コロナでの結婚式キャンセルでキャンセル料を支払わない方法

コロナで結婚式はキャンセルすべき?キャンセル料を支払わない方法について弁護士が徹底解説

コロナの流行で結婚式をキャンセル・延期をせざるおえなかった方もいるのではないでしょうか。

2020年4月現在、国内感染者数は1万人を超え、収束の兆しが見えない新型コロナウイルス。
4月16日には緊急事態宣言が日本全国へ拡大、不要不急の外出を自粛することが日本全国で必要となりました。

そんな中、一生に1度の結婚式を控えたあなた。
結婚式は、「不要不急」ではありません。必「要」であり、今でなければならない(「急」)のです。

では、行うのか行わないのか。
主催者であるあなたはどう考えたら良いのでしょうか?

今回は、新型コロナウイルスが収束しない現時点において、

  • 結婚式はキャンセルすべき?
  • コロナが理由でもこちらからキャンセルしたらキャンセル料は発生するの?
  • キャンセル料を拒否する方法

などについて、弁護士がやさしく解説していきます。

ずっと心待ちにしていた結婚式、少しでも悲しい涙が減りますように。この記事がお役に立てば幸いです。

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1、結婚式キャンセルしなくても大丈夫?

コロナで結婚式はキャンセルすべき?キャンセル料を支払わない方法について弁護士が徹底解説

実は、2020年4月現在において、自治体等からの休業要請の対象として、結婚式場は含まれていません。
ですから、結婚式場では休業していないところもあるでしょう。
そうなれば、お客であるあなたたち側が、やるのかやらないのかを判断しなければならないわけです。

本項では、キャンセルすべきなのか決行しても良いのか、その判断ポイントについて一緒にみていきましょう。

(1)結婚式を決行するメリット・デメリット

では、まず結婚式を決行するメリット(決行したい理由)とデメリット(決行してはいけない理由)を確認し、事態を整理していきましょう。

①結婚式を決行したい理由

大きくは、次の3点に集約されるかと思います。

  • 今でなければ間延びしてしまう
  • 一生に一度、死ぬほど楽しみにしていた
  • キャンセル料がかかる

②結婚式をキャンセルせねばならない理由

一方、キャンセルしなければならないのではないか、という理由は、以下のものがあげられます。

  • クラスターが発生してしまうのではないか
  • 高齢や持病をもつゲストを呼ぶのが怖い
  • 遠方からのゲストが飛行機や新幹線を利用することが申し訳ない

(2)ゲストたちの声

結婚式のキャンセルを考えてしまう理由は、上記の通り、主にゲストへの配慮です。

では、そのゲストたちはどのように考えているのでしょうか。本音をのぞける掲示板から、彼らの本音をのぞいてみましょう。

①弟の結婚式

3月末に弟の結婚式があります。
私の出産があったこともあり3月に結婚式の日取りをとっていました。
とても楽しみにしていたのですがここにきてコロナウイルスが蔓延して出席をどうすべきか迷っています。
結婚式は現段階では延期せず実施予定です。夫と子ども(乳児)と出席予定でしたが、私のみ出席、私のみ式だけ出席、欠席で迷っています。夫はみんなで行ければ行こうと言っていますが。父は私と子どもはやめておいた方がいいと言っています。
出席したい気持ちはやまやま、夜間の授乳や産後の体力低下しており、もし感染してしまったらと思うとやめておいた方がいいのかとも思っています。

引用:発言小町

②親友の結婚式

5月上旬に親友の結婚式があります。長い付き合いで本当に優しい良い子です。私の結婚式にも来てもらっており、彼女の結婚式にも喜んで参加する予定でした。

ところが、新型コロナが蔓延しており、何がなんでも出席したい気持ちと家族への感染リスクを考えて非常に悩んでいます。

悩んでいる理由は以下の通りです。
・受付を頼まれており簡単には断れない、断りたくない
同様に頼まれているもう1人の友人(乳幼児と関わる仕事です)も居ます。

・私に1歳になったばかりの子供が居る
(略)我が子に感染させることだけは何としてでも避けたい…。

・同居している70代の義母がいる
・週一で会いに行く80代の祖母がいる
・遠方なので電車を使わないと行けない
もし行くとなれば、電車は避けて車で3時間かけて式場まで運転していくつもりでいます。

(略)あくまでも気持ちとしてですが、キャンセル料がかかるなら代わりに何百万でも私が出しても良いと思えるぐらいの友人です。

何か連絡が来ることを彼女を信じて待つべきか。
『予定通り式はするのかな?』と聞こうかとも思いましたが、彼女自身もこの状況下ですごく悩んでいるだろうと思うと、その連絡をすることすら彼女を傷つけてしまいそうで心苦しいです。
(略)

