遅延損害金の計算方法は?返済が遅れそうなときに重要な5つのこと

遅延損害金 計算方法

遅延損害金の計算方法とは、どのようなものだろう…。

今回は、

  • 遅延損害金の計算方法
  • 遅延損害金を支払えないとどうなるのか
  • 遅延損害金を支払えないときの対処法

などについて弁護士が分かりやすく解説していきます。

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  • ・月々の支払いがいくら減るの?

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1、そもそも遅延損害金とは?

まずは、遅延損害金とは何か、利率はどれくらいなのかについて確認しておきましょう。

(1)返済が遅れたときの違約金

遅延損害金とは、借金の返済が遅れたときに発生する違約金のことです。約束どおりに返済しなかったことに対する、損害賠償金としての性質を有するお金です。金融機関における実務では、「遅延利息」や「延滞利息」などと呼ばれることもあります。

法律上は、「債務不履行による賠償額の予定」と呼ばれています(利息制限法第4条1項)。事前に、契約で「債務不履行による賠償額の予定」を定めていた場合に延滞すると、返済日の翌日から発生するのが遅延損害金です。

貸金業者からの借金だけでなく、

  • クレジットカードの利用代金
  • 各種ローン
  • 家賃
  • 携帯電話代
  • 親族や知人からの借金

などあらゆる金銭債務について、契約で遅延損害金を定めることが認められています。

(2)利息との違い

利息も、当事者の契約で定めた場合に発生するものですが、利息と遅延損害金とは性質の異なるお金です。

利息はお金を貸すというサービスによって貸主が受け取る運用利益であるのに対して、遅延損害金は約束どおりに返済しなかったことに対するペナルティです。

通常は、利息よりも遅延損害金の方が高い利率となっています。

(3)利率の相場は14.6%~20%

貸金業者からの借金における遅延損害金の利率は業者によって異なりますが、年14.6%~20%が相場となっています。

銀行カードローンでは年14.6%、消費者金融では年20%程度とされているのが一般的です。

金銭消費貸借契約(お金の貸し借り)における遅延損害金の利率の上限は、利息制限法で「利息の1.46倍まで」と定められています。

具体的には、以下のように借入額に応じて利息・遅延損害金の上限利率が異なります。

借入額

利息

遅延損害金

10万円未満

20%

 29.2%

10万円以上100万円未満

18%

26.28%

100万円以上

15%

 21.9%

ただし、利息制限法では貸金業者からの借金については、遅延損害金の上限利率を年20%までと定められているのです(同法第7条1項)。

対して、個人間でのお金の貸し借りについては、上記の表に記載した利率が適用されます。

2、遅延損害金の計算方法

遅延損害金の額は、次の計算式によって求めることができます。

滞納額(元金)×遅延損害金利率÷365日×滞納日数=遅延損害金
(閏年は366日で計算します。)

借入残高の全額ではなく、あくまでも滞納した金額(元金)にのみ遅延損害金がかかることにご注意ください。

滞納していない部分は、まだ「遅延」していないので、遅延損害金ではなく通常の利息がかかります。
もっとも、後述のとおり、期限の利益を喪失した場合は借入残高の全額について返済義務が生じますので、借入残高の全額に遅延損害金がかかります。

どのようなケースでもこの計算式が適用されますが、分かりやすいように、いくつかのケースごとにポイントを解説していきます。

(1)消費者金融や銀行カードローンの借金の場合

先ほどもご説明したように、遅延損害金の利率が消費者金融では年20%程度、銀行カードローンでは年14.6%程度とされているのが一般的です。

ここでは、借入残高100万円、毎月の返済額が2万5,000円(うち元金部分は1万円)だとして、1ヶ月(30日)滞納した場合にかかる遅延損害金の額を計算してみます。

  • 年20%の場合:164円

1万円×0.2÷365日×30日=164円

  • 年18%の場合:148円

1万円×0.18÷365日×30日=148円

微々たる金額のようですが、滞納した翌月は通常の返済分2万5,000円に加え、「滞納した2万5,000円+遅延損害金」を支払わなければならず、返済は厳しくなります。

