
夫または妻によるモラハラ(モラルハラスメント)に悩まれる方は少なくないのではないでしょうか?
程度によっては離婚や慰謝料請求を検討される方もいらっしゃるでしょう。
また、相手から嫌がらせを受けているが、そもそもそれがモラハラに当たるかを知りたい方もいらっしゃるでしょう。
そこで今回は、
- どのような行為がモラハラにあたるか?
- モラハラが原因で別居する場合の生活費確保の方法
- モラハラを理由とした慰謝料請求の方法
- 相手が離婚に反対している場合の離婚の方法
について書いていきます。
参考にして頂き、お悩みから解放されることになれば幸いです。
目次
1、慰謝料請求の前に!モラハラ(モラルハラスメント)とは?
モラハラ行為とはどのような行為をいうのでしょうか?
相手から精神的苦痛を受ける行為をされていても、その行為がモラハラにあたるかは微妙な場合もあるので判断が難しいでしょう。
そこで、以下モラハラについて書いていきます。
(1)そもそもモラハラとは?
そもそもモラハラとは、モラルハラスメントの略で「精神的な暴力等による嫌がらせ」のことをいいます。
(2)具体的にモラハラとなる場合とは?
具体的にモラハラとなる行為は以下の通りです。
- 「バカ」「ダメだな」など相手を貶める言動
- 特に理由もなく継続的に無視し続けること
- 特に理由もなく食事を一緒にとらない
- 家事の不備を片っぱしから指摘する
- わざと大きな音をたててドアを閉めたり、物を置いたりする
- あなたが何かミスをする度に大きなため息をつく
(3)モラハラする人の特徴
モラハラする人の特徴は以下の通りです。
まだそこまでひどいことはされていないもののモラハラの兆候を感じたら、以下の特徴がないか注意して下さい。
- 意外と暴力をふるわない
- 外面はいい
- 最初は優しい
もし、これらの内容を見て心当たりがある場合には、今後相手方のモラハラ行為がエスカレートしないか注意しておいた方がよいでしょう。
2、まずは別居して精神的安定を確保!
夫(妻)によるモラハラ行為が続く場合、通常は精神的な安定を保つのが難しく、正常な判断が困難となるでしょう。
精神的な安定を保つためには、やはり相手から離れるのが一番です。
具体的な手段としては、「別居」となるでしょう。
別居を希望される方が働いていたりして、ご自身に継続的な収入がある場合には、生活費に困ることはないでしょう。
しかし、働いていなかったり、さらにはお子さんがいるような場合にはどのように生活していくか困る方が多いのではないでしょうか?
しかしご安心下さい。
そのような場合には婚姻費用分担請求をしましょう。
婚姻費用に関するやり取りを直接相手としたくないという場合には、調停を利用する方法があります。
調停は、多少手間がかかりますが、裁判所に収める費用としては¥2,000ほどで利用できますし、調停がまとまらない場合、裁判官が審判を下してくれるなど、メリットのもあります。
調停での婚姻費用の利用方法については「婚姻費用の分担請求調停で生活費を確保するための全手順」をご参照下さい。
関連記事3、モラハラを受けたことに対する慰謝料請求
婚姻費用分担請求で当面の生活費を確保したら、次は慰謝料請求の手続きを進めましょう。
(1)モラハラの場合の慰謝料の相場は?
まず、モラハラの慰謝料の相場は数十万円〜300万円と言われています。
(2)高額の慰謝料を獲得する方法は?
次に、どうすれば高額の慰謝料を獲得できるかについて知っておきましょう。
①どのような事実があると高額の慰謝料請求が可能?
まず、そもそもどのような事実があると高額の慰謝料請求が可能かについて書いていきます。
- モラハラ行為の回数が多い場合
- モラハラ行為が継続している期間が長い場合
- モラハラを受けた側に特に落ち度がないのにモラハラ行為が開始した場合
- モラハラ行為によりうつ病等精神的疾患になってしまった場合
- モラハラによる精神的疾患の程度が重い場合
- 請求する側の資産・収入が少ない
- 請求する側の年齢が高い
- 請求される側について資産を多く持っていたり収入が高い
- 請求される側の年齢が高い
- 婚姻期間長い
- 子どもがいる(さらに子どもが多いほど金額が高めとなる傾向があります)
- 財産分与の額が低い
②高額の慰謝料を獲得するには証拠が重要!
