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遺産相続を兄弟でする際の対応や知っておきたい5つのこと

遺産相続 兄弟

遺産相続を兄弟で行う際には、どのような点に気を付ければよいでしょうか。

お父様、お母様がお亡くなりになった場合、兄弟がいらっしゃれば、兄弟でともに遺産の相続をすることになります。
つまり兄弟間における遺産相続協議は多くの方にとって発生し得るものであり、決してドラマや小説の中の特別な話ではないのです。

では、兄弟で親の遺産を相続する場合、どのようにして相続の割合は決定するのでしょうか。

亡くなった方(被相続人)の遺言書があり、そこに割合や相続する財産が指定されていれば、その内容によって相続割合は決定されます。

遺言書がない場合には、相続人全員による遺産分割協議によって相続の割合や相続する財産を決定します。その際、民法900条に規定されている「法定相続分」を参考に相続の割合を決定していくことが一般的です。

今回は、兄弟間における遺産分割協議についてご説明させていただきたいと思います。 

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1、遺産相続を兄弟で行う前に知りたいこと|法定相続分の割合とは?

遺産相続を兄弟で行う前に知りたいこと|法定相続分の割合とは?

兄弟間の遺産分割協議について説明させていただく前に、法定相続分はどのようになっているのかをまず確認してみましょう。
兄弟がともに相続する場合で最もよくある場面は次の2つです。

①お父様、お母様のうちお一人が亡くなられて相続が開始する場合(どちらか一方は健在)

②お父様は既にお亡くなりで、今回お母様が亡くなられて相続が開始する場合、もしくはその逆の場合

①の場合、相続人は亡くなった方(被相続人)のご健在の配偶者とその子どもです。
法定相続分は、健在である親が2分の1、その残りの2分の1を兄弟で按分します。

例えばお父様が亡くなられて、お母様がご健在で子どもが2人の場合であれば、お母様の法定相続分は2分の1で、子どもの相続分はそれぞれ4分の1ずつ(2分の1×2分の1)になります。

②の場合、相続人は被相続人の子どもであり、法定相続割合は子どもの数に応じて等分です。

例えば、既にお父様は亡くなっていて、今回、お母様が亡くなられたことで、お母様を被相続人とする相続がはじまった場合、子どもが3人であれば、法定相続割合はそれぞれ3分の1です。

2、遺産分割協議の流れとは?

遺産分割協議の流れとは?

遺産分割協議は以下の流れで進めていきます。

(1)相続人と相続財産の確定

まずは相続人と相続財産を確定させます。

遺産分割協議は相続人全員が参加している必要があります。
1人でも欠けていれば遺産分割協議は無効になってしまい、一度成立させていても、再度やり直さなければならなくなってしまいます。そのため、相続人調査は非常に重要です。

相続人の調査は、被相続人の出生から亡くなるまでの戸籍謄本を収集することから始めます。

並行して、相続財産を確定するために、相続財産の調査をする必要があります。
具体的には、不動産であれば登記簿謄本、銀行などの預貯金等は通帳や残高証明書、保険金の照会申請など、必要に応じて関係機関へ書類を請求し、それらの書類をもとに相続財産を確定します。

(2)遺産分割協議

相続人全員でどのように遺産を分けるかについて協議します。

相続人が1人でも欠けていると遺産分割協議が無効になってしまいますので注意しましょう。

ただし、全員が1つの場所に集まって話し合うことまでは求められていません。
電話やメール、手紙など手段はどのようなものでもよく、話合いがなされたことが重要です。

遺産分割の方法としては、以下の4つがあります。

①現物分割
②換価分割
③代償分割
④共有分割

①現物分割

現物分割とは、相続人ごとに相続する財産を決める方法です。
例えば、相続財産として土地と現金がある場合に、土地は長男が、現金は次男がといった具合に、それぞれが特定の財産を相続する方法です。
遺産分割の基本となる方法で、最も多く利用されています。

②換価分割

換価分割とは、相続財産の大半が不動産や動産であって、そのままでは分けられないという場合や、相続人全員が現金での取得を希望しているという場合に、不動産や動産を売却してその代金を分けるという方法です。

③代償分割

代償分割とは、財産を相続する人が、他の相続人に対して金銭などで精算する方法です。

例えば、親の財産が一戸建てのみで、その家を長男が相続する場合に、家を取得する代わりに長男が他の兄弟に法定相続分に応じた金額を支払うという方法です。

一括払いとするのが一般的ですが、合意すれば分割払いとすることも可能です。

④共有分割

共有分割とは、遺産の一部または全部を相続人が共同で所有する方法です。
例えば、相続財産として住宅があり、兄弟が3人いる場合、兄弟で3分の1ずつの持ち分で住宅を共有することになります。

その後に紛争となるおそれがありますので、この方法はあまり選択されません。

遺産分割する際には、まず現物分割を検討し、現物分割では、公平に分割できないような場合は、現物と換価を組み合わせるなどして全員が納得できるように柔軟に方法を選択することになります。

(3)遺産分割協議書の作成

遺産分割協議がまとまったら、遺産分割協議書を作成します。遺産分割協議書については次の項で詳しくご説明します。

3、遺産分割協議書とは?

