騒音規制法とは?違反基準と罰則・音のトラブルを止めるための対処法

騒音規制法

工場や建設現場、自動車、深夜営業のお店等から出る音を規制するのは「騒音規制法」です。
法律に違反した事業者は、改善命令や刑事罰の対象になります。
住民の迷惑にならないよう自粛して欲しい時は、上記法律に基づいて対処できないか役場と相談しつつ、訴訟を見据えて相手方の責任者にクレームを入れるのが基本的な対処です。

ここで法律に基づく違反基準や罰則をざっと理解しておくと、騒音公害かどうか判定し、行政に動いてもらえる可能性を探れるでしょう。
苦情を入れる時に弁護士を通すべきか、その判断もここで行えます。

なお、騒音規制法は主に事業者を対象として音を規制する法律なので、隣人等との騒音トラブルをこの法律で解決することはできません。
生活騒音によるトラブルでお悩みの方は、こちらの記事をご参照ください。

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1、騒音規制法とは

騒音規制法とは、地域と時間帯に応じて出しても良い音量を指定し、違反者に罰則を課す法律です。
その目的は言うまでもなく、生活環境を保全し、国民の健康の保護に資することにあります(第1条)。

(1) 規制対象は騒音公害

法律が規制するのは、製造施設や道路で発生する、いわゆる「公害」にあたる騒音です。音の種類は大きく4つに分類されており、主に会社の事業場から出る音が適用対象となります(第2条1項・3項・4項、第28条)。

▼騒音規制法の適用対象

特定施設

工場や事業場に設置される施設のうち、著しい騒音・振動を発生するもの

特定建設作業

建設工事として行なわれる作業のうち、著しい騒音・振動を発生するもの

自動車騒音

トラックや原付等、自動車の騒音

深夜騒音

飲食店営業等に係る深夜における騒音、拡声機を使用する放送に係る騒音等

(2) 騒音を規制する他の法令

迷惑な騒音を規制する法令にはいくつか種類があります。
大枠は環境基本法であり、個別に規制する法令のひとつが騒音規制法にあたります。
法令により基準が異なるため、対処する時は発生源の切り分けに注意しなくてはなりません。

法令

規制対象となる騒音

騒音規制法

事業や交通で生じる騒音(工場、建設作業、自動車、深夜営業の飲食店等)

環境基本法

(第16条関係)

騒音全般、航空機騒音、新幹線鉄道騒音

風営法

(第15条関係)

飲食店、風俗店、性風俗店等が発生する騒音

自治体条例

生活騒音(保育園や学校等)

※例:都民の健康と安全を確保する環境に関する条例別表第13

低周波音問題対応のための「評価指針」としての参照値

送風機、コンプレッサー、真空ポンプ等から発生する周波数(単位:Hz/ヘルツ)の低い音

2、騒音規制法の対象となる4つの騒音

騒音規制法の対象となる4つの騒音

騒音規制法の対象は4つに分類されており、届出義務と合わせて細かく規制基準が決められています。
現在進行形で近隣の騒音に悩まされている人は、簡単で構わないので、音の発生状況と以下で紹介する規制内容を照らし合わせてみましょう。
法令違反をある程度確信できる状態で公害苦情相談窓口に通報しておくと、自分で動く前に役場が対処してくれる可能性があります。

(1) 工場や事業場からの騒音【特定施設、特定工場等】

騒音規制法の対象となる「特定施設」は、製造系の業種で用いられる大きな音の出る機械を指しています(下記一例)。これら特定施設を設置する工場や事業場は、原則として設置工事開始日の30日前までに所定事項を届け出なくてはなりません(第6条)。

  • 金属加工機械(圧延機械、製管機械等)
  • 空気圧縮機及び送風機(原動機の定格出力7.kW以上)
  • 土石用又は鉱物用の破砕機、摩砕機、ふるい及び分級機
  •  織機(原動機を用いるもの)
  • 建設用資材製造機械(コンクリートプラント、アスファルトプラント)
  • 穀物用製粉機(ロール式かつ原動機の定格出力7.kW以上)
  • 木材加工機械(ドラムバーカー、チッパー等)
  • 抄紙機
  • 印刷機械(原動機を用いるもの)
  • 合成樹脂用射出成形機 鋳型造型機(ジョルト式のもの)