高額の慰謝料を獲得するには何といっても有効な証拠を揃えておくことが重要です。
モラハラの場合には以下のような証拠を揃えておきましょう。
- 精神的暴力によって医師の診断を受けた際の診断書
- 精神的暴力を受けた日時、場所、具体的な様子などのメモ
- 自身の収入を証明する資料(源泉徴収票、給与明細等)
- 相手方の収入を証明する資料(確定申告書、源泉徴収票、給与明細等)
(3)モラハラ慰謝料請求の方法
では、具体的な請求の方法について書いていきます。
モラハラの場合の慰謝料獲得の流れはおおまかには以下の通りです。
- 話し合い
- 内容証明郵便等による慰謝料請求
- 調停での慰謝料請求
- 裁判での慰謝料請求
以下、それぞれ具体的にみていきます。
①まずは話し合い!
話し合い、と言っても面と向かっては話しづらいと思いますし証拠を残す必要もあります。
ですので、携帯メールやLINEなどでモラハラ行為に対する慰謝料を請求したい旨と金額を伝えましょう。
詳しくは、「協議離婚(話し合いの離婚)で高額の慰謝料を勝ち取るための全手順」をご参照下さい。
関連記事②内容証明郵便の送付によるモラハラ慰謝料請求
電話やメール等で慰謝料を支払ってもらうことが難しければ(おそらく難しいケースが多いでしょう)、内容証明郵便を送付して慰謝料を請求しましょう。
請求方法について詳しくは、「協議離婚(話し合いの離婚)で高額の慰謝料を勝ち取るための全手順」をご参照下さい。
関連記事③離婚調停でのモラハラ慰謝料請求
内容証明郵便でもモラハラの慰謝料の支払いがない場合には離婚調停で慰謝料請求しましょう。
離婚調停は以下の流れで進みます。
- 家庭裁判所へ調停の申立て
- 調停期日の決定
- 第一回の調停
- 第二回以降の調停
- 調停の終了
離婚調停での慰謝料獲得の方法について詳しくは、「離婚調停を有利に進めて高額の慰謝料を勝ち取るための全手順」をご参照下さい。
関連記事4、相手が離婚に反対している場合に離婚する方法
もし、相手方が離婚に反対している場合は、話し合いや調停での離婚の成立は難しいかもしれません。
そこで、離婚裁判での離婚の手続きに進む事になります。
関連記事(1)離婚裁判をするためには法律が定めた離婚理由が必要
裁判によって離婚をするには、法律が定める離婚の原因(民法770条1項各号)が必要とされています。
具体的には、以下の通りです。
- 不貞行為
- 悪意の遺棄
- 3年以上の生死不明
- 回復の見込みのない強度の精神病
- その他、婚姻を継続しがたい重大な事由(暴行、浪費、犯罪、性格の不一致など)
モラハラは状況にもよりますが、「その他、婚姻を継続しがたい重大な事由」にあたる可能性があります。
慰謝料請求が可能なような場合には、離婚原因があると考えてよいでしょう。
(2)モラハラを理由とする離婚裁判の流れ
調停がまとまらない場合には、離婚裁判でモラハラの慰謝料を請求していくことになります。
離婚裁判は以下の流れで進みます。
- 訴状の作成
- 訴状の提出
- 相手方へ訴状の送達
- 第一回口頭弁論期日の決定
- 数回の口頭弁論を繰り返す
- 判決
重要なのは口頭弁論期日にて、証拠を提示した上でいかにひどいモラハラ行為がなされたのかを証明していくことにあります。
(3)離婚裁判でのモラハラ慰謝料の請求
話し合いや調停でも慰謝料を支払ってくれない場合、離婚裁判でもモラハラ慰謝料請求が可能です。
離婚裁判でのモラハラ慰謝料獲得の方法について詳しくは、「離婚時の慰謝料の相場とできるだけ多くの慰謝料をもらうための方法」をご参照下さい。
関連記事まとめ
今回はモラハラ夫(妻)に対して慰謝料を請求する方法について書いていきましたがいかがでしょうか?
モラハラ行為は暴力は伴わないものの、大きく精神的なダメージを与える行為です。
一刻も早く現状から脱して頂くとともに、正当な補償として慰謝料を獲得してもらえると嬉しいです。