心に不安や苦しみをもたらす女性の行動は、モラルハラスメント(モラハラ)の兆候かもしれません。
今回は、
- 女性の行動がモラハラに該当する可能性があるかどうか
- モラハラ女性の特徴
についても弁護士が詳しく解説します。
1、女のモラハラを分析する前に〜モラハラの定義をおさらい
モラハラ(モラルハラスメント)とは言葉や態度による精神的な暴力・虐めです。
モラハラはDV防止法(配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律)に暴力として記載されています。
妻や彼女と喧嘩をして言い過ぎてしまい相手を傷つけることはあり得ることです。
反対に妻や彼女と言い合いになって売り言葉に買い言葉という感じで傷つく一言を発してしまうこともあるかもしれません。
モラハラの場合は「つい言い過ぎてしまった」「怒りに任せてつい」というわけではなく、夫や彼氏を精神的に追い詰めたり、支配したりするために行われる傾向があると言われます。
2、妻や彼女はモラハラ女?7つの特徴から診断
自分が妻や彼女のモラハラ被害にあっているかチェックする際は、モラハラ女にありがちな特徴から診断するという方法があります。
妻や彼女に以下の7つの傾向は見られないでしょうか。7つの特徴に当てはまる、あるいは特徴に似た傾向がある場合はモラハラを疑った方がいいかもしれません。
理解しやすいようにモラハラ女からの具体的な被害例も紹介します。
(1)モラハラ女は自己愛や承認欲求が強いのが特徴
モラハラ女は自己愛や承認欲求が強い傾向にあると言われます。
他人に認めて欲しい。他人より優れていると認められたい。
このような自分への愛や承認されたい欲求が強いため、認められるためなら虚言すら使う傾向にあります。
ウソをついてでも自分を良く見せれば簡単に相手より優位に立てますから、より承認欲求や自己愛が満たされやすいためです。
このように、自己愛や承認欲求を満たすため虚言を使ったり、夫や夫の親族、友人などを下げる発言をして自分の方が優位に立とうとしたりする言動があればモラハラに該当する可能性があります。
妻や彼女に虚言の傾向あるか、あるいは虚言を使ってでも優位に立つ傾向があるかはチェックしたいポイントです。
(2)独占欲が強く自分中心の考え方をするのが特徴
モラハラ女の特徴のひとつに独占欲の強さや自己中心的な考えを持っているという意見があります。
独占欲の強さは自己愛や承認欲求ともつながるかもしれません。
夫や彼氏に自分より他人を優先されてしまうと、他人より優位にあるという承認欲求や自己愛が傷ついてしまいます。
何よりも自分を優先してもらうために夫や彼氏に強い独占欲を見せる傾向があります。
(3)モラハラ女は人によって態度を変えるのが特徴
モラハラ女は人によって態度を激変させる特徴が指摘されることがあります。
たとえば妻は両親の前では穏やかな良い娘として振る舞っていました。
しかし夫だけになると態度が急変するのです。
両親の前では夫のことを罵倒しませんが、両親がいなくなると人格否定やきつい言葉を投げかけます。
夫と両親への態度が驚くほど違っているのです。
(4)モラハラ女は精神的に不安定なのが特徴
モラハラ女は気持ちが不安定な傾向があると言われています。
誰でも落ち込むときや苛々したりすることはあるはずです。
苛々や怒りなど自分の気持ちを自分で処理できれば問題ないかもしれません。
しかしモラハラ女の場合は不安定さを外に出す傾向にあります。
内面で感情を処理するのではなく外側に出すため、機嫌がころころ変わるということもあるようです。
(5)モラハラ女は悪口や愚痴をよくしゃべるのが特徴
他人あるいは夫や彼氏の悪口や愚痴をよくしゃべることもモラハラ女の特徴だと指摘されることがあります。
他人より自分が優位に立つための方法のひとつが悪口や愚痴です。
周囲に人に悪評を振り撒けば相手を貶めることができるため、容易に自分が優位に立てます。
自己愛や承認欲求が強いことの延長線上にある特徴と言えるかもしれません。
