借金で苦しんでいるので債務整理をしたいが、費用はなるべく安く抑えたいという方へ。
今回は、
- 債務整理でかかる費用項目
- 費用を抑えながらベストな結果を得る方法
債務整理にかかる費用、さらに費用のおさえ方を徹底解説いたします。
※本記事は2017年7月26日に公開したものを2020年5月20日に加筆修正しました。
1、まずは債務整理でかかる費用項目からチェック
(1)手続き自体にかかる費用
債務整理のうち、個人再生と自己破産については法的整理手続きです。そのため、一律で以下の費用が必要となります。
なお、任意整理は私的整理手続き(裁判所が関与しない手続き)であるため、弁護士や司法書士に支払う費用以外に、手続き自体にかかる費用はありません。
①個人再生
- 印紙代 10,000円
- 官報掲載費 約14,000円(東京地裁の場合)
- 予納郵券代 裁判所によって異なる
- 個人再生委員への報酬 申立代理人が弁護士である場合は約15万円、申立代理人が司法書士である場合や本人自ら申し立てる場合は約25万円(東京地裁の場合。東京地裁以外の裁判所では、弁護士が代理人となっている場合は再生委員が選任されない場合が多く、その場合この費用は発生しません)
②自己破産
- 印紙代 1,500円(東京地裁の場合)
- 官報掲載費 約10,000円〜16,000円(東京地裁の場合)
- 予納郵券代 4,200円(東京地裁の少額管財の場合。債権者の数に応じて加算されます)
- 引継予納金 同時廃止:不要 少額管財:約20万円
(2)専門家へ依頼した場合の報酬
債務整理を依頼できる専門家は、
- 司法書士
- 弁護士
のいずれかです。
同じ士業でも、行政書士や社会保険労務士、税理士には依頼することはできません。
司法書士と弁護士以外の者が債務整理事務を受任することは、法律で禁じられています。
では、司法書士、弁護士に依頼した場合の報酬内訳を以下見ていきましょう。
①司法書士へ依頼した場合
【各債務整理共通】
- 相談料
30分 5,000円
相談時に支払う料金です。
- 日当
半日2万円、1日4万円程度
多くのケースでは案件が終了した時に支払います。
- 実費
依頼中にかかる郵送費や交通費など、手続きやその準備にかかる実費が必要になります。
多くのケースでは案件が終了した時に支払います。
【任意整理の場合】
- 着手金
(債権者1社につき)2〜4万円
依頼時に支払う料金です。
- 報酬金
減額できた額(引き直し計算によって減額した額を除く)の10%以下
多くの場合、案件が終了した時に支払います。
【個人再生の場合】
多くの場合、着手金と報酬金を合わせての請求であり、20〜35万円が相場です。
依頼時に支払うことが大半でしょう。
【自己破産の場合】
多くの場合、着手金と報酬金を合わせての請求であり、20〜30万円が相場です。
依頼時に支払うことが大半でしょう。
②弁護士へ依頼した場合
【各債務整理共通】
- 相談料
30分 5,000円〜10,000円
相談時に支払う料金です。
- 日当
半日3万円、1日5万円程度
多くのケースでは案件が終了した時に支払います。
- 実費
依頼中にかかる郵送費や交通費など、手続きやその準備にかかる実費が必要になります。
多くのケースでは案件が終了した時に支払います。
【任意整理の場合】
- 着手金
(債権者1社につき)2〜5万円
依頼時に支払う料金です。
- 報酬金
減額できた額の5〜10%
多くの場合、案件が終了した時に支払います。
【個人再生の場合】
多くの場合、着手金と報酬金を合わせての請求であり、30〜50万円が相場です。
依頼時に支払うことが大半でしょう。
【自己破産の場合】
多くの場合、着手金と報酬金を合わせての請求であり、20〜40万円が相場です。
依頼時に支払うことが大半でしょう。
2、費用削減のため債務整理を自分で手続きすることはできる?
どの手続きも、専門家へ依頼しないで個人で手続きをすることは可能です。
しかし、当然ながら、事務手続きをすべて自身で対応しなければなりません。
具体的に、次のような大変さがのしかかります。
(1)時間がとられる
当然ながら、債務整理手続きにかなりの時間がとられます。
任意整理では債権者との交渉、その他の法的整理手続きでは裁判所への提出書類の準備から提出、その後の対応までです。
(2)法律知識が必要
債務整理では、どれくらい減額してもらうかについて、法的根拠をもって臨みます。
たとえば任意整理であれば、まずは利息制限法に従った過払い金の計算をし、これを超過した利息分を差し引いた額での調整を図ったり、個人再生であれば、細かい法の定めに従って再生計画を立てていかなければなりません。
自己破産においても知識が必要なことは然りです。
手引書があったとしても、細かな点で、
- これでいいのか?
