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不動産の立退きにあたって押さえておくべき8つの知識

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例えば、建物のオーナーがテナントに立ち退いてほしいとか、地主が借地人から借地を買い戻したいなど、賃貸借契約を終わりにしたいと考えた場合、借主が立ち退いてくれないことがあります。

借主との交渉がスムーズに進めば問題がありませんが、借主としても長い期間に亘って不動産を利用していたこともあり、交渉が難航するケースも少なくありません。

そこで、不動産の明渡しにまつわる多数のトラブルを解決してきたベリーベスト法律事務所の弁護士が、立退き問題でお困りの不動産オーナーや地主の方に向けて、立退きにかかわる8つの知識について、分かりやすく説明します。

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1、借主に賃料の未納があるかどうかで大きく違う!

まず、賃料の入金履歴(出納帳や通帳)を見て、借主に賃料の滞納や未納があるかどうかを確認してください。

借主に賃料の未納がある場合には、いわば借主の契約違反があるわけですから、貸主は非常に優位な立場に立てます。

例えば、借家の場合には3カ月以上の、借地の場合には6カ月から1年の賃料の未納がある場合には、賃貸借契約を一方的に解除することができます。

この場合には、当然のことながら、立退料は発生しません。

もっとも、賃料を滞納するくらいの借主ですから、転居費用を出せるだけの資力がないことも多く、交渉をしても、居留守を使われたり、場合によって夜逃げをしてしまうことも考えられます。

このような場合には、すぐに不動産の明渡しを求める裁判を提起することが肝心です。一定の金額以上の賃料の未納がある場合には、裁判を提起すればほぼ100%勝てます。そして、裁判で得た判決を用いて強制執行をすることによって明渡しを実現できます。

この場合、貸主としては、強制執行費用を負担しなければならない場合もあります。しかしながら、賃料の未納がない場合に比べて早期に明渡しを実現できることになります。

一方、賃料の未納がない場合には、借主には、借家であれば「借家権」、借地であれば「借地権」という権利がありますから、立退きは一筋縄ではいきません。

そこで、この記事では、賃料の未納がないケースについて説明いたします。

2、賃貸借契約の期間が満了しても当然に明渡しを求められるわけではない!

借地や借家の法律関係を定める法律として借地借家法という法律があります。

借地借家法では、賃貸借契約の終了について次のように定めています。

(1)借家の場合

①契約期間の定めがある場合

例えば、賃貸借契約で契約期間を2年間とか、3年間などと定めている場合です。この場合は、まず、期間満了の1年前から6カ月前までに、借主に対して、契約更新をしない旨の通知をする必要があります。

これは、期間内に通知をすればいいだけの話なので、あまり問題はありません。しいていえば、契約であまり長い賃貸借期間(例えば10年とか20年)を定めてしまうと、その期間内は一方的に解約ができないということくらいです。

そして、貸主に借家の明渡しが認められるためには、この期間内の通知に加えて、貸主に「正当事由」があることが必要です。立退料は、この「正当事由」に関わる問題です。このあと、詳しく解説をします。

②契約期間の定めがない場合

賃貸借契約において期間を定めなかった場合には、解約申入れをした日から6カ月間を経過することによって賃貸借契約を終了させることができます。

例えば、家族間で建物を貸している場合には、家賃だけ決めて契約期間は定めておかない場合もあるでしょう。また、期間の定めがある賃貸借契約でも、1年前から6カ月前までに契約更新をしない旨の通知をしなかった場合や、通知をしたが借主が退居しないでこれに異議を述べなかった場合は、「法定更新」といって、賃貸借契約が今までと同条件で存続することになります。

この法定更新の後の賃貸借契約も期間の定めのない契約となります。建物のオーナーの中には、賃貸借契約の更新を面倒がっている方も見受けられます。このような方の場合は、法定更新がされていることになります。

そして、契約期間の定めがない場合における解約通知にも、「正当事由」が必要です。

(2)借地の場合

借地の場合における契約期間の終了は、若干複雑です。まず、借地上に建物があるか、借地権者(土地の借主)が土地の継続して利用している状況で、借地権者が更新の請求をした際に、地主(土地の貸主)側で、これを拒絶することが要件です。

なお、借地の場合、契約期間を定めなくても、借地借家法で自動的に30年となりますので、契約期間の定めがない場合は存在しません。

そして、この地主側で更新拒絶をする場合にも、「正当事由」が必要です。

3、立退きを求めるために必要な「正当事由」とは?