(2)クレジットカードでのショッピングの場合

クレジットカードでのショッピングにおける遅延損害金の利率は、年14.6%とされているのが一般的です。

カードショッピングには利息制限法ではなく消費者契約法が適用され、同法では遅延損害金の上限利率が年14.6%と定められています。

多くのカード会社は、この上限利率を適用しているのです。

仮に滞納額のうち元金部分が1万円で、遅延損害金の利率が年14.6%だとして、1ヶ月(30日)滞納した場合は、以下の計算式により遅延損害金は120円となります。

1万円×0.146÷365日×30日=120円

クレジットカードのキャッシングについては、利息制限法が適用されるため、多くのカード会社が遅延損害金の利率を年20%程度としていることにご注意ください。

(3)住宅ローンの場合

住宅ローンの利息は消費者金融からの借り入れやカードキャッシングよりも相当に低くなります。

ですが、利息制限法の適用により、遅延損害金の利率は年14.6%程度とされていることが一般的です。

住宅ローンの場合は元金が大きいことが多いため、遅延損害金も高額となりがちであることに注意が必要です。

ローン残高3,000万円、毎月の返済額が10万円(うち元金部分は5万円)だとして、1ヶ月(30日)滞納した場合は、以下の計算式により遅延損害金は600円となります。

5万円×0.146÷365日×30日=600円

(4)個人からの借金の場合

個人からの借金の場合は前記「1」(3)でご説明したように、貸金業者からの借金の場合とは遅延損害金の上限利率が異なることに注意が必要です。

ここでは、個人から10万円を無利息で借り入れ、毎月1万円ずつ返済していくこととし、遅延損害金については年26.28%と定めていたとします。

以上のような場合に1ヶ月(30日)滞納すると、以下の計算式により遅延損害金は216円です。

1万円×0.2628÷365日×30日=216円

契約で遅延損害金を定めていない場合でも、貸主は民事法定利率の年3%(民法第404条2項)で計算した遅延損害金を請求できます。

上記のケースにおいて年3%で計算すると、遅延損害金は25円となります。

1万円×0.03÷365日×30日=25円

(5)一括返済を請求されている場合

金融機関からの借金の場合、一般的に滞納を2~3ヶ月続けると一括返済を請求されます。

債権者から一括返済を請求されている場合には、借入残高の全額に対して遅延損害金がかかるようになります。

消費者金融からの借入残高100万円を滞納して一括返済の請求を受けた場合、遅延損害金の利率が年20%だとすると、遅延損害金は滞納期間に応じて以下のとおりです。

  • 1ヶ月(30日)滞納したとき

100万円×0.2÷365日×30日=1万6,438円

  • 6ヶ月(180日)滞納したとき

100万円×0.2÷365日×180日=9万8,630円

  • 1年(365日)滞納したとき

100万円×0.2÷365日×365日=20万円

遅延損害金が発生しても、早期に滞納を解消すれば微々たる負担で済みます。

しかし、滞納を続けるとこのように高額の遅延損害金が発生してしまうので、注意が必要です。

3、遅延損害金を支払わないとどうなる?

遅延損害金を支払わなければ、返済額がどんどん増えていくだけでなく、以下のようなデメリットを受けることになります。

(1)信用情報機関に事故情報が登録される

貸金業者からの借金を滞納してから2~3ヶ月が経過すると、信用情報機関に事故情報が登録されます。

いわゆる「ブラックリスト」に登録された状態となり、新たな借り入れやクレジットカードの利用ができなくなります。事故情報は滞納の解消から5年で削除され、その後は再び借り入れやクレジットカードの利用が可能です。