(6)モラハラ女は夫や彼氏に責任転嫁するのが特徴
モラハラ女は「悪いのは他人。自分は悪くない」という思考で責任転嫁する傾向にあると言われます。
妻や彼女が何かと夫や彼氏のせいにするところがないか、チェックしてみてください。
(7)モラハラ女は夫や彼氏を言動でコントロールする
モラハラ女の傾向に夫や彼氏を自分の言動でコントロールするところがあると言われています。
たとえば夫が自分の思い通りに行動してくれないとします。
夫といえども、もとは赤の他人ですから、すべて妻の思い通りの言動をするとは限りません。
モラハラ女である妻の場合、夫は自分の思い通りにならないと「〇〇してくれないと別れる」などと口にしたり、夫が自分の思い通りになるまで無視したりと、態度や言葉で操作しようとする面があると指摘されることがあります。
妻や彼女が気に入らないとすぐに「別れる」「出て行く」などの言葉を使ったり、無視や物に当たったりといったことがないかチェックしてみてください。
3、妻や彼女など身近なモラハラ女への対処法
モラハラチェックで妻や彼女がモラハラ女の可能性がある、そして自分がモラハラ被害に合っている可能性があると分かったら次は何をすべきでしょうか。
次にすべきはモラハラへの対処です。モラハラの可能性があるのに放置しておくと苦しみは続きます。
モラハラで苦しい状況を根本的に解決するなら、モラハラチェックで「可能性あり」と出た段階で解決への一歩を踏み出すことが重要ではないでしょうか。
妻や彼女などのモラハラ女への対処法は別居や離婚など4つ考えられます。
(1)モラハラに対してはっきりNOを突きつける
ひとつ目の対処法はモラハラ女に「やめて欲しい」と自分の嫌な彼女や妻の言動についてはっきり伝えることです。
彼女や妻は自分の言動が嫌がられている、傷つけていると分かっていない場合があります。
妻や彼女に伝えることでモラハラに気づき、やめてくれるかもしれません。
ただし、妻や彼女に伝える場合、普段の言動から「伝えて解決できるか」を考えて実行することが重要です。
たとえば夫や彼氏が何か言うと逆上するタイプや感情的になるタイプの場合は、かえってモラハラが悪化するリスクもあるかもしれません。
よく考えたうえで慎重に使いたい対処法です。
(2)妻と家庭内で距離をとって接する
モラハラ女である妻、あるいは同棲している彼女と距離をとって接する対処法になります。
妻や彼女が不機嫌になりやすい話題を避けたり、常に思い通りに接したりする方法もありますが、これだと彼氏や旦那は精神的に疲れてしまうのではないでしょうか。
モラハラ女の中には感情が不安定な人もいますから、昨日は怒らなかった話題でも今日は不機嫌になるかもしれません。
夫や彼氏が気を遣うことにも限界があります。
だからこそ、家の中で距離を取ってみてはいかがでしょう。
距離を取るとモラハラ妻や彼女との会話や一緒に行動することも減少するはずです。
ただし、この対処法ではあくまで避けるだけで、根本的なモラハラ解決にはいたらない可能性があるため注意してください。
(3)モラハラ女である妻と別居する
妻のモラハラに悩んでいる場合はモラハラ女である妻と別居するという方法もあります。
別居することで妻は自分の言動を見直すかもしれません。
夫側にとっては妻から離れることでモラハラの悩みからも距離を取れますから、心の傷を癒しあらためて「今後どうしたいか」を考えるきっかけになるはずです。
別居期間によっては離婚が認められやすくなると言われます。
別居が続いているということは婚姻関係が破綻している、つまり夫婦として生活して行くのは難しいと判断される可能性が高いためです。
モラハラ女である妻と離婚する前段階として、まずは別居するのもいいかもしれません。
離婚を前提に別居する場合は、モラハラ女である妻に煩わされることなく離婚準備もできます。
(4)モラハラ女である妻や彼女と別れる
モラハラ女である妻や彼女と別れてしまえばモラハラはなくなります。
