嫁(妻)の実家への帰省に対して憂鬱に感じたことはありませんか?
特に「嫁姑問題」がメディアで頻繁に取り上げられる中、実際に夫が義両親との関係で悩むケースは少なくありません。
この記事では、Aさんの事例を通じて、嫁(妻)の実家との修羅場になった経験から学ぶ解決策と参考となるアプローチを紹介します。
1、嫁(妻)の実家に帰りたくない夫の内心
ひと昔前なら、結婚したら夫の両親と同居するのが当たり前でした。
しかし今は、夫ではなくお嫁さん(妻)の実家の近くに住んで頻繁に行き来するようになったり、子どもが生まれてからはその関係性がさらに濃厚になり、頼るのはお嫁さん(妻)の実家だったりするケースが増えています。
(1)自分だけ他人で居心地が悪い
Aさんは、ご自身のご両親との関係はあっさりしたもの。
用事がなければ連絡もせず、独立してからはお正月とお盆に帰省するくらいです。
でもお嫁さん(妻)は、特に母親との関係はまるで親友かのように濃厚。
義両親も、娘やその娘が産んだ孫が、息子の孫以上に可愛い存在に感じるよう。
「嫁の実家に行くと義両親と嫁、子どもは楽しそうにしているのに、自分だけ他人で、義両親にも邪魔者扱いされているような気もしてきて、会話もないし居心地が悪いんです。それでも気遣っているつもりでいるのに、帰りには『態度が悪い』と嫁に怒られ、帰省の時期になるたび憂鬱になっていきました。」
そう語るAさんは、この状態が続くなら離婚したいとまで考えています。
(2)実家に頼りすぎる嫁が嫌だ
つわりで苦しんでいる時、子どもがまだ幼く手がかかる時や熱を出して大変な時、親の助けはありがたいものです。
でも、夫からすると、お嫁さん(妻)が用事がないのにご飯だけ食べに帰ったり、実家に甘えているようなことは、独立して家庭を持つ身としてどうなのか?と思わざるを得なくなります。
「嫁が実家に頼れば頼るほど、私は義両親に頭が上がらず、気を良くした義両親の介入はますます増えてきました。」
そういうAさんは、自分たち夫婦と子どもだけで仲良く協力しあって生活していきたいという希望を持っています。
(3)嫁はなぜ実家に入り浸りたがるのか
今度は逆に、なぜ実家に入り浸りたがるのか、お嫁さん(妻)の立場からも見てみましょう。
お嫁さん(妻)にとっては頼れる親がいると楽だから、そんな存在が近くにいたらどうしても甘えてしまうのは当然かもしれません。
夫の帰りが遅く、平日はワンオペ育児、まだうまく話せない子どもと二人きりで過ごす時間はとても長く、子どものことは可愛くても孤独を感じてしまいます。
しかし、夫の両親はお嫁さん(妻)にとっては他人で、出来ないところを見せたり、何か言われるのは嫌だと感じる。
そこに、自分のことを理解して、ご飯や掃除、子どもの面倒を見てと、甘えさせてくれる両親がいたら・・・そちらに帰りたくなってしまうのはうなづけることでしょう。
お嫁さん(妻)にとってこの状態は当然の結果であり、子どもの頃から頼ってきた両親ですから、自分が実家に頼っている、甘えているといった意識はない可能性があります。
さらに、沢山お世話になっている大切な両親に対して、夫に不愛想な態度を取られたら、「態度が悪い」と言いたくもなるかもしれません。
夫が離婚したいほど悩んでいるなんて考えたこともないのでしょう。
2、離婚を言い出す前に|実家に頼る嫁(妻)の気持ちを聞く
このように、Aさんの心情や、実家に頼るお嫁さん(妻)の両方からの観点を考えてみると、2人はすれ違いが起きているかもしれないと分かってきます。
Aさんが突然「離婚したい」と言い出しても理解されないのではないでしょうか。
さらに、子どもの存在があれば、Aさん自身も離婚することが最善策でないことは理解しています。
それは最終手段として、それ以外でなんとかできないか、ここからはいくつか方法をご紹介していきます。
(1)嫁の性格を考える
友人の奥さまなど、誰にも頼らず育児をしている話を聞いたりすると、なぜ自分のお嫁さん(妻)は実家に入り浸っているんだろう・・・と考えてしまうかもしれません。
さして近所じゃないのに月の半分は行っている、などであれば、環境の一言では済まされません。
実家を頼るお嫁さんの中には、寂しがり屋さんの性格である方が多いかもしれません。
でも、あなたに頼ることができない。
それは、あなたの仕事を優先させているからである場合が多いでしょう。
あなたは仕事をして稼ぐ。
自分は日々の世話をする役目ではあるけれど、1人で向き合うことは寂しく、また孤独に耐える意味も感じず、どうせなら親も喜ばせながら楽しく育児をしようと合理的に考えている可能性があります。
そうだとすれば、お嫁さん(妻)に寂しい思いをさせない工夫が必要です。
仕事が休日のときは積極的にどこかへ出かける予定を組んでみたり、あなたが取り得る範囲でお嫁さん(妻)が望むスタイルを取ることです。
あなたから家庭に興味を示す態度を取らなければ、お嫁さん(妻)は育児しか見えていない状態ですから、あなたを働き蜂のようにみてしまう日も遠くありません。
(2)正直な気持ちを話してみよう
そして、自分の思っていることを正直にお嫁さん(妻)へ話してみましょう。
ご自身の中では当たり前と思っていることが、相手にも当たり前とは限りません。
義両親から邪魔者扱いされているようで心苦しいこと、行きたくない気持ちが出てきていることなど、本音を伝えることがスタートになります。
