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別居しても扶養控除は受けられる!手当や控除、申請などの仕組みを分かりやすく解説

別居しても扶養控除は受けられる!手当や控除、申請などの仕組みを分かりやすく解説

この記事では、

  • 夫婦や親子の扶養控除の仕組み
  • 別居していても扶養控除は受けられるのか?
  • 扶養控除をさらに有効活用する方法

など、「扶養控除」について詳しく解説しています。

弁護士相談に不安がある方!こちらをご覧ください。

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1、別居していても扶養控除は適用される

(1)税金の扶養控除と健康保険の扶養

扶養控除とは、納税者によって扶養されている人がいるときに、納税者が支払う「所得税額」と「住民税額」を減額させる制度です

たとえば、妻が専業主婦の場合や子供を扶養している場合などには、夫や父親が扶養控除を受けて、毎年の所得税や住民税が減額されています。
また、こういった税制上の扶養控除とは別に、健康保険における「扶養」もあります。健康保険で家族を扶養に入れると、家族の分の健康保険料が不要になります。

以下ではまず、夫婦が離婚や別居した場合にも、税制上の扶養控除や健康保険における扶養の制度が適用されるのか、みてみましょう。

(2)離婚・別居と扶養の関係

まず、夫婦が離婚すると、扶養から外れます。離婚すると、夫婦は相互に扶養義務がなくなり、扶養している状態が解消されるからです。

これに対し、単に別居しただけでは税制上の扶養控除は外れません。別居していても夫婦間の扶養義務は継続しますし、現実に扶養するケースが多いからです。

そこで、夫が単身赴任などした場合にも、税制上の扶養控除は適用され続けます。

(3)健康保険の扶養は別居の実態により異なる

以上の税制上の扶養控除に対し、健康保険の扶養においては、別居の「実態」を重視されます。
つまり、健康保険の場合、より現実に即した判断をされるので、別居によって夫が妻や子どもを実際には扶養しなくなっていたら、妻子は扶養から外れます。

別居時に健康保険の扶養が認められるためには、一定額の送金していること(健康保険の組織によって、その頻度に関しては違いはあります)などが必要となります。
別居によって妻が夫の扶養から外れた場合、妻は独立して国民健康保険や会社の社会保険に加入して、子どもを自分の保険に入れることも可能です。

2、別居しても扶養控除される適用条件

次に、扶養による税金の控除の適用要件を確認しましょう。

(1)6親等内の血族及び3親等内の姻族であること

被扶養者は、扶養者の6親等以内の血族または3親等以内の姻族である必要があります。
具体的には、配偶者や子ども、親や兄弟姉妹などが被扶養者になる可能性があります。

(2)納税者と生計を一(いつ)にしている

扶養控除を受けるためには、納税者と被扶養者の家計が1つである必要があります。

(3)扶養する親族の年齢が16歳以上

所得税の控除を受けるためには、被扶養者の年齢が16歳以上であることが必要です。ただし住民税については、16歳未満でも控除されます。

(4)被扶養者の給与収入

扶養控除が適用されるためには、被扶養者が給与所得者である場合は給与収入が年間103万円以下である必要があります。

(5)被扶養者の年金収入

被扶養者に年金収入がある場合、65歳以下なら年金収入が年間108万円以下、65歳以上なら年金収入が年間158万円以下である必要があります。

なお、遺族年金は所得税法上非課税とされているので、扶養控除は遺族年金の分を除いて判定します。

3、別居した場合の扶養控除額を条件別に見てみよう

次に、扶養控除が適用される場合、具体的にどのくらいの税金控除が認められるのか、条件別の控除金額を見てみましょう。

(1)被扶養者が16歳〜18歳、24歳以上の場合|控除額38万円

被扶養者の年齢が16歳~18歳の場合と24歳以上の場合、控除金額は1人について38万円となります。たとえば子どもが高校生や24歳以上の妻を扶養している場合などには1人について38万円の控除を受けられます。住民税の控除は1人について33万円分です。

