ひき逃げの被害者が知っておくべき6つのこと

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警察庁の統計資料によれば、ひき逃げ事故は平成26年の1年間に9231件も発生しており、全交通事故の約1.6%を占めており、いつ誰がひき逃げの被害にあってしまっても不思議ではない状況です。

これをお読みの方にもひき逃げの被害者になってしまった、という方がいらっしゃるのではないでしょうか。

今回は、ひき逃げに遭われた方のお役に立ちたいという想いから、弁護士の視点からひき逃げ事故の被害者が知っておくべきことをご紹介していきます。ご参考になれば幸いです。

 1、ひき逃げに遭ってしまったらどうすればいい?

「ひき逃げ」という言葉は法律用語ではありません。

ひき逃げについて直接定義した法律はないですが、道路交通法は、ひき逃げについて交通事故の場合の措置として以下のように定義しています。

「交通事故があったときは、当該交通事故に係る車両等の運転者その他の乗務員(運転者等)は、直ちに車両等の運転を停止して、負傷者を救護し、道路における危険を防止する等必要な措置を講じなければならない。この場合において、当該車両等の運転者(運転者が死亡し、又は負傷したためやむを得ないときは、その他の乗務員)は、警察官が現地にいるときは当該警察官に、警察官が現場にいないときは直ちに最寄りの警察署の警察官に当該交通事故が発生した日時及び場所、当該交通事故における死傷者の数及び負傷者の負傷の程度並びに損壊した物及びその損壊の程度、当該交通事故に係る車両等の積載物並びに当該交通事故について講じた措置を報告しなければならない。」(同法第72条第1項)

上記法律に則ってひき逃げについて定義してみると、ひき逃げとは、「道路交通法に定められた義務を怠り、その現場を離れること」になります。

 2、ひき逃げの被害者がとるべき行動

被害者は、自分に生じた損害を補てんしてもらう必要がありますが、問題は誰が補てん義務を負うのかですが、原則としてはやはり当該事故を引き起こした加害者がその責任を負います。

そのため、ひき逃げによって加害者が特定できない場合には、被害者に生じた損害を補てんすべき義務を負う者が分からなくなってしまい、被害者は損害の補てんを受けられません。

ひき逃げに遭ってしまったときは気が動転してしまうでしょうが、できる限り相手方車両の特徴やナンバーをメモするなどして記録し、その後、すぐに警察を呼びましょう。

また、少しでも体に痛みや違和感がある場合には、早く病院に行って医師の診断を受けましょう。もしかしたら、「治療費を払ってくれる加害者がいないし、自己負担で治療するのは筋ではないから、まだ病院には行かなくていい。」と思ったりするかもしれませんが前述のとおり、加害者は被害者が当該事故によって被った損害を賠償する義務を負うとされるところ、被害者が、当該交通事故が発生してから何日も過ぎて初めて受診したとすると、その受診した傷病と当該事故との間の因果関係が分からなくなってしまい、結果として加害者に損害賠償請求できないという結果になりかねないのです。

 3、ひき逃げの場合に受け取れる慰謝料はいくら?

交通事故被害者は、交通事故によって負傷し、治療を継続すると、それによって負った精神的な苦痛を慰謝料として加害者に対して請求可能です。この精神的な苦痛は、厳密には被害者ひとりひとり異なってしかるべきですが、被害者間の公平という観点から一定の基準が設けられています。もっとも、基準自体は3つあり、それぞれの基準で獲得できる慰謝料の金額は違うのですが、詳しくは他の記事に譲ります。

では、ひき逃げの被害者となった場合でも、そうでない被害者と同じような慰謝料しか請求できないのでしょうか。

この点、ひき逃げをする加害者には、それなりのひき逃げをする理由(飲酒運転・無免許運転等)があることが多く、ひき逃げという事情だけでどれだけの慰謝料が増額されるかを考えるのは難しいですが、裁判例の中にはひき逃げという加害行為の悪質性を捉えて、被害者の精神的苦痛が増大したとして慰謝料額を裁判所基準の1.5倍程度増額して認めたものあります。

 4、慰謝料等の損害賠償は加害者にするのが原則

上記でも述べましたが、被害者は、当該事故で負った損害を原則的には加害者又は加害者の加入する保険会社に対して請求します。

しかし、ひき逃げの場合には、警察に届け出たとしても、最終的に加害者や加害者の加入する保険会社が判明しない場合もあります。また、ひき逃げをする加害者にはそれなりの理由があるというのも先に述べたとおりで、このような場合には仮に加害者が判明したとしても、その加害者が任意保険に一切入っていないケースもあり得ます。

そうすると、やっとのことで加害者が判明しても、加害者本人には被害者に生じた損害を賠償するに足りるだけの資力(財産)がなく、結果として被害者は満足な被害回復をはかれないことがあるのです。

 5、加害者が不明な場合には政府保障事業制度を利用できる

加害者が不明な場合に、被害者の利益が一方的に奪われ、かつ回復できなくならないように、日本ではひき逃げの被害者を保護するための制度が設けられています。

この制度のことを政府保障事業制度言います。この制度は、自賠責保険や自賠責共済では被害者の保護を図れないひき逃げ事故や無保険車事故について、法定限度額の範囲で政府がその損害をてん補してくれるもので、自動車損害賠償保障法に定められています。

補償の範囲は、基本的にはこの法律に定められている自賠責保険や自賠責共済の範囲と同様ですが、健康保険や労災保険等の他の社会保険の給付(他法令給付)等がある場合にはその金額が差し引かれることや、仮渡金の制度がないといった点などが違います。

被害回復が全くできない場合に比べれば、一定の被害回復がはかれますので政府保障事業制度は被害者にとって大変有益な制度であると言えますが、政府保障事業制度で被害者の被害が回復されるのは、法律で定められる最低限度の範囲に限られてしまいます。

6、自分の保険から補償を受けられる場合がある?

(1)人身傷害補償保険

この保険は、契約車両に乗っている人が、死傷してしまい、人的な損害が生じたときに、あらかじめ保険契約の内容で定められた保険金が保険契約に従って保障されます。

通常、自損事故等を含め自身の過失が大きい事故によって怪我をし、又は死亡したときに利用されることが多いですが、交通事故にあって死傷した方と保険会社との間に契約さえあれば、当該契約に従って保険金が支払われますで、ひき逃げのように加害者がいる(被保険者に過失がない)けれども加害者が判明しないといった場合であっても利用できます。

(2)無保険車傷害補償特約

この特約は、加害者が任意保険に未加入の場合や、任意保険に加入しているものの故意による事故等任意保険の適用が認められない場合、さらには上限金額が設定されており被害者の損害を補てんしきれない場合で、ひき逃げなどのように加害者不特定の場合でも、自身の保険会社が賠償してくれるという特約です。

人身傷害補償保険と異なる点は、人身傷害補償保険が慰謝料額等については原則として保険契約の内容に従った保険金が支払われるにすぎないのに対し、無保険車傷害補償特約では、加害者が負うべき損害賠償額を基準に自らが加入している保険会社が保険金を支払ってくれる点です。また、大きな違いとしては、この特約では、死亡または後遺障害を被ったときに限って利用できるという内容となっていることが多いという点です。

(3)車両保険

政府保障事業制度や上記の人身傷害補償保険、無保険車傷害補償特約は、身体的な損害についての補償であって、車両同士の事故で加害者が逃げてしまった場合の被害者の方の車両の損害については補償してくれませんが、被害者の方が車両保険に入って入れば、ご自身の加入する保険会社から保険金を受け取れます。

ひき逃げの被害者に関してまとめ

今回は、ひき逃げの被害者の方を対象に説明してきましたが、この情報がひき逃げに遭われた方のお役に立てば幸いです。

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