しかし、滞納を解消するか、債務整理で借金を処理しない限り、「滞納」の状態が続きます。いつまでも、借り入れやクレジットカードの利用ができないことに注意が必要です。

(2)裁判を起こされる

債権者は、貸したお金を回収しなければならないので、やがて裁判を起こしてきます。

裁判を起こす時期は貸金業者によって異なりますが、滞納を始めてから3~6か月が経過すると、裁判を起こされる可能性が高くなるでしょう。

裁判を起こされても無視していると、債権者が裁判で請求したとおりの内容で判決が下されます。

ほとんどの貸金業者は裁判の中で分割払いの和解協議に応じてくれますので、支払えないと思っても答弁書を提出し、裁判期日に出頭して和解を提案することが大切です。

(3)財産を差し押さえられる

裁判で判決を言い渡された場合も、裁判上の和解が成立した場合も、その内容のとおりに返済できない場合は強制執行を申し立てられ、財産を差し押さえられます。

差し押さえられるのは主に給料や預金口座ですが、それでも債権者が借金を回収しきれない場合には、他の財産が差し押さえられることもあります。

不動産・自動車・株式などの有価証券・生命保険など、換金価値のある財産は、すべて差押えの対象です。

4、遅延損害金を支払えないときの対処法

以上のデメリットを回避するためには、早期に対処する必要があります。

とはいえ、遅延損害金を支払えないときにはどのように対処すればよいのでしょうか。

(1)滞納する前に借入先に相談する

まずは、返済が遅れることが分かった時点で、正直に借入先に相談することが考えられます。

事前に相談すれば、借入先も返済方法を柔軟に変更してくれる可能性があるからです。

当面の返済の負担を軽減してもらうことができれば、滞納による遅延損害金の発生を回避することができるでしょう。

(2)遅延損害金の減免を交渉する

遅延損害金が発生した後でも、誠意を持って借入先に相談すれば、遅延損害金の減免の交渉が可能な場合があります。

貸金業者からの借金の場合、単に「払えません」というだけでは減免に応じてもらえません。

しかし、失業や病気、事故などのやむを得ない事情がある場合には特別に配慮してもらえることもあります。

誠実に支払う意思を示すことで、裁判や差押えを回避することにもつながります。

(3)時効が成立していないか確認する

借金(遅延損害金含む)にも時効があるので、滞納を長期間続けている場合は時効が成立していないかを確認しましょう。

貸金業者からの借金は、最後の取引(通常は返済)から5年で消滅時効にかかるのです。

個人からの借金については、

  • 2020年3月までに借りた場合…10年
  • 2020年4月以降に借りた場合…5年

が消滅時効期間となります。

時効が成立している場合は、債権者宛に内容証明郵便で「時効援用通知」を送付します。

この通知書が債権者に届くと、借金が確定的に消滅します。

時効援用通知について詳しくは、こちらの記事をご参照ください。

(4)債務整理を検討する

借金と遅延損害金の支払い義務を回避できず、どうしても支払えない場合は、放置せず債務整理を検討しましょう。

債務整理には、主に以下の3つの方法があります。

  • 任意整理
  • 個人再生
  • 自己破産

それぞれ特徴が異なる手続きですので、状況に応じて適した手続きを選択することが重要です。

債務整理には一定のデメリットもあります。

借金と遅延損害金を放置することによるデメリットの方が大きいので、早めに最適な方法を選択して解決を図りましょう。

債務整理の内容について、詳しくはこちらの記事で解説していますので、ぜひご覧ください。

5、遅延損害金は高利率!返済が苦しいときは弁護士に相談を

遅延損害金は利率が高いので、滞納を続けていると高額化していき、返済が難しくなっていきます。

放置していると事故情報の登録や財産の差押えなどの重大なデメリットが生じてしまいますので、早めに弁護士に相談しましょう。弁護士に事情を話せば、状況に応じて最適な解決方法を提案してもらえます。依頼すれば債務整理の複雑な手続きはすべて代行してもらえますので、借金問題の解決が容易になります。

遅延損害金が発生しても解決は可能ですので、返済が苦しいときは弁護士に相談しましょう。

まとめ

遅延損害金の計算方法は少し複雑ですが、

  • 借金の返済が遅れると通常の利息よりも高い遅延損害金がかかること
  • 遅延損害金を放置していると重大なデメリットが生じること

は覚えておきましょう。

返済が苦しくなったとき、早期に対処すれば遅延損害金の発生を回避できることもあります。支払えないほどに遅延損害金が膨らんだ場合でも、債務整理によって借金問題を解決することができます。

放置しいていても何も解決しませんので、お困りの際は弁護士の無料相談を利用してみてはいかがでしょうか。

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