個人再生手続きの流れとは? 知っておくべき3つのポイントを解説

個人再生 流れ

個人再生の流れをご存知でしょうか?

「借金が膨らみすぎてこのままでは返済できない…」
「返済が厳しいがマイホームがあるから自己破産はしたくない…」
「パチンコに借金を使ったので自己破産できない…」

このような方におすすめの債務整理の方法が「個人再生」です。

個人再生では、裁判所での手続きを通じて借金を大幅に減額することが可能で、住宅ローンを支払い中のマイホームを残すこともできます。
ただ、個人再生は他の債務整理方法と比べても手続きが複雑で、どうしたらいいか分からないという方も多いと思います。
正確に手続きができないと個人再生が失敗してしまい、大幅な借金の減額という個人再生のメリットを受けられなくなります。

そこで今回は、

  • 個人再生の流れで知っておくべき重要な3つのポイント
  • 個人再生の具体的な流れ
  • もし個人再生後に返済が厳しくなったときの対処法

についてわかりやすく解説していきます。

個人再生の流れを掴んで、大切な我が家を守りつつ、借金を減額して3年で完済しましょう。
この記事が、あなたが借金を返済して悩みのない日々を取り戻すための助けになれば幸いです。

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1、個人再生手続きの流れにおける3つの重要ポイント

個人再生手続きの流れにおける3つの重要ポイント

まず、個人再生手続きの流れにおける3つの重要なポイントをご紹介します。

以下の3つのポイントは、他の債務整理にはない個人再生に特有の制度です。
これらのポイントを理解することで、個人再生手続きの特徴を把握していただけることでしょう。

(1)小規模個人再生OR給与所得者等再生を選択

個人再生には「小規模個人再生」と「給与所得者等再生」という2つの手続きがあります。
申し立てる際には、この2つのどちらかを選択することになります。

小規模個人再生と給与所得者等再生の違いをまとめると、次の表のようになります。

 

小規模個人再生

給与所得者等再生

対象となる人

主に個人事業主

主に会社員

収入の条件

収入の変動幅が大きくてもOK(継続的な収入は必要)

毎月の収入の変動が小さいこと(変動幅が20%以内であること)

返済総額

最低弁済額でOK

最低弁済額よりも高額となりがち

書面決議の要否

必要

不要

債権者の意見の取り扱い

不同意の意見が過半数だと再生計画案が不認可となる

裁判所が参考にするのみ

小規模個人再生には、債権者の意向によって成否が左右されるというデメリットがある反面、返済額を抑えやすいというメリットがあります。

一方、給与所得者等再生には、債権者の意向には基本的に左右されないというメリットがある反面、手続きが煩雑で返済額も大きくなりやすいというデメリットがあります。

ここでのポイントは、個人再生に債権者が反対するかどうかという「債権者の意向」です。
実際には、小規模個人再生でも債権者である貸金業者は反対意見を出してくることはめったにありません。

そのため、個人再生を申し立てる人の大半は小規模個人再生を選択しています。

なお、個人事業主でも毎月の収入の変動が小さい場合は給与所得者等再生を選択できますし、会社員などの給与所得者が小規模個人再生を選択することにも問題はありません。

(2)再生計画案を作成して認可を受ける

個人再生で借金を減額してもらうためには、裁判所へ再生計画案を提出して認可を受ける必要があります。

再生計画案とは、再生によって返済することとなる借金の総額や、債権者ごとの返済額、毎月の返済額など具体的な返済方法を記載した返済予定表のことです。

ただ、債務者が自由に自分の希望する返済方法を提案できるわけではありません。

民事再生法で定められた最低弁済額以上を返済することと、すべての債権者に対して平等な返済方法とすることが必要です。

例えば、借金総額が500万円の場合の最低弁済額は100万円ですが、この場合の再生計画案の一例を挙げると、次のようになります(実際の「再生計画案」よりは簡略化した表としています。)。

 

 

 

再生前の借金額

再生によって返済する額

毎月の返済額

(端数は初回または最終回に調整)

A社

300万円

60万円

16,670円

B社

150万円

30万円

8,340円

C社

50万円

10万円

2,780円

合計

500万円

100万円

27,790円

このような再生計画案を作成して裁判所へ提出し、認可を受けます。

小規模個人再生では書面決議が行われ、債権者の反対意見が過半数にならなければ可決され、裁判所の認可決定が出ます。

給与所得者等再生では債権者への意見聴取が行われ、裁判所が債権者の意見を参考にして認可の可否を判断します。もっとも、よほどのことがない限り、再生計画案は認可されます。