ここまで不動産の貸主側では、一定期間前に何らかの通知が必要ですが、これに加えて「正当事由」が必要だと説明しました。

裏を返せば、例えば借家の場合には、1年前に契約を更新しない通知をしても、ただそれだけで当然に賃貸借契約を終了させることができるわけではありません。

ここでは、「正当事由」とは何なのかを詳しく見てみます。

「正当事由」は、貸主と借主の利益を総合考慮するものです。

正当事由について、法律(借地借家法)は、次の事情を考慮するとしています。

  1. 貸主が建物(土地)の使用を必要とする事情
  2. 借主が建物(土地)の使用を必要とする事情
  3. 賃貸借に関する従前の経過
  4. 建物(土地)の利用状況
  5. 明渡しと引換えに賃借人に対してする財産上の給付

(建物の場合には、さらに「建物の現況」を考慮します。)

最後の(5.)が立退料です。

正当事由とは、明渡しを求める貸主側の事情と、居住を続けたい借主側の事情を比較し、借主の利益を犠牲にしてでも、保護されるべき貸主の利益と言えます。

しかし、借地借家法は、借主を保護する法律であり、貸主が建物(土地)を使用する必要性と借主が建物(土地)を使用する必要性が同じ程度であれば、貸主に正当事由は認められません。

双方の利益を量る天秤は、最初から借主側に傾いているのです。

「立退料は、貸主に足りない「正当事由」を補完する要素」

そこで、借主側に傾いている天秤を調節するのが立退料です。貸主に足りない正当事由を補完する役目を与えられているのです。

ただし、貸主が明渡しを求める必要性があまりにも低い場合は、いくら高額な立退料を提示しようとも、明渡しは認められません。

例えば、貸主が、借主を退去させて、息子を居住させたいという場合で、貸主が、他にも複数の建物を所有していて、そちらの建物も利用が可能といったときは、いくら立退料を積もうとも、正当事由があることにはなりません。

立退料は、足りない正当事由を補完するものであって、立退料だけでは正当事由たり得ないのです。

このケースでは、例えば、他に所有建物はないとか、他の所有建物は遠隔地にあって、息子が高齢の貸主の介護をするためには、当該物件を使用する必要性があるなどのある程度の必要性が存在することを前提として、はじめて立退料が意味を持つのです。

また、正当事由は、双方の利益の比較衡量ですから、貸主の必要性があまり高くなくても、借主が借りている物件以外に住んでおり、当該物件は、荷物置き場としてしか使用していないなどの場合は、低額の立退料で正当事由が認められる場合もあります。

さらに、正当事由の考慮要素には、前述のとおり、賃貸借契約のこれまでの経緯も含まれますから、従前、借主がたびたび家賃滞納してきたとか、禁止されている動物を飼育していたとか、夜中に大声で叫び、他の住民に迷惑をかけてきたなどの事情があれば、貸主有利に傾きます。

立退料というのは、法律で定められた用語ではありません。

ここまで見てきたように、立退料はあくまで正当事由の補完要素ですから、立退料の支払義務や立退料を請求する権利を定めた法律もありません。

立退料を支払う義務があるとか、立退料を請求する権利があるという表現の仕方は、間違いであることがわかります。

もちろん、立退料をもらったとか、立退料を支払ったという話は、巷に溢れています。

しかし、それは、貸主と借主が、任意に合意してお金をやり取りして物件を明け渡したということに過ぎず、法律の規定によるものではありません。

なお、借地の場合も、正当事由とは、地主と借地権者の利益を比較し、借地権者を犠牲にしてでも守るべき地主の利益を指します。

利益を比較する天秤は、最初から借地権者に傾いており、それを調節するのが立退料であることは、借家の場合と全く同様です。また、借地の場合は、借主は建物を所有していますので、借家の場合に比べて、格段に退去は難しくなります。

4、立退料の相場は?

では、具体的に、立退料はいくら支払う必要があるのでしょうか。

(1)借家の場合の立退料の相場

①立退料の算定方法は?

結論から言うと、借家の立退料を算定する明確な基準や計算式は、存在しません。

前述のとおり、法律には、貸主から借主に金銭を給付することを約束した時は、それも正当事由の判断にあたり考慮すると定めているだけで、その金額には言及していいません。

正当事由の有無は、裁判所が立退料の金額も含めた事情を総合考慮して判断するものです。つまり、いくらが妥当なのかは、裁判所の裁量で決まるとしか言えません。

②「借家権価格」はあるのか?