①規制内容

特定工場等で立てても良いとされる音量は次のように定められています(特定工場等において発生する騒音の規制に関する基準/昭和43年11月厚生省・農林省・通商産業省・運輸省告示1号より)。
各区域及び時間帯で表を上回っている結果が測定で出た場合、違反と判断されます。

区域/時間帯

7時or8時

~18時or19時or20時

5時or6時

~7時or8時

18時or19時or20時

~22時or23時

第一種区域

45~50デシベル

40~45デシベル

40~45デシベル

第二種区域

50~60デシベル

45~50デシベル

40~50デシベル

第三種区域

60~65デシベル

55~65デシベル

50~55デシベル

第四種区域

65~70デシベル

60~70デシベル

55~65デシベル

②区域の定義

特定工場等の騒音規制基準にある地域の区分けは、住居と工場等のどちらの用途にウェイトを置くかによって決められます。それぞれの定義は次の通りです。

第一種区域

良好な住居の環境を保全するため、特に静穏の保持を必要とする区域

第二種区域

住居の用に供されているため、静穏の保持を必要とする区域

第三種区域

住居の用にあわせて商業、工業等の用に供されている区域であって、その区域内の住民の生活環境を保全するため、騒音の発生を防止する必要がある区域

第四種区域

主として工業等の用に供されている区域であって、その区域内の住民の生活環境を悪化させないため、著しい騒音の発生を防止する必要がある区域

(2)建設工事作業による騒音【特定建設作業】

騒音規制法の対象となる特定建設作業とは、下記のような設備を使用するものです。
これらに関しても、作業開始日の7日前までに市区町村長への届出が必要です(第14条

  • くい打機、くい抜機又はくい打くい抜機
  • びょう打機
  • さく岩機
  • 空気圧縮機
  • コンクリートプラント
  • バックホウ
  • トラクターショベル
  • ブルドーザー

※作業内容及び原動機の定格出力により、騒音規制法の規制対象にならない場合もあります。

①規制内容

特定建設作業では、立てる音の大きさだけでなく、作業のタイミングや期間も制限されます(特定建設作業に伴って発生する騒音の規制に関する基準/昭和43年11月厚生省・建設省告示1号より)。 
以下表のルールが守られなかった場合、工事契約の元請業者(工務店等)は違反の責任を問われます。

規制種類/区域

第1号区域

第2号区域

騒音の大きさ

敷地境界において85デシベル以下

敷地境界において85デシベル以下

作業時間帯

19時~翌7時に行われないこと

22時~翌6時に行われないこと

作業期間

1日あたり10時間以内かつ連続6日以内

1日あたり14時間以内かつ連続6日以内

作業日

日曜日その他の休日でないこと

日曜日その他の休日でないこと

②区域の定義

特定建設作業の規制では、静かな環境を維持する必要性に応じ、規制地域を2つに分類しています(定義は下記参照)。

  • 第1号区域:良好な住居の環境を保全するため、特に静穏の保持を必要とする区域他
  • 第2号区域: 指定地域のうちの第1号区域以外の区域

(3)自動車による騒音

騒音規制法の対象となる自動車騒音には、それぞれ車線の数等に応じて「環境基準」と「要請限度」の2つの基準があります。
音のトラブルでは、基本的に要請限度に着目して違法性を判断します。

人の健康の保護に資する上で維持されることが望ましいとする環境基準(平成10年9月環境庁告示64号)は、国として推奨する騒音の基準です。
実際に許容される音量は、環境基準よりゆとりのある要請限度(騒音規制法第十七条第一項の規定に基づく指定地域内における自動車騒音の限度を定める省令より)に沿い、各地の都道府県知事が指定しています。

下の表で紹介するのは、自動車騒音の要請限度です。

規制区域/規制内容

区域の定義

昼間(6時~22時)

夜間(22時~6時)

a区域

専ら住居の用に供される区域

1車線:65デシベル

2車線以上:70デシベル

1車線:55デシベル

2車線以上:65デシベル

b区域

主として住居の用に供される区域

1車線:65デシベル

2車線以上:75デシベル

1車線:55デシベル

2車線以上:70デシベル

c区域

相当数の住居と併せて商業、工業等の用に供される区域

75デシベル

70デシベル

(4)深夜騒音等

飲食店営業の深夜騒音や拡声器の放送にかかる騒音は、必要があると認める各地の地方公共団体で規制することとされています(騒音規制法第28条)。
例えば東京都なら「都民の健康と安全を確保する環境に関する条例」で次のような規制があります。