(3)個人再生委員との履行テスト(裁判所による)

個人再生を申し立てると、「個人再生委員」が選任され、「履行テスト」が行われることがあります。
個人再生委員とは、申立人を指導監督して、裁判所に様々な意見を述べることによって個人再生手続きが適切に行われるように裁判所をサポートする役割を担う人のことです。

東京地裁では、個人再生が申し立てられた全件で個人再生委員が選任されます。
なぜなら、東京地裁では個人再生の申立件数が非常に多いため、限られた裁判所の人員では全ての個人再生手続きを十分に管理することが難しいからです。
そのため、個人再生における裁判所の役割をサポートするために、地元の弁護士の中から個人再生委員が選任されます。

東京以外の地方では、弁護士が債務者の代理人に付いて申し立てた場合には個人再生委員が選任されず、裁判所が直接、手続きを管理するところも多くあります。

「履行テスト」とは、再生後の借金を本当に毎月返済していけるかどうかを試行する手続きのことです。

東京地裁の場合は、個人再生委員の口座に原則として再生計画で予定される毎月の返済額と同額を6ヶ月間、振り込みます。

振り込んだ金額のうち、15万円は個人再生委員報酬となり、残りは再生計画案の認可決定後に返還されます。
この履行テストは、個人再生委員が選任されない地方の裁判所においても、ほとんどのところで行われます。
具体的な方法は裁判所によって異なりますが、代理人弁護士の口座に毎月振り込む方法をとるところが多いようです。

お住まいの地域の裁判所で個人再生委員が選任されるか、履行テストがどのような形で行われるかは、裁判所に問い合わせるか、地元の弁護士に相談して確認することができます。

2、個人再生手続きの流れ

個人再生手続きの流れ

次に、個人再生手続きの具体的な流れを見ていきましょう。
ここでは、東京地裁における手続きをモデルとして流れをご紹介します。

その他の地方の裁判所では、「(3)個人再生委員の選任」と「(4)個人再生委員との打ち合わせと履行テスト開始」が省略されることが多いです。

(1)債権者に受任通知発送

個人再生手続きは複雑なので、ほとんどの人は弁護士に依頼しています。
弁護士に個人再生の申立てを依頼すると、まず弁護士から債権者へ「受任通知」を送付します。

これにより債権者からの取り立てが止まり、以降、債権者からの連絡はすべて弁護士が窓口となります。
それから落ち着いて弁護士と打ち合わせて、個人再生の申立て準備を進めます。

(2)裁判所への申立て

準備ができたら、弁護士が代理人として個人再生の申立てと、支払予定額の申告を裁判所に対して行います。
この時、「債権者一覧表」も一緒に裁判所に提出し、貸主に異議がないかの確認を経て借金の額を確定させていきます。

弁護士に依頼していない場合は、自分で行わなければいけませんが、裁判所に聞くと書類の提出方法を教えてくれる場合があります。

(3)個人再生委員の選任

個人再生を申し立てると、まず個人再生委員が選任されます。
東京地裁の場合は、原則として申立ての当日に個人再生委員の選任が行われます。

その他の地方の裁判所でも、個人再生委員が選任される場合は申立て後数日以内には選任されるのが一般的です。

(4)個人再生委員との面談と履行テスト開始

個人再生の申立てをしてから1週間以内を目安に、個人再生委員との面談を行い、資産状況の確認などが行われます。

個人再生の手続き開始決定を出してもらえるか否かは、この個人再生委員の判断によるところがとても大きいので、面談を求められれば積極的に応じる、質問には素直に答えるなど、対応に気を付けるようにしましょう。

併せて、個人再生委員の主導による「履行テスト」が始まります。
履行テストで振込みが遅れることがあると、最終的に個人再生が失敗することもあるので、遅れないように毎月きちんと振り込むようにしましょう。