モラハラの原因と別れてしまうことは一番の対処法と言えるかもしれません。
モラハラ女と別れるときはSNSやメールアドレスなど、連絡手段をすべて断ち、関係が続くことや復縁の可能性などを断つこともポイントです。
付きまといなどの問題に発展しないよう、縁を切るなら断固として切る決意が必要ではないでしょうか。
4、モラハラ女である妻と離婚する手順と注意点
裁判所が公開している平成30年「婚姻関係事件数 申立ての動機別申立人別」によると、夫からの離婚申立て件数17,146件のうち精神的な虐待(モラハラ)は3,370件になっています。約5人~6人に1人という割合です。
妻との離婚理由としてモラハラは珍しいものではありません。
ただ問題になるのが、モラハラを理由に離婚するとしても、どのような手順で離婚を進めるのかという点です。
(1)モラハラ女である妻と離婚する手順
モラハラ女である妻と離婚するときは、まずは協議離婚(話し合いによる離婚)からはじめます。
協議離婚で妻が離婚を拒否している場合や財産分与、親権といった離婚条件で揉めて離婚が成立しない場合は、次は調停による離婚です。
調停離婚も成立しなければ、最終的に訴訟で離婚を求めるという流れになります。
裁判所にモラハラによる離婚を求めた場合、法律で定められた離婚事由に該当するかがポイントです。
離婚事由に該当すれば離婚が認められやすくなり、該当しない場合は離婚が成立しにくくなります。
第七百七十条 夫婦の一方は、次に掲げる場合に限り、離婚の訴えを提起することができる。
一 配偶者に不貞な行為があったとき。
二 配偶者から悪意で遺棄されたとき。
三 配偶者の生死が三年以上明らかでないとき。
四 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。
五 その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。
妻のモラハラは5番目の「その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき」に該当する可能性があります。
また、妻がモラハラの他に不倫(不貞行為)をしているなど他事由にも該当する場合は、他事由を理由にして離婚が認められる可能性もあります。
(2)モラハラ女である妻と離婚するときの注意点
モラハラ女である妻と離婚するときは「慰謝料」と「証拠」のふたつに注意が必要です。
モラハラ被害を受けている場合、モラハラ女に慰謝料請求できる可能性があります。
ただ、モラハラは心の傷ですから、体への暴力のように傷を撮影するなどの証拠を残すことができません。
モラハラ女に言い逃れされないため、そして裁判所に訴え出たときに慰謝料請求を認めてもらうためにも証拠を残すことが重要になります。
- 妻の暴言の録音
- 暴言のメールやSNSの記録
- 日記や手記にモラハラの記録をつける(日時や内容など)
- モラハラでうつ病などの不調が出ているのであれば医師の診断書など
上記のようなものが証拠になる可能性があります。
状況に応じて必要な証拠、集めやすい証拠について弁護士に確認しておくと失敗する可能性が低くなるはずです。
モラハラ女である妻との離婚や慰謝料請求を検討しているのであれば、先に弁護士からアドバイスを受けておくことをおすすめします。
まとめ
妻や彼女の言動に悩ませられている男性は、まずはモラハラ診断をしてみてください。
特徴などからモラハラの可能性があると分かったら、次は適切な対処法を講じることが重要です。
対処法としては離婚や別居などが考えられます。
ただ、離婚などで対処しようとしても、スムーズにモラハラ女である妻と別れられるとは限りません。
また、普段からモラハラ被害に合っていれば、離婚話を切り出すことが怖いと感じることもあるはずです。
離婚話がこじれそうなときや離婚の進め方で困った場合は、まずは弁護士を頼ることをおすすめします。
経験豊富な弁護士にモラハラ離婚をサポートしてもらいましょう。