チェックリストでデート商法を見抜け!見分け方と5つの対処法を弁護士が解説

チェックリストでデート商法を見抜け!見分け方と5つの対処法を弁護士が解説

デート商法は別名「恋人商法」ともいわれ、異性への恋愛感情を利用して商品やサービスの契約を迫る商法を指します。

そこで今回は、

  • デート商法の被害例
  • デート商法の特徴チェックリストと見分けるコツ
  • デート商法の被害にあってしまったときの対処法

について、具体例もまじえながらご紹介していきます。

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1、デート商法の被害例

デート商法では、具体的にどのような商品やサービスに勧誘されることが多いのでしょうか。
主な被害例をまとめてご紹介していきます。

(1)絵画などのアート作品

アート作品は素人の目ではパッと見の価値が分かりにくいこともあり、「これは今では滅多に手に入らない作家の作品」「本当に特別な作品だから、私の好きな人の家に飾ってほしいとずっと思っていた」と言われてしまうと、「そうなのかも」と流されてしまうケースも珍しくないでしょう。
被害額も数十万~数百万円と高額になりがちです。

(2)ゴルフクラブ

仲良くなった女性から「今度私の働いているお店に遊びに来てください」と言われ、足を運んでみるとゴルフ用品を扱う専門店で、「週末一緒にラウンドを回りませんか?」と言葉巧みに高級なゴルフクラブを買わされてしまったという例もあります。
好きな女性の手前、少し見栄を張りたい男心を見透かした手口です。

(3)宝石

アート作品と並んで昔からよくあるのが、指輪やネックレスなどの宝飾品の販売です。
中には「これ、実は俺がデザインしたものなんだけど…」というように、自分の仕事であることをアピールして興味を引くパターンもあります。

(4)不動産・マンション投資

最近急増しているのが不動産の販売や投資用マンションの勧誘で、金額も数千万円とケタ違いになることから、被害のダメージがより深刻化しています。

その背景には、デート商法の最初のアプローチが婚活サイト・アプリを通して行われるようになってきたという点があり、「いずれは結婚するのだから」「2人の将来のために、今からきちんと備えておこう」という流れに乗せられると、高額な投資でもつい思い切って契約してしまいがちでしょう。

不動産投資では、過去に、銀行の行員がデート商法の片棒を担いでいたという事件も報告されています。

被害者は都内在住の20代女性で、婚活サイトにて知り合った男性から仕事仲間だという別の男性(A氏)を紹介されました。

A氏は女性の悩みにも親身に相談に乗り、2人は次第に仲を深めていきますが、あるとき女性はA氏から不動産投資をすすめられ、その場に銀行の行員も同席していたことから、信頼できる話だと思い流れで融資の契約を行ってしまったのです。

結果からいうとこの行員はA氏とグルであり、融資の内容にも様々な不審点があったことから、女性は銀行とA氏を提訴。

たとえ信頼できる職業の第三者が間に入っていたとしても、契約は慎重に行うべきであるという教訓を得ることができます。

2、デート商法の特徴チェックリストと見分けるコツ

ここからは、デート商法のさらに詳しい特徴とその見分け方についてポイントを押さえていきましょう。

(1)デート商法の特徴チェックリスト

デート商法を仕掛ける人物には、共通するいくつかの特徴があります。
主な具体例をまとめてみましたので、「おかしいな」と思ったときのチェックリストとしてぜひご活用ください。

  • イケメンや美女で容姿が端麗
  • 異性に近づくときには販売員の身分を隠している
  • アプローチが積極的
  • 職場や学校の先輩という言い方ではなく「お世話になっている人がいる」という話をする
  • 「お世話になっている人」がいるイベントに連れて行こうとする
  • 知り合いの店/自分の店に連れて行こうとする
  • プライベートな話をすることで仲を深め、感情移入させる
  • 会話やデートを繰り返した後、商品をねだる
  • 高価なものを買わせようとする
  • クーリングオフされないよう商品購入後もしばらく連絡を取る
  • 最後は自然消滅する
  • 一度騙されると何度も狙われる

