ソーシャルメディアにおける誹謗中傷が事件化され、誹謗中傷を受けて自殺した有名人の悲劇も記憶に新しいことと思います。SNSが集客ツールとして効果的な成果を挙げることができる一方で、身に覚えのない誹謗中傷による利益減少も容認できなくなり、相手方を訴えたいと思っている人も少なからずいることでしょう。
そこで今回は、
- 誹謗中傷を止める方法
- 相手を特定する方法
- 誹謗中傷の削除方法
などを中心にベリーベスト法律事務所の弁護士が解説していきます。
SNSで誹謗中傷に悩んでいる方や、削除依頼の方法が分からない方のお役に立つことができれば幸いです。
ネット 誹謗中傷全般はは以下の関連記事をご覧ください。
目次
1、Twitterの利用者が非常に多い理由
多くのSNSが存在する中、皆さんも知っているようにFacebook、Twitter、Instagramが3大SNSとして高い利用率を誇っています。この中でも特にTwitterの利用者は4,500万人にも上ります。利用者が多い理由にはTwitterならではの特性があり、これをメリットと感じている人が多いことが挙げられます。具体的には以下の3つが挙げられます。
(1)プライバシーが守られるから
SNSの先駆けともいえるFacebookでは実名登録が原則となっていますが、Twitterは匿名での利用が可能です。そのため、実名での登録を躊躇する利用者がTwitterを利用することにより、Facebookの利用者数を1,900万人も上回る結果となっているのです。
(2)利用者が多く発信ができるから
Twitterは140文字までのテキストを投稿するSNSです。投稿された内容に興味があれば、そのTwitterのアカウントをフォローすることができます。営業のツールとして使っている方にとっては、自分の投稿に興味のある人に対して発信することができるため、効率よく営業することが可能になります。
(3)拡散しやすいから
Twitterは拡散されやすいSNSとして有名です。Twitterにはツイートを再度ツイートするというリツイートと呼ばれる機能があります。リツイートしたツイートはフォロワーだけでなく、その先にいるフォロワーにまで拡散されるため、瞬く間に一つの情報が広がります。特に芸能人などの影響力のある人のツイートはリツイートされやすく、ニュースでもしばしば取り上げられることがあります。
2、Twitterで誹謗中傷が起きやすい理由について
他のSNSと比較すると、Twitterが誹謗中傷の投稿の場として多く利用されています。
FacebookやInstagramなどでも誹謗中傷の投稿は多く見受けられますが、Twitterでのトラブルが圧倒的に多い理由には、Twitterの機能と関係しているからだと言えます。
(1)発言がしやすく匿名性が高い
人に言えない悩みなどを匿名で相談できるというメリットがある一方で、匿名空間は誹謗中傷に利用されやすい傾向にあります。140文字という短いテキストで人の悪口を気軽に投稿できる環境が誹謗中傷を助長しており、Twitterが誹謗中傷の温床になりつつあります。
(2)拡散機能が充実している
企業にとっては拡散機能が充実しているSNSほど利用価値が高く、営業のメインツールとしてTwitterを利用している企業もあります。Twitterには他人のツイートを自分のフォロワーに向けて再度ツイートして拡散するリツイートという機能がありますが、それに加えて他の利用者の投稿に自分のコメントを添えてリツイートできる引用リツイートという機能も備わっています。情報を拡散したいときに便利な機能として多くのユーザーが利用しています。インターネット上で話題となり多くの人の知るところになる「バズる」という言葉が使われますが、Twitterでは頻繁にバズる現象が起きています。
(3)いわゆるTwitter民は情報リテラシーが低い
Twitterは匿名で利用することができるため、中にはバズることを目的として物事を大げさにツイートしたり、事実とは異なる内容を投稿したりすることがあります。Twitter上に投稿された情報を全て鵜呑みにすることは非常に危険であり、常に情報の真偽を見極める能力を備えていなければなりません。しかし残念ながらTwitterを利用する人の多くは、そのような能力が乏しく情報リテラシーが低い傾向にあります。情報に対するモラルやセキュリティ意識が低いと、トラブルに巻き込まれるだけでなく、知らぬ間にリツイートという形を通じて間接的な加害者になったり、最悪の場合には訴えられることもあります。
3、Twitter本体から削除される危険性のある投稿とは
(1)Twitterでは以下の内容の投稿を禁止しています。
➀暴力
トランプ前大統領の「暴徒化すれば軍による射撃の用意がある」というツイートが、人または集団に向けた暴力をほのめかす脅迫に該当するとして非表示となりました。
➁テロ行為/暴力的過激主義
テロリストを賞賛したりテロ行為を呼びかけるような投稿は禁止されています。
➂児童の性的搾取
18歳未満の性的搾取に関連する一切の投稿を禁止しています。
➃攻撃的な行為/嫌がらせ
木村花さんの自殺の原因となった投稿は攻撃的な行為/嫌がらせに該当します。
➄ヘイト行為
主に人種や国籍に基づいた誹謗中傷は禁止されています。
➅自殺または自傷行為
自分自身を傷つける行為の助長や推奨する内容の投稿は禁止されています。
