シートベルト着用義務は高速だけ?疑問のキホンを徹底解説

シートベルト

シートベルトをしないと鳴る車のアラーム。うるさいと感じていませんか?
安全のために鳴るのはわかるものの、ちょっとそばまでのお買い物でも締めたり外したり。
シートベルトのアラームを解除してしまおうとした方も少なくないかもしれません。

しかし、シートベルトの着用は法律で義務付けられています。
アラーム効果もあり、シートベルトの着用率は一般道路、高速道路共に運転席助手席で95%を超える高い結果です。残る後部座席にもアラームが取り付けられる日は来るのでしょうか?

今回は、

  • シートベルトの着用義務の具体的な内容
  • シートベルトの違反の罰則

をお伝えしていきます。シートベルトをしっかり着用して安全運転を心がけましょう。

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1、シートベルトの着用義務は高速だけじゃないの?

シートベルトの着用義務は高速だけじゃないの?

シートベルトの着用義務は高速道路だけではありません。

一般道路、高速道路、どこを運転するかを問わず、すべての座席でシートベルトの着用が義務付けられています(道路交通法第71条の3)。

2、なぜシートベルトが重要なのか

なぜシートベルトが重要なのか

ではなぜシートベルトの着用が重要視されているのでしょうか。理由を見ていきます。

(1)非着用時の致死率は15.3倍だから

シートベルトを締めていると、人によっては窮屈で運転しづらいかもしれません。

しかし、シートベルトを義務化している背景にはシートベルトの安全性にあります。
事故発生時にはシートベルトの非着用時の致死率はシートベルト着用時の15.3倍にも上っているのです。

多少窮屈でも大事な命のためなのでシートベルトはしっかり着用してください。

また、時速60キロの車が壁に衝突する衝撃とは、高さ14メートルのビルから落下するのと同じ衝撃です。シートベルトをしていない場合にはそれだけ強い衝撃を体に受けてしまう危険性があります。

(2)事故被害にあっても高い割合で過失が認定されやすいから

安全性の面だけではなく、万が一事故被害にあった場合に、シートベルトの着用を怠っていると過失相殺で賠償金が減ってしまう可能性があります。
もしもシートベルトを着用していて事故に遭ったなら、命の危険からも守られ、さらには事故被害時の賠償も事故加害者から確実に受け取れます。
事故後の補償も安心できるというわけです。

3、シートベルト義務は運転席だけじゃないの?ーシートベルトの歴史

シートベルト義務は運転席だけじゃないの?ーシートベルトの歴史

シートベルトの着用義務は運転席だけではありません。
助手席はもちろん、後部座席も全ての座席において着用させることが義務です(道路交通法第71条の3)。

この項では、シートベルトの着用義務化の歴史を見ていきましょう。

(1)1969年-新車の運転席にシートベルトを設置することが義務化

シートべルトが開発されたきっかけは、イギリスのロンドンで人が車外に投げ出され死亡する事故が起きたことです。
日本では、1969年に新車の運転席にはシートベルトを設置することが義務化されました。

これが日本におけるシートベルトの誕生です。

(2)1971年-高速自動車道等における運転席のシートベルト義務化

2年後の1971年には高速道路を走行する際には運転席のシートベルトを着用することが法的に義務となりました。

ただし、この時点では一般道路でのシートベルトの着用義務はありませんでした。

(3)1985年-高速自動車道等で運転席の未着用で加点の法律成立

さらに1985年には、高速道路、自動車専用道路での運転席のシートベルト着用義務を怠ると運転免許の点数が1加点という罰則が施行されました。

これによって、運転者のシートベルトの着用率が高まったのです。

(4)1987年-一般道路で運転席と助手席同乗者、高速道路で助手席が未着用で加点の法律成立

1987年には、一般道路での運転席と助手席のシートベルト着用義務と罰則、高速道路での助手席のシートベルト着用義務と罰則も施行されました。
助手席シートベルトの着用義務を怠ると運転者が罰則を受けることにより助手席のシートベルトの着用率も高くなったのです。

(5)2005年-乗用車の運転席でシートベルトを閉めずに走り出すと警告音

2000年に入ると日本ではシートベルトを着用するのが当たり前になっていきました。
それでも事情によってうっかり忘れてしまうケースに対応できるように乗用車にはシートベルトを着用しないで走行すると警告音(アラーム)がなるように義務付けされていったのです。

2005年のこの義務化によって、運転者は過失によって罰則を受けるケースが減っていきました。

(6)2008年-後部座席でも一般道路、高速道路問わず義務化

2008年には車の後部座席を含める全ての座席で全ての公道でのシートベルトの義務化が施行されています。

ただし、後部座席の場合には、一般道での罰則はなく口頭注意に止まっているのが現状です。

(7)2020年-後部座席でシートベルトを閉めずに走り出すと警告音

さらには、2020年には後部座席のシートベルトを着用せずに走行すると警告音(アラーム)がなるように義務付けられる予定です。

2020年9月以降に発売される乗用車には全て機能が搭載される予定。
これによって日本の車でのシートベルト着用は当たり前の世界になっていくのではないでしょうか。

4、シートベルト違反の罰則

シートベルト違反の罰則

ではシートベルトの義務違反を行った場合には、どのような罰則になるのでしょうか。見ていきます。

(1)シートベルト違反は何の法律違反?

