性格の不一致での離婚では、双方で「性格が合わないな」と思っているケースでは「性格が合わないから別れよう」という合意ができ、比較的簡単に話が終わります。
しかし、性格の不一致においては、性格が合わないことで婚姻生活の継続が難しいほどのストレスを感じているのは、一方だけであるケースが多いのです。
ここでは、性格の不一致で離婚する方法などについて、弁護士監修の上でお伝えしていきます。
目次
1、性格の不一致での離婚は多い?
実は、昨今の離婚事情では、性格の不一致を理由に離婚するカップルが増加しています。
半数以上の離婚カップルが性格の不一致を理由に離婚しているのです。
離婚を決めた理由については以下の関連記事で解説しています。
男女ともに性格の不一致がダントツ一位であることがわかるでしょう。
2、性格の不一致が原因・理由で離婚する方法
性格の不一致で離婚を進めるには、「協議離婚」で決着をつけることです。
そもそも離婚は、
- 協議離婚(夫婦で話し合って離婚する)
- 調停離婚(調停で話し合って離婚する)
- 裁判離婚(裁判で離婚の判決を得て離婚する)
という3つの方法がありますが、特に「3.」はおススメではありません。
その理由は、「3.」では、法定離婚事由が大事になってくるからです。
法定離婚事由とは、法律上定められた離婚事由をいいます。
性格の不一致はこれに該当しないため、裁判に進んでも、第三者(裁判官)にジャッジしてもらうことができないのです。
性格の不一致では、両者が「合わない」と同じように思っていて、離婚したいと同じように思っている場合はあまり問題ではありません。しかし多くの場合では、
- 合わないことに大きなストレスを抱えているのは一方だけ
- 双方で合わないとは思っているが、一方が条件面で離婚を拒む
という事態であり、離婚を進めるのが至難の業です。
そこで本項では、どのように離婚協議を進めていくのかを解説していきます。
(1)合わないことにストレスを抱えているのが一方だけのケース
①性格の不一致箇所を具体的に示す
まずは、性格の不一致をどのようなシーンで感じるのか、具体的にいくつかエピソードを出しましょう。そして、あなたが抱えるストレスは、離婚しないと解決できない旨をパートナーに伝えてください。
②将来の不安材料を説明する
このまま夫婦関係を続けたとしても、いずれ破綻する恐れがあるということを相手に理解させることが大切です。
今は小さなスレ違いかもしれませんが、いずれは大きな溝ができると理解できれば夫も離婚に応じてくれるかもしれません。
感情的に話をするよりも、理論的な説明の方が相手は理解しやすいでしょう。
③決意が固いことを説明する
決意が固いのだという姿勢をしっかり見せましょう。
そのためには話し合いには冷静に真剣に臨むことです。
冗談っぽく切り出したり、怒りに任せて喧嘩腰の離婚の話し合いはやめてください、回りくどい言い方はやめて、「離婚したいです」としっかり伝えることが大切です。
(2)双方で合わないとは思っているが、一方が条件面で離婚を拒んでいるケース
「性格が合うかどうか」とは、結婚生活において重大なようで、無視することが可能なことでもあります。
生活にとって大切なのは、経済的力、ステイタス、継続性等々、パートナーとの相性と同等に重要視されることもたくさんあるからです。
また、夫婦二人きりではなく子どもがいる場合は、子どもの気持ちも考える必要があり、夫婦の性格の合わなさなどいったん横に置かなければならないと思う方も少なくないでしょう。
この場合は、相手が求める条件をきちんと引き出すことが重要です。
相手もあなたと同様に性格が合わないと思っているのであれば、あとは条件次第なのです。
ただ、相手があなたとの相性の悪さをスルーできる程度にしか気にしていないケースがあります。つまり、相手は、あなたの気持ちを軽視しているか、いつかなんとかなるだろうと甘く見ている可能性があります。
その場合は、真摯に条件交渉に応じないケースも考えられ、話し合いが難航するかもしれません。
3、性格の不一致での離婚~離婚協議がスムーズに行かないときはどうする?
