クレジットカード等のリボ払いで借金地獄になるのは決して珍しいことではありません。
クレジットカード等のリボ払いの「毎月の返済額が少なくて良い」というメリットは、「いつまでも完済できない可能性がある」というデメリットやリスクと表裏一体です。そのため、「どれだけ使っても毎月1万円・2万円の支払いでよい」と欲しいものをすべて買っていては、リボ払いの返済を終えることができないだけでなく、金利がかさんでいつの間にか残額は膨らむ一方。リボ払いのために借金をするようになれば、まさに恐怖の借金地獄です。
そこで今回は、
- リボ払いが原因ではまった借金地獄の脱出方法
などについてまとめてみました。
リボ払いの返済が苦しい、カードを使いすぎて今後の返済が心配という人は是非参考にしてみてください。
目次
1、リボ払いとは
リボ払いとは、クレジットカードやカードローンなどの支払い方法の一つで、「その月の利用額にかかわらず返済額をあらかじめ決められた一定額にする」という返済の仕方のことをいいます。
(1)リボ払いの返済方法
「リボ」というのは、リボルビング(revolving)を省略したもので、回転式拳銃(リボルバー)がシリンダーに込められた弾丸を撃ち出す様がその名前の由来であるとされています。
実際のリボ払いの返済方法は、
- 毎月の返済額を自分で選んだ金額で完全に固定する方式(定額制)
- 20万円以下は毎月1万円で、20万円以上は毎月2万円というように、一定の利用残額ごとに返済額が変動していく方式(残高スライド方式)
とに大別することができます。
(2)リボ払いの特徴・メリット
リボ払いの最大の特徴は、毎月の支払(返済)額を決められた金額にできるということです。簡単にいえば、リボ払いの設定額を1万円にしておけば、その月の利用額が2万円であろうと10万円であろうと返済額は1万円でよいということになります。
そのため、「うっかりカードを使いすぎてしまった」というような場合でも翌月の請求額を心配する必要はありませんし、毎月決まった額だけ準備しておけばよいので支払を滞納してしまうリスクも小さくすることが可能といえます。
2、リボ払いで借金地獄になる理由
借金地獄にならないようにするために、2種類の「制限」が考えられます。
- 総量規制
- カード会社による利用限度額
です。
リボ払いでは、なぜこの2種類の制限がきかないのでしょうか。
(1)総量規制
いわゆる「借金」には、総量規制という制度が整っています。
総量規制とは、貸金業者が個人に対して融資できる金額は、借主の年収の3分の1を超えない金額とされているルール(貸金業法第13条の2第1項及び第2項)です。この総量規制によって、いわゆる借金で借金地獄になることはある程度抑えられています。
しかし、ショッピングのリボ払いは、この総量規制の範囲外なのです。
これは、「ショッピング」はいわゆる「借金」とは別物と考えられていることが理由です。
(2)カード会社による利用限度額
ショッピングのリボ払いは、割賦販売法の規制対象となります。
割賦販売法でも、総量規制のように、使いすぎを防ぐためにクレジットカード会社に「支払可能見込額の調査」が義務付けられています。これによりリボ払いの使いすぎは一定程度は抑えられる建前です。
しかし問題なのは、この「支払可能見込額の調査」は、カード利用者の自己申告にとどまるという点です。クレジットカード会社は、カードを作る際、カード利用者に対し、他のクレジットカード会社でリボ払いやキャッシングをいくら使う予定なのかをヒアリングします。これにどのように答えるかはカード利用者にゆだねられ、システム上のチェックがなされることがありません。つまり、「他のクレジットカードの利用はない」などと答えることも可能で、そうなると本来許されるべきではない利用限度額の金額設定がなされてしまうのです。
このようなことから、リボ払いでは、使いすぎに対する法的な歯止めが甘いと言わざるを得ません。
3、リボ払いで借金地獄にならないための4つの方法
リボ払いが原因で借金地獄に陥ってしまわないためには、「利用残額」をきちんと管理することに尽きるといえます。
利用残額が右肩上がりで増え続けるような状況を避け、「毎月確実に残額が減っていく」のであれば、「毎月の支払額が定額・低額でよい」というリボ払いのメリットのみを享受できる可能性も高いといえます。
