旦那の浮気相手に慰謝料請求したいけれど、実際に請求した場合の旦那の反応が気になるという方もいらっしゃるのではないでしょうか。
旦那が浮気をしたら、旦那と浮気相手の両方に対して慰謝料請求が可能です。しかし、離婚しないで浮気相手にだけ慰謝料請求するという方もいらっしゃいます。その場合には、旦那の反応が気になるのも無理はありません。
不倫や浮気は立派な違法行為なので、あなたには慰謝料を請求する正当な権利があります。とはいえ、浮気相手に慰謝料請求をしたために離婚という結末を迎えてしまう可能性もあります。
たとえ正当な権利があっても、実際に慰謝料請求するかどうかは旦那の反応も考えて慎重に対応する必要があります。
そこで今回は、
・浮気相手に慰謝料請求したときの旦那の反応
・浮気相手に慰謝料請求されたときの旦那の心理
・浮気相手に慰謝料請求するかどうかの判断基準
について、不倫・浮気問題の解決実績が豊富なベリーベスト法律事務所の弁護士が分かりやすく解説します。
夫婦の信頼が揺らぐ問題、それは浮気による慰謝料請求。浮気相手に慰謝料を求める一方で、旦那の反応は様々です。時には離婚の危機も迫るかもしれません。しかし、こうした難しい状況でも、修復の道があるかもしれません。旦那自身も浮気の原因を振り返り、謝罪の意思表示が重要になります。
また、慰謝料請求が複雑になる際には、弁護士の協力も考慮すべきでしょう。夫婦の納得が得られる解決策を見つけることが、再び信頼を取り戻す近道です。これからの未来に向けて、一歩踏み出す勇気と決断が必要な時かもしれませんが、夫婦の絆を取り戻すためにも、希望を持ちながら前に進んでいきましょう。この記事が、旦那の浮気相手に慰謝料請求したいけれど夫婦関係に波風は立てたくない、という方の手助けとなれば幸いです。
不倫された際に知っておくべき内容全般については以下の記事をご参照ください。
また、不倫慰謝料請求に関する記事はこちらです。
さらに別居中でも慰謝料請求できるかについてはYouTubeでも解説しています。
目次
1、浮気相手に慰謝料請求したときの旦那の反応~3つのパターン
まずは、妻が旦那の浮気相手に慰謝料請求をしたときに、旦那がどのような反応を見せるのかみていきましょう。
これは人それぞれ、さまざまな反応があるはずですので、一概に言うことはできません。ただ、よくあるケースとして以下3つのパターンを挙げることができます。
(1)逆ギレする
第一のパターンは「逆ギレ」です。妻が慰謝料請求しようとすると、
「そんなことをしたら離婚だ」
「お前に魅力がないから浮気せざるを得なかったんだ」
などと、自分の非を棚に上げて妻に対して逆ギレをする旦那がいます。
この手の旦那の中には、
- 妻に慰謝料請求を思いとどまらせるために強い態度に出るタイプ
- 本当に離婚しても構わない、あるいは自分に非がないと思っているタイプ
の2つのタイプがいると考えられます。
(2)無抵抗
2つめのパターンは、「無抵抗」です。
妻が慰謝料請求をしても、自分がどうしてほしいのかを主張することもなく、オロオロするばかりの旦那です。
この手の旦那は、自分が悪いことをしたということは自覚しており、離婚は回避したいと考えていることが多いようです。
(3)浮気相手をかばう
3つめのパターンとして、「浮気相手をかばう」という旦那もいます。
「悪いのは俺だから、彼女には慰謝料請求しないでほしい」
「彼女は生活が大変だから、慰謝料を支払わせるのは可哀想だ」
などと、裏切った妻への配慮はさておいて、浮気相手のことばかり配慮する旦那です。なかには、浮気相手が支払うべき慰謝料を自分が肩代わりすると申し出る旦那もいます。
2、浮気相手に慰謝料請求されたときの旦那の心理は?