➆写実的な暴力描写や成人向けコンテンツを含むセンシティブな画像/動画
過度にグロテスクであったり、アダルト向けの動画や画像の投稿は禁止されています。
➇違法または特定の規制対象商品・サービス
麻薬を販売するなど法律で禁止されている商品やサービスの営業ツールとして使用することは禁止されています。
出典:https://help.twitter.com/ja/rules-and-policies/twitter-rules
(2)ハッシュタグの利用
Twitterではハッシュタグを利用することで投稿内容がタグ化されます。#自殺や#自傷行為といった直接的な内容から、#パパ活女子などと援助交際を暗意させるハッシュタグまでさまざまなハッシュタグが横行しています。
4、Twitterで削除依頼をする手順
Twitterで誹謗中傷を受けた場合、削除してもらうための手順をご紹介します。
(1)事例①誹謗中傷ツイートの削除
まずは、誹謗中傷ツイートをしている人へ直接連絡を取り、該当ツイートを削除してもらうようにDMを送ってみることが考えられます。しかし、先方が貴方に対して何かしらの感情を抱いている場合には、直接連絡を取ることで相手の気持ちを逆撫でする可能性もありますので、リスクが伴うことを承知で依頼しなければなりません。もし削除依頼に応じない場合や事態を悪化させる可能性がある場合には、Twitter社へ当該ツイートの違反を通報し、Twitterによる削除を依頼してみましょう。
(2)事例②誹謗中傷アカウントの削除依頼
悪質な誹謗中傷でアカウント自体を削除してもらいたい場合も考えられますが、多くの場合、アカウント自体の削除をアカウントの持ち主へ依頼しても応じてもらえないことがほとんどです。この場合には、アカウントの削除をTwitter社へ依頼しましょう。
5、Twitter誹謗中傷の犯人に対して損害賠償を請求するには?
ツイートやアカウントの削除に応じないからといって、悪質な誹謗中傷に対して何も打つ手がないわけではありません。誹謗中傷をしている犯人を特定して損害賠償請求をすることも可能です。
(1)仮処分を申し立てる
誹謗中傷をしたアカウントにログインした際に使用されたIPアドレスの開示請求の仮処分をすることができる場合があります。仮処分の決定がなされると、誹謗中傷のツイートをしたアカウント保有者あてにも開示決定の通知がTwitter社から届きます。開示される内容はログイン時に使用したIPアドレスです。誹謗中傷のツイートから仮処分の決定まで60日以上の期間が開くと、住所や氏名の開示請求を認めていないため、Twitter上で誹謗中傷されたら早急に対応することが大切です。
(2)犯人特定を行うために情報開示を裁判所に申し立てる
IPアドレスが開示されたら、その情報を基にプロバイダを特定します。そしてそのプロバイダに対して犯人特定のための情報開示請求訴訟を提起します。インターネット上で誹謗中傷を行った発信者の情報をプロバイダに対して開示するよう要求することが法律で定められています(プロバイダ責任制限法第4条)。
(3)犯人に対して損害賠償請求を行う
誹謗中傷者が特定されたら、その人に対して損害賠償請求を行います。誹謗中傷の内容によっては、不法行為であるとして、損害賠償請求が認められる可能性があります。
6、Twitter誹謗中傷で訴訟を起こしたら慰謝料はとれるの?
誹謗中傷で訴訟を起こした場合、その内容によっては損害賠償請求が認められる可能性はあります。仮に損害賠償請求が認容された場合、誹謗中傷者から獲得できる賠償の主な内容は以下のとおりです。
(1)慰謝料
誹謗中傷により名誉を棄損された場合の慰謝料の相場は、被害者が個人か法人かによって変わります。被害者が個人の場合は10万円~50万円、法人であれば50万円~100万円が相場と言われています。なお、誹謗中傷の内容や程度によって、さらに高額になる場合もあります。
(2)訴訟費用
仮処分の対応にかかる弁護士費用の相場は40万円ほどです。加害者から受け取ることができる慰謝料の額と比較して泣き寝入りされる方もいらっしゃいます。他方で、誹謗中傷者を特定する際にかかった費用のうち一定額を、加害者に対して上乗せして請求することができる場合もあります。
(3)その他の損害の賠償
権利や利益を侵害された結果、財産上の損害が発生したときは、当該損害の賠償も請求できます。誹謗中傷ツイートが原因で会社を解雇された場合や、企業の利益が落ちた場合などです。
7、Twitter誹謗中傷は専門知識が必要!弁護士に依頼が適任です!
インターネットに投稿された内容は瞬く間に拡散されることがあります。Twitterの誹謗中傷では被害が拡大する前に迅速な対応をすることが何よりも大切です。自分で削除依頼を試みる方もたくさんいますが、名前や住所の特定は時間との戦いになることがあります。ネット誹謗中傷対策には専門な知識と経験が必要です。自分だけで対処しようとせずに、弁護士に相談することをお勧めします。
まとめ
誹謗中傷による被害は年々増加しており、著名人の自殺は社会的問題にまで発展しました。Twitterでは匿名性が担保されることから多くの人に指示されるSNSですが、その匿名性が悪用されることにより、今や誹謗中傷の温床となっていることも事実です。誹謗中傷対策には、仮処分や訴訟などの法的手続きが必要となるケースがほとんどです。誹謗中傷の被害でお困りの方は、早急に弁護士に相談するようにしてください。