もっとも、皆さんの中には、「借家権価格」という言葉を聞いたことがあるという方がいると思います。

「借家権価格」という概念がないわけではありませんが、それらは、もともとは、明渡しの正当事由を検討する場面で使われるものではありません。

例えば、公共収用の補償金を算出する場合や、相続税を算定するための評価をする場合、不動産鑑定を行う場合といった場面に登場します。

このうち、相続税の計算をする際には、「借家権割合」という概念が用いられます。

この場合の借家権価格は、建物評価額の3割と、これに土地の評価額の一定割合を加えたものが借家権価格となります。

分かりやすい計算方法ではありますが、相続税は、そのように計算すると決められているだけであって、これが相続税の計算以外にも妥当するという理由は何もありません。

公共収用による補償金や不動産鑑定士の場合には、これと異なった計算方法になります。

③裁判における立退料の算定方法

裁判によって立退料を定める場合には、昔は、この「借家権価格」をもとに算出することが多いと言われていました。

しかしながら、近年はより実際的に立退料を算定するようになりました。

具体的には、借家権価格だけでなく、借主の引越しに要する費用、新しく賃貸借契約を締結するための費用(仲介手数料や礼金)、現時点の賃料と新しい賃料や敷金の差額(値上がり分)の補償、見舞金などを参考にして立退料を算定する傾向にあります。

前述のとおり、借地借家法は、借主を保護する法律ですから、正当事由の検討にあたって、借主の経済的な損失を防止できるかという視点は不可欠になります。

このため、退去して新たな住居を確保、移転するために必要な出費は貸主が補てんするべきと判断されます。

例えば、移転先の物件を借りるための諸費用(礼金、仲介手数料等)、引越運送費用です。

移転によって、従前よりも家賃が高くなってしまう場合には、従前家賃との差額を、負担する例が多いです。

もっとも、前に説明したように、立退料は、貸主側の足りない正当事由を補完するものですから、貸主側が明渡しを求める必要性が弱い場合、借主が建物を使用する必要性が強い場合には、立退料は高くなります。

逆に、貸主側が明渡しを求める必要性が強い場合、借主が建物を使用する必要性が弱い場合には、立退料は安くなります。

そうすると、借家の立退料を計算する方法はなく、ケースバイケースとしか言えないというのが、もっとも正しく誠実な回答ということになります。

④住宅と店鋪で、立退料は異なるの?営業補償を支払う必要があるの?

借主の経済的損失の補てんという視点からは、店鋪のように建物で借主が営業活動を行っているときは、営業上の損失も補てんすることが要求されます。

移転によって営業出来ない期間の補償はもちろんですが、悩ましいのは、店鋪の場合、なかなか同条件の移転先を確保することが困難なことです。

同じ場所で長く営業していた歴史があるほど、同一条件の場所を探すことは難しく、移転しても、売上は落ち込むことが通常です。

したがって、借主から、見込まれる利益の低下分の補償も請求されることは必至ですが、こればかりは、実際に移転先で営業してみなくては本当のことはわからないのですから、いくらが妥当なのかの基準などありえません。

(2)借地の場合の立退料の相場

①「借地権価格」が存在する点が借家と異なる

借地権の場合は、借地権価格というものが一応存在します。借地権は、実際に取引されるからです。

借地権の譲渡には、地主の承諾が必要ですが、借地借家法では、借地上の建物所有者が建物と共に借地権を第三者に譲渡するに際して、地主が承諾しない場合は、地主に代わって裁判所が許可を与える制度が設けられ、借地権の売買が容易となっています。

②借地権価格の計算方法

ただ、借地権の場合も、その価格を算定する絶対的な方法があるわけではないことは借家と同じです。

一般的には、やはり相続税の計算方法で用いる借地権割合(これは各地域の「路線価図」に記載されています。更地価格の6割から7割となります。)を、更地の実勢価格に乗じる方法が浸透しています。

しかし、借地権は、所有権とは違って、常に地主との関係が問題となります。地主が承諾する場合は、承諾料(借地価格の1割程度)を支払うことが通常です。

上記の地主の承諾に代わる裁判所の許可を得る場合も、裁判所が、地主への金銭支払いを、許可を与える条件とするケースもあります。したがって、これらの金銭を売主と買主のどちらが負担するかで、借地権の価格は変わってきます。

また、借地権者が、借地権を地主に買い取ってもらうケースや、地主と協力して、底地権と借地権を一緒に第三者に売却する場合は、価格は高くなります。

③借地権価格は立退料と同じ?