それとは反対に、利用残額が毎月増えていくような状況が続けば、決して軽いとはいえない手数料の負担が重くのしかかってきます。
返済期間が長くなるほど、リボ払いはメリットよりもデメリットの方が大きくなる仕組みであることは、常に頭に入れておいた方がよいでしょう。
リボ払いの残額を減らす(これ以上増やさない)ためには、次の4つの対応が重要となります。
(1)利用残額を毎月必ず確認する
リボ払いでトラブルになってしまう人には、「自分の利用残額を把握していない」という人が少なくありません。
特に、利用明細書もウェブ発行が中心となっているため、「利用残額を何ヶ月以上も全く確認していない」という人も増えていると思われます。
しかし、リボ払いでの決済が多い場合には、「返済できている(残額が減っている)と思い込んでいるだけ」という場合も少なくありません。
(2)リボ払いを極力使わない
リボ払いは、毎月の返済額を一定額に固定できることに利用者側としてのメリットがあります。
したがって、その月の利用総額が、返済額として設定された額を超えてしまえば、当然残額は増加してしまいます。
その意味では、リボ払いでトラブルを抱えないためには「リボ払いはできるだけ使わない」ということがとても大切です。
当たり前のことなのですが、リボ払いのデメリットを正しく理解していない人には、「なんでもリボ払いで対応」という人も結構いるようです。
少額の決済などは、「1回払い」で対応する癖を付けるだけでも、リボ払いで借金地獄に陥るリスクはかなり減るといえます。
(3)約定返済額を増やす
リボ払いの残額が減らない(リボ払いがいつまでも終わらない)理由の大半は、「毎月の利用額の方が返済額よりも多い」ことにあります。
したがって、毎月1万円返済から1万5000円返済にするといったように、毎月のリボ払い返済額を増額させることは、リボ払いの利用残額を減らすという観点では、とても有効です。
特に、
- スマホ
- 携帯料金
- 公共料金
- 日用品購入の支払い
などに「リボ専用カード」を利用するという人の場合は、約定返済額を増額させておかなければ、「本来は1回で払えたもの」に手数料を支払わなければならない事態になりかねません。
ショッピングリボ払いの毎月の支払い金額を変更したい(JCBカードウェブサイト)
(4)繰り上げ返済を実施する
毎月の返済額を増額するのが難しいという場合には、「利用額の多かった月」や「ボーナスなどの臨時収入があった月」、「家計に余裕のある月」に繰り上げ返済(毎月の約定返済に追加する返済)を行うことが効果的です。
特に、数十万円以上の大きな買い物をリボ払いでした場合には、毎月数千円の繰り上げ返済を実施するだけでも完済までの支払総額を大きく減らすことができます。
リボ払いの臨時のお支払い方法(三井住友カードウェブサイト)
4、リボ払いでの借金地獄|返済手数料負担を減らす3つの方法
クレジットカードのリボ払いの最大のデメリットは、毎月の支払いに「手数料」が上乗せされることです。
この「手数料」は、借金でいう利息に相当するもので、その負担の程度もカードローンの利息と大きな違いはありません。
その意味でも、リボ払いでの買い物は「借金しての買い物」と同じであるといえますから、リボ払いの残額が増えれば、「高額な手数料」のために毎月の支払いに行き詰まってしまい、「残額が全く減らない」ことの原因になりかねません。
リボ払いに発生する手数料の負担を軽くする方法としては、次のような対応を挙げることができます。
(1)ボーナス1回払いに切り替える
高額商品をクレジットカードで買い物するときには、リボ払いではなく「ボーナス1回払い」を選択するようにすると、リボ払いの残額を増やさずに対応することができます。
ボーナス1回払いは、分割払いではないため手数料も発生しないので、非常にお得な決済方法といえます(ただし、利用できない決済も少なくありません)。
「ボーナスだけでは支払いきれない」というときには、ボーナス月まで毎月必要額を積み立てるなどで対応すればよいでしょう。
また、クレジットカードの(通常の)分割払いは、3回分割から手数料が発生します。
したがって、「2回の分割払い」を選択すれば、手数料を発生させることなく、支払の負担を減らすことができます。
(2)家族に援助してもらう
利用残額が増えすぎてしまった場合などには、家族などの身近な人に援助してもらうことも借金地獄に陥らないための重要な対応のひとつです。