性格の不一致での離婚は、まずは話し合いによる離婚協議を進めるべきですが、「2」で解説したようなケースではなかなか話し合いが進まないことが考えられます。
そんなときは、第三者を間に入れて協議を進めることです。
(1)第三者ー家族や友人
第一の「第三者」は、どちらかの家族や友人があげられます。
信頼できる人に間に入ってもらい、話し合いを続けていきましょう。
(2)第三者ー弁護士
第二の「第三者」は、弁護士があげられます。
弁護士は、依頼した人の味方ですので、相手が依頼した弁護士はあなたの味方にはならないので注意してください。
あなたのもっていきたいように話を進めたいのなら、あなた自身が依頼をすることが必要です。弁護士費用のことなど気になることは、まずは無料相談で確認してみましょう。
(3)第三者ー調停委員
第三の「第三者」は、調停委員です。
どうしても話し合いで合意が得られない場合には、家庭裁判所で行う調停離婚を利用する必要があります。
調停委員が夫婦間の間で調整をしてくれるため、直接性格の不一致な相手と話し合う必要がなくなり安心です。
もしも、法律が認める離婚事由が見当たらない性格の不一致での離婚なら、この調停離婚で決着をつけなければいけません。
夫が離婚に合意するための条件をしっかり確認し、譲るべきところは譲りながら上手に離婚の調停を進めていきましょう。
4、性格の不一致が法定離婚事由にあたる場合がある
性格の不一致が裁判離婚ではどうしても離婚できないのかというと、そうではありません。
次のようなケースでは法定離婚事由に相当するため、性格の不一致でも離婚することは可能です。
(1)性格の不一致から始まった不貞行為などがあった場合
性格の不一致の他に法定離婚事由に該当する事情があったケースでは、離婚裁判に移行しても離婚は成立します。
例えば、性格の不一致で夫婦仲がこじれて夫が浮気をしたケースや、夫が家庭に帰らず、数年間に及び妻を遺棄したケースなどです。
民法第770条に該当する事由があれば離婚できるでしょう。
(2)夫婦関係が破綻していた場合
性格の不一致から妻が家出をしてしまい、数年間別居状態になっていた場合には、すでに夫婦関係が破綻していると裁判所は判断することでしょう。
法定離婚事由では、「婚姻を継続し難い重大な事由」にあたります。
このような場合には、裁判離婚に発展したケースでも離婚ができることでしょう。
5、性格の不一致で離婚する場合に離婚慰謝料請求できる?
性格の不一致だけを理由に慰謝料の請求をすることはできません。
性格が合わないというのはどちらにも責任があるとは言えないからです。
ただし、性格の不一致を原因として、相手に責任を問えるような事情があった場合には請求が可能な場合もあります。
例えば、性格の不一致が高じて妻が性生活を望むにもかかわらず、健康な夫が長年に渡り拒絶しているケースではセックスレスの責任を夫に問うことが可能です。
この場合には、慰謝料請求の対象に含まれます。
繰り返しになりますがただ単に、性格が合わないから離婚をして慰謝料を請求するのは不可能だと考えてください。
性格の不一致はどちらか一方の責任ではなくお互いに責任があるからです。
もしも協議離婚や調停離婚で離婚が成立した場合には、話し合いの中で相手が慰謝料に合意したなら慰謝料を請求することができます。
話し合いでの離婚では慰謝料や養育費についてはカップルの自由に取り決めができるから、話し合いの段階で慰謝料が欲しい旨を訴えて相手が合意さえしてくれれば問題なく慰謝料がもらえると理解するといいでしょう。
まとめ
性格の不一致で離婚をするカップルは世の中にたくさんいます。
しかし、それは基本的に法律で認められた離婚事由にはあたりません。
性格の不一致はどのカップルにもあるのが普通です。
修復できそうならまずは修復を試みてみましょう。
それでもやはり離婚の選択肢しか残されていない場合には、協議離婚か調停離婚を行う必要があります。
そのためにもパートナーと真剣に話し合い離婚に向けて前向きに話を進めていきましょう。
自分の将来のためにも有利に離婚ができることを願います。