▼深夜営業等に関する規制基準(第132条関係)

……最大55デシベル(区域により異なる)/別表第12より

▼拡声機から発する音量の基準(第66条、第67条関係)

……最大75デシベル(区域により異なる)/別表第18より

3、騒音規制法に違反した場合の罰則

騒音規制法に違反した場合の罰則

騒音規制法に基づく基準を守らない経営者等には、ここで紹介する刑罰(懲役または罰金)が科されます。

実際には、住民の通報から罰則の適用までの間にいくつか段階があり、その間に騒音発生を自粛する対応をしてもらえる場合がほとんどでしょう。
まず違反の疑いありと判断された時点で報告の要求や立ち入り検査を行い(第20条)、その上で改善勧告や改善命令を発して(第12条・第15条)様子を見る対応が取られるのです。

(1) 工場や事業場からの騒音規制に違反した場合

工場や事業場が改善命令に反して基準値以上の騒音を立て続けた場合は、1年以下の懲役または10万円以下の罰金に処せられます(第29条)。

その他、無届または虚偽の届出に対しては5万円以下の罰金(第30条)、報告・検査に誠実に応じない場合は3万円以下の罰金(第31条)にそれぞれ処すとの定めもあります。

(2) 建設工事作業による騒音規制に違反した場合

建設工事作業で改善命令に反して基準値以上の騒音を立て続けたケースでは、懲役に処されることはなく、科されるのは5万円以下の罰金です(第30条)。

その他、無届または虚偽の届出、報告・検査に誠実に応じない場合は、共通で3万円以下の罰金に処すと定められています(第31条)。

(3)深夜騒音等に関する条例に違反した場合

深夜騒音等を規制する自治体条例に違反した場合、都道府県知事が改善勧告や改善命令を出します。
応じない会社や事業主については、まず騒音の発生原因となる作業等が禁じられ、最終的には刑罰が科されるでしょう。

東京都を例にとると、都知事は都条例第139条2項に基づいて営業または作業の停止を命ずることができ、これに違反した者は1年以下の懲役または50万円以下の罰金(第158条1項)に処せられます。

4、騒音が我慢できないときの対処法

騒音が我慢できないときの対処法

近隣の工場や店舗による騒音公害は、基本的に発生源の責任者(経営者等)との交渉で改善してもらう必要があります。
交渉では、苦情を無視されたり、住民側の感じ方を理解してもらえなかったりする可能性が考えられるため、法的対処も見据えつつ前もって証拠を確保しておきましょう。

(1)騒音を測定し、記録する

証拠確保の手段としての騒音測定は、精密かつ定量的に行う必要があります。取り急ぎ市販のICレコーダー等を使って録音しておくのも良いことですが、きちんと問題解決するため、騒音に係る環境基準の評価マニュアル等を参考にした専門的な測定を検討しましょう。
具体的には、計量法に基づく検定に合格した騒音計を使い、測定状況(地点・時間等)を映像も交えて記録しながら進めたいところです。

(2)相手方と話し合う

騒音トラブルで次に行うのは、音を発生させている張本人との交渉です。
騒音規制法の規制対象となるケースでは、工場や事業場の経営者、建設工事の施工業者、深夜営業店の経営者等が相手方となります。

対処のポイントは、はじめから法的手段に出ようとしないことです。
具体的には、いきなり内容証明郵便で苦情を伝えるのではなく、敢えて普通郵便をチョイスする……等のテクニックがあります。
後々の隣人関係で気まずくならないよう、穏便に解決できないか試してみましょう。

(3)調停・訴訟を申し立てる

住民の苦情に対応してもらえない場合は、自治体に通報しつつ、民事調停あるいは訴訟で解決を図る他ありません。
訴訟に発展する場合、請求内容として以下の2つが考えられます。

①損害賠償請求

騒音公害で健康その他の被害が出ていれば、不法行為(民法第709条)に基づく損害賠償請求が可能です。
請求が認められるかどうかは「受忍限度」が判断基準となり、判断にあたって以下の要素が関係します。