引用:発言小町

(3)決行したい理由を整理してみよう

あなたの心配は当たっているようで、ゲストたちはそれぞれの事情の中で、出席に大変悩んでいるようです。
キャンセルに大きく気持ちが傾く中、それを妨げる「決行したい理由」たち。

ここでは、決行したい理由を一度整理してみましょう。

①今でなければ間延びしてしまう

結婚式を挙げる時期というのは、そのカップルごとの関係性において、「機を熟したとき」です。
ですから、たしかに、気持ち的にいつでも挙げられるというものではありません。
もっと関係が深まれば、綺麗に着飾ってちょこんと隣に座るなどめんどくさい、お金ももったいない、なんて思う日が来てしまうかもしれないのです。

でも、裏を返せば、気持ち次第なんです。
この一生に一度、あるかないかの危機的状況で結婚式を予定していたあなたたちカップルは、どのような強い絆を作り上げていくのか。あなたたちの気持ち次第なのです。

間延びなんかさせない!いつか式を挙げるまではフレッシュな関係でいたい!
そんな風に強く思い、それを実現させること。

このような気持ちでスタートを切ることは、これからの夫婦関係において決して無駄なことではありません。

②一生に一度、死ぬほど楽しみにしていた

式をキャンセルしたからといって、二度と式をあげられないことはありません。
それこそ、さらにお金を貯める時期が延びたと思えば、もっと豪華な式を挙げられることでしょう。

そして、初回で戸惑ったゲスト選定や式場選びも、次に行うときは、さらに厳選できる可能性もあります。
死ぬほど楽しみにしていたからこそ、抜かりなくもう一度準備ができる。
そんな楽しみもあるのではないでしょうか。

③キャンセル料がかかる

この点を心配されている方は少なくないと思います。
何もしないのに数十万、場合によっては100万円以上かかるなんてことになれば、もう決行しかないと腹をくくる人も一定数いるのは当然です。

以下「2」では、キャンセル料をなるべく支払わないようにする知恵について記載していきます。要チェックです!

2、新型コロナウイルスを理由としてキャンセル料を払わずにキャンセルできるか

コロナで結婚式はキャンセルすべき?キャンセル料を支払わない方法について弁護士が徹底解説

新型コロナウイルスでキャンセルする場合、そもそもお客側のせいではありません。
かといって、式場側が休業を決めたなどでない限り、式場のせいでもありません。

こういう場合、キャンセル料をそもそも支払う義務はあるのでしょうか?
法律の観点から、以下、見ていきましょう。

(1)キャンセル料の法的性質

キャンセル料とは、そもそも法律上どのような位置付けなのでしょうか。

これは、債務不履行による「損害賠償」です。
つまり、契約当事者の一方から、契約を解除したことにより相手に損害を与えた場合、その損害を賠償する、ということです。

キャンセル料は、契約上前もって支払う額(または基準額に対する割合)が決められているのが一般的です。これを「損害賠償の予定」といいます。

(2)コロナでキャンセルする場合の損害賠償の支払い義務は

この4月に施行された改正民法では、債務不履行による損害賠償の規定はこのようになっています。

(債務不履行による損害賠償)
第415条第1項

債務者がその債務の本旨に従った履行をしないとき又は債務の履行が不能であるときは,債権者は,これによって生じた損害の賠償を請求することができる。ただし,その債務の不履行が契約その他の債務の発生原因及び取引上の社会通念に照らして債務者の責めに帰することができない事由によるものであるときは,この限りでない。
(お客側からキャンセルする場合、本条項における「債務者」とは「お客」、債権者とは「式場」のことです)

この条項の「ただし,」以下を見てください。

「債務の不履行が(略)債務者の責めに帰することができない事由によるものであるときは,この限りでない。」

と書かれています。「この限りでない」とは、「損害の賠償を請求することはできない」という意味です。

さて、結婚式をお客側からキャンセルすることについての「債務の不履行」とは、お客が結婚式場を予定通りに利用するという「債務(義務)」を実行しないことです。
ですから、この条項に照らしてみると、

「お客が結婚式場を予定通りに利用しない(できない)ことが、お客のせいでない理由によるものであるときは、式場は、損害の賠償を請求することができない」

ということになります。

この「お客のせいでない理由」に、現在のコロナの事態が入るかどうかが問題となります。
「当然入るでしょ」と思われるかもしれませんが、法律の考え方は、もう少し深く考える必要があります。
「お客のせいでない理由」と言えるかどうかは、条文を見てみると、「契約その他の債務の発生原因及び取引上の社会通念に照らして」考えるとされています。

