会社から嫌がらせをされることにより退職に追い込まれるケースは少なくありません。
女性が妊娠した場合や、上司とそりが合わない場合などが考えられます。
本記事では、会社から退職に追い込まれている方に向けて
- 会社が従業員を退職に追い込むときによく使われる手法
- 会社から退職に追い込まれていた時の対処法
- 会社に不当な対応を是正してもらいたい場合の相談先
についてご紹介していきます。
会社から退職に追い込まれている場合には、泣き寝入りせずに、法的手段を検討しましょう。
目次
1、会社から退職に追い込まれる理由
会社が従業員を退職に追い込もうとするのは、従業員を解雇したいけれど解雇の正当な理由がないからです。
仮に人事権を持つ者であっても、正当な理由なく解雇すれば不当解雇となり問題になります。
そのため、あくまでも自主的に退職した、ということにしたいわけです。
それでは、なぜ会社は従業員を解雇したいのでしょうか。
その理由を探っていきましょう。
(1)嫌われる
上司や会社の経営者に嫌われて退職に追い込まれるというケースがあります。
部署異動により馬が合わない上司のいる部署へ配属された、というケースが典型的です。
逆に、もともと上司側が部下に好意的であったケースでも起こり得ます。
好意を抱いていたものの、期待と異なると失望して嫌悪の感情に変わることもあります。
当然ですが、このような身勝手な好意や嫌悪は、どちらも解雇の正当な理由にはなりません。
(2)妊娠
従業員が女性なら、妊娠を理由に退職に追い込まれるケースもあります。
もちろん、妊娠したからといって会社は従業員を解雇することはできません。
したがって、従業員が産休や育休を取得する間、予算の関係で新たな人員を雇用することが難しいケースなどでは、会社が従業員を退職に追い込もうとすることがあります。
(3)休職・病気・遅刻欠勤しがち
休職が多い、又は病気がちで遅刻欠勤が多い従業員も退職に追い込まれることがあります。
本来であれば、なぜ休職や遅刻欠勤をするのかについて、会社は従業員と真摯に向き合わなければいけません。
従業員の体調の問題、家族の問題、仕事に対する気持ちなど、共に話し合い、その従業員にとってどのような勤務体系、仕事内容が適切なのか、話し合うべきです。
仮に、何度もこのような話し合いを重ねても修正がきかず会社の業務に支障が生じる場合、解雇に正当な理由が認められる可能性が出てきます。
(4)新しい人材を入れたい
新しい人材を入れたいと会社が考えている場合にも、会社は従業員を退職に追い込もうとします。
新たに人を雇うためには人件費がかかりますから、なんらかの基準によって旧メンバーが退職に追い込まれることがあります。
(5)会社の期待に応えられていない
会社に雇用される以上なんらかの期待をされて入社しているはずです。
会社の期待が何かを理解していない、もしくは応えられていない場合も、会社は従業員を退職に追い込んでくる可能性があります。
2、従業員が退職に追い込まれるときによく使われる会社の手法
会社が従業員を退職に追い込むときに使われる手法も色々です。以下、みていきましょう。
(1)ハラスメント
上司がハラスメントをすることで部下を退職に追い込もうとすることがあります。
モラハラやパワハラが職場で多く利用される手段です。
怒鳴りつける、暴力を振るう、傷つける言葉を言い放つなど積極的な行為に限られず、無視、仕事を与えないなど消極的な行為もあります。
(2)実現不可能な仕事を命じられる
実現不可能な仕事を命じられることもあるでしょう。
絶対に実現不可能な仕事を押し付けて「できなかった」ことを理由に攻め立てて退職に追い込もうとします。
(3)理不尽な異動を命じられる
理不尽な異動を命じることで、従業員を退職に追い込もうとする場合もあります。
例えば、結婚したばかりの女性に遠方への異動を命じたり、マイホームを建てたばかりの従業員へ通勤上相当不便な地への異動を命じたりとやり方はさまざまです。
会社は従業員が働くことが苦痛になり自ら退職してくれることを願っています。
3、会社から退職に追い込まれていると感じたら
退職に追い込まれていると感じたら、会社を辞めるか、会社に残るか、を決断しましょう。
会社に残りたい場合、残ることができる可能性についてチェックしてみましょう。
(1)会社規模はどうか