妻が旦那の浮気相手に慰謝料請求をすることで夫婦がどのような結末を迎えるかは、旦那の心理によって大きく影響されます。
前項でも簡単に旦那の心理を紹介しましたが、さらに詳しくみていきましょう。
(1)離婚しても構わない
1つめは、「離婚しても構わない」という心理です。
前項でご紹介した3つのパターンでいうと、「逆ギレする」タイプの旦那は、離婚しても構わないという心理を有していることが多いです。
しかし、他2つのパターンの旦那でも、この心理を有していることがあります。
「無抵抗」タイプの旦那の中には、離婚されてもやむを得ないという、あきらめの心理に至っている人もいます。
「浮気相手をかばう」タイプの旦那の中には、浮気相手と一緒になるために離婚したいと望んでいる人もいます。
(2)許してほしい(離婚したくない)
2つめは、「許してほしい」という心理です。
浮気相手への慰謝料請求については、「妻の意向に任せる」という旦那もいれば、「できればやめてほしい」という旦那もいます。どちらの場合も、自分は離婚したくないという消極的な心理だといえるでしょう。この心理を有していることが多いのは、「無抵抗」タイプの旦那です。
しかし、「逆ギレする」タイプの旦那の中にも、妻に慰謝料請求を思いとどまらせるために強い態度に出ているものの、本当は許してほしい、離婚したくない、と思っている人もいます。
「浮気相手をかばう」タイプの旦那の中にも、「慰謝料は自分が払うから、自分も浮気相手も許してほしい」という人がいます。あるいは、「謝罪するから浮気はなかったことにしてほしい」という、虫のいい旦那もいます。
(3)面倒なことを避けたい
3つめは、「面倒なことを避けたい」という心理です。悪いことをしたという自覚はあっても、離婚だとか慰謝料請求だとか面倒なことは避けたいと考えるのです。
「浮気相手をかばう」タイプの旦那に、この心理を有する人が比較的多いです。「すべて自分が悪い」と言うことで妻が許してくれると考えているのでしょう。
3、浮気相手に慰謝料請求するかどうかの判断基準
旦那の浮気相手に慰謝料請求したときの旦那の反応と、旦那の心理について解説してきました。性格は人それぞれなので、他にも無数のパターンがあり得ると思います。
しかし、あなたの旦那の性格を考えれば、ここまでの解説を参考にして、おおよその反応や心理を予測できるのではないでしょうか。
その予測を前提として、実際に浮気相手に対して慰謝料請求するかどうかの判断基準を解説していきます。明確に予測できない場合は、いくつかのパターンを想定した上で、以下の解説を読み進めていただければと思います。
(1)離婚してもよい場合
あなた自身が離婚してもよいとお考えの場合は、特に悩まず浮気相手に慰謝料請求することができるでしょう。逆ギレされても放っておけばよいですし、身の危険を感じるようなら、別居してから慰謝料請求するようにしましょう。旦那から「浮気相手の慰謝料を肩代わりする」と言われた場合、その提案に応じるかどうかは、あなたの気持ち次第です。
ただし、慰謝料の二重取りはできません。旦那から満額の慰謝料を受け取った場合は、さらに浮気相手に慰謝料請求することはできないことにご注意ください。
(2)離婚したくない場合
あなたが離婚したくない場合は、慎重に考える必要があります。旦那に逆ギレされた場合、本当に旦那が離婚しても構わないと考えているようなら、慰謝料請求は保留した方がよいでしょう。
しかし、妻を黙らせるために逆ギレしていると考えられる場合は、慰謝料請求しても差し支えない可能性があります。
ただし、自分一人で対応していると、旦那の逆ギレが収まらず、結局は夫婦関係が破綻することになりかねません。その場合は、弁護士に慰謝料請求を依頼して、その弁護士から旦那に対して、慰謝料請求という形で「ケリ」をつけるのが得策であることを説明してもらうとよいでしょう。旦那から「浮気相手には慰謝料請求をしないでくれ」と言われた場合も、夫婦生活を続けるためには慰謝料請求をして「ケリ」を付けることが望ましいといえます。
しかし、旦那の気持ちが浮気相手の方に傾いているようであれば、慰謝料請求はいったん保留して、夫婦関係についてよく話し合った方がよいでしょう。
4、浮気相手に慰謝料請求すると決めたら考えるべきこと
旦那の浮気相手に慰謝料請求すると決めた場合も、実際に請求する前に考えるべきことがいくつかあります。
「請求はしてみたけれど、慰謝料を受け取れなかった」ということにならないよう、以下の点をしっかりと検討しておきましょう。
