できる?

モラハラの後遺症に悩ませられていると「離婚した夫に慰謝料請求したい」と考えるかもしれません。金銭である程度の心の傷への対処になるなら慰謝料請求するのもいいかもしれません。しかし、結論から言うと、過去のモラハラで慰謝料請求することは難しいと言えます。

慰謝料請求するためには

  • 「証拠」
  • 「因果関係」

が必要です。

過去のモラハラの場合は証拠収集が難しく、不調とモラハラの因果関係を証明することが容易ではありません。慰謝料請求しても加害者側が「モラハラから時間が経っているのだから因果関係はない」と主張する可能性がありますし、モラハラ自体を否定することも考えられます。慰謝料請求できないわけではありませんが、過去のモラハラの場合はかなり難しいと言えるでしょう。

慰謝料請求の時効の問題もあります。離婚後の慰謝料請求の時効は離婚成立から3年です。

4、過去のモラハラと後遺症に因果関係を感じているなら弁護士に相談を

過去のモラハラの慰謝料請求は難しいとお話ししましたが、絶対に慰謝料請求ができないと決まったわけではありません。モラハラと後遺症の強い因果関係を感じているのであれば、請求の可否を判断するためにも弁護士に相談してみるといいでしょう。離婚してすぐの場合や証拠、因果関係が認められる場合などは慰謝料請求できる可能性もあります。

一度弁護士に相談してみてはいかがでしょう。

まとめ

モラハラ夫と離婚しても、離婚後にモラハラの後遺症に悩ませられることがあります。モラハラ後遺症を克服してはじめてモラハラの過去と決別できるのではないでしょうか。

モラハラへの対処法は心身を休ませ、新しい人生・生き方の軸を見つけることなどです。夫に請求できるものがあれば、それが慰めになるかもしれません。弁護士に相談し、法的な側面からもモラハラ後遺症から抜け出すためにできることはないか探してみてはいかがでしょう。

※この記事は公開日時点の法律を元に執筆しています。

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