(2)怪しいと思った時の見分けるコツ

上記のリストに当てはまるものが多い、直接当てはまるものは少ないものの不審な点があるなど、「怪しい」と感じたときには次のアクションを起こしてみるのがおすすめです。

  • デート当日に待ち合わせ場所の変更を提案してみる
  • 指定された喫茶店やファミレスに行くことを拒否してみる
  • 電話の場合は後ろの声に注意する

多くの場合、デート商法には当日の段取りがあるため、待ち合わせ場所や店の変更を頑なに嫌がる傾向があります。

特に当日になってからの急な変更には対応できず、詐欺師側もあの手この手で当初の計画通りのデートを行おうとしてくるはずなので、変更を提案したときの様子をしっかり観察しましょう。
また、デート商法は個人ではなくある程度の規模のグループで行われることが多いのも特徴のひとつです。
デートの約束を取り付けるときなど、相手の電話の後ろで不審な声がしないかどうかも、あわせて確認してください。

3、そもそも引っかからないようにするためには?

デート商法をアプローチの段階からきっちり回避するためには、次のポイントに気を付けることが重要です。

  • その場の雰囲気に惑わされず、不要なものはきっぱりと断わる
  • ネットで出会った人と実際に会う場合には特に注意する
  • 街頭アンケートは拒否・無視する
  • アンケートに協力しても個人情報は記入しない
  • 知らない番号からの電話には出ない
  • 電話に出てしまったら、お店に誘われても絶対に断る

デートの相手だけでなく、相手の上司や恩人などの第三者からも営業をかけられた場合には、ついその場の空気に流されそうになってしまうこともあるかもしれませんが、そんなときには「ひとまず今日は帰ります」と言って一旦退席してしまうのも良い対処法です。

アンケートや婚活パーティーへの参加時に記入した電話番号へ知らない人から着信があった場合も、基本的には相手にせず、どこかへ誘われても断るというのが安全策となるでしょう。

4、デート商法の被害にあってしまったらどうすればよいか?

万が一みなさんがデート商法の被害者になってしまった場合には、次の方法で冷静に対応していきましょう。

(1)まずは相談窓口に相談する

何はともあれ、被害に気付いた段階で一刻も早く相談を行うことが第一です。

どの窓口に連絡する際にも、相手とのメールやLINEのやり取り、被害にあうまでの経緯は資料としてまとめておきましょう。

  • 各自治体の消費生活センター
  • 消費者ホットライン(局番なしの188)
  • 法テラス(0570-078374)
  • NPO法人の相談窓口(例:http://npo-yotuba.com/soudan.html

(2)クーリングオフ

商品購入日やサービスの契約日から(当日を含め)8日間以内であれば、クーリングオフを利用することができます。

具体的には書面で業者に対して通知を行う必要があり、後々のトラブルを避けるためにも送付には内容証明郵便を使用するのがおすすめです。

内容証明郵便は、どのような書面をいつ・誰が・誰に送ったのかということを郵便局が証明してくれる郵便のことで、クーリングオフに応じたくない業者が「そんな通知は受け取っていない」と言い逃れするのを防ぐ効果があります。

その他、業者側による妨害が行われる可能性もゼロではありませんが、その場合もクーリングオフが法律で守られている消費者の権利であることに変わりはないので、諦めずに手続きを行いましょう。

内容証明とかわからない!という場合は、気軽に弁護士に相談してみましょう。良いアドバイスをくれると思います。

(3)クーリングオフ期間が過ぎても契約解除できる

クーリングオフには原則として8日以内という期間が定められていますが、この期間が過ぎても法令に反する次のようなケースでは契約を解除することができます。

契約解除はどうやってするの?など、不安がある場合は弁護士に相談してみましょう。

  • 業者が商品に関する事実を故意に伝えなかった場合
  • 商品の重要な部分に関して消費者側の勘違いがあった場合
  • 将来どうなるか分からないことに関して「確実に儲かる」と断定して勧誘した場合
  • 「契約するまで帰らせない」など、脅して商品を購入させた場合
  • 未成年者が親権者の同意なく契約を行った場合
  • 公序良俗に違反する場合(愛人契約・売春・暴利・賭博・ねずみ講など)