遺産分割協議書とは?

(1)形式や手続について

遺産分割協議書は、相続人全員で作成する必要があります。

その後に各所で相続手続きを行う際に必要になりますので、協議書は人数分作成し、そのすべてに相続人全員の署名と実印による押印を行い、印鑑証明書を添付します。

遺産分割協議書が数ページに渡る場合は、相続人全員の割印を押します。
割印とは、ページの継ぎ目に押印することです。

遺産分割協議書の作成に特に期限はありませんが、相続税の申告をする場合は、申告期限(相続開始後10か月)までに遺産分割をしないと税制上の恩典が受けられません。
よって、お父様若しくはお母様がお亡くなりになられてから10か月以内に遺産分割を行うことが望ましいといえます。

(2)作成の際の注意点

せっかく、遺産分割協議書を作成しても、のちに紛争が発生したり、手続を円滑に行うのに役立たないものでは作成の意味がなくなります。
そこで、相続財産をもれなく具体的に明記することが必要です。

不動産については、登記事項証明書(登記簿謄本)に記載されているとおりに、正確に各事項を記載します。
土地の場合であれば、所在・地番・地目・地積等を、建物の場合であれば、所在・家屋番号・構造・床面積等を記載することになります。

預貯金については、通帳を参考に、金融機関名・支店名・口座番号等を明確に記載します。

また、代償金(ある相続人が、遺産を他の相続人よりも多く取得する場合に、他の相続人に代償として現金を支払うもの)が遺産分割の内容として生じる場合には、その金額・支払方法・期限についても記載します。

なお、受取人が具体的に指定されている生命保険金や死亡保険金は、指定された受取人の固有の財産であって、原則として遺産分割の対象ではないため、遺産分割協議書に記載しません。

遺産分割協議後に判明した遺産があれば、その遺産については再度遺産分割協議が必要になります。
しかし、あらかじめ遺産分割協議後に判明した遺産について、誰が取得するかを遺産分割協議の中で決めておいた場合には、新たに遺産分割協議をする必要はありません。

遺産分割協議書についてのより詳しい内容は「【雛形付き!】遺産分割協議書の書き方と記載例」をご参照ください。

4、兄弟間での遺産トラブル事の事例

兄弟間での遺産トラブル事の事例

(1)事例1

私は2人姉妹の姉です。
私は、母が亡くなる前の10年間実家に同居をして、母の介護を行ってきました。妹は、母が介護を必要とするようになる前に家を出ていました。
この度、母が亡くなり、母と私が住んでいた住宅と母の預金について相続が発生しました。
私としては、遺産の分割について、10年間の母への介護の点を考慮して欲しいと考えておりますが、妹は、母の介護は私が進んでおこなったことであり、また母と同居中の生活費等を母が出しているのだから、きっちり2分の1ずつで遺産を分けるべきだと譲りません。
今まで妹との仲は良好だと思っていましたが、相続の発生でこんなことになるとは思ってもみませんでした。

介護については「寄与分」の問題となるでしょう。以下の記事が参考になります。

(2)事例2

私は3人兄弟の長男です。私の親は小さな町工場(法人化はしていません)を営んでいました。
長男であった私は、高校を卒業後進学することなく、親に求められるままに家業を継ぐことになりました。
一方弟2人は、大学に進学し、本人たちの望む職業につき現在にいたります。
私は進学をあきらめ親と同居し、家業を支えてきました。
この度、父に続いて母も亡くなり、工場も含めて相続が発生しました。
弟達は、実家兼工場は私が相続するにしても、預貯金は、弟達にも分けるべきだと主張しています。
しかし、町工場の運営資金として預貯金が必要です。
弟達ともめたくはありませんが、このままでは町工場も立ち行かなくなってしまいます。

このようなケースも「寄与分」が関係してきます。以下の記事が参考になります。

(3)事例3

先日父が亡くなり、父の財産を相続することとなったのですが、父の子と名乗る人物の代理人から連絡があり、父の遺産について、自分にも持ち分があると主張をしています。
私と母は、父が母以外の女性との間に子供をもうけていたことをはじめて知りました。
その事実自体が私達にとって大変ショッキングなことなのですが、その上、父の遺産についてもその方の主張するように分割をしなければいけないのでしょうか。
まさかこんなことになるとは思ってもいませんでした。

このようなケースは「婚外子(非嫡出子)」の相続権の問題です。以下の記事が参考になります。

上記のような事例は他人事ではありません。
相続をきっかけに兄弟間の間柄が修復不可能な程度に悪化してしまうこともあります。
法的な知識が曖昧なままでお互いの意見をぶつけてしまうと、思いもよらない方向に話が進んでしまうこともあります。

まとめ

いかがでしたか。この記事で兄弟(姉妹)で遺産相続をする際の遺産分割方法についてイメージをつかんでいただけたのであれば幸いです。

遺産分割方法には色々なルールがあり、遺産分割協議書ひとつをとっても、作成のルールを間違えると後に効力が否定されたり、紛争が発生したりすることもあります。
弁護士に相談しながら適切に相続、遺産分割を進めることをお勧めします。

※この記事は公開日時点の法律を元に執筆しています。

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