これを考えると、「結婚式」というのは、基本的に、2人きり、もしくは親を含めた数人ででも、誓いの儀式として行うという意味があります。
この意味からは、不要不急のビジネスで数人が適度な距離を保ちながら集合することを許容範囲と考えると、一切キャンセルしてしまうことは「お客のせいでない理由」とは言えはない、つまりお客の考えでキャンセルしたまで、ということができるとも思えます。

一方、「結婚式」は、大勢の人を集めてお披露目し、祝福を受けるという意味もあります。
この意味からは、コロナの事態でのキャンセルは「お客のせいではない理由」とも言えましょう。
自粛レベルについては、緊急事態宣言の中でも「特定警戒」の対象である地域なのかどうかでも、差が出てくるかもしれません。

このように、コロナによる結婚式のキャンセルをどうとるのか、かなり難しいものがあることは事実です。

なお、新法が適用されるのは、原則として2020年4月1日以降に本予約をされた方です。それ以前に予約をされた方は、基本的には旧法が適用されますが、旧民法415条であっても結論は同じです。

(3)まずは契約内容を確認

結婚式の本予約をしていれば、一般的には一定の契約書面があるはずです。
お客の方からキャンセルするケースについて、どのように規定されているのか、まずは契約書を確認してみましょう。
もし、「伝染病などの流行によりキャンセルする場合は、キャンセル料はかからない」などという条項があれば、キャンセル料を心配する必要はありません。

(4)交渉方法

ただ、「伝染病」などという言葉を明確に入れていることは非常に稀です。
抽象的な表現で記載されているケースが大半ですから、その場合は、式場側と話し合いをすることになります。

①まずは「損害」を確認

まずは、具体的な式場側の「損害」を確認しましょう。
そもそも、損害賠償とは、損害が発生していることが条件です。
その損害をどちらがどの程度負担をするのか。キャンセル料とはそういう意味です。

もっとも、キャンセル料は前述の通り損害賠償の「予定」ですから、実際の損害とずれていてもかまいません。

しかし、あまりにもズレている、例えば、1年前のキャンセルでも10万円のキャンセル料がかかる、という規定などは問題です。なぜなら、1年前であればなんら損害がないことは明確であるにもかかわらず、10万円という金額を規定していることがあまりにもお客側に不利だからです。

このようにあまりにもお客側に不利な条項になっている場合は、消費者契約法に基づきその条項は無効となる可能性があります(消費者契約法9条)。

②損害が発生している場合は、民法415条1項ただし書に基づき支払いを拒否

次に、自分たちにとっての結婚式の意味合いはお披露目が主であったことを主張していきます。
これまでの式場との話し合いの中で、式場側にも十分にその趣旨が伝わっていたと言えるような場合は、より有利です。
その上で、民法第415条1条ただし書に基づき、賠償責任はないと考える旨を主張していくと良いでしょう。

式と披露宴をセットで申し込んでいるようなスタイルでは、式だけは2人だけで挙げ、披露宴をキャンセル料なしでキャンセル、という落ち着きどころもあるかもしれません。

(5)式場が自治体等からの休業要請対象になったらどうなる?

お客側からのキャンセルではなく、自治体等から結婚式業界に休業要請が入った場合、キャンセル料についてはどうなるでしょうか。
この場合、キャンセルは、お客側からするまでもなく式場側からなされることになり、キャンセル料の問題ではなく、お客が結婚式の費用自体を支払うかどうか、が問題になり得ます。

「そんなの払うわけないじゃん!」と思われるかもしれませんが、これは民法上、危険負担といわれる問題です。
念のため、民法の規定を確認しておきましょう。

改正民法536条1項

当事者双方の責めに帰することができない事由によって債務を履行することができなくなったときは、債権者は、反対給付の履行を拒むことができる。
(式場からキャンセルする場合、本条項の「債権者」とは「お客」のことです)

自治体等の要請を受けて休業することになり、結婚式をひらくことができなくなってしまったことは、「当事者双方の責めに帰することができない事由」に該当すると考えられます。
「結婚式をひらく」という式場の債務に対する債権者は「お客」ですから、条文に従えば、

