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労災保険の請求は会社にはデメリット?誤解をバッサリ!弁護士が解説

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労災保険の請求をすると会社にデメリットがある、と思っている人が少なくないようですが、とんでもない間違いです。

労災が発生しながら、労災保険の請求をしないことのほうが、はるかに大きな問題を生みます。

この記事では弁護士が皆さまの疑問にわかりやすく答えます。 

  • 労働災害の実態・労災保険の必要性
  • 「労災保険請求をすると会社にデメリットがある」は大きな間違い
  • 労災保険請求しないほうが会社に大きなデメリットを及ぼす

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1、労災保険はなぜ必要なのか。

(1)労災保険はなぜ必要なのか。

労働災害が発生したときには、そもそも会社が療養費や休業補償を行う義務があります(労働基準法75条、76条)。

しかし、会社に十分な支払い能力がない場合や、大きな労働災害で巨額の補償が必要になった場合だと会社だけでは支払いが困難になることもありえます。

そこで、労働者災害補償保険法(以下「労災法」)に基づき、会社が納める保険料から補償を行うという労災保険の制度がつくられています。

国が会社に代わって必要な補償を行う、そのため会社が保険料の負担を分かち合って、お互いに助け合う制度です。

もともとは、業務上の災害を担保する制度でしたが、通勤災害も対象にしています。

(2)労災保険の概要

厚生労働省及び東京都の説明から、抜粋して紹介します。

①制度の目的・保険給付の対象:労働者の業務上の事由や通勤による傷病等に必要な保険給付を行い、あわせて被災労働者の社会復帰の促進等の事業を行う制度です。療養、休業、傷病、障害、遺族(補償)給付などが主なものです(末尾に主な給付の一覧表を掲載しています)。

②費用(保険料):原則として事業主の負担する保険料によってまかなわれます。

賃金総額に事業の種類ごとの保険料率(1000 分の 2.5 1000 分の 88)を乗じた額となります。

③適用対象:原則として一人でも労働者を使用する事業は、業種・規模を問わず、すべて適用されます。アルバイトやパートタイマー等もすべて含まれます。労働基準法上の労働者ではない人(一人親方など)の特別加入の制度も作られています。

④適用事業の加入手続き:労災保険の適用事業になったときは、保険関係成立届や概算保険料申告書を所轄の労働基準監督署長に提出し、所定の保険料を納付します(労働保険の保険料の徴収等に関する法律(以下「徴収法」)4条の2、同15 条)。

⑤労災保険加入手続を怠ったときの制裁

さかのぼって保険料を徴収されます。

仮に手続をしていない期間中に事故が発生しても、労働者への保険給付は行われます。

事業主が、故意・重過失で保険関係成立届を提出していないと、さかのぼって労働保険料をを徴収されるほかに、労災保険給付に要した費用の全部、又は一部が徴収されます(労災法31 条)。

 (出典:厚生労働省「労災保険制度とは 」

東京都労働相談情報センター – TOKYOはたらくネット 使用者のための労働法

2、「労災保険請求をすると会社にデメリットがある」は大きな間違い

労災保険の請求をすると、会社にデメリットがある、という人がいます。これらは誤解に基づくものです。

代表的な誤解について、以下にご説明します。

(1)労災保険の給付を請求すると保険料が上がる?

これは、労災保険の「メリット制」についての誤解に基づくものと思われます。

「メリット制」とは、労災事故の発生状況に基づいて、一定範囲で労災保険料を増減させる仕組みで、労災事故が増えれば労災保険料が高くなっていく、というシステムです。

一定の要件を満たした事業でこのようなシステムが採られている理由は、同じ事業でも、作業の工程、機械設備、作業環境、さらに会社での災害防止努力の違いで、災害率に差がでてくることから、会社の労災防止の努力に応じて、保険料の負担が公平になるようにするためです。

労災事故が発生した時に考えるべきは、作業工程、設備、環境等に問題がなかったか、未然に防ぐ術がなかったか、ということです。

労災保険料が高くなることを恐れて労災隠しをすることではありません。

「労災保険料が上がるのが嫌だから労災隠しをする」など本末転倒です。

労災隠しのデメリットとリスクこそ会社としてしっかり認識すべきでしょう。

厚生労働省の資料「労災保険のメリット制について」では次のような例が紹介されています。

(例)非鉄金属精錬業を営む事業場(労災保険率 7/1000)のケース

  • 労働者数100 人
  • 賃金総額 5億円(1人当たり年間賃金は平均 500 万円)

①メリット制が適用されない場合(基本となる労災保険料)

労災保険料 = 賃金総額(100 人×500 万円)× 7/1000 350万円

② メリット制が適用される場合

  • 無災害事業場の場合(メリット収支率:0% → メリット増減率:-40%) 

  222万円:メリット制が適用されない場合に比べ、128 万円減

  • 労災多発事業場の場合(メリット収支率:200%→ メリット増減率:+40%)

  478万円:メリット制が適用されない場合に比べ、128 万円増

(注)労災保険率から、非業務災害率(全業種一律0.6/1000)を引いた率を±40%の範囲で増減させて、労災保険率を決定します。

非業務災害率は通勤災害や二次健康診断などの給付に充てる分の保険料率のことです。

(2)行政から各種の補助金を受けていた場合に、それが無くなる可能性がある?

確かに、補助金の種類によっては、労災の発生状況を考慮するものもあり得ます。

しかし逆に、労災保険の手続きをしていなかったり滞納していたりしたときこそ、補助金が受けられなくなる可能性は高いでしょう。

補助金欲しさに労災発生状況をごまかすのなら、補助金詐欺です。重大な犯罪といえます。

(3)労災発生時の調査などが面倒。他の手続き違反が発見されたりする?

