歩きスマホを取り締まる法律は?注意すべきポイント4つ

歩きスマホを取り締まる法律は? 注意すべきポイント4つ

歩きスマホを取り締まる法律はあるのでしょうか。

歩きスマホと傷害罪の関係について、ベリーベスト法律事務所の弁護士がわかりやすくご説明します。

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1、歩きスマホでけがをさせた場合の罪とは

まずは「歩きスマホ中に人にぶつかってけがをさせてしまった」場合からご説明します。

このケースでは、歩きスマホによる過失で怪我を負わせてしまっているので「過失傷害罪」に当たる可能性があります。

特に、人にぶつかることが予見される混雑した場所などで同行為に及んだ場合は“過失”と判断できるでしょう。

有罪になると、30万円以下の罰金又は科料(科料とは1万円未満の財産刑。罰金は1万円以上)に処せられます。

もしこれが“自転車に乗りながら”スマホを操作して、人にぶつかってけがを負わせていた場合、より量刑の重い「重過失致死傷罪」が適用される可能性があります。

有罪になると、5年以下の懲役もしくは禁錮、または50万円以下の罰金に処せられます。

そしてこれが“自動車の運転中”だった場合、さらに重い「過失運転致死傷罪」が適用され、有罪になると7年以下の懲役もしくは禁錮、または100万円以下の罰金が科せられます。

2、歩きスマホの人にけがをさせた場合は逮捕される?

冒頭に紹介した事件では、男が故意に、歩きスマホをしている女性にぶつかって怪我をさせました。

仮に、男性が故意でなかったとしたら罪に問われるはどちらでしょうか。

過失傷害の罪に問われるのは「過失があり、その結果、けがを負わせてしまった場合」です。

そのため、歩きスマホをしている人が誰かにぶつかり怪我をしたとしても、ぶつかられた人に過失がなければ当然、過失傷害罪に問われるのは“歩きスマホをしてぶつかった人”のほうになります。

「歩きスマホ≒よそ見」と捉えると、理解しやすいのではないでしょうか。

ここで≒(ニアイコール)としたのは、歩きスマホをしている人とよそ見をしている人とでは、双方の過失の度合いが異なる場合があるためです。

もし裁判になり“どういう状況で何をしていたか”が争点になったとき「歩きスマホ」と「よそ見」の性質の違いにより、どちらに非があったか、あるいは罪に問われた側の減刑の検討材料になる可能性もあります。

3、歩きスマホによる逮捕以外の注意点

歩きスマホから起きた傷害の疑いが、不起訴になったり罪に問われなかったとしても、被害者から損害賠償を請求される可能性はあります。

ここでも先の「歩きスマホVSよそ見」のお話のように、過失の割合が関係しています。

例えば、怪我をしたほうが歩きスマホをしていて9割方の過失がある場合は、怪我をさせた側は損害の1割のみ賠償すればよいことになります。

つまり、歩きスマホをしていると、ぶつかられるなどで怪我をさせられた場合でも賠償額が目減りする可能性があるのです。

4、歩きスマホを取り締まる法律はある?

海外に目を向けると、アメリカでは歩きスマホを罰則の対象とした条例を設けている都市もあります。

日系人も多く住むニュージャージーのフォートリーでは、違反すると85ドルの罰金が科されることになっています。

ハワイのホノルルでは、歩行者が「スマートフォンなどの携帯電子機器を見ながら道路の横断をすること」を禁じる条例が成立し、2017年の10月25日に施行されることとなりました。

違反すると15〜99ドルの罰金が科されます。

まとめ

歩きスマホはわざわざ法律で取り締まらなければならないほどのものでしょうか……。

よくよく考えると、マナーを守る心がけひとつで対処できるはずですし、駅に行けば注意を喚起するポスターが目につくところに貼られています。

もし日本でも「歩きスマホ禁止法(仮)」が施行されるようなことがあれば、それはちょっと恥ずかしいことなのでは?と思ったりもします。

※この記事は公開日時点の法律を元に執筆しています。

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