「債権者(お客)は、反対給付(結婚式費用)の履行(支払い)を拒むことができる。」

わけです。

ちゃんと民法でも支払いは拒めると規定されていました。
2020年4月1日以降に本予約をされた方に関してはこの条文が適用されますので、契約書もこのような内容になっていることが多いかと思います。

なお、それ以前に契約をされた方には基本的には旧法が適用されますが、旧536条1項であっても結論は同じです。

旧536条1項

「…当事者双方の責めに帰することができない事由によって債務を履行することができなくなったときは、債務者は、反対給付を受ける権利を有しない」

コロナによる行政の指導は「当事者双方の責めに帰することができない事由」といえるでしょう。そうすると債務者(ここでは式場)は反対給付(費用)を受ける権利がないということになります。

なお、本予約の時期を問わず、式場費用の負担がお客側に発生しなかったとしても、契約内容によってはすでに式場側が行ったこと(例:招待状の印刷)についての費用負担がお客側になる可能性はありますのでご注意ください。

3、2020年4月現在における結婚式業界の動向

コロナで結婚式はキャンセルすべき?キャンセル料を支払わない方法について弁護士が徹底解説

このように、キャンセル料については、今が式のどれくらい前なのか、どちらから中止を申し出たか等により、様々な帰結があるのが現状です。
これを受けて、11社の結婚式場運営会社は、キャンセル料の負担について、柔軟な対応をしていく方針を共同で発表しました。

これによれば、日程変更(延期)の場合は、お客の負担は最低限の実費負担にとどまるとのことです。
この11社以外の式場も、今後、この対応にならっていくものと考えられます。

もし今、式場とトラブルになっている方がいましたら、上記の「2」(4)の交渉術に加えてこれらの業界の動向も伝え、柔軟に対応してもらえないか交渉されてみるべきです。

4、だいぶ先の結婚式―コロナ収束するかも。キャンセルしなくて大丈夫?

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人気の結婚式場などでは、1年ほど前から予約するなんてこともあります。
東京オリンピックだって来年になったくらいですから、だいぶ先の結婚式ならキャンセルしなくても大丈夫でしょうか?

(1)新型コロナウイルス収束の目処

新型コロナウイルス感染者数が減っていく条件として、専門家の試算により、全国民が人との接触8割減が必須と言われています。
もしもこの通りに実行されたとした場合、新型コロナウイルスの感染拡大を一定程度まで抑制できるとする期間は15日程度、ただし、潜伏期間などを考慮し、感染者の減少を実際に確認できるまでには1ヶ月程度かかると言われています。
これが、7割減になると、感染者の減少を実際に確認できるまでには2ヶ月弱です。

ただ、2020年4月現在において、駅の利用状況や携帯電話会社の調査によれば、接触人数の削減は、街のどこを取っても7割、8割削減されている、というまでにはなっていないとも言われています。

(2)2020年4月現在、いつまでに行われる式は即キャンセルすべきなのか

そもそも人の心理は、すぐに切り替えられるものではなく、徐々に浸透、状況の受容へと変化するもの。
現在7〜8割に行き届いていないとなれば、仮に明日にでも全国民が7割減にしたとしても、収束まで2ヶ月はかかるのです。
そのため、4月現在においては、少なくとも2ヶ月先である6月末までに行われる結婚式は、即キャンセルすべきと言えるでしょう。

(3)キャンセルするなら予定日の何ヶ月前までにキャンセルすれば良い?

以上から、7月以降に予定している結婚式においては、状況を見つつ、ということになってこようかと思います。

ただ、次の2点から、結婚式のキャンセルというのは直前にするわけにはいかないのが一般的なのです。

①ゲストの予定

結婚式は、職場の関係者や親族も招く方が多く、一般的にゲストの職業や年齢幅は大変広いもの。
つまり、ゲストの人生や生活のスタイルは、さまざまであるということです。
そのため、ゲストの予定を抑えてもらう、ということには慎重に気遣う必要が出てきます。

ゲストの予定を直前に変更することは、相手になんらかの損害が発生することにもなりかねず、余裕をもった準備が重要となってきます。

②キャンセルの時期によってキャンセル料が変わる

結婚式のキャンセル料は、一般的に、いつキャンセルするのか、によって料金が変わってきます。
つまり、式予定日より前であればあるほど安く済む、という設定になっているのです。

一般的には次のような設定になっていることが多いようです。

<結婚式のキャンセル料の目安>

挙式日の179日~150日前まで申込金の全額+実費
149日~90日前まで見積もり金額の20%+実費
89日~60日前まで見積もり金額の39%+実費
59日~30日前まで見積もり金額の40%+実費
29日~10日前まで見積もり金額の45%+外注解約料(司会など)+実費
9日~前日まで見積もり金額の45%+外注解約料+納品済み物品代金
挙式・披露宴当日見積もり金額の100%

