夫または妻からのモラハラ(モラルハラスメント)に悩み、離婚や慰謝料請求を考えている方も多いことでしょう。
モラハラの被害を受けた場合、慰謝料請求は可能ですが、通常、その金額は高額ではないことが一般的です。
そこで、今回はベリーベスト法律事務所の弁護士による監修のもとで、以下のポイントに焦点を当てて説明します。
- モラハラに基づく慰謝料請求の手順
- モラハラに基づく慰謝料の一般的な金額設定
- 高額な慰謝料を獲得するための戦略
モラハラについて詳しく知りたい方は下記の記事をご覧ください。
目次
1、モラハラ夫(妻)から高額慰謝料を獲得するために
モラハラで慰謝料請求する場合、いくらくらいを獲得することができるのでしょうか。
(1)モラハラの場合の慰謝料の相場は数十万円〜300万円
モラハラの慰謝料の相場は、数十万円〜300万円と言われています。
(2)高額の慰謝料を獲得するための準備
次に、どうすれば高額の慰謝料を獲得できるかについて知っておきましょう。
①高額の慰謝料請求が可能な場合を知る
高額の慰謝料請求が可能になる場合を以下に紹介します。
- モラハラ行為の回数が多い場合
- モラハラ行為が継続している期間が長い場合
- モラハラを受けた側に特に落ち度がないのにモラハラ行為が開始した場合
- モラハラ行為によりうつ病等精神的疾患になってしまった場合
- モラハラによる精神的疾患の程度が重い場合
- 請求する側の資産・収入が少ない
- 請求する側の年齢が高い
- 請求される側について資産を多く持っていたり収入が高い
- 請求される側の年齢が高い
- 婚姻期間長い
- 子どもがいる(さらに子どもが多いほど金額が高めとなる傾向があります)
- 財産分与の額が低い
②高額の慰謝料を獲得するための証拠を揃える
高額の慰謝料を獲得するには何といっても有効な証拠を揃えておくことが重要です。
モラハラの場合には以下のような証拠を揃えておきましょう。
- 精神的暴力によって医師の診断を受けた際の診断書
- 精神的暴力を受けた日時、場所、具体的な様子などのメモ
- 自身の収入を証明する資料(源泉徴収票、給与明細等)
- 相手方の収入を証明する資料(確定申告書、源泉徴収票、給与明細等)
2、モラハラの離婚で慰謝料を請求する方法
では、具体的な請求の方法について書いていきます。
モラハラの場合の慰謝料獲得の流れはおおまかには以下の通りです。
- 話し合い
- 内容証明郵便等による慰謝料請求
- 調停での慰謝料請求
- 裁判での慰謝料請求
以下、それぞれ具体的にみていきます。
(1)まずは話し合い!
話し合い、と言っても面と向かっては話しづらいと思いますし証拠を残す必要もあります。
ですので、携帯メールやLINEなどでモラハラ行為に対する慰謝料を請求したい旨と金額を伝えましょう。
(2)内容証明郵便の送付による請求
電話やメール等で慰謝料を支払ってもらうことが難しければ(おそらく難しいケースが多いでしょう)、内容証明郵便を送付して慰謝料を請求しましょう。
請求方法について詳しくは以下の関連記事をご参照下さい。
(3)離婚調停での請求
内容証明郵便でもモラハラの慰謝料の支払いがない場合には離婚調停で慰謝料請求しましょう。
離婚調停は以下の流れで進みます。
- 家庭裁判所へ調停の申立て
- 調停期日の決定
- 第一回の調停
- 第二回以降の調停
- 調停の終了
離婚調停での慰謝料獲得の方法について詳しくは、以下の関連記事をご参照下さい。
(4)離婚裁判での請求
話し合いや調停でも慰謝料を支払ってくれない場合、離婚裁判でもモラハラ慰謝料請求が可能です。
離婚裁判でのモラハラ慰謝料獲得の方法について詳しくは、「離婚時の慰謝料の相場とできるだけ多くの慰謝料をもらうための方法」をご参照下さい。
3、モラハラな夫(妻)が離婚に反対している場合は離婚裁判
もし、相手方が離婚に反対している場合は、話し合いや調停での離婚の成立は難しいかもしれません。
そこで、離婚裁判での離婚の手続きに進むことになります。
(1)離婚裁判をするためには法律が定めた離婚理由が必要
裁判によって離婚をするには、法律が定める離婚の原因(民法770条1項各号)が必要とされています。
具体的には、以下の通りです。
- 不貞行為
- 悪意の遺棄
- 3年以上の生死不明
- 回復の見込みのない強度の精神病
- その他、婚姻を継続しがたい重大な事由(暴行、過度な浪費、犯罪など)
モラハラは状況にもよりますが、「その他、婚姻を継続しがたい重大な事由」にあたる可能性があります。
慰謝料請求が可能なような場合には、離婚原因があると考えてよいでしょう。
(2)モラハラを理由とする離婚裁判の流れ
調停がまとまらない場合には、離婚裁判でモラハラの慰謝料を請求していくことになります。
離婚裁判は以下の流れで進みます。
- 訴状の作成
- 訴状の提出
- 相手方へ訴状の送達
- 第一回口頭弁論期日の決定
- 数回の口頭弁論を繰り返す
- 判決
重要なのは口頭弁論期日にて、証拠を提示した上でいかにひどいモラハラ行為がなされたのかを証明していくことにあります。
4、モラハラで離婚をするならまずは別居で精神的安定を確保!
夫(妻)によるモラハラ行為で慰謝料請求する場合、離婚とセットであるケースがほとんどです。
とはいえ、モラハラ夫(妻)が離婚にすんなり応じるケースは少ないものです。
モラハラで慰謝料請求と離婚を考えている場合、まずは相手から離れるのが一番です。具体的な手段としては、「別居」となるでしょう。
別居して困る場合には婚姻費用分担請求と養育費を請求しましょう。
婚姻費用に関するやり取りを直接相手としたくないという場合には、調停を利用する方法があります。
調停は、多少手間がかかりますが、裁判所に収める費用としては¥2,000ほどで利用できますし、調停がまとまらない場合、裁判官が審判を下してくれるなど、メリットもあります。
調停での婚姻費用の利用方法については「婚姻費用の分担請求調停で生活費を確保するための全手順」をご参照下さい。
モラハラが原因の離婚慰謝料に関するQ&A
Q1.そもそもモラハラとは?
そもそもモラハラとは、モラルハラスメントの略で「精神的な暴力等による嫌がらせ」のことをいいます。
Q2.具体的にモラハラとなる場合とは?
- 「バカ」「ダメだな」など相手を貶める言動
- 特に理由もなく継続的に無視し続けること
- 特に理由もなく食事を一緒にとらない
- 家事の不備を片っぱしから指摘する
- わざと大きな音をたててドアを閉めたり、物を置いたりする
- あなたが何かミスをする度に大きなため息をつく
Q3.モラハラする人の特徴とは?
- 意外と暴力をふるわない
- 外面はいい
- 最初は優しい
モラハラの慰謝料まとめ
今回はモラハラ夫(妻)に対して慰謝料を請求する方法について書いていきましたがいかがでしょうか?
モラハラ行為は暴力は伴わないものの、大きく精神的なダメージを与える行為です。
一刻も早く現状から脱して頂くとともに、正当な補償として慰謝料を獲得してもらえると嬉しいです。