シートベルトの着用義務は道路交通法71条の3に明確に記されています。

自動車(大型自動二輪車及び普通自動二輪車を除く。以下この条において同じ。)の運転者は、道路運送車両法第三章及びこれに基づく命令の規定により当該自動車に備えなければならないこととされている座席ベルト(以下「座席ベルト」という。)を装着しないで自動車を運転してはならない。ただし、疾病のため座席ベルトを装着することが療養上適当でない者が自動車を運転するとき、緊急自動車の運転者が当該緊急自動車を運転するとき、その他政令で定めるやむを得ない理由があるときは、この限りでない。

2 自動車の運転者は、座席ベルトを装着しない者を運転者席以外の乗車装置(当該乗車装置につき座席ベルトを備えなければならないこととされているものに限る。以下この項において同じ。)に乗車させて自動車を運転してはならない。ただし、幼児(適切に座席ベルトを装着させるに足りる座高を有するものを除く。以下この条において同じ。)を当該乗車装置に乗車させるとき、疾病のため座席ベルトを装着させることが療養上適当でない者を当該乗車装置に乗車させるとき、その他政令で定めるやむを得ない理由があるときは、この限りでない。

3 自動車の運転者は、幼児用補助装置(幼児を乗車させる際座席ベルトに代わる機能を果たさせるため座席に固定して用いる補助装置であつて、道路運送車両法第三章及びこれに基づく命令の規定に適合し、かつ、幼児の発育の程度に応じた形状を有するものをいう。以下この項において同じ。)を使用しない幼児を乗車させて自動車を運転してはならない。ただし、疾病のため幼児用補助装置を使用させることが療養上適当でない幼児を乗車させるとき、その他政令で定めるやむを得ない理由があるときは、この限りでない。
引用:道路交通法

(2)行政処分の違反点数の加点

では、実際に法律で定められたシートベルト非着用の際の行政処分について見ていきましょう。

行政処分は、運転免許の違反点数の加点です。
1点でも加点されると道路交通法に違反した履歴が残るため、次の免許の更新時にはゴールド免許を剥奪されます。注意したいポイントです。

なお、交通反則通告制度における反則金はありません。

「交通反則通告制度」については、詳しくは下記記事をご参照ください。

①高速道路

高速道路で運転席、助手席、後部座席全ての座席で1点加点されます。

ただし、過去3年間無事故無違反で違反した日から3ヶ月間違反がなければ違反の点数は減点されることに。
違反の点数自体は0点になったとしても、違反記録は残りますから、次の免許の更新時にゴールド免許は剥奪されることになります。

②一般道路

一般道路でも運転席、助手席、後部座席でのシートベルトの着用は義務化されています。

しかし、一般道路での行政処分は、運転席と助手席のみ1点加点で、後部座席にはありません。
警察官から口頭で注意されるだけになっています。

だからといって、一般道路で後部座席の人はシートベルトをしなくてもいいわけではありません。
運転者はしっかり同乗者を守るためにシートベルトの着用を促してください。

(3)助手席、後部座席のシートベルト未着用は運転者のペナルティになる

たとえ助手席や後部座席の人がシートベルトを着用していなかったとしても、処分を受けるのは運転者です。
運転者が同乗者の安全義務を怠ったからだと考えてください。
運転者は同乗者の安全を守らなければいけません。

