罹災証明書とは?受けられる支援や発行手続きの流れを解説

罹災証明書とは?受けられる支援や発行手続きの流れを解説

罹災証明書(りさいしょうめいしょ)とは?

今回は

  • 罹災証明書で受けられる支援
  • 罹災証明書の発行手続き
  • 罹災証明書と似た証明書

などについてご説明いたします。

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1、罹災証明書とは

罹災(りさい)証明書とは、各市区町村(以下「自治体」といいます)が、災害の被害に遭われた方(以下「罹災者」といいます)の申請によって、お住まいの家屋の被害状況の調査を行い、その被害状況に応じて「全壊」「大規模半壊」「半壊」「一部損壊」等を認定し、これを証明するものです。
罹災者が各種支援を受けるために必要となることが多いので、罹災者はできるだけ早く申請をした方がよいでしょう。

2、罹災証明書の発行により受けられる支援

それでは、罹災証明書を自治体に発行してもらうことで、具体的にどのような支援を受けられるのでしょうか。

自治体によって異なるので、詳細は各自治体に問い合わせるのがよいですが、一般的には以下のとおりです。

(1)公的支援について

  • 被害のあった家屋や土地の固定資産税や国民健康保険料が、一時的に減免または猶予される可能性があります
  • 被災者生活再建支援金や義援金の支給を受けられます(*被害程度や世帯人数や所得の程度によって受給額が異なります)
  • 公的書類の手数料が無料になります
  • 仮設住宅や公営住宅への入居が優先的に認められます
  • 災害復興住宅融資が受けられます(*これも被害程度や世帯人数や所得の程度によって金利や融資額が異なります)

(2)民間支援について

  • 金融機関が、有利な条件で融資を行ってくれる場合があります
  • 私立学校などの授業料減免の可能性があります
  • 災害保険の保険金を受給することができます(*地震保険については罹災証明書は不要です)

他にも自治体によってさまざまな支援制度があると思われますので、お住まいの自治体に問い合わせたり、ホームページで確認してみるとよいでしょう。また、罹災されてない方もこれらを調べて、罹災された方々に伝えていただけるとよいと思います。

3、罹災証明書の発行手続き

(1)罹災証明書発行のための手続き

それでは実際に罹災証明書を発行してもらうためにどのような手続きが必要なのでしょうか。
大まかな流れは以下のとおりです。

  • ①罹災証明書の発行を自治体に申請する
  • ②自治体の調査員(通常は建築士)が現場の被害状況を調査する
  • ③自治体が被害程度を認定し、罹災証明書を発行する

それぞれ詳しく見ていきましょう。

①罹災証明書の発行を自治体に申請

罹災証明書の発行申請は、各自治体(熊本市の場合は各区役所や総合出張所)にて、当該家屋の所有者または居住者が行いますが、委任状があれば第三者でも代理で申請することができます。
また委任状がなくても、罹災者と同一世帯の方や罹災者の三親等以内の親族、法定代理人なども申請できますが、罹災者との関係を証明するものが必要です。

②自治体が現場の被害状況を調査

この調査は国が定めた調査方法によって、各自治体から委嘱を受けた調査員が行います。

まず、調査員が現場で外観を目視し、外観の損傷を把握します。また、家屋に傾きがあると思われますので、傾きの程度を測定します。
通常はこれで調査は終了ですが、罹災者からの申請があった場合には、さらに、家屋内部の調査も行います。
これは、外観上被害の程度が低くても内部の被害の程度は大きいということがありうるからです。

もっとも、家屋に倒壊の危険性がある場合には、内部調査は行われないことがあります。

③自治体が罹災証明書を発行

先ほども言いましたとおり、一般的には「全壊」「大規模半壊」「半壊」「一部損壊」という区分に分けられて罹災の程度が認定されます。
お住まいの家屋の主要な構成要素の経済的被害の家屋全体に占める割合が、50%以上の場合は「全壊」、40%以上50%未満が「大規模半壊」、20%以上40%未満が「半壊」、20%未満が「一部損壊」と認定する自治体が多いようです。

なお、注意点としては、片付けなどをする前に被災状況を写真にとって記録に残しておきましょう。片づけたりした後では、軽い区分で認定されてしまう傾向があります。また、罹災証明の認定に不服がある場合は、各自治体に申し出ることにより、再調査してもらえる場合があります。

(2)能登半島地震の罹災証明交付率

石川県は2024年2月8日、能登半島地震で被災したことを証明する「罹災証明書」の申請数が2月6日の時点で5万2,158件、交付率は34%(1万7,972件)でした。

交付率が100%の穴水町に対して、能登町の交付率は1%未満、輪島市8%など、地域で差が出ているようです。

出典:朝日新聞

4、罹災証明書と類似の証明書

(1)罹災届出証明書

罹災証明書はすぐに発行されるわけではありません。最低でも調査から1週間、場合によっては1カ月以上かかることもあります。

もっとも、急を要する場合もあるでしょう。そのようなときのために、罹災届出証明書というものがあります。
これは、罹災証明書を申請しましたということを証明するもので、申請すれば即日発行されるものです。これによれば、各支援が受けられる可能性が高まります。なお、この証明書は無料で発行されます。

(2)被災証明書

また、家屋だけでなく、家財などにも損失があったことを証明しなければならない場合があるかもしれません。
そのような時は被災証明書というものがあるとよいです。
これは、家屋以外の、家財、店舗、工場などが、「被害を受けたかどうか」を証明するものです。罹災証明書と異なり、どの程度の被害であったかを認定するものではないので、即日発行されます。

もっとも、各自治体によって判断基準が異なったり、そもそも被災証明書というものが存在しない自治体もありますので、お住まいの自治体に問い合わせるとよいです。なお、熊本市は、当面は被災証明書の発行を予定していないようです。

罹災証明書に関するまとめ

罹災されたばかりで次のことを考える余裕はないかもしれません。
その一方で、できるだけ早く日常を取り戻したいという思いもあると思います。
そのための第一歩として、罹災証明書、罹災届出証明書、被災証明書の申請を早めに検討されることをお勧めいたします。

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