(5)個人再生手続きの開始決定

面談の結果、そのまま個人再生手続きを進めていくのが相当であると個人再生委員が判断した場合は、個人再生委員がその旨の意見書を裁判所へ提出します。

裁判所でも意見書に基づいて個人再生手続きを進めてよいと判断されると、個人再生手続きの開始決定が行われます。

(6)債権届け出

個人再生手続きが開始されると、まず裁判所は債権者一覧表に記載された債権者に対して債権の届出をするように通知します。
これを受けて各債権者は、裁判所へ債権の届出を行います。

(7)異議申立て

債権者から届け出られた債権額が実際よりも多い場合は、債務者(申立人)から異議を申し立てることができます。

異議を申し立てた場合は、個人再生委員による調査や、裁判所への「評価の申立て」などの手続きを経て債権額が確定されます。

(8)再生計画案の提出

債権額が確定したら、再生計画案を作成して裁判所と、個人再生委員がいる場合には個人再生委員にも提出します。

具体的には、返済する借金の総額、住宅ローンがある場合はそれを除くこと、返済していく方法や具体的な返済予定表を合わせて提出することになっています。

(9)書面決議または意見聴取と再生計画案の認可

再生計画案を提出すると、小規模個人再生の場合は債権者による書面決議に付され、給与所得者等再生の場合は裁判所による債権者からの意見聴取が行われます。

書面決議では、不同意の回答をした債権者の頭数が債権者総数の半分に満たず、かつ、その債権者の議決権額が議決権額総額(再生後の借金総額)の2分の1を超えなければ、再生計画案が可決されたものとみなされます。

もっとも、債権者である貸金業者から「書面決議」における不同意の意見や、「意見聴取」における何らかの意見が提出されることはめったにありません。

ほとんどのケースでは債権者から何らの意見も提出されず、裁判所による再生計画案の認可決定が行われています。

(10)減額した借金の支払いを開始

再生計画案が認可されると、その再生計画に基づいて実際に返済がスタートします。
通常は、再生計画案の認可が下りた月の翌月から返済がスタートします。
その後、原則として3年間(36回払い)、最長5年間(60回払い)で再生後の借金を完済すれば、残りの借金の返済は免除されます。

3、もし個人再生の返済が厳しくなった場合の流れは?

もし個人再生の返済が厳しくなったら

個人再生では、以上のステップを踏むことで借金を大幅に減額することができます。
とはいえ、再生後も3年間~5年間にわたって返済を継続する必要があります。
場合によっては、再生計画通りに返済していくことが厳しくなることもあるでしょう。
再生計画通りに返済ができなくなったら自己破産するしかないか、というとそういうわけではありません。
このような事態になった場合には、再生計画案を変更して返済期間を最長2年まで延長することができます。

認可された再生計画における返済期間が3年のケースでは5年まで、5年のケースでは7年まで延長が可能です。
このように返済期限を延長してもなお返済できなかった場合には、原則として自己破産するしかない可能性があります。
ただし、以下の「ハードシップ免責」の条件を満たせば、残った借金の4分の1の支払いを免れることができます。

  • 再生計画案に記載された返済金額の4分の3について支払済みであること
  • 返済が困難になった理由が本人に原因がないこと
  • 再生計画を延長しても支払いが困難であること

ただし、ハードシップ免責が認められるのは非常に困難です。

4、個人再生の流れ~準備しておくべき必要書類~

個人再生するために準備しておくべき書類

個人再生手続きを行う際には、多くの書類を準備しなくてはいけません。
ここでは、具体的にそろえるべき書類の種類をご説明します。

以下でご紹介する書類についてはいずれも、日弁連のホームページから書式をダウンロードできますので、ご活用ください。

(1)再生手続開始申立書

個人再生を申し立てるには、「再生手続開始申立書」を裁判所に提出します。
この申立書には書き込み式の様式があり、内容はそれほど複雑なものではありません。
ただし、申立ての際に以下の書類を添付することが必要です。

  • 委任状:弁護士に依頼する場合には委任状が必要です。
  • 戸籍謄本:本籍地の市町村の役所で取得します。
  • 世帯全員についての住民票の写し:3ヶ月以内に発行されたものが必要です。

(2)債権者一覧表

債権者一覧表には、借入先の債権者の氏名(社名)、住所、借金の残高などを記載します。
ここに記載しなかった債権者に対する借金は減額されないこととなります。
なお、意図的に一部の債権者を除外した債権者一覧表を提出すると、個人再生が認められなくなります。
必ず、すべての債権者をもれなく記載するようにしてください。