(4)実際の違反点数加点の例

①一般道で運転席と助手席のシートベルトが未着用だった場合

1点の加点です。
2人未着用だからといって2点加点されるわけではありません。

②高速道路で後部座席と助手席が未着用だった場合

1点加点されます。
運転者がシートベルトを着用していても同乗者が未着用なら加点の対象になります。

③運転席とチャイルドシートがシートベルト未着用の場合

2点加点されます。

シートベルトの違反とチャイルドシートの未装着は別違反です。
そのため、このケースでは2点加点されることになってしまいます。

5、シートベルト着用義務が免除されるケース

シートベルト着用義務が免除されるケース

道路交通法施行令第26条の3の2では、シートベルト着用義務が免除されるケースが詳細に規定されています。

それぞれどういうケースか見ていきましょう。

一 負傷若しくは障害のため又は妊娠中であることにより座席ベルトを装着することが療養上又は健康保持上適当でない者が自動車を運転するとき。
二 著しく座高が高いか又は低いこと、著しく肥満していることその他の身体の状態により適切に座席ベルトを装着することができない者が自動車を運転するとき。
三 自動車を後退させるため当該自動車を運転するとき。
四 法第四十一条の二第一項に規定する消防用車両(次項第四号において「消防用車両」という。)である自動車の運転者が当該消防用車両である自動車を運転するとき。
五 人の生命若しくは身体に危害を及ぼす行為の発生をその身辺において警戒し、及びその行為を制止する職務又は被疑者を逮捕し、若しくは法令の規定により身体の自由を拘束されている者の逃走を防止する職務に従事する公務員が当該職務のため自動車を運転するとき。
六 郵便物の集配業務その他業務のため自動車を使用する場合において当該業務に従事する者が頻繁に当該自動車に乗降することを必要とする業務として国家公安委員会規則で定める業務に従事する者が、当該業務につき頻繁に自動車に乗降することを必要とする区間において当該業務のために使用される自動車を運転するとき。
七 自動車に乗車している者の警衛若しくは警護を行うため又は車列を組んでパレード等を行う自動車に係る交通の安全と円滑を図るためその前方及び後方等を進行する警察用自動車(緊急自動車である警察用自動車を除く。次項第七号において同じ。)により護衛され、又は誘導されている自動車の運転者が当該自動車を運転するとき。
八 公職選挙法(昭和二十五年法律第百号)の適用を受ける選挙における公職の候補者又は選挙運動に従事する者が同法第百四十一条の規定により選挙運動のために使用される自動車を当該選挙運動のため運転するとき。
引用:道路交通法施行令

(1)負傷や障害の影響でシートベルト着用が難しい

怪我や障害があり、シートベルトの着用が難しく、健康を害する恐れがある場合には、シートベルトの着用は免除されます。
その代わり、運転者は安全運転を心がけ、同乗者に危険がないように運転しなければいけません。

(2)妊娠中でシートベルトを着用すると気分が悪くなる

妊娠中は少しの締め付けでも気分が悪くなるケースがあります。
また、切迫早産や切迫流産などのケースでは締め付けることでお腹が張りやすくなるもの。
このようなケースでもシートベルトの着用は免除されることになっています。

しかし、お腹の中の愛するわが子を守るためでもありますから、具合が悪くないようならシートベルトの着用を心がけましょう。

例えば、シートベルトが3点式なら、お腹にあたる部分を少しずらして肩紐だけでもしっかり固定する方法。お腹への圧迫が少ないため、気分が悪くならないかもしれません。

(3)後部座席にシートベルトが設置されていない

旧式の車で後部座席にシートベルトがない場合には物理的にないわけですから免除になっています。
このような場合には同乗者の安全を考慮し、通販などで後付けのシートベルトの購入を検討しましょう。
旧式の車でも着用出来ますし、チャイルドシートの固定などにも役立ちます。

(4)乗車人数内の乗車だがシートベルトの数が足りない

子どもの人数が多く全員分のシートベルトが確保できていない場合には、後部座席のシートベルトは免除されます。

しかし、高速道路を走行するなら安全性を優先し、シートベルトの数に合わせた同乗者にした方が危険性は少ないといえます。

(5)郵便・ごみ収集などの作業中

郵便やゴミ収集の作業中などで頻繁に車から乗り降りするような仕事の最中はシートベルトが免除されています。

(6)消防車・救急車など緊急車輌を運転する状況

消防車や救急車などの緊急車輌を運転する場合には免除になります。
緊急搬送されている人にシートベルトを義務付けるわけにはきませんし、人命救助中の人にシートベルトの着用を促すのは難しいからです。

(7)倒れた人を病院へ送るといった人命に関わる状況

人命に関わる状況の際にもシートベルトは免除されます。
人命に関わるからこそ、より一層安全運転を心がけましょう。

(8)選挙カーに乗車する候補者と運転員

選挙カーには選挙活動をしながら乗車しています。
活動中は低速走行していますから、シートベルトの着用は免除されることになっています。

6、交通違反、交通事故でのトラブルが生じたら弁護士へ

交通違反、交通事故でのトラブルが生じたら弁護士へ

もしも交通違反や交通事故などでトラブルが生じた場合には迷わずに弁護士に相談してください。
交通事故において相手がシートベルト未着用のときは、相手の過失を主張して有利に交渉できる可能性があります。
その他、スピード違反で出頭要請がきている場合、酒酔い運転での事故で逮捕されたなど、交通違反や交通事故でお困りの際は迷わずに相談することが賢明です。

まとめ

シートベルトをしなくてよければ、どんなに気楽でよいでしょう。

しかし、ご説明してきた通り、シートベルトは命を守る本当に大切なものです。加点やアラームでベルト装着を強制するのも大切ですが、いやいやながら装着する状態は気持ちの良いものではありません。

大切なのは、シートベルトの意義を自ら感じることです。
この記事で、シートベルトへの意識をあらためていただけたならば何よりです。

シートベルトを着用し、安全に気をつけて車を運転していきましょう。

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