前述の通り、民法をもとにキャンセル料を発生させないように考えることもできますが、あくまでも「交渉」が欠かせません。
キャンセル料なしですんなりとキャンセルするには、キャンセル料が契約上かからないとされる半年以上前にキャンセルすべきであることはいうまでもないでしょう。

コロナの収束を追いながら、直前までキャンセルを見送りたい気持ちはとてもよくわかります。
しかし、早めにキャンセルをして収束後新たに申し込む、といった工夫を考えていく方が、リスクは少ないということが言えるかと思います。

5、式場ともめている!そんな場合の相談先は?

コロナで結婚式はキャンセルすべき?キャンセル料を支払わない方法について弁護士が徹底解説

最後に、今まさに式場ともめている、という場合の相談先をご紹介いたします。

(1)独立行政法人 国民生活センター

国民生活センターは、事業者の対応に困る消費者に対してアドバイスをしてくれる、消費者庁所管の機関です。
事業者と消費者は対等であるべきですが、その力関係においてはどうしても事業者の方が強くなってしまいがちです。

そもそもの商品やサービスにおける知識差もあり、ややもすれば消費者が泣き寝入りしなければならないことにもなりかねません。
こうしたことを解決するため、国民生活センターが立ち上げられ、消費者が必要とする知識をアドバイスしたりしてくれます。

式場側もキャンセル料なしにキャンセルを受け入れることは死活問題ですが、お客側も好きでキャンセルをするわけではないこの状況です。
もめている場合は相談し、紛争の状況を整理してみると良いでしょう。

(2)弁護士

キャンセル料の問題は、主に民法上の問題です。
このような法律問題については、法律の専門家である弁護士に相談するのがもっともおすすめと言えます。
キャンセル料を支払うべきかの判断はもちろん、拒否する具体的なアドバイスをもらうことも期待できます。

大きなトラブルになっていれば、交渉を代理で行ってもらうことも可能です。
今は無料で相談できる法律事務所も増えています。ぜひお気軽に相談してみてください。

6、弁護士見解!払ってしまった場合の結婚式キャンセル料返金の有無

コロナで結婚式はキャンセルすべき?キャンセル料を支払わない方法について弁護士が徹底解説

最後に、すでにキャンセル料を支払ってしまった場合、返金してもらうことができるのか、ご説明していきましょう。

(1)返金してもらうことは可能?

基本的には返金してもらうのは難しいでしょう。
その理由は、あなたがキャンセル料を支払ったのは、契約に基づいて支払ったはずなので、その契約の内容に同意して支払った、ということになるからです。

民法では、「禁反言の原則」といって、主張は一貫していなければならないという原則があります。
一度契約に合意して支払ったものを、法律をよく知らなかったという理由であっても後から覆すことは、基本的には認めらないのです。

もっとも、キャンセル料を合意するにおいて、なんらかの特別の事情(錯誤、詐欺、強迫、その他法律上の取り消しや無効事由)があれば、裁判で返金を争える余地はあります。
これらの可能性について思い当たるところがあれば、弁護士に相談してみることをお勧めいたします。

(2)交渉の余地がある場合

とはいえ、式場側が交渉に応じてくれることも考えられます。
式場側も、新型コロナウイルスでのこの状況について、どのように対応すべきか日々状況は変化しています。
キャンセル料を受け取った当初、ここまで新型コロナウイルスの事情が長引くことを想定してはいなかったことでしょう。

そのため、後日、会社としてキャンセル料はもらわない方針に転じた場合などでは、すでにもらってしまったお客側からアプローチをすれば、交渉に応じるとしているケースもあるかもしれません。
一度式場側へ話を持ちかけてみてはいかがでしょうか。

まとめ

一生に一度の結婚式を控えた今。どうしてコロナが蔓延したのが今なのか・・・。

しかし、「なぜ今年なのか」で世の中は溢れかえっています。
卒業式だった卒業生たち、転勤や引っ越しが決まっていた人たち、出産を控えた妊婦さん、手術をするはずだったコロナ以外の患者さん・・・。
一生に1度を控えていた人たちで、溢れかえっているのです。

どうかあなたも、今のこのトラブルをどのように乗り越えるのか、ぜひパートナーと話し合ってみてください。
この経験があったことを、将来夫婦で笑える日が来ますように願っています。

※この記事は公開日時点の法律を元に執筆しています。

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