- 債権者や裁判所から何を聞かれているのか?
と手探りで手続きしていくことが想定されます。
(3)形式的なミスの可能性
申告しなければならないこととしなくてもいいことが不明確なまま手続きを進めてしまうなど、形式的な判断におけるミスが発生し、結果的に思うような減額が実現できないということになりかねません。
(4)どの債務整理手続きにするかの決断は専門的
任意整理にするか、個人再生にするか。または自己破産をとるのか。
この選択は非常に専門的です。
債務状況をすべて整理し、どの方法が最良なのかを判断しなければなりません。
「債務は一切残したくないから破産」「自宅は残したいから個人再生」というような単純な決定をしてしまうと、大きな費用対効果を得られない可能性が出てきます。
3、できるだけ費用負担を少なく債務整理を専門家へ依頼する方法
結論的には、債務整理手続きを個人で対応することはレアケースであり、やはり専門家へ依頼することが一般的です。
とはいっても依頼にかかる費用はどうするの?と思われる方。
ご心配無用です。
司法書士、弁護士ともに、依頼費用を気にせず相談できるシステムをとっています。
ここでは、できるだけ負担を少なく依頼する方法について紹介していきます。
(1)司法書士へ依頼する?
上述したように、専門家への依頼費用としては、弁護士よりも司法書士への依頼の方が安価であることが多いです。
そのため、司法書士を検討するのも1つの案となります。
ただし、司法書士は、業務の制限があります。
大きくは、債務が140万円以上の案件が受けることができないこと。
その他、司法書士は地方裁判所での手続きの代理はできない(そのため、自己破産や個人再生は書類の作成しか依頼できません)等、弁護士に比べると引き受けることのできる業務の内容に一定の制限があるので、本人が行わなければならない作業が多くなるため注意が必要です。
(2)法テラスを活用する
法テラスとは、正式名称を日本司法支援センターといい、法務省管轄の準独立行政法人です。
法テラスの「テラス」には、「法で社会を明るく照らす」という意味や、「陽当たりの良いテラスのように利用者が安心できる場所にする」といった思いが込められており、弁護士や司法書士のサービスをより身近に受けられるようにするための支援を行う組織です。
法テラスでは、「民事法律扶助制度」というものを利用することにより、弁護士や司法書士に依頼する場合に発生する費用を立て替えてもらうことができます。
立て替えてもらった費用は、利用者が月々の分割で法テラスに返済することになります。
無理のない返済計画を相談することが可能です。
(3)弁護士費用等の分割払い(後払い)
法テラスを利用しなくても、弁護士費用や司法書士費用の分割払い(後払い)の制度を設けている事務所もあります。
全ての事務所が分割払いや後払いに応じているわけではありませんが、以前に比べると増えてきているといえます。
事務所のホームページに記載しているところもありますし、ホームページには記載していなくても事案によっては分割払いを認めてくれる事務所もあるので、相談時に遠慮せずに聞いてみることが大切です。
(4)相談料・着手金が無料の事務所を探す
前述しましたが、最近は、債務整理については相談料・着手金が無料、という事務所も増えてきています。
特に過払い金が見込める事案においては、返還を受けた過払い金から弁護士費用や司法書士費用を支払う契約とすることで、依頼時には費用を支払う必要がない事務所もあります。
なお、弁護士や司法書士の多い地域の方が競争もあることから、費用の面で融通の利く事務所が多いともいえます。
まずは相談から!です。
まとめ
債務整理をしたいと考えている方は、借金で苦しんでいるのですから、費用がいくらかかるかが心配になるのは無理もありません。
しかも、お金がなくて債務整理をするのに、専門家に依頼したら費用がかかるというのは一見酷な話に聞こえます。
しかし、大切なのはコストパフォーマンス。
費用をおさえることを中心に行うことで、時間というお金と同じく大切なものを失い、また求めていた結果を得られないということになれば、元も子もないわけです。
近年、専門家の選定において報酬が安いということで依頼したところ、
- 弁護士にほとんど会わせてもらえず事務員しか対応してくれない
- 聞いていなかった追加料金が発生した
- 手続きに1年以上かかったが、後から普通なら数ヶ月程度で終わるはずだったことが判明した等という不満を聞くことも少なくありません。
要するに、単に費用の面だけで依頼する専門家を選ぶことは適切ではないということです。
債務整理に詳しくベストな結果を期待できる弁護士の探し方は、こちらの記事をご覧ください。