(4)信販会社とのクレジット契約の取り消しや既払い金の返還請求も可能なことがある

たとえば、購入した商品の代金を分割払いで支払う契約になっている場合など、販売元である業者とクレジット契約の信販会社、2社と同時に契約を結ぶケースがあります。

このような場合、クーリングオフがどこまで適用されるのか不安に感じている方もいらっしゃるかもしれませんが、元々の商品の契約解除が認められる場合は信販会社とのクレジット契約も取り消すことができ、すでに支払ってしまった分の代金も返還請求を行うことが可能です。

(5)被害者からの損害賠償を認める場合もある

過去の裁判では、市場価格よりはるかに高額で購入させられた投資用マンション費用とその処分費用との差額や、弁護士費用の損害賠償請求が認められた裁判例もあります。

  • 実際には交際の意思がないのに気があるように装っていた
  • 結婚歴・子どもの存在を隠して被害者に近づいていたこと
  • 会社の業務の一環であったこと

などから、会社と販売員の共同不法行為が認定された点が大きなポイントです。

5、2019年6月から、消費者契約法でデート商法が類型化

先ほどもご紹介しましたが、これまで法令(消費者契約法)によって契約解除が可能となるのは主に次の4つのパターンでした。

  • 不実告知:重要事項について事実と異なる告知を行い、消費者を誤認させる
  • 断定的判断の提供:不確実な内容に対して「確実に儲かる」などと断定して契約を迫る
  • 不利益事実の不告知:消費者にとって不利益となる事実を故意に告げない
  • 不退去:訪問販売で「買ってくれるまで帰らない」と粘る、店舗にて「契約するまで帰らせない」と脅す

実はデート商法はこの4つのパターンのどれにも当てはまらず、問題を解決するためには民法など他の法律に頼らなければならなかったのですが、2019年の6月に施行された消費者契約法の改正では、デート商法をはじめ「社会経験の乏しい消費者の不安をあおり、そこにつけ込んで商品を売りつける」という行為自体が不当な勧誘として類型化されたのです。

そのため、従来の要件を満たしていないケースでも、デート商法の被害に対してより柔軟に対応できるようになったといえます。

6、相談窓口で解決しない問題は弁護士へ相談を

自治体の消費生活センターや消費者ホットラインなどの窓口でも問題解決のためのアドバイスを得ることができますが、実際にクーリングオフを行う、損害賠償を請求するといった具体的な手続き面では、やはり弁護士に依頼するのが最もスムーズです。
特にクーリングオフには期限があり、ミスなく速やかに手続きを進めることが何よりも重要になります。

また、中にはご紹介した相談窓口では思うような回答を得られなかったり、「結局私はどうすれば良いの?」と悩みが堂々巡りになってしまったりすることもあるかもしれません。
そんなときこそ誰よりもみなさんの味方になってくれる弁護士に相談を行い、二人三脚で問題の解決を目指していきましょう。

まとめ

デート商法は異性に対する恋愛感情を利用した大変悪質な手口で、被害は金銭的な面だけでなく精神面にも大きな影響を及ぼします。
「自分の好意を踏みにじられた」という気持ちから自尊心が傷付き、家族や友人に相談することもできずに1人で悩みを抱え込んでしまう人も少なくありません。

今回はデート商法の現状からその特徴や見分け方、被害にあった際の対処法まで幅広くご紹介しましたが、もし「やっぱり自分は被害にあってしまったのかも…」と疑いを抱かれた場合には、なるべく早めに専門の窓口や弁護士に相談を行いましょう。

一定の要件を満たしていれば、クーリングオフ期間がすでに過ぎていても契約を解除できる可能性はまだ残されています。
今回ご案内した内容を参考に、ぜひみなさんも毅然とした態度でデート商法の問題解決に臨んでみてください。

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