今までずっと労働災害が発生していなかった職場であればあるほど、「たまたま」で処理したくなるものでしょう。

あくまでも偶然に、労働者の不注意で発生したアクシデントとして闇に葬る、という考えも湧いてしまうのかもしれません。

しかし、労働基準監督署という第三者的な専門機関に、会社として労働災害が発生しないように工夫する余地がないのかについて調査・判断してもらうことは非常に大事なことです。

調査によって業務の流れが止まってしまい、利益を逃すこともあるかもしれません。

しかし、一時の利益を逃しても、働いてくれる労働者の環境を整えることは会社の義務であり、また今後の利益につながるとして、労働基準監督署等の専門家の調査には、むしろ積極的に協力して「今後の」労災防止に努めることが重要です。

その場しのぎで対応し、さらに甚大な災害が起こったりしたら、会社として重い責任を問われることになります。

(4)行政の入札から締め出されたり、取引先からの信頼を損なったりする?

入札時の要件をごまかすことのほうが大きな問題になります。

労災隠しをするような会社こそ、取引先の信頼を失います。

(5)社員から安全配慮義務違反などの訴訟を起こされる可能性がある?

労災の請求をするかどうかに関わらず、安全配慮義務は会社の本来の義務です(労働契約法5条)。

労災の請求をしなかったとしても、訴訟を起こされる可能性は十分にあります。逆に労災の請求を妨げることで、労働者の損失補償が十分になされないことになり、そのぶん会社の責任を追及されることになります。

労災保険は社員を守るための制度です。

労働者の業務上のケガや病気については、本来、会社が補償する責任を負っています(労働基準法75条以降)。

ただ、労災保険による補償がある場合には、その範囲で責任が免除されるものです(労働基準法84条1項)。

労災保険を使わないならば、会社の責任が残ってしまうだけです。

さらに、社員が「会社が労災保険の請求手続きを妨げた」として、その点についての賠償を請求してくることも考えられます。

労働基準監督署からも「労災隠しではないか」と追及されることになります。

厚生労働省は、次のように会社の責任について厳しく注意しています。

民事のみでなく、刑事上の責任も問われかねないのです。

「場合によっては、労働基準法上の補償責任とは別に、当該労災について不法行為・債務不履行(安全配慮義務違反)などの事由により被災者等から事業主(会社)に対し民法上の損害賠償請求がなされることもあります。

(中略)二重補填という不合理を解消するため、上記の労働基準法に基づく補償が行われたときは、その価額分は民法による損害賠償の責を免れることが労働基準法で規定されています。」

「その他、労災事故が発生した場合、労働基準監督署にその事故を報告しなかったり、虚偽の報告を行ったりした場合にも、刑事責任が問われることがあるほか、刑法上の業務上過失致死傷罪等に問われることがあります。」

労働災害が発生したとき>事業者の方へ より)

(6)健康保険を使わせておけば良いのではないか?

保険金詐欺にさえなりかねません。もってのほかです。

労災保険は業務上や通勤のときのケガや病気にそなえた保険です。

健康保険はそれ以外のケガや病気などにそなえた保険です。

すなわち、労災保険は、業務に関連した災害から社員を守るためのものです。

社員の療養費負担がゼロになるなど大きなメリットがあります(健康保険では自己負担分がありますよね)。このように、健康保険と労災保険とでは役割が違うのです。

健康保険で3割負担はあったが一応ケガも治ったからなどと軽く考えていると、後日になって、健康保険の保険者(健康保険協会、健康保険組合等)から、保険給付を取消して返還を求められる、といったことさえ考えられます。

労災なのに健康保険証を呈示して治療を受けるのは、一種の保険金詐欺なのです。

会社が「健康保険で対応しておけ」などと社員に言ったりしたら、「保険金詐欺をそそのかした(詐欺の教唆)」という犯罪にもなりかねません。

3、労災隠しは犯罪です

労災請求が会社にデメリットというのは誤解です。

ここまで述べたことでご理解いただけたと思います。

むしろ、厚生労働省は「労災隠しは犯罪です」として、厳しい警告を繰り返しています。

厚生労働省サイトより引用します。

労災かくしは犯罪です。

「労災かくしとは、『故意に労働者死傷病報告を提出しないこと』又は『虚偽の内容を記載した労働者死傷病報告を所轄労働基準監督署長に提出すること』をいい、このような労災かくしは適正な労災保険給付に悪影響を与えるばかりでなく、労働災害の被災者に犠牲を強いて自己の利益を優先する行為で、労働安全衛生法第100条に違反し又は同法第120条第5号に該当することとなります。

このような労災かくしに対して厚生労働省は、罰則を適用して厳しく処罰を求めるなど、厳正に対処することとしています。」

厳正に対処する⇒ 送検された事例などが紹介されています。

まとめ―労災が起こったらまず弁護士と相談。

「労災の請求をしたら会社にデメリットがある」というのは、とんでもない誤解です。とはいえ、労災は突然発生します。

労災手続きに慣れている人の方が少ないでしょう。

それだけに、噂話などにまどわされてしまうのです。

会社が不誠実な対応をして、社員が労働問題専門の弁護士やユニオンなどに駆け込んだ場合こそ、会社は対応に困ることになります。

労災が発生してしまった際には、人事労務に詳しい弁護士にともかく相談してみましょう。

会社と社員にとって適切な解決策をアドバイスしてくれるはずです。

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