  • 被害内容、程度(=日常生活や体調に出ている実際の影響)
  • 侵害行為の程度、態様(=証拠で分かる騒音の発生状況)
  • 環境基本法や騒音規制法に基づく規制基準
  • 地域の特性、住民関係
  • 被害者側の事情(自宅での普段の過ごし方、聴覚に関する特性等)

②差止請求

裁判であらためて騒音の自粛を求めたい時は、人格権や自宅の所有権に基づく差止請求訴訟を提起します。注意したいのは、損害賠償請求に比べて認められるためのハードルが高めである点です。

騒音トラブルを巡る過去の判例では、侵害行為の公共性(最高裁昭和56年12月16日判決等)や、差止請求を認めることで生じる加害者側の不利益(東京地裁平成8年7月30日判決)等、相手方の事情も汲んで比較衡量する傾向があります。
結論を言うと、証拠でより慎重に「騒音被害の程度が相当大きい」と説明する必要があると考えられます。

5、騒音公害でお困りの方は弁護士へ相談を

騒音公害でお困りの方は弁護士へ相談を

我慢できない騒音公害を解決するなら、極力弁護士に相談することをおすすめします

自力で同じように専門的な対処ができるとしても、弁護士の名義で進める方がはるかに効果的です。
また、法令違反や損害の程度を見極める段階では、測定と訴訟の実務経験に裏打ちされた知識が欠かせません。

(1)迅速かつ強力な効果が期待できる

騒音に対する注意を弁護士の名義で行えば、それだけで相手方に「単なるクレーマーではない」「法的対処の用意もある」と伝わります。
相手方としては、近隣住民から直接苦情が来る場合と比べて、より真剣に取り合わざるを得ません。

上記のように圧力をかけることで、実際に裁判手続に着手するまでもなく、手紙1通で迅速かつ確実に迷惑行為をやめてくれることが期待できます。

(2)法的な観点でレベルの高い証拠を掴める

騒音トラブル解決に向けた事前の測定では、騒音規制法違反や住民の被った損害を確実に証明できるよう、法的な観点で報告書をまとめる必要があります。
測定方法も含め、レベルの高い報告書が作れるのは、過去の事例に通じている弁護士のみです。

騒音規制法に関するQ&A

Q1.騒音規制法とは?

騒音規制法とは、地域と時間帯に応じて出しても良い音量を指定し、違反者に罰則を課す法律です。
その目的は言うまでもなく、生活環境を保全し、国民の健康の保護に資することにあります(第1条)。

Q2.騒音規制法の対象となる騒音は?

騒音規制法の対象は4つに分類されており、届出義務と合わせて細かく規制基準が決められています。

現在進行形で近隣の騒音に悩まされている人は、簡単で構わないので、音の発生状況と以下で紹介する規制内容を照らし合わせてみましょう。法令違反をある程度確信できる状態で公害苦情相談窓口に通報しておくと、自分で動く前に役場が対処してくれる可能性があります。

①工場や事業場からの騒音【特定施設、特定工場等】
②建設工事作業による騒音【特定建設作業】
③自動車による騒音
④深夜騒音等

Q3.騒音が我慢できないときの対処法は?

近隣の工場や店舗による騒音公害は、基本的に発生源の責任者(経営者等)との交渉で改善してもらう必要があります。
交渉では、苦情を無視されたり、住民側の感じ方を理解してもらえなかったりする可能性が考えられるため、法的対処も見据えつつ前もって証拠を確保しておきましょう。

・騒音を測定し、記録する
・相手方と話し合う
・調停・訴訟を申し立てる
①損害賠償請求
②差止請求

まとめ

近隣住民の迷惑になる音を規制する法律にはいくつか種類があり、工場・建設現場・深夜営業のお店等が発生源になっている場合は「騒音規制法」に基づく処分があります。
騒音トラブルに悩まされている人は、地域と騒音の聞こえる時間帯をざっくりと整理し、ひとまず市区町村の担当窓口に相談してみると良いでしょう。

実際に現在進行形で被害に遭う身としては、迅速かつ確実に騒音発生を止めたいところです。
そんな時の解決策は、次のように整理できます。

  • 騒音測定で被害の証拠を確保する(できるだけ定量的に)
  • 相手方に苦情を入れる(後々の隣人関係への配慮を忘れずに)
  • 苦情・注意の際は弁護士に任せるのがベスト(早期解決に期待できる)

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