(2)被扶養者が19歳〜23歳の場合|控除額63万円

被扶養者の年齢が19歳~23歳の場合、控除額が上がって1人につき63万円となります。
この場合、住民税の控除額は45万円です。

(3)被扶養者が70歳以上の場合|同居していれば控除額58万円

被扶養者の年齢が70歳以上になると、同居している場合には扶養控除額が58万円となります。
この場合、住民税の控除額は45万円です。

(4)被扶養者が70歳以上の場合|別居していれば控除額48万円

被扶養者の年齢が70歳以上であり、別居している場合の控除額は48万円となります。
この場合の住民税の控除額は、38万円です。

4、別居の他の親族も扶養に入れるメリット~妻や子供だけでなく親など

(1)親を扶養に入れると節税できる

なるべく所得税・住民税を節税したいのであれば、妻や子どもだけではなく親も扶養に入れることをお勧めします。
親を扶養に入れると、上記の通り38万円~58万円の所得税扶養控除や住民税の控除を受けられて、税金が低くなるからです。
税金の扶養控除は同居を前提としないので、親と同居していなくても「2、扶養控除の適用条件」で記載した条件を満たす限り、扶養控除を適用できます。

(2)具体的な節税金額

親を扶養に入れるとどのくらい税金を節税できるのか、みてみましょう。
日本の所得税は累進課税であり、収入によって異なりますが、税率は5〜45%となっています。
また、その年の所得に応じて住民税もかかりますが、住民税の税率は、所得にかかわらず一律で10%です。

以上を前提に、親を扶養に入れる節税効果をご紹介します。

【例えば所得税率が20%の場合】

課税対象所得金額が330万円を超えて695万円以下の方の場合、所得税の税率は20%です。
この方が75歳以上の別居の親を1人扶養に入れると、単純に計算しますと、以下の通り、税金が低くなります。

所得税の減額

48万円×20%=96,000円

住民税の減額

38万円×10%=38,000円

所得税と住民税を合計すると、合計134,000円分の税金が低くなります。
所得が大きくなるほど所得税率が上がるので、親を扶養に入れることによる減税効果が高くなります。

(3)課税対象所得と所得税率について

なお、課税対象所得の金額と税率(・控除額)は以下の通りです。

親を扶養に入れるときの減税効果は、以下の表におけるケースごとの所得税率を使って計算できます。
ご自分の課税対象所得金額を知るには、給与所得者(サラリーマン)の場合は、「給与所得の源泉徴収票」をご確認ください。
これの「給与所得控除後の金額」から「所得控除の額の合計額」を引いた金額が、課税対象所得金額です。

● 課税対象所得金額と所得税率(控除額)の表

課税される所得金額(A)税率(B)控除額(C)
195万円以下5%0円
195万円を超え 330万円以下10%97,500円
330万円を超え 695万円以下20%427,500円
695万円を超え 900万円以下23%636,000円
900万円を超え 1,800万円以下33%1,536,000円
1,800万円を超え4,000万円以下40%2,796,000円
4,000万円超45%4,796,000円

※所得税額の計算は、

課税される所得金額(A) × 税率(B) - 控除額(C) 

です。

「課税される所得金額」(A)とは、給与所得者であれば、給与の額面額から一定額(「給与所得控除」といって、決まった算式に基づき算出されるもの)を差し引き、さらに「所得控除」と呼ばれる「扶養控除」などの控除をした後の金額になります。
上の計算式からも、「扶養控除」は「課税される所得金額」を減らすことになることから、所得税額が減ることがお分かりになるでしょう。

住民税率については一律10%として計算しましょう。

5、別居している親を扶養に入れる際に注意すべきこと

節税のために親を扶養控除に入れるときには、以下のようなことに注意が必要です。

(1)他の兄弟が仕送りしていると扶養に入れられない

扶養控除が適用されるのは、ひとりの被扶養者につきひとりの納税者のみです。
そこで、親を扶養控除に入れようとしたとき、他の兄弟がすでに親を扶養に入れているならば、新たに扶養控除に入れることはできません。

この場合、所得の高い人が扶養控除を受ける方が税金の減額効果が高くなるので、所得の高い方が親を扶養に入れる方が、金額的なメリットは大きくなります。
ただし兄弟姉妹の場合、それぞれ独立して生計を立てていますから、所得の高い人に譲ることが必ずしも妥当であるとは言えません。後にしこりを残さないように、きちんと話し合って決めると良いでしょう。