(1)いくら請求できるか
不倫・慰謝料の慰謝料の相場は、数十万円~300万円程度と言われています。その中でも、離婚しない場合の慰謝料は100万円~200万円程度になることが多くなっています。
ただし、実際の慰謝料額は、相場を参考にしつつも、
- 不倫期間の長短
- 不貞行為の回数
- 婚姻期間
- 夫婦間の子供の有無
など、さまざまな事情を総合的に考慮して決められます。そのため、事情によっては相場よりも高額の慰謝料請求できるケースもあります。
一方で、あなたの配偶者が既婚者であることを浮気相手が知らなかった場合や、知っていても「妻との夫婦関係はもう終わっている」と聞かされていた場合などは、慰謝料を請求できないか、請求できても減額される可能性があります。
不倫・浮気の慰謝料の相場と計算方法については、こちらの記事で詳しく解説していますので、併せてご参照ください。
(2)どのようにして請求するか
浮気相手に慰謝料請求できることが分かったら、次に請求方法を考えます。通常、浮気相手に対する慰謝料請求は以下の手順で進めていきます。
- 証拠を確保する
- 内容証明郵便を送付する
- 相手と話し合う
- 話し合いがまとまらなければ裁判をする
相手が不倫・浮気の事実を否定した場合には、証拠がなければ慰謝料請求が認められませんので、請求前に必ず証拠を確保しておきましょう。
証拠としては、主に、2人がラブホテルに出入りする写真や、性交渉中に撮影された画像や動画、肉体関係があったことが分かるメールやSNSでのやりとりなどがあります。
そして、慰謝料請求をする際には請求書を内容証明郵便にして送付するのが一般的です。こうすることで、こちらが本気であることを伝えることができるので、後の話し合いを有利に進めやすくなる心理的な効果が期待できます。
内容証明郵便で請求した金額を浮気相手がすぐに振り込んでくれた場合は、それで一件落着となります。しかし、請求したとおりの金額をスムーズに振り込んでくれることは、そうそうありません。
浮気相手が反論や何らかの意見を述べてきた場合は、話し合いの機会を持ち、金額や支払い方法を交渉して決めます。交渉によって合意ができたら、証拠を残すために示談書を必ず作成しておきましょう。
話し合いがまとまらない場合や、浮気相手が話し合いに応じない場合は、裁判(慰謝料請求訴訟)を起こします。
裁判では、不倫・浮気の具体的な事実を主張して、その事実を証明できる証拠を提出します。裁判所が証明十分と判断すれば、判決で浮気相手に対して慰謝料の支払いが命じられます。
(3)求償権に注意する
浮気相手に対する慰謝料請求に成功したとしても、「求償権」を行使される可能性があることに注意しなければなりません。
求償権とは、浮気相手が満額の慰謝料を支払った場合に、自分の負担割合を超える部分について、あなたの配偶者に支払いを求めることができる権利のことです。
そもそも不倫・浮気は、あなたの家庭の平和を維持する権利を侵害する不法行為です。不倫・浮気の当事者である配偶者と浮気相手は、共同不法行為者となります。
共同不法行為者は、被害者に対して連帯して損害を賠償する責任を負います(民法第719条1項)。
例えば、正当な慰謝料額が200万円と判断された場合、あなたは配偶者にも浮気相手にも200万円の支払いを求めることができます。
ただし、総額200万円という枠は変わりませんので、浮気相手が200万円を支払った場合には、自分の負担割合を超える部分について、あなたの配偶者に支払いを求めることができるのです。
負担割合は状況によって異なりますが、不倫・浮気の場合は通常、半分ずつと考えられています。
つまり、浮気相手から慰謝料200万円を受け取ったとしても、求償権を行使されると、あなたの配偶者から浮気相手に対して100万円を支払わなければなりません。
あなたが離婚しない場合は、家計の面で見ると実質的に慰謝料が半額になってしまう可能性があるということにご注意ください。
まとめ
旦那の浮気相手に慰謝料請求をしたくても、旦那の反応が気になると、なかなか対応を決めきれないものです。一人で悩んでいると時間だけが過ぎて、慰謝料請求権が時効(浮気の事実と浮気相手を知ってから3年)にかかってしまい、後悔することにもなりかねません。かといって、怒りの感情に任せて慰謝料請求に踏み切ると、夫婦関係が決裂して離婚に至ってしまうこともあります。
お悩みの方は、早めに弁護士に相談して専門的なアドバイスを受け、悔いのない選択をするようにしましょう。