お嫁さん(妻)にとって大切な存在だと分かっている両親の悪口を言うようで、気が進まないかもしれませんが、これらの本音を隠して「両親に頼るな」、「用事もないのに帰るな」だけ伝えてしまったら、お嫁さん(妻)との関係悪化は目に見えています。
Aさんの本音を知って、お嫁さん(妻)は驚くかもしれません。
それでも、これがスタートになります。
本音を伝えた後なら、お嫁さん(妻)も本音を話してくれるかもしれません。
家事をもっとやってほしいとか、孤独なこととか、Aさんにとっても驚く話が出てくることがあるでしょう。
そんな本音の話ができたら、今後どうしていきたいかという話ができるようになります。
この話ができたら、初めて夫婦が力を合わせて家庭を築き上げる第一歩になるのではないでしょうか。
しかしもちろん、本音を伝えたからといって、必ずしもうまくいくとは限りません。
冷静に伝えるつもりが、喧嘩になってしまったり、伝えたからこそ今まで夫婦仲はそれなりに良かったはずが、お嫁さん(妻)が義両親の味方についてしまい、亀裂が入ってしまう可能性もあります。
でも、それを怖がって、またそんな結末を見透かしてなにもしないのは、実は逃げている可能性も。
まずは、勇気を出して伝えてみることが大切です。
(3)一緒に行かない回数をふやす
本音を伝えた後は、希望を伝えやすくなります。
一切行かなくなるのも印象を悪くしてしまいますから、数回に1回だけ行くとか、連泊予定の場合は初日だけは行って、あとは仕事を理由に一人だけ帰ってくるなど、取れる方法は色々あります。
本音を知っているお嫁さん(妻)なら、両親にうまく伝えて協力してくれるようになるでしょう。
行くことは避けられなくても、その態度について愚痴を言われなくなるなど、Aさんのストレスは大幅に軽減していくこともあります。
(4)実家の近くに住んでいたら引越す
近くに住んでいるからこそ頼りやすいということもあります。
もしお嫁さん(妻)の実家近くに住んでいたら、引越してしまうことも一つの方法です。
簡単に行き来できない状況を作ってしまえば、頼りにくいからです。
その分、家事や育児に対して以前より率先してやっていく必要があります。
簡単に頼れる存在を失うお嫁さん(妻)の負担は大きいものです。
義両親がやってあげていたこと以上にAさんがやる心づもりでいなければ、今度はお嫁さん(妻)の不満がたまってしまいます。
3、それでも改善しないなら離婚もアリ?
以上、離婚を切り出す前にやっておきたいことを4つご紹介しました。
話し合いと協力が出来るようになり、以前より義両親との関係も改善されるようになれば幸いです。
しかし、色々試しても改善されずダメだった。
そもそも本音を話した時点で理解されず、喧嘩したままお互い譲り合わないといった事態も想定されます。
結婚したら、お互いの両親や親せきなどの関係が増えます。
そのお付き合いはずっと消えないものなので、どうしても許せない、となると離婚を考えるという選択肢も出てくるでしょう。
結婚するときは婚姻届を提出するだけで家族になれましたが、離婚するとなると、お互いの同意や財産、子どものことなど、簡単にはいきません。
(1)弁護士に相談してみよう
離婚したい理由が、お嫁さん(妻)側の不倫やDVといった明らかな理由があれば、相手の同意も得やすく成立しやすいものが、お嫁さん(妻)の実家問題を契機にもめる場合は、お嫁さん(妻)の同意なしで「離婚したい」と言っても離婚することはできません。
お嫁さん(妻)の同意を得て円滑に進めるためにも、離婚問題が得意な弁護士に相談することをおすすめします。
(2)嫁の同意を得るために
お嫁さん(妻)が離婚に同意してくれない場合、その理由は様々あります。
そもそも、義両親が原因で離婚したいと思っているAさんのことが理解できないでいるかもしれません。
- 夫の離婚理由が理解できず、その内諦めてくれることを期待している
- 両親は頼りたいが、夫への愛情もしっかりあり、離婚したくない
- 子どもを育てていくための父親の存在、経済的問題のために離婚したくない
- 不仲でもなく、離婚してしまったら両親や周りの目が気になり離婚したくない
- 私が(夫が)もっと頑張ればこれは問題にならない。やり直せると考えている
以上はほんの一部ですが、お嫁さん(妻)側の同意できない理由の例です。
例えば経済的な理由がある場合は、財産分与や子どもの養育費についてなど、不安が無くなるよう話していきます。
弁護士と相談しながら説得・交渉を進めましょう。
(3)それでも妻の同意を得られなかったら
お嫁さん(妻)の同意を得られなくても離婚することは可能な場合があります。
離婚には3種類あり、同意を得られた場合は「協議離婚」、得られなくても調停離婚、裁判離婚という段階があります。
調停離婚は離婚の条件を双方で話し合うなど、条件を加えた上で同意が必要になります。
裁判離婚では、同意は必要ありませんが、民法で定められた法定離婚事由に該当する必要があります。
しかし、義両親が理由で夫婦関係自体が破綻していない場合、裁判離婚での離婚は難しいと考えられますので、弁護士との相談は欠かせないでしょう。
まとめ
いかがでしたか?
お嫁さん(妻)のことは好きになって結婚した相手だったとしても、その両親と仲良くなれるか、または自身の両親との付き合い方のギャップなど、結婚して初めてわかる両者の違いもあります。
離婚するかしないか、どちらにしても、一人で悩んで結論を出すことはしないで、まずはお互いによく話し合い、理解することを大事にしてください。
またその際は、冷静に落ち着いて話し合いを行いましょう。