そして、借地権の正当事由の判断にあたって、借地権の価格と立退料がイコールではないことも借家の場合と同じです。

ここでも、立退料は、足りない正当事由を補完するだけです。

④借地の立退料の算定方法は?

これも基本的には借家と同様です。借主の経済的損失を補てんするという視点から、移転費用、地代差額、事業用家屋であれば、営業補償などが考慮されます。

ただし、借地権では、借家と異なる考慮事情もあります。第一に、建物の価格を立退料にプラスする例があります。

借地借家法では、借地権の存続期間満了時に、借地権者は、借地上の建物の買い取りを地主に請求できますから、建物の代金に相当する金額は、借地権者が得る利益として算定されるのです。

第2に、借地権を第三者に譲渡する場合の地主の承諾料相当額(借地権価格の1割程度)を、立退料からマイナスする例があります。

借地権を売買する際には、この経費がかかるわけですから、これは借地権者の利益から差し引くわけです。

5、立退料について法律相談をするべきケースとは?

立退料について法律相談をするべきケースは次の通りです。

  • 借主との間で、長年、紛争が続いているケース
  • 借主が商売をしていて多額の営業補償を要求しているケース
  • 借主が、通院などの特殊な事情で移転が困難と主張するケース
  • 複数の世帯に対して、立退きを要求するケース
  • 耐震力不足による建替えのために立退き要求するケース
  • 物件が区画整理や道路収用などの対象となっているケース

では、それぞれについて詳しく説明していきます。

(1)借主との間で、長年、紛争が続いているケース

立退料は、本来、貸主と借主との間の話し合いで決めるべきもので、円満に決着すれば、それが一番です。

しかし、借地借家契約は、長期間に亘る契約ですから、何十年も当事者間で紛争が続き、借主が長年、家賃や地代を供託しているケースも珍しくありません。

このようなケースでは、立退料の金額で簡単に折り合うことは、まず期待できません。

不用意に対応すると、貸主側のミスを逆手に取られる危険もありますので、明渡しの要求をする前の段階から、必ず専門家に相談するべきです。

(2)借主が商売をしていて多額の営業補償を要求しているケース

店舖などの場合、営業補償自体はやむを得ません。移転のための休業期間中の損失補償は、借主側の収入の根拠となる資料(帳簿、確定申告書など)の提出を求めたうえで算出することになります。

また、移転先で営業を開始してからの収益低下分の補償を要求された場合、前述のとおり、それは誰も適正な計算ができないものですから、ただ希望の数字をぶつけ合うだけの無意味な交渉となってしまい、話が進展しない危険が大きいのです。

このような場合は、専門家に相談して、できれば弁護士などを間に入れ、冷静なやりとりができるようにすることが肝要です。

(3)借主が、通院などの特殊な事情で移転が困難と主張するケース

これは、一般住居の明渡し交渉で、借主側が持ち出してくることが多い話です。

しかし、このような理由は、どの家庭でも言えることで、よほど特殊な場合を除き、他の家ではダメな理由にはならないはずであって、多くの場合、借主側の目的は、立退料の増額です。

いわば最初から、ゴネることを計画しているのですから、早い段階で専門家にまかせてしまうことが時間の節約というものです。

(4)複数の世帯に対して、立退きを要求するケース

貸主が、同一地域に、複数の借地・借家を所有しており、再開発などのため、同時に複数の借主に明渡しを要求するケースです。

このような場合、安易に考えて、住人を集めて説明会を開いたり、明渡し要求の書面を一斉に投函したりすると、借主側が情報を共有することになり、団結されてしまうという最悪のケースを招きます。

相手の数が多い場合は、各個撃破が原則です。このような場合は、どのように交渉を進めるかについて、専門家を交えて作戦を立てることが重要です。

(5)耐震力不足による建替えのために立退き要求するケース

このケースは、従前もよくある例でしたが、震災後、ますます増加しています。多くは、求められている耐震基準に足りないから建替えたいというもので、建築事務所などによる耐震診断の結果がその根拠となります。

しかし、特に、一棟のマンションやアパートの場合、耐震診断費用だけでも非常に高額になります。取壊し予定の建物に、高額な費用をつぎ込むのはある意味ではナンセンスなのですが、一方、耐震診断をしないと話が進まないというジレンマがあります。

このような場合は、早急に専門家に相談するべきです。

(6)物件が区画整理や道路収用の対象となっているケース

借地借家法では、法令により一定期間を経過した後に建物を取り壊すべきことが明らかな場合は、その旨を明記した契約書を作成しておけば、取り壊し時に終了する契約とできるとされています。

