任意整理は、最も手軽な債務整理の方法で、カードローンやクレジットカードのリボ払いなどの高利の借金・支払いの解決によく用いられています。
しかし、任意整理で借金などを解決できたという場合でも、その後の事情によっては、再度借金を抱えてしまうケースなどがないわけではありません。また、借金の原因が解決されないまま任意整理を行った場合には、同じ理由で再度の借金を抱えてしまうことも少なくないといえます。
そこで今回は、そのような場合に再度任意整理で借金を解決することは可能かということなどについて解説していきます。
任意整理に関してはこちらの記事をご覧ください。
1、2回目の任意整理の2つのパターン
まずは2回目の任意整理が行われる具体的なケースについて確認しておきましょう。
2回目の任意整理となってしまうケースは大きく次の2つに分類することができます。
(1)過去に任意整理の経験がある場合
2回目の任意整理が行われる最初のパターンは、過去に任意整理で借金を解決させてしばらく時間が経ってから(たとえば数年後とかに)再度の借金を抱えて任意整理を行わなければならなったという場合です。
このような場合でも、「その任意整理が2回目である」ということが原因で任意整理ができないことは基本的にはありません。任意整理自体は、法律で回数制限などの規制がなされているわけでもないからです。したがって、相手方となる債権者が話し合いに応じてくれさえすれば、2回目でも3回目でも任意整理で借金を解決することは可能です。
(2)和解後の返済中の再度の任意整理の場合(再和解)
2回目の任意整理のもうひとつのパターンは、任意整理による債権者との和解の内容(残元金の分割払い)を履行できなくなった場合のように、同じ借金・同じ債権者についての2回目の任意整理(再和解)のケースです。1回目の任意整理に失敗を感じるケースと言えます。
このような場合であっても(1)のケースと同様に、債権者が和解に応じてくれさえすれば2回目の任意整理をすることは可能です。ただし、(1)のケースと比べれば、同じ債権者・同じ借金が対象となる(すでに条件変更のお願いをしている)という点で、和解に応じてもらえない可能性は高くなってしまうといえます。
2、2回目の任意整理ができない場合とそのときの対処方法
2回目の任意整理は不可能ではない(禁止されていない)とはいえ、実際には種々の理由によって1回目の場合よりもハードルが高いことが少なくないといえます。
以下では、2回目の任意整理が難しい具体的なケースやその場合の借金解決方法について解説していきます。
(1)債権者が任意整理に応じてくれない可能性
任意整理は債権者が話し合いに応じてくれなければ行うことができません。また、話し合いができた場合であっても、今後の返済条件の見直しについて合意(和解)ができなければ成功に至りません。
任意整理が成功するかどうかは、負債の額や借入からの経緯、債務者の返済能力などさまざまな諸条件によって異なってきますので、一概にはいえませんが、次のような2回目の任意整理は、1回目の任意整理比べて成功しない(話し合いに応じてもらえない)可能性が高いといえます。
たとえば、1回目の任意整理(分割返済)が終わってから期間の経っていない時期に再度の任意整理を行ったという場合には、任意整理後の分割返済の実施に不安を感じた債権者が話し合いに応じてくれないということも考えられます。過去の任意整理の情報は、信用情報機関のデータベースに5年間登録されることがあり、任意整理を申し込まれた債権者にも知られてしまうからです。
また、任意整理(直)後は、銀行や大手消費者金融からの借入は信用情報との関係で難しい場合が多く、中小の消費者金融からしか借金できないことも少なくありません。これらの債権者には、会社の方針として任意整理には応じないというところもないわけではありません。
再和解のパターンの場合であれば、そもそも直近に任意整理をしていることから、債権者が話し合いそのものに難色を示す可能性も高くなってしまうといえます。
(2)債務者に任意整理できるだけの収入がない場合
任意整理できない場合のもうひとつのパターンは、債務者側に十分な収入がないという場合です。特に、2回目の任意整理となる場合には、1度目の借金の原因が解決されていない等の理由で、1回目よりも多額の借金を抱えてしまう場合や、1回目の時点よりも収入が減ってしまっているような場合も少なくありません。特に再和解の場合には、このような債務者側の事情が原因で任意整理(再和解)できないというケースも多いといえます。
(3)2回目の任意整理ができない場合の借金解決方法
任意整理で借金を解決できない場合には、1回目・2回目という回数は関係なく、そのほかの債務整理(個人再生・自己破産)で借金を解決するほかありません。
個人再生・自己破産は、個々の状況によって使い分けをすべきといえますが、一般論としては、2回目の任意整理が成功しない、できなかったというケースでは、自己破産による解決を選択した方がよい場合が多いといえます。個人再生は、手続後に分割返済を行わなければならないため、さらに不成功を重ねてしまうリスクが残るためです。
3、2回目3回目の任意整理にならないために注意しておくべきポイント
ここまで解説してきたように、任意整理は必要が生じれば何度でも行うことは可能です。しかし、「借金が返せなくなる」という状況に何度も陥るということは、決して好ましいことではありません。また、借金問題は回数を重ねるほど、深刻な問題となることも多いので、2回目よりも3回目となれば、任意整理で解決できる可能性も一般論としては低くなるといえます。
借金問題を繰り返し抱えないためには、特に次の点に注意することが重要といえます。
(1)借金の原因をきちんと見極める
債務整理では借金の負担を減らすことはできますが、多額の借金を抱えてしまった原因や、借金を返せなくなってしまった原因までは解決することはできません。したがって、借金のトラブルを繰り返さないためには、借金問題の原因がどこにあったのかということをしっかり見極め、その解決に向けた対応をとることが大切です。
(2)できるだけ早い時期に誰かに相談する
借金に関する悩みは、誰かに相談しづらいものです。借金が返済できなくなったという事態になれば、恥ずかしい、怒られるかもしれないといった気持ちが先に立ち、どうしても問題を一人で抱えがちになってしまいます。そのため、対応が遅れてしまったり、誤った対応をとってしまったために、状況がさらに悪化してしまったというケースも珍しくありません。
弁護士への相談であれば、多額の借金を抱えてしまったこと、さらには借金が返せなくなってしまったことを叱りつけるようなことはありません。また、弁護士に打ち明けた内容が家族などの他人に知られることもありません。さらには、状況を客観的に把握でき、気持ちを落ち着かせられますので、相談するだけでも状況が好転することも多いでしょう。
まとめ
任意整理は2回目だからできないというように回数制限があるわけではありません。とはいえ、1回目よりも2回目の任意整理の方が成功のハードルが高い場合が多いことに注意する必要があります。
また、借金のトラブルは数を重ねるほど、抱える問題の程度も深刻になっていくことが少なくありませんので、返済が苦しいと感じたときにはできるだけ早く弁護士に相談することをおすすめします。
ベリーベストでは、あらゆるご相談に丁寧に対応させていただきますので、2回目の任意整理でもご安心してご相談ください。