(3)収入一覧及び主要財産一覧表

収入一覧及び主要財産一覧表には、申立人の収入と換金価値のある所有資産を記載するようになっています。
ここに記載した内容によって個人再生による返済額が左右されるので、正確に記載する必要があります。
意図的に収入や財産を隠して記載すると個人再生が認められなくなるので、必ずもれなく記載するようにしましょう。

(4)財産目録(一覧・細目)

財産目録には、申立人の所有財産について、さらに詳細を記載していきます。
書式は「財産目録(一覧)」と「財産目録(細目)」に別れているので、それぞれ作成しましょう。

(5)清算価値算出シート

清算価値とは、申立人が所有する資産について、換金すればいくらの金銭が得られるかという数値のことです。
清算価値算出シートには、所有資産のそれぞれについて清算価値を記載し、合計額も記載します。

その合計額(清算価値の総額)が個人再生手続きによる最低弁済額を上回る場合は、清算価値の総額以上の金額を返済することになります。

例えば、借金総額が500万円の場合の最低弁済額は100万円ですが、清算価値の総額が150万円ある場合には150万円以上を返済することが必要です。

(6)家計全体の状況

簡単に言うと、家計表のことです。
申立て直前2か月分の家計の収支について、所定の書式に書き込みます。

通常は弁護士に個人再生を依頼した時点で取り立てが止まるため、借金の返済を除いた収支を記載することになります。
収支を計算した結果、再生後の借金の返済が可能となる程度の金額が残らない場合は、個人再生が認められないので注意してください。

その場合は、家計を見直した後に再度、「家計全体の状況」を作成する必要があります。

(7)可処分所得額算出シート(給与所得者等再生の場合のみ)

可処分所得額算出シートも家計表に似ていますが、こちらは実際の収支を記載するものではありません。
所定の書式に書き込んでいくことによって、客観的にみて1か月あたりいくらを借金の返済に充てることができるかを計算できるようになっています。
給与所得者等再生の場合は、このシートによって計算した「可処分所得」を毎月返済することになります。

5、流れがスムーズに!個人再生するなら弁護士への相談・依頼がおすすめ

個人再生するなら弁護士への相談・依頼がおすすめ

個人再生は自分で行うことも不可能ではありませんが、弁護士へ相談・依頼されることをおすすめします。
弁護士へ相談・依頼することによって以下のメリットを受けることができます。

(1)任意整理ができないか、個人再生ができるかを判断

個人再生にはマイホームを残しつつ借金を整理できるという大きなメリットがありますが、その一方でデメリットもあります。
そのため、マイホームを残したいから個人再生をすると決めつけるのは早計です。

個人再生のデメリットには、

  • 官報で住所や氏名を公表される
  • 保証人が付いている借金がある場合は保証人が返済請求を受ける
  • ブラックリストに掲載される期間が任意整理よりも長い

などがあります。

まずは弁護士に相談して、ご自身が抱えている借金をどのような方法で解決するのが最適かについて判断してもらうとよいでしょう。

(2)手続きをスマートに進められる

個人再生手続きは複雑であり、一般の方が行うには逐一、様々なことを調べながら進めなければなりません。
債権者からの取り立てを受けながら、自分で難解な手続きを進めることは精神的にも辛いものです。

弁護士に依頼すれば、面倒な手続きはもちろん、債権者への対応や期日管理も全て任せることができ、無駄な時間をとらずに手続きを進められます。

(3)再生計画案を作成

個人再生では結局のところ、再生計画案が認可されなければ借金を減額してもらうことはできません。
認可される再生計画案とその実現方法について弁護士が共に考え、アドバイスします。

まとめ

この記事では個人再生の手続きの流れについてご説明してきましたが、思っていた以上に複雑な流れで驚いた方もいらっしゃるのではないでしょうか。
また、個人再生は全体として見れば比較的長期間に及ぶ手続きです。

手続きの流れの中で、ステップごとに期日も決められています。
そのため、スケジュール管理を適切に行うことも重要となります。
さらに、債権者や裁判所、個人再生委員とも交渉しなければいけないため、債務者にとっては日常生活を送る上でも、精神的にもかなり負担が大きくなることでしょう。

個人再生を検討している方は、まずは弁護士などの専門家に相談してみてください。

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