現代において、旦那のアルコール依存症に苦しむ女性は少なくありません。厚生労働省の2003年の調査によれば、アルコール依存症の疑いがある人は約440万人で、そのうち治療が必要な患者は約80万人と推定されています。また、アルコール依存症に至らないものの、一日に純アルコールで60グラム以上を摂取する多量飲酒者は約860万人と発表されており、アルコール依存症の予備軍と言えます。
しかし、アルコール依存症やその病態を正確に理解している人は少ないでしょう。夫が頻繁に酒を飲むことから、彼がアルコール依存症にかかっている可能性が心配される方々へ、以下のポイントを紹介します。
・アルコール依存症の定義と原因
・アルコール依存症の進行段階
・アルコール依存症からの脱却方法と、家族がサポートできる方法
・アルコール依存症を理由に離婚が可能かどうか
アルコール依存症の人々は、時に驚くほどの行動を取ることがあります。早期に適切な治療とサポートを提供することが、彼らの健康を取り戻す第一歩です。
目次
1、旦那(夫)がアルコール依存症の体験談
旦那がアルコール依存症かも?と感じ始めた場合には辛い毎日になるでしょう。
なぜなら、陽気になるなどポジティブな症状に終わらないからです。
翌日仕事に行かれない、などの本人の状態にとどまる症状のみならず、暴言・暴力が出てしまったときは、なんとかしなければと焦燥感にかられることと思います。
本項では、夫がアルコール依存症だったことのある方の体験談をご紹介します。
(1)アルコール依存症の31歳旦那への対応に困っている妻の体験談
数年前からアルコール依存症になってしまったのですがわたしが妊娠中に10年近く勤めた会社を転職をし、失敗。鬱を患いました。それ以前からアルコールは毎日飲んではいましたが日に日に酷くなり、次の職場では転倒して怪我など転職を繰り返すうち、家で酒を飲み 寝ていることが増えました。
お酒をやめるように言っても聞かず、肝臓も悪くなってきて病院で点滴を受けることもしばしば。
私はそんな最中に出産。
ちいさな赤ん坊をみながら旦那のお酒を辞めさせようとしましたが かなわず、上の子に辛く当たったりすることが増え、みかねて義父母へ相談。同居を了承、アルコール依存症の克服を目指しましたが、再就職先も自分の意見を曲げず、昼夜逆転の飲食店。義父母も私もほとんど顔を合わせずの生活となり、身体にもいいわけがなく悪化。
先日飲酒運転で捕まり、旦那を病院に入院させる他ないと言うことになりましたが本人は了承しない状態です。
引用:https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q11134352306
(2)旦那のアルコール依存症に我慢ができずに離婚を決意している体験談
夫のアルコール依存症に悩み3ヶ月間別居をしていました。「お酒はやめるから」の言葉を信じて復縁。しかし、やはり夫がアルコールを止められるはずもなく最近では暴言・暴力が激しい状態です。拳で殴られたりPCを投げつけられたり、言っていることも支離滅裂です。病院へは月に一回通っていますが改善することがなく我慢限界なので離婚を決意しました。
引用:https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1174731096
2、夫は大丈夫?アルコール依存症の定義
旦那がアルコール依存症なのか?と悩む女性は多いもの。
毎日飲酒しているからと依存症とは限りません。
実は診断基準ははっきりありますので見ていきましょう。
下記6項目中3項目が当てはまればアルコール依存症と診断されます。
- アルコールを摂取したい強い欲望がある
- アルコールの摂取量の統制が自らできない
- アルコールの摂取量を減量すると生理的離脱症状が起こる
- 初めの頃に得られていたアルコールでの効果が量を増やさないと得られない
- アルコールから得られる楽しみを無視し、アルコール摂取の時間や、回復に時間がかかる
- 明らかに有害な結果が出ているにもかかわらず断酒できない
(1)アルコールを摂取したい強い欲望がある
アルコール依存症の患者とはアルコールを摂取したい強い欲望があることが特徴です。
毎日飲酒したり昼夜を問わずに飲酒したりの状態は強い欲望といえるでしょう。
運転することがわかっていても飲酒を止められないなども特徴です。
アルコールを常備していないと落ち着かないなどもそうです。
(2)アルコールの摂取量の統制が自らできない