(2)親族の中に自営業の人がいる

親や兄弟が自営業者の場合にも、注意が必要です。

自営業者には「専従者控除」という特別な控除が認められます。
専従者控除とは、親族を専従者として雇い入れていることにより、所得税の控除を受けられる制度です。
専従者控除を適用している場合には、別途扶養控除を適用することは認められません。

たとえば父母が健在で、父親が自営業を行っており母親を専従者としている場合などには、親を扶養に入れることは不可能です。

(3)扶養控除の重複

扶養控除を適用するためには、重複しないように注意が必要です。

たとえば父母が健在であり、母親が父親の扶養に入っている場合には、父親が主たる扶養者となるので、息子が母親の扶養者となることはできません。
たとえ息子が親へ仕送りをしていたとしても、扶養控除の適用が難しくなります。

6、別居している親族の扶養控除を受けるためには年末調整または確定申告が必要

最後に、扶養控除を受けるための手続きをご説明します。
扶養の制度には税制上の扶養控除と健康保険の扶養がありますが、これらの手続きは異なります。

(1)会社員が税制上の扶養控除を受ける方法

会社員が税制上の扶養控除を受ける手続きは、非常に簡単です。
扶養控除が適用される要件を整えて、会社で年末調整してもらう時に「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」という書類を会社に提出するだけです。

このとき、親と別居していると、「生計を同一にしている事実」を証明するよう求められる可能性があります。
その場合には、仕送りしている証拠、たとえば振り込み送金の記録などを提示しましょう。

(2)年末調整されないなら確定申告する

自営業者などで、会社での年末調整を受けられないケースでは、確定申告によって扶養控除を適用してもらうことができます。
確定申告書の扶養控除の欄に被扶養者の氏名や生年月日、続柄などを書き入れて、控除を適用すると良いでしょう。

(3)健康保険の扶養を適用する方法

健康保険で親を扶養に入れるには、以下の書類を会社の担当部署に提出します。

①親と同居している場合

  • 世帯全員分の住民票
  • 親の課税(非課税)証明書

②親と別居している場合

  • 親の戸籍謄本(納税者との続柄がわかるもの)
  • 仕送りを証明する資料

健康保険の場合には、仕送りを証明する資料がないと、扶養を認めてもらえないことが多いです。
そこで、振り込み送金をするか、現金書留でお金を送り、控えを保管しておくと良いでしょう。

また、健康保険では被扶養者資格の再確認を、一定の期日に実施しています。
必要な書類が揃っていないと資格を取り消されることがあるので、資料はきちんと整理しておきましょう。
親が後期高齢者(75歳)に該当した場合は被扶養者資格を喪失しますので、こちらも注意してください。

別居で扶養控除に関するQ&A

Q1.別居しても扶養控除される適用条件とは

  • 6親等内の血族及び3親等内の姻族であること
  • 納税者と生計を一(いつ)にしている
  • 扶養する親族の年齢が16歳以上
  • 被扶養者の給与収入
  • 被扶養者の年金収入

Q2.別居している親を扶養に入れる際に注意すべきこととは

  • 他の兄弟が仕送りしていると扶養に入れられない
  • 親族の中に自営業の人がいる
  • 扶養控除の重複

Q3.税金の扶養控除と健康保険の扶養とは

妻が専業主婦の場合や子供を扶養している場合などには、夫や父親が扶養控除を受けて、毎年の所得税や住民税が減額されています。
また、こういった税制上の扶養控除とは別に、健康保険における「扶養」もあります。健康保険で家族を扶養に入れると、家族の分の健康保険料が不要になります。

まとめ

以上のように、配偶者や子ども、親などを扶養に入れると、税金の控除を受けられるので大きなメリットを得られます。特に親と別居している場合、扶養控除の要件を満たしていても気づかず、適用していない方が多いです。

今回の記事を参考に、扶養控除の条件を満たしているのであれば、会社に申請書を提出して、税金を差し引いてもらうことをお勧めします。

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