リボ払いが苦しくなったことを家族に打ち明けることに抵抗を感じる人も多いと思いますが、「家族が無理なく助けられる金額のうち」に早期に対応することは、最もコストとリスクをかけずに借金地獄に陥ることを回避するための方法といえます。
家族にリボ残額を立て替えてもらえれば、通常は利息もなしに、自分で返済可能なペースで返せばよいので、返済の負担はかなり軽減されるからです。
また、買い物依存などが原因でリボ払いの利用残額が膨らんでしまった場合には、本当の問題である買い物依存を克服するために家族の支えが不可欠ということもあるでしょう。
(3)低金利の借金で借り換える
家族からの援助が難しいケースでは、リボ払いの手数料よりも負担の小さい借金などを利用して、いわゆる「借り換え」をすることも対応のひとつといえます。
たとえば、
- 組合
- 共済
- ろうきん
といった場所からの借入は、金利が年5%前後ということも多いですから、リボ払いの手数料(約年15%)の負担を大幅に減らすことができます。
また、これらの借入れの返済は給料天引きで行えることも多いので、返済の管理をする手間も省けます。
5、リボ払いの借金地獄の対応法〜自力で対応できないときは債務整理で解決
ここまで解説してきた方法を組み合わせるなどして対応をしたとしても、リボ払いの支払いが苦しいというときには、できるだけ早い段階で弁護士・司法書士に債務整理の相談をすべきといえます。
これらの方法でリボ払いの状況が改善しないときには、「利用残額が返済能力を遙かに上回っている」場合が多く、早期に対応しなければ、より深刻な借金地獄に陥ってしまう可能性が高いからです。
(1)高利の借金などでの自転車操業は絶対NG!
クレジットカードや借金の返済が苦しくなった人のなかには、「他の金融機関で借金をして当面の返済をやり過ごす」という人も珍しくないようです。
しかし、このようないわゆる自転車操業は、まさに「借金地獄の原因」となるので絶対にすべきではありません。
上で紹介した残額全額の借り換えの場合と異なり、その場の返済のための借金は、借入件数・借入総額ともに増える結果になるので、「翌月以降の返済がさらに苦しくなる」という悪循環のはじまりでしかありません。
また、いまの法規制の下では、自転車操業は永遠に続けられるものではありません。
一般的にも借入件数が4件を超えると新規の融資を受けることはかなり難しいといえます。したがって、自転車操業はヤミ金との関わりをもってしまう原因にもなりかねないといえます。
(2)早期に債務整理すればデメリットも小さくて済む
ほとんどの人は債務整理にネガティブなイメージを持っていると思います。
しかし、問題が小さいうちに対処することができれば、債務整理によって生じる不利益も小さく抑えることが可能です。
リボ払いのケースでも、カード会社1件だけの債務整理であれば、少額の費用及び短期間で問題を解決できる可能性はかなり高いといえます。
債務整理の対象とする金額(利用残額)が少なく、全く滞納のない状態で債務整理に踏み切ることができれば、債権者の温情によって信用情報の悪化も最低限度に抑えられる余地も残されています(信用情報がどの程度悪化するかは債権者の裁量によるところが大きいです)。
他方で、対応が遅くなったことで、借入件数・債務残額ともに膨らんでしまった場合には、自己破産などの大がかりな方法でしか解決できなくなってしまう可能性も高くなります。
「どうしても家族に知られたくない」という事情があるときにこそ、早めの相談・対応が重要です。
まとめ
リボ払いは「その月の利用額にかかわらず毎月の支払いを定額(低額)にできる」というメリットばかりが強調されがちですが、「高い手数料を長期間支払わされる」、「利用残額が膨らみやすい」というデメリットがあることも忘れるべきではありません。
万が一、「リボ払いを使いすぎた」というときには、本文中で紹介した方法をできるだけ早く行うことで、今後のトラブルを予防することができます。万が一、「自力ではどうしようもない」と感じるような状況に陥ったときには、1日も早く家族や専門家といった第三者に相談してみることが大切です。
お金の問題は、重要な問題で他人に相談しづらいと感じるからこそ、一人で抱えると誤った判断をしやすいといえますので十分注意しましょう。