アルコールの摂取量の調整が自分ではできない状態もアルコール依存症にはよくある症状です。
「ビール1本」だけと最初には考えていても飲み始めると自制が聞かなくなり酩酊するまで飲み続けてしまいます。
医者に禁酒を指導されても守れないなども症状の一つです。
(3)アルコールの摂取量を減量すると生理的離脱症状が起こる
生理的離脱症状とはいわゆる禁断症状のこと。
例えば、お酒が切れるとイライラする、発汗や微熱が出る、指先が震える、不眠の症状になるなど症状はさまざまです。
アルコールが常に体内にある状態が普通の状態となっているため、アルコールの効力が切れる際に現れる症状だと考えてください。
(4)初めの頃に得られていたアルコールでの効果が量を増やさないと得られない
飲酒の量がどんどん増えていっている場合を指しています。
少しの量では酔わない体質になり、一般の人の常識以上に飲んでいるケースです。
(5)アルコール摂取の時間が長くなり、回復に時間がかかる
家族で過ごす時間が減り飲酒の時間が増えている、休日は二日酔いでゴロゴロ寝ているなどの状態です。
お酒を飲んでいる時間が生活のすべてのようになり、お酒がなかなか抜けない状態です。
(6)明らかに有害な結果が出ているにもかかわらず断酒できない
健康診断で肝臓が悪いと診断されたり糖尿病と診断され飲酒を控えるように言われてもお酒がやめられない。
飲酒運転などの違法行為に及ぶなどの状態です。
お酒を買える経済状態ではないにもかかわらずに必要なお金を飲酒に使ってしまうのもそう。
家族に迷惑をかける状態になっても飲酒がやめられないケースのことです。
3、旦那のアルコール依存症の進行度
アルコール依存症には進行度合いがあります。
本項では、依存症の進行について見ていきましょう。
(1)アルコール依存症の初期
アルコール依存症の初期では中毒症状が起きています。
アルコールが抜けてくると汗をかいたり微熱が出たり不眠になったりと症状はさまざま。
しかし、まだこの段階で自覚症状はありません。
風邪気味や体調不良だと誤認してしまうことでしょう。
家族からお酒の量を減らすように注意を受けるのはこの段階です。
家族からの注意を受けて節酒を心がけるのも初期段階。
(2)アルコール依存症の中期
アルコール依存症の中期段階になってくると顕著に中毒症状が表れます。
お酒が切れてくると手が震え恐怖を感じ始める時期。
そのため、迎え酒をして恐怖から逃れようとします。
お酒が原因で仕事を休んだり遅刻をしたり、病気・怪我をし始めるのも中期の症状。
飲酒の後ろめたさを隠すために隠れて飲んだり、嘘の申告をしたり、攻撃的になる特徴も。
(3)アルコール依存症の後期
アルコール依存症の後期になってくると飲酒のコントロールができなくなり、幻覚を見るケースもあるでしょう。
1人でお酒を飲むケースが増え、食事をしっかりとらなくなります。
会社や家族間でのトラブルが増えて社会的信用をなくしていきます。
健康状態が悪くなり最悪のケースでは死に至ることも。
4、アルコール依存症の状態から抜け出す方法
もしも夫がアルコール依存症に当てはまるなら、家族の協力が必要です。どんな協力が必要なのでしょうか。
以下みて行きましょう。
(1)自らアルコール依存症だと自覚する
アルコール依存症の初期段階では体調不良と感じてまだ自覚症状がありません。
ですがアルコール依存症を治すためには本人が自覚することがとても大切です。
アルコール依存症のチェックを夫にもやってもらい、自分が依存症だと自覚を持ってもらいましょう。
そこから治療しなければいけない意識が生まれるものです。
(2)病院で治療する
アルコール専門外来などの専門の病院を訪れてみましょう。
そこで必要な治療を施してくれます。
投薬や進行度合いによって入院で治療をしてくれるケースも。
しかし、飲酒を控えるための外来は家族がつき添わなければ自ら訪れる人は数少ないものです。
自分の力でお酒を控えようと考えるかもしれません。
依存症は自分の力では抑えられないから依存症なのです。
自分でなんとかすると夫が言っても、できるだけ上手に通院できるように家族の力が必要です。
(3)自助会への参加
断酒会などの自助会への参加もありです。
病院は嫌がっても自助会なら参加できるタイプの男性もいます。
病院をどうしても嫌がるなら自助会へ参加を促してみましょう。
そこには同じように悩みを抱えるアルコール依存症の方々が集まっています。
そこで、体験談などを話すことで共感する心が芽生え自分も断酒しようという心持ちになれる可能性もあります。
家族のための自助会もありますから、本人が嫌がる場合には妻だけでも参加してみるといいでしょう。
(4)家族がアルコール依存症の勉強をする
家族は「どうして飲むの!?」と注意ばかりで、夫の立場に立てなくなってしまいます。
しかし、自制できないからこそ依存症であるのであり、高圧的な注意は悪影響でしかありません。
家族としてどのように支えるのが適切なのかを勉強していければ、アルコール依存症から抜け出す手助けができるでしょう。また、家族の支えがあれば頑張れる夫もいるはずです。
ただし、他人を支えるというのは、とても大変です。
ましてや仕事ではなくプライベート中のプライベート、自分も頼りたい相手でもある夫を支えるというのは、強い精神力が必要になります。
よほどの世話好きなどでない限り、「どうして私ばかりがこんな目に」と思ってしまうのは、あなただけではありません。
どうしてもっと頑張ってくれないのかと、世話のかかる配偶者に嫌気もさしてしまいます。
このストレスをどのようにコントロールしていくのか、支える側の妻にはその課題ものしかかるのは確かです。
一つ言えるのは、一人で抱えないことです。
親族でも知り合いでも信頼できる人、またはそのような関係者がいない場合は専門家(自助会など)に相談すること。
あなたまでもが参ってしまっては、もとも子もありません。
介護と同じです。
背負いすぎず、放置しすぎず。
(5)アルコール依存症の悪循環を断ち切る
アルコール依存症の自覚がある場合には、自分のせいで家族に迷惑をかけていると理解できている状態です。
社会的にも問題行動を起こしてしまっている自分に腹を立てたり自分が情けなくなってくるでしょう。
その精神状態が辛くまた飲んでしまい悪循環に陥りやすくなります。
ここで家族が支えることで、その悪循環を断ち切ることができます。
強い意志をもって精神不安定な状況でも飲酒をさせないように上手に仕向けていきましょう。
5、旦那のアルコール依存症で離婚はできる?
そうは言っても、上述しましたが、本当は頼りたい相手である夫を支えること、先が見えているのかいないのかわからない状態を走っていくことは、相当な苦労です。
楽しく2人で飲んでいた頃を思い出せば、涙も出てくることでしょう。
そんなとき、離婚がよぎることと思います。
夫のアルコール依存症で離婚したい場合には、まずは夫婦の話し合いで離婚していくことになります。
もし話し合いや調停で離婚に応じない場合、裁判に持ち込んだとしても必ず離婚できるわけではありません。
裁判離婚では、法定離婚事由が必要ですが、アルコール依存症というだけでは「婚姻を継続しがたい重大な事由」とは言えないからです。
しかし、アルコール依存症の場合、実際婚姻を継続しがたい重大な状況になっていることが多いのは確かです。
重大な状況かどうかは、アルコール依存症の程度、これまでの生活での具体的な弊害等を考慮して判断されます。
具体的には、アルコール依存症が進行し、仕事をしなくなり婚姻費用を支払わなくなった状態や、家族に対しDVをする事態に発展しているケースでは離婚できる可能性があります。
また、アルコール依存症を理由に長期間の別居状態が続き婚姻関係が破綻していても、離婚できる可能性があるでしょう。
6、旦那のアルコール依存での離婚は弁護士に相談
旦那がアルコール依存症でこれ以上婚姻関係を続けることが困難な場合には、どうぞ弁護士に相談してください。
弁護士は、まずはあなたの状況を受け止め、話を最後まで聞いてくれることでしょう。
相談したからと言って、絶対に離婚しなければならないことはありません。
弁護士は第三者として、あなたと夫の関係性、またアルコール依存の進度などを考え、あなたに最良と考えるアドバイスをしてくれるはずです。
離婚がベストと判断し、あなたがそれに納得できるのであれば、上手に離婚できる手立ても見つけてくれることでしょう。
また、離婚が話し合いの結果決まっていたとしても、財産分与や親権確保など弁護士がいた方があなたに有利に離婚の話し合いを進められます。
まとめ
旦那のアルコール摂取量が増えている場合に家族は心配になります。
もしも度合いが進みアルコール依存症かも?と感じた場合にはすぐにチェックしてください。
必要に応じて治療を開始した方がいいでしょう。アルコール依存症の治療には家族の支えが必要です。
どうしても克服できそうにないなら離婚を視野に入れて弁護士に相談することをおすすめします。
まずはあなたと家族の幸せのためにアルコール依存症の夫を治す努力が必要です。
早い段階で治療を開始して明るい家庭を取り戻すことをお祈りします。