退職に追い込まれそうな場合には、会社規模を考えてみましょう。
会社規模が大きければ、他の部署へ異動することで退職に追い込まれているという現状を回避することができる可能性があるからです。
他方、小規模会社の場合には、社長その他の重役職者から退職に追い込まれてしまえば、会社に残るという判断をすることが難しいかもしれません。
その会社には見切りをつけ転職したほうが、あなたの未来は明るいと思われます。
(2)人間関係はどうか
会社での人間関係が良好かどうかも重要なポイントです。
あなたにされている退職への追い込みを、他の従業員がどう見ているかです。
明らかに不当だ、おかしい、と他の従業員に賛同してもらえる状況であれば、味方になってくれる人と共に話を理解してくれそうな上司や人事部、労働組合等会社の内部関係者へ相談してみるのも1つです。
ただこのとき、あなたが望むべきは「あなたの会社での安全な環境」です。
決して不当な追い込みをした人を貶めることではありませんのでご注意ください。
(3)仕事で成果を残すことによる挽回は可能か
前述しましたが、会社の期待に応えていないと感じられているケースでは、会社の期待に応えることで状況が一変する可能性があります。
まずは「会社の期待」が何か、具体的に把握することから始めましょう。
なお、すでにパワハラの域に入っているあなた個人に対する無理難題は、本来の期待ではありません。
重要なのは、あなたの部署が今人材募集をするとしたら何を求めるのか、です。
会社の期待を具体的に理解できていたか、今一度考えてみると良いかもしれません。
4、会社に不当な退職についての対応を是正してもらいたい場合の相談先
会社に残る場合でも、転職する場合でも、会社に不当な対応を是正してもらいたい場合には、下記相談先に相談してみましょう。
(1)労働基準監督署
労働基準監督署に証拠を揃えて相談すれば、労働基準監督署が会社に調査や是正勧告をすることで、退職の追い込みから逃れることができるかもしれません。
もっとも、労働基準監督署は、労働基準法にのっとって全国の会社を監督する行政機関です。
そのため、「労働基準法違反」とは言えないトラブルについては、具体的な解決策を持たないので注意が必要です。
(2)労働組合
労働組合にも労働に関する相談に応じてもらえます。
また、組合に会社側と団体交渉をしてもらうことが可能です。
あなた以外にも不当な退職の追い込みを受けている従業員がいるなら、一緒に労働組合に相談することで会社側に非を認めさせ、会社の体制を変えていける可能性があるでしょう。
(3)労働局
労働局は、労働基準監督署の上層組織です。
各都道府県に存在し、無料で相談することができ、会社側と和解に向けて話し合いの斡旋をしてもらえます。
もっとも、会社側が話し合いに応じたとしても合意できなければ、結局問題は解決しません。
このように、労働局の和解斡旋には限界がありますが、自分一人ではどう対処してよいのかわからない場合には、利用してみても良いでしょう。
5、会社から退職に追い込まれた場合は弁護士へ相談を
不当な退職への追い込みは、法律上「不法行為」に該当する可能性があります。
不法行為をした相手に対しては、損害賠償を請求することができます。
このときの「損害」とは、精神的苦痛、そして退職に追い込まれたことにより働けなくなり喪失した賃金相当額です。
もっとも、会社側の行為が「不法行為」に該当すると認めてもらうためには、会社側が不当に退職に追い込んできたという「証拠」が必要です。
証拠とは、具体的には職場の人間の証言や、ハラスメントの録画や録音、メールの履歴などです。
これらを提出することができれば、会社に対する損害賠償請求が認められる可能性が出てきます。ただし、期待できる損害賠償の額と、弁護士費用との費用対効果を考慮する必要があるのでご注意ください。
まとめ
意味もなく他人から嫌われたりハラスメントをされたことは、すぐに忘れられるものではありません。
不当な退職への追い込みは、あなたのトラウマになってしまう可能性があります。
どうか1人で悩まず、弁護士に相談をしてください。
弁護士に相談するなんて自分には関係ない世界、という考えは大きな間違いです。
あなたの辛さを克服するためにも、そして同じような人を出さないためにも、誰かに相談することはとても大切なのです。