しかし、借地借家法施行前(平成4年)の契約やこのようなことを明記していない契約では、土地が区画整理などのために建物を取り壊さなくてはならない場合の取扱について、法律は特別な取り扱いを定めていません。

たとえば、土地区画整理法の建前としては、整理対象となった土地上の権利関係は代わりの土地(換地)上に移ることになっています。理論上は、そうであっても、現実には、土地上にある家を壊して、別の土地上に建築しなくてはならないのですから、スムーズに進むはずはなく、問題は山積します。

実際には、土地区画整理事業の主体である自治体が主導して交渉で決着しているケースもあります。行政を巻き込む問題ですので、自治体に相談することはもとより、専門家に相談することも必要なケースと言えます。

6、過大な立退料要求を撃退する手続は?

借主の要求する立退料が、明らかに過大と思われる場合、どう対処するべきでしょうか。次のような方法があります。

  • 弁護士による交渉
  • 民事調停
  • 訴訟

それぞれについて、以下で説明します。

(1)弁護士による交渉

まずは、弁護士を依頼して交渉してもらうべきです。専門家から、相手の要求が相場よりも過大であること、その理由、妥当な立退料額を冷静に説明してもらうことです。

借主が常識ある人間であれば、多くは、この段階で合意に達します。

(2)民事調停

交渉で埒が明かない場合は、簡易裁判所に民事調停を申し立てます。これは、裁判所の調停委員を間にいれた話し合いです。

第三者からの意見が聞けますので、弁護士による交渉に応じない方でも立退きに同意するケースのありますが、あくまで話し合いなので、借主が頑なに拒否した場合には、調停は不成立となります。また、強制力もないので、そもそも調停に出席しない借主もいます。

(3)訴訟

調停でも合意に達しない場合は、訴訟が最後の手段です。

この場合、「裁判所が算定する相当な金額の立退料と引換えに、土地(あるいは建物)を明渡せ」という判決を、裁判所に求める訴訟を提起することになります。

裁判官は、判決になった場合にどうなるかを想定しながら、当事者を説得します。この場合の説得は、多くの場合は調停よりも強力です。したがって、和解で決着するケースも相当数あります。しかし、両当事者が譲歩しない場合には、裁判所が結論を出す(判決)となります。

7、立退料の相談先は?

立退料に関する相談は、弁護士、税理士、不動産業者というのが一般です。ただ、どうせ相談に時間を使うなら、最初から弁護士に相談してしまうことが一番です。

不動産業者の場合、価格など近隣の事情に詳しいというメリットはありますが、玉石混淆ですので、その法的知識は、やはり専門家の意見と照合する必要はあります。

8、借主からみた立退料

最後に、逆に借主からのよくある以下の相談について、説明します。

  • 立退料を多く受け取る方策は?
  • 立退料と税金

それぞれについて、以下、説明します。

(1)立退料を多く受け取る方策は?

立退料を受け取る者から見た場合、当該物件を使用する必要性が高ければ高いほど、立退料は高くなることになります。

ですので、交渉の際には、どうして自分と家族がそこに住み続けたいのかという理由をできるだけ考えてみて下さい。

もちろん、気に入っているからという理由だけでは話になりませんが、案外、気がつかない理由を発見するかも知れません。

一般にゴネるほど金額が高くなると思われています。たしかに交渉ごとですから、最初から高い金額の提示はないでしょう。

しかし、時間が進めば、貸主側の経済事情が悪化するリスクもあります。まして、貸主が弁護士を依頼し、調停、訴訟とすすむと、その経費分が、結局、立退料を圧縮する要因となったというケースもありえます。

何事も、潮時というものがあります。虻蜂取らずとならないようにしましょう。

(2)立退料と税金

 ①消費税

立退料は、賃貸借の権利が消滅することに対する補償、営業上の損失補償、移転等に要する実費の補償で、資産の譲渡の対価に該当しないとされ、消費税の対象とはなりません。 

 ②所得税

立退料は所得税の対象とはなります。

  1. 消滅する権利の対価に相当する金額は、譲渡所得の収入となり、課税されます。
  2. 営業補償に相当ずる金額は、事業所得等の収入となり、課税されます。
  3. ()及び(2.)以外の金額は、一時所得として課税されます。

まとめ

よく聞く「立退料」という言葉も、掘り下げると、このように深い内容となります。

明渡し交渉にあたって、相手の過大な要求を抑え、適正な立退料で済ませるためには、明渡しの話を始める前